スモールM&Aの特徴|一般的な定義やメリット・デメリットを解説

M&Aをする際には、「スモールM&A」について知ることもポイントです。スモールM&Aならではの特徴は、M&Aをする際の参考になります。一般的なM&Aと比較して、それぞれのメリット・デメリットを把握することが、求める結果を得るきっかけになるでしょう。本記事ではスモールM&Aの特徴と、メリット・デメリットについて解説します。

目次
  1. 1.スモールM&Aとは
    1. スモールM&Aとは小規模の金額で譲渡をするM&A
    2. スモールM&AとマイクロM&Aの違いとは
  2. 2.スモールM&Aの一般的な定義
    1. スモールM&Aは3億円以下の譲渡価格で行われる取引を指す
  3. 3.注目を集める理由
    1. 中小企業の後継者問題を解決する方法として注目されている
    2. オンラインで簡単にマッチできるM&Aサービスの存在も影響している
  4. 4.スモールM&Aのメリット
    1. 素早く事業継続ができる可能性が高まる
    2. スモールM&Aは経営者個人保証や担保の問題を解消できる
    3. 従業員の生活を守れる
  5. 5.スモールM&Aのデメリット
    1. スモールM&Aに求める条件を満たす相手をみつけるのは難しい
    2. 仲介手数料の負担が大きくなる
    3. 認識のずれが発生するリスクがある
  6. 6.スモールM&Aの一般的な流れ
    1. スモールM&Aを行うための環境を構築する
    2. 活用するM&Aサービスやサイトを決める
    3. 交渉相手の選定と契約を進める
  7. 7.スモールM&Aの注意点
    1. 積極的な情報開示を心がける
    2. 相手企業の情報も収集しておく
    3. 焦って譲渡先を決めない
  8. 8.スモールM&Aの事例
    1. 株式会社PoliPoliのスモールM&A事例
    2. オーエム産業のスモールM&A事例
    3. 株式会社LIGのスモールM&A事例
  9. 9.M&Aをご検討なら「みつきコンサルティング」の利用がおすすめ
    1. 「みつきコンサルティング」ならM&Aに関するさまざまな具体案を提供可能
  10. 10.スモールM&Aのまとめ

1.スモールM&Aとは

まずはスモールM&Aについて、基本を理解することが重要です。以下では、スモールM&Aの概要を解説します。

スモールM&Aとは小規模の金額で譲渡をするM&A

スモールM&Aとは、小規模事業や会社の譲受・譲渡を行うM&Aのことです。小規模事業に対するM&Aとなるため、法人だけでなく個人が営む事業なども対象となります。譲受金額が少なくてリスクが低いことから、M&Aに踏み切りやすい点が特徴です。個人でM&Aを行う事例が増えている昨今、スモールM&Aに注目が集まっています。

スモールM&AとマイクロM&Aの違いとは

マイクロM&Aとは、スモールM&Aよりもさらに小規模のM&A取引を指します。一般的には1,000万円以下で成約する取引が、マイクロM&Aに分類されます。経営状態があまり良くない小規模企業や、譲渡先を探すベンチャー企業などが、マイクロM&Aを実行する傾向にあります。

2.スモールM&Aの一般的な定義

スモールM&Aへの理解を深めるには、一般的な定義を知ることもポイントです。以下では、スモールM&Aにおける定義について解説します。

スモールM&Aは3億円以下の譲渡価格で行われる取引を指す

スモールM&Aは、一般的に3億円以下で成約する取引のことを指します。100万単位で取引されるケースも、決して珍しい事例ではありません。対象企業の年商だけでなく、従業員数が数人~20人程度の企業によるM&Aも、スモールM&Aに該当します。マイクロM&Aよりは規模が大きくなりますが、一般的なM&Aと比較すると小規模な取引に分類されます。

