マイクロM&Aとは、小規模なM&Aとして小規模事業や個人事業主を対象としたM&Aの形式です。マイクロM&Aは、事業継承の問題からも年々ニーズが高まっています。本記事では、マイクロM&Aの概要やメリット・デメリット、手順、注意点などを解説します。マイクロM&Aに興味を持っている人は、ぜひ最後まで読んでください。
マイクロM&Aとは
ここでは、マイクロM&Aの概要と、起業との違いについて解説します。
小規模事業がメインのマイクロM&A
マイクロM&Aとは、M&Aのなかでも特に小規模なM&Aを指す言葉です。マイクロM&Aの対象となるのは、後継者がいない、または赤字経営など経営状態で悩む個人事業主や小規模企業が多い傾向があります。
マイクロM&Aと起業の違い
マイクロM&Aと起業との違いは、すでに顧客や取引先がいる状態から事業を始められる点です。人材採用や設備などの初期費用が不要であるうえ、顧客やノウハウなど事業に必要な環境が全て備っている状態からスタートできます。黒字事業であれば、譲受直後から収益が見込めるでしょう。
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マイクロM&AとスモールM&Aとの違い
小規模はM&Aは「スモールM&A」と「マイクロM&A」に分類されます。ここでは、マイクロM&AとスモールM&Aとの違いについて解説します。
譲渡価格が1,000万円以下のマイクロM&A
「スモールM&A」と「マイクロM&A」の違いは、譲渡価格にあります。マイクロM&Aとは、譲渡価格が1,000万円以下のM&Aのことです。
譲渡価格が1,000万円~3億円規模のスモールM&A
スモールM&Aは、売買価格が1,000万円~3億円規模のM&Aを指します。対象企業の年商が数百万~3億円程度、従業員数が数人~20人程度の場合は、スモールM&Aに該当します。
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マイクロM&Aが注目されている理由
ここでは、マイクロM&Aが注目されている理由を解説します。
個人・投資家からの需要が増加した
無料で手軽に探せるM&Aマッチングサイトが増えたことで、小規模なマイクロM&Aが成立しやすくなり、以前よりも需要が高まっている現状です。マイクロM&Aは個人の自己資金でも譲受が可能な点から、注目を集めています。
小規模事業者の事業承継のニーズが増加した
帝国データバンクの調査によると、2022年の全国・全業種約27万社の後継者不在率は57.2%にも及んでいます。また、日本政策金融公庫が2023年に行った調査によると、中小企業のうち後継者が決定している企業は10.5%、廃業を予定している企業は57.4%です。「廃業予定企業」は、従業者数「1~4人」の企業が81.8%を占めています。
これらのデータからも、小規模事業者の事業承継のニーズが増加している点がうかがえます。マイクロM&Aは、事業継承を解決する手段として活用されています。
参考:全国企業「後継者不在率」動向調査(2022)| 株式会社 帝国データバンク[TDB]
参考:中小企業の事業承継に関するインターネット調査(2023年調査)日本政策金融公庫
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マイクロM&Aのメリット
ここでは、マイクロM&Aのメリットを譲渡側・譲受側それぞれの視点から解説します。
【譲渡側】事業継承の解決と譲渡益の獲得
譲渡側のメリットは、後継者問題を解決しつつ、譲渡益を獲得できる点です。後継者がいない企業の場合、M&Aによって譲受側に自社を任せられるだけでなく、従業員の雇用先も確保可能です。また、譲渡益による利益が発生する可能性もあります。マイクロM&Aは、譲渡側にとって、廃業よりもメリットがある選択肢といえるでしょう。
【譲受側】低予算の譲受で経営資源を獲得可能
譲受側のメリットは、低予算の譲受で資源を獲得できる点です。マイクロM&Aは1,000万円以下の取引であるため、個人でも実施できます。創業するためのコスト(費用)を抑制できる点が大きなメリットだといえるでしょう。また、取引先の拡大や技術の引き継ぎによる生産性向上も見込めます。
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マイクロM&Aのデメリット
ここでは、マイクロM&Aのデメリットを譲渡側・譲受側それぞれの視点から解説します。
【譲渡側】手元にお金が残らない可能性がある
マイクロM&Aの売買価格は1,000万円以下の取引になるため、仲介手数料や税金の支払いによって利益が手元に残らない可能性があります。また、マイクロM&Aは通常のM&Aよりも譲受側の候補数が少ないため、条件が合わずに失敗するケースもあります。入念に計画を立てなければ、思った成果が得られない可能性があるでしょう。
【譲受側】リスクが隠れやすい
譲受側は、M&Aによって譲渡側の事業が抱える負債などのリスクを取り込んでしまう恐れがあります。そのため、一般的には、M&A実施前にデューデリジェンス(譲受監査・企業調査)を行います。
しかし、マイクロM&Aの場合は、取引金額が少ないことから、手数料のかかるデューデリジェンス(譲受監査・企業調査)を実施しない場合もあります。そのため、簿外債務や売却側の虚偽情報などのリスクがあとから発覚するケースも考えられるでしょう。
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マイクロM&Aを成功させるためのポイント
