事業承継コンサルティングとは|費用相場・選び方と第三者承継の活用

事業承継コンサルティングとは、承継計画の策定から税務対策、後継者育成、M&Aまでを一気通貫で支える専門サービスです。何から着手すべきか迷うオーナー経営者に向けて、支援内容・必要な資格・相談先・費用相場・失敗しない選び方を整理し、後継者がいない場合の第三者承継という出口までを平易に解説します。

「うちの会社でも売却できるだろうか…」、「何から始めればいいんだろう…」。そのようなオーナー経営者の不安に、中小企業向けM&A仲介会社みつきコンサルティングは、20年間・500件以上の支援実績に基づき、お応えします。本格検討前の情報収集として、まずはお話をお聞かせください。

事業承継コンサルティングとは

「そろそろ引退を考えたいが、何から手をつければいいのか分からない」。この一言から相談が始まるケースは、実に多い。事業承継コンサルティングは、こうした経営者の迷いを、承継計画づくりから税務・後継者・相手探しまで、まとめて引き受ける専門サービスです。

提供される支援の全体像

税務・法務・会計の知識を横断的に使い、会社の状況に合わせた承継の進め方を設計します。単なる株式の移転ではなく、会社を止めずに次へ渡すための実行支援だと考えると、輪郭がつかみやすいはずです。まずは事業承継の全体像を押さえたうえで、専門家の使いどころを見極めるとよいでしょう。

いま相談が増えている背景

帝国データバンクの調査では、2025年の全国の後継者不在率は50.1%。前年から2.0ポイント下がり7年連続の改善ですが、それでもなお2社に1社は後継者が決まっていない計算です(出典:帝国データバンク 全国「後継者不在率」動向調査(2025年))。改善の裏側では、親族に譲る前提が崩れ、社外の相手へ渡す判断が現実味を帯びています。

事業承継の3つの方法

承継先は大きく3つ。どれを選ぶかで、必要な準備も相談先もまるで変わります。下表に、それぞれの特徴を整理しました。

承継方法後継者主な検討事項
親族内承継子・孫など親族自社株の移転、相続税・贈与税、遺留分
従業員承継役員・従業員株式の買取資金、個人保証の引継ぎ
第三者承継社外の譲受企業企業価値評価、相手探し、条件交渉

親族に渡すなら親族内承継の進め方、社員に譲るなら従業員承継が起点になります。適任者が見当たらないときは、事業承継とM&Aの違いを確かめておくと判断を誤りません。

親族、役員・従業員、第三者(M&A)のどれが最適か判断するための、後継者および事業承継方法の選択フローチャート

承継先が決まっている場合・いない場合

承継先が固まっている会社では、いかに円滑に、税務効率よく渡すかという実行支援が中心です。一方、決めかねている会社では、3つの選択肢のどれが最適かを一緒に考えるところから始まります。ここでの見立てこそ、経験を積んだコンサルタントの腕の見せ所になります。

事業承継コンサルティングの支援内容

「コンサルティング」と一括りにされがちですが、中身は会社の状況で大きく分かれます。主な支援は、計画づくり、株式・税務対策、後継者育成、そして第三者承継の4つ。順に見ていきます。

事業承継計画の策定

現状分析から始め、後継者の選定、株式・事業用資産の移転、資金計画、リスク対策までを1本のロードマップに落とし込みます。3〜5年先を見据えた設計になるため、着手は早いほど選択肢が広がります。骨子づくりの手順は事業承継計画書で確認できます。

自社株と税務の対策

非上場株式は評価額が膨らみやすく、相続時に数千万円から億単位の税負担になることも珍しくありません。自社株評価、生前贈与、種類株式の活用などを組み合わせ、負担を抑える設計を行います。株式の生前贈与種類株式の活用が代表的な手段です。

事業承継税制の検討

自社株の贈与税・相続税の納税を猶予・免除できる制度で、多くの会社で検討テーマに上がります。特例措置の特例承継計画は、提出期限が令和9年(2027年)9月30日まで延長されました(出典:中小企業庁 法人版事業承継税制(特例措置))。ただし制度の適用期限そのものは延びておらず、最終的に使わない判断に至る会社も依然多いのが実情です。