3.注目を集める理由

近年はM&Aのなかでも、スモールM&Aに注目が集まっています。以下では、スモールM&Aに注目が集まる理由・背景について解説します。

中小企業の後継者問題を解決する方法として注目されている

中小企業にとって、事業継続に影響する後継者問題の解決は急務となっています。しかし、M&Aを実行しても交渉先がみつからず、廃業が視野に入る経営者も少なくありません。そこで小規模で行えるスモールM&Aを通じて、交渉相手となり得る対象の拡大が進んでいる点が、注目度を高めている理由の1つです。

オンラインで簡単にマッチできるM&Aサービスの存在も影響している

オンラインで簡単にマッチできるM&Aサービスの普及も、スモールM&Aの普及に影響しています。従来よりもスモールM&Aを、多くの企業や個人に提案しやすい環境が作られています。「M&Aに興味があるけれど、多くの資金は用意できない」といった個人も、交渉に臨みやすいです。スモールM&Aを検討する際には、アプローチ方法の1つとして、オンラインのマッチングサービスの活用がポイントです。

4.スモールM&Aのメリット

スモールM&Aの実施には、さまざまなメリットがあります。実際にスモールM&Aを始める前に、以下で具体的なメリットを確認しておきましょう。

素早く事業継続ができる可能性が高まる

スモールM&Aも検討することで、素早く事業継続ができる可能性が高まります。なるべく早く譲渡を済ませたいケースでは、スモールM&Aにメリットがあるでしょう。例えば後継者がいない状態で、なおかつ自身での経営が難しい場合には、スモールM&Aによるスピーディな譲渡も検討されます。

スモールM&Aは経営者個人保証や担保の問題を解消できる

スモールM&Aは、経営者個人保証や担保の問題を解消するきっかけになり得ます。譲渡後にM&Aとは一体ではあるけれど、別口の交渉として債務者と金融機関の協議にて解除し、譲受主が新たな保証人になる方法があります。M&Aによる利益を重視するのではなく、経営者個人保証や担保の問題解消を目指す場合には、スモールM&Aが検討されます。

従業員の生活を守れる

スモールM&Aで事業や会社を譲渡できれば、従業員がそのまま働ける可能性があります。事業継続の問題に従業員を巻き込まないで済む点も、スモールM&Aにおけるメリットになります。従業員の技術やノウハウを継承できるため、人材の継承には譲受側にもメリットがあります。

5.スモールM&Aのデメリット

スモールM&Aの実施時には、注意すべきデメリットもあります。以下では、スモールM&Aの際に考えられるデメリットを解説します。

スモールM&Aに求める条件を満たす相手をみつけるのは難しい

スモールM&Aを軸にしてM&Aを交渉する場合、求める条件を満たす相手をみつけることが難しいです。ある程度条件面で、妥協が必要になる可能性もあります。妥協できるラインを事前に設定し、交渉に時間がかからないように備えるのもポイントです。

仲介手数料の負担が大きくなる

スモールM&Aは利益が少ないため、仲介手数料などの負担が大きくなります。M&Aの仲介会社を利用する際には、手数料を事前に計算しておくことが重要です。成約までコスト(費用)がかからない、完全成功報酬型の仲介会社がおすすめです。

認識のずれが発生するリスクがある

スモールM&Aは短期間で契約するケースも多いため、成約後に認識のずれが発生するリスクがあります。トラブルを防ぐために、成約前にデューデリジェンス(買収監査・企業調査)をしっかりと行う相手と契約することが重要です。特に個人とのM&Aの場合、知識不足によってトラブルに発展する可能性も懸念されます。

6.スモールM&Aの一般的な流れ

スモールM&Aを行う際には、基本的な流れがあります。以下では、スモールM&Aにおける手順を解説します。

スモールM&Aを行うための環境を構築する

まずはスモールM&Aを行うための環境を、事前に構築します。例えば方針の決定や条件の設定などを行い、スモールM&Aをするための準備を済ませることがポイントです。

活用するM&Aサービスやサイトを決める

スモールM&Aで活用するM&Aサービスやサイトを決め、実際に登録を済ませます。コスト(費用)の上限を定め、手数料などを参考に利用するサービスを決めることが重要です。