ここでは、マイクロM&Aを成功させるためのポイントについて解説します。
マイクロM&A後のPMI(統合プロセス)やシナジー(相乗効果)を考慮する
マイクロM&A後には、効果を確実にするためPMI(統合プロセス)を行いましょう。PMI(統合プロセス)を実施することで、経営・業務・意識に関する統合がスムーズに進み、譲渡側・譲受側双方で従業員の摩擦が少なくなります。また、「統合された企業とのシナジー(相乗効果)が十分に発現するかどうか」もあらかじめ検討しましょう。
デューデリジェンス(買収監査・企業調査)を徹底してリスクを回避
M&Aの契約締結前に、譲渡側のリスクを洗い出すデューデリジェンス(買収監査・企業調査)の実施は徹底しましょう。簿外債務やコンプライアンス違反など、潜在的なリスクを洗い出すことで、M&A後のトラブルを回避できます。
スピード感が重要
マイクロM&Aを行う際の注意点は、スピーディーに契約を行うことです。マイクロM&Aは、M&Aとしては少額である1,000万円以下の取引であるため、ライバルが多くなりがちです。そのため、スピード感を持って交渉を進めなければなりません。ただし、契約書は専門家によるチェックを受けてから丁寧に契約するよう心がけましょう。
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マイクロM&Aの流れ
ここでは、マイクロM&Aを行う際の流れについて解説します。
1. M&A仲介会社やマッチングサイトへの相談
最初に行うのは、 M&A仲介会社やマッチングサイトへの相談です。相談のうえ、事業売却は一部とするか・全てとするか、売却価格や売却方法など、売却条件の項目を1つずつ決めていき、優先順位を付けていきます。相談時には、直近3年分の税務申告書・決算書や勘定科目内訳明細書の写しなどを用意しておきましょう。
2. マイクロM&Aに適切な企業の選定と交渉
次に、マイクロM&Aに適切な企業の選定と交渉を行います。選定にあたっては。M&A仲介会社やマッチングサイトから、候補先をまとめたロングリストをもらいましょう。その後、秘密保持契約を締結したうえで、譲渡側として絞り込んだショートリストを挙げてもらいます。
3. 経営陣同士の面談と条件交渉・契約締結
交渉先が決まったら、M&A仲介会社などが間に入りながら、条件のすり合わせを行います。条件に対して相互の同意が得られたら、基本合意書を締結します。その後、デューデリジェンス(譲受監査・企業調査)を行ったうえでM&Aの最終条件を決定し、最終契約書を締結します。最終契約書が締結されれば、クロージング(成約)となります。
4. PMI(統合プロセス)の実施
M&Aが完了した後には、 PMI(統合プロセス)を実施します。PMI(統合プロセス)を行い、統合後のシナジー(相乗効果)を発揮するためのプランを立て、具体的な経営戦略へ落とし込んでいくことが重要です。PMI(統合プロセス)は、M&Aの成功・失敗を左右する重要な手順であるため、専門家のアドバイスを得ながら行うとよいでしょう。
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マイクロM&Aの成功事例
ここでは、マイクロM&Aの成功事例を2つ紹介します。
1つ目は、サバイバルゲームグッズやミリタリーグッズの輸入販売を営む株式会社グローバルトレーディングがカフェをM&Aした事例です。M&Aによって新しく始まったミリタリーカフェは、以前のカフェと比べて1日の売り上げが倍以上となりました。
2つ目は、イタリアン・レストランバーOrso Verde(オルソ・ヴェルデ)を、個人に譲渡した事例です。オーナーは新たな事業を始めるために店舗の売却先を探しており、条件にしっかり合う譲渡先を見つけることに成功しました。前オーナーは、譲渡後もコンサルタントとしてサポートをしています。
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マイクロM&Aの相談なら、みつきコンサルティングへ
マイクロM&Aの相談なら、みつきコンサルティングにお任せください。みつきコンサルティングは、これまでに多種多様な業種・業界でのM&A支援を行ってきました。マイクロM&Aの相談にも対応しており、多くのお客様をサポートしています。また、中小企業庁「M&A支援機関」登録事業者であるため、対外的な信頼性も十分にあります。
マイクロM&Aのまとめ
この記事では、マイクロM&Aの概要やメリット・デメリット、手順、注意点などを解説しました。M&Aに関するご相談は、みつきコンサルティングにお任せください。みつきコンサルティングは、税理士法人グループであるためM&A(第三者への承継)ありきの提案ではなく、事業所内承継、親族内承継など複数の選択肢のメリット・デメリットを比較した提案が可能です。
経営コンサルティング経験者も多く在籍しており、対象企業の詳細な事業分析を実施したうえで、シナジー(相乗効果)の創出を見込める候補先を紹介できる点も強みです。M&Aに関して悩みや不明な点をお持ちの人は、お気軽にご相談ください。
著者
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宅食事業を共同経営者として立ち上げ、CFOとして従事。みつきコンサルティングでは、会計・法務・労務の知見を活かし、業界を問わず、事業承継型・救済型・カーブアウト・MBO等、様々なニーズに即した多数の支援実績を誇る。
監修:みつき税理士法人
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