制度の損得はM&Aとの比較で見えてくる部分もあり、事業承継税制とM&Aを並べて検討すると腹落ちしやすくなります。

後継者の育成

適任者がいても、経営を任せられる状態まで育つには時間がかかります。適性評価、育成計画、権限移譲の進め方まで伴走し、社内外の関係づくりも支えます。「後継者はいるが自信がない」という相談は、思いのほか多い落とし穴です。

第三者承継(M&A)の支援

社内に渡す相手がいない場合、M&Aで社外の譲受企業へ引き継ぐ道があります。企業価値の算定、相手候補の探索、条件交渉、デューデリジェンス、契約とクロージングまでを一気通貫で支援します。詳しくは記事後半の後継者不足の解決策もあわせてご覧ください。

事業承継コンサルティングに必要な資格

この分野に法的な独占資格はありません。とはいえ扱う論点は税務・法務・会計にまたがるため、実際には有資格者がチームで動くのが一般的です。誰に何を頼めるかを知っておくと、無駄な費用を避けられます。

国家資格

税理士、公認会計士、弁護士、中小企業診断士、司法書士、行政書士など。相続・税務対策を深く踏み込む支援は、税理士法上、株式会社では行えず、税理士法人・税理士に限られる点は覚えておいて損はありません。

民間資格

事業承継士、事業承継アドバイザー、M&Aスペシャリストなど。全般的な助言を費用を抑えて受けたい場面では選択肢になります。M&Aを軸に相談したい場合は、事業承継アドバイザリーの役割も見ておくと、頼み先の解像度が上がります。

事業承継コンサルティングの相談先

相談先は複数あり、それぞれ得手不得手がはっきり分かれます。自社の課題が「節税」なのか「後継者探し」なのかで、選ぶべき窓口は変わります。主な相談先を整理しました。

相談先ごとの強みと弱み

下表のとおり、無料で使える公的機関から、税務に強い会計事務所、外部売却に強いM&A仲介会社まで幅があります。最左列を軸に読み進めてください。

相談先強み留意点
事業承継・引継ぎ支援センター国の無料窓口。初期の方向性相談に最適個別事情への深い踏み込みには限界
会計事務所・税理士法人自社株移転・相続税対策に強い経営戦略やM&Aは不得手な場合も
コンサルティング会社承継後の経営強化・育成に踏み込む費用感が幅広く、事前確認が必須
金融機関資金調達・融資と連携しやすい中立的な助言を得にくい場面も
M&A仲介会社外部への売却・相手探しに強い親族内の税務単独案件は範囲外のことも

どこに何を相談すべきか迷うなら、事業承継の相談先の比較で全体像を俯瞰しておくと選びやすくなります。承継資金が必要な局面では事業承継融資の窓口も候補に入ります。

事業承継コンサルティングの費用相場

費用は会社の規模や課題の複雑さで大きく動きます。ここでは目安を示しますが、最終的には個別見積もりで確かめるのが確実です。料金の型は、業務ごとのスポット、月額の顧問、成果に応じた成功報酬の3つに整理できます。

スポット型と顧問型

費用の種類相場の目安
初回相談無料のケースが多い
自社株評価10万〜30万円程度
承継計画の策定50万〜300万円程度(中小企業)
月額顧問料月5万〜30万円程度

成功報酬型

M&Aの支援では、取引金額に応じて料率が下がるレーマン方式が一般的で、成約金額の1〜5%程度(最低報酬額を設ける場合あり)が目安です。承継方法によって税金や手数料の構成が変わるため、承継方法別の費用を並べて比べると総額のイメージがつかめます。

費用を抑える工夫

初期の方向性は公的窓口で無料相談し、依頼範囲を絞る。社内でできる資料集めは自前で進める。こうした段取りだけでも支出はかなり変わります。M&Aにかかる費用はM&A補助金事業再構築補助金で一部をまかなえる場合もあります。

失敗しないコンサルティング会社の選び方

依頼先選びは、承継の成否を左右します。派手な提案よりも、自社の課題に本当にコミットしてくれるかを見極めたい。支援現場でつまずきやすい点をふまえ、契約前に確認したい観点をチェックリストにまとめました。

契約前の確認チェックリスト

  • 自社と同業種・同規模の承継支援の実績があるか
  • 成功報酬の計算基準(株式価値ベースか総資産ベースか)が明示されているか
  • 資料作成だけでなく、担当者が現場に入り込んで並走してくれるか
  • 親族内・社内・第三者の全選択肢を中立に比較してくれるか
  • 税務に深く踏み込む場合、税理士法人・税理士が関与しているか

現場でよく見る失敗

「節税だけを急いで進めた結果、後継者以外の相続人ともめた」というのは、支援現場で見かける典型例です。事業承継と相続は地続きで、遺産分割対策遺留分への対策を早めに織り込むかどうかで、後々の揉め事は大きく減ります。

後継者がいないときの第三者承継という出口

相談の入口が「節税」でも、話を掘ると「そもそも継ぐ人がいない」という会社は少なくありません。ここで廃業に傾く前に、社外へ渡すM&Aという出口を並べて考えておきたいところです。

廃業とM&Aは手取りが変わる

黒字なのに畳んでしまう会社は今も多い。ただ、廃業では資産の切り売りにとどまる一方、M&Aなら会社を丸ごと引き継いでもらい、譲渡オーナーの手元に譲渡益が残ることも珍しくありません。両者の違いは廃業とM&Aの比較で確かめられます。

社内の役員へ引き継ぐ選択肢

外部売却の前に、経営陣が株式を買い取るMBOという道もあります。後継者候補が社内にいる会社では現実的な出口になり得ます。仕組みはMBOの活用で整理しています。

支援現場での一例

年商8億円・従業員40名の地方の製造業で、当社が相談を受けた例があります。当初は親族内承継の税務対策が目的でしたが、後継予定だったご子息が継がない意向を示し、方針を第三者承継へ切り替え。企業価値評価を起点に譲受企業を探し、従業員の雇用維持を条件に成約へ至りました。「継ぐ人がいない」からといって、選べる出口が閉じるわけではありません。

事業承継コンサルティングに関するFAQ

相談前によく寄せられる疑問を、実務の答え方でまとめました。

Q:コンサルティング会社に売り手が支払う費用はいくらか

現場ではまず依頼範囲を確認します。自社株評価だけなら10万〜30万円程度、承継計画の策定まで含めると50万〜300万円程度が目安です。M&Aの成約報酬は取引額に応じて別枠になります。

Q:後継者がいなくても相談してよいか

むしろその段階が相談の好機です。親族内・社内・第三者のどれが合うかを一緒に整理するのが支援の入口で、結論としてM&Aによる売却が最適になる会社も少なくありません。

Q:税理士に頼むのとコンサル会社に頼むのは何が違うか

相続・自社株の税務に深く踏み込む部分は税理士法人・税理士でないと扱えません。一方、相手探しや経営戦略まで含めるなら、税務とM&Aの両機能を持つ体制を選ぶと切れ目が生じにくくなります。

Q:買収を前提に相談すると割高になるか

契約条項と報酬体系次第です。初回相談を無料にし、着手金なしの完全成功報酬とする支援もあります。計算基準が株式価値ベースか総資産ベースかで総額は変わるため、契約前の確認が肝心です。

事業承継コンサルティングのまとめ

事業承継コンサルティングは、計画策定・税務対策・後継者育成・M&Aまでを横断的に支える専門サービスです。承継方法によって費用も税金も適用制度も変わり、後継者不在なら第三者承継が有力な出口になります。何から始めるべきか迷うのは自然なことで、早く動くほど選べる道は広がります。

みつきコンサルティングは、税理士法人グループのM&A仲介会社として、中小企業の会社売却・事業承継を数多く支援してきました。税務・法務も含め、承継の方向性が定まる前の段階からご相談いただけます。まずはお気軽にお声がけください。

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著者

西尾 崇
西尾 崇事業法人第三部長/M&A担当ディレクター
宅食事業を共同経営者として立ち上げ、CFOとして従事。みつきコンサルティングでは、会計・法務・労務の知見を活かし、業界を問わず、事業承継型・救済型・カーブアウト・MBO等、様々なニーズに即した多数の支援実績を誇る。M&Aの成約実績多数、M&A仲介・助言の経験年数は10年以上
監修者 神門 剛 代表取締役 / 公認会計士・税理士

みつきコンサルティングは、中小企業の会社売却・事業承継に特化した譲渡企業様に完全成功報酬制のM&A仲介会社です。売り手と買い手企業の最適なマッチングを、経験豊富なM&Aコンサルタントが初期相談から成約まで一