交渉相手の選定と契約を進める

スモールM&Aに興味のある交渉相手の選定と契約を進め、M&Aを締結させます。交渉時には仲介会社に入ってもらい、スムーズに話を進められるように備えることも1つの方法です。

7.スモールM&Aの注意点

スモールM&Aを実施する際には、注意すべきポイントもあります。以下では、スモールM&Aにおける注意点を紹介します。

積極的な情報開示を心がける

スモールM&Aでは、譲受先が譲渡企業についての情報を十分に持っていないケースも多いです。特に中小企業は積極的に情報を開示して、譲受先が興味を持つきっかけを作る工夫が必要です。開示すべき情報を明確にし、正確な内容を掲載することが基本です。開示した情報に誤りがあると、トラブルの可能性を生むため注意しましょう。

相手企業の情報も収集しておく

スモールM&Aはスピーディに話が進むため、事前に相手企業・個人のことを調べておくことがポイントです。信頼できる相手であることを確認した上で、譲渡を決めることが基本となるでしょう。まずはトップでの話し合いを複数回実施し、信頼関係の構築から始めることも検討されます。

焦って譲渡先を決めない

状況が切迫していると、焦って譲渡先を決めてしまいがちです。しかし、きちんと検証せずにスモールM&Aを実行してしまうと、求める成果を得られず、損害を被る可能性もあります。ある程度は時間をかけて交渉先と話し合い、問題のない形で契約を終えられるように、慎重になる必要があります。

8.スモールM&Aの事例

スモールM&Aは、すでに多くの企業が実践しています。以下では、スモールM&Aの具体例を紹介します。

株式会社PoliPoliのスモールM&A事例

株式会社PoliPoliは、毎日新聞への事業譲渡を実施した企業です。PoliPoliの代表である伊藤氏が個人で制作していた「俳句てふてふ」が、M&Aにおける譲渡対象になりました。個人開発した事業が、スモールM&Aを成功させた事例として参考になります。

オーエム産業のスモールM&A事例

オーエム産業は、電子部品や自動車部品などのめっき加工をする同業会社「シンセー」を譲受しました。譲受後もシンセーの社長を会長にしてバックアップを受け、シンセーの従業員に譲受前と変わらない仕事を任せています。譲受先の経営者や従業員を尊重した対応をしたことで、離職者を1人も出さずに営業基盤・ノウハウの維持を成功させた事例です。

株式会社LIGのスモールM&A事例

株式会社LIGは、Webサイト・コンテンツ制作、英会話スクール経営などを行っている企業です。株式会社LIGは埼玉県のIT企業に「事業者と旅行者をマッチングするWebサービス」を、1時間の面談のみで譲渡することに成功しました。双方にメリットがあれば、短時間でもスモールM&Aが成立すると分かる事例です。

9.M&Aをご検討なら「みつきコンサルティング」の利用がおすすめ

M&AおよびスモールM&Aをご検討なら、仲介会社「みつきコンサルティング」のご利用がおすすめです。

「みつきコンサルティング」ならM&Aに関するさまざまな具体案を提供可能

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10.スモールM&Aのまとめ

スモールM&Aは、小規模で行われるM&Aを指します。100万円単位での譲渡もあるため、多くの企業や個人が参入しています。事業を早めに継承したい経営者にとっては、有益な方法になり得るでしょう。この機会にスモールM&Aの基本やメリットを確認し、具体的な計画を立てるのもおすすめです。

スモールM&Aでは、交渉がスムーズにいかないケースもあります。そこでM&Aを支援する専門の仲介会社を利用し、サポートを受けることがポイントです。「みつきコンサルティング」では、スモールM&Aを含むあらゆる目的に合わせた対応が可能です。M&Aにお悩みの際には、「みつきコンサルティング」にお気軽にご相談ください。

著者

西尾崇
西尾崇事業法人第三部長
宅食事業を共同経営者として立ち上げ、CFOとして従事。みつきコンサルティングでは、会計・法務・労務の知見を活かし、業界を問わず、事業承継型・救済型・カーブアウト・MBO等、様々なニーズに即した多数の支援実績を誇る。
監修:みつき税理士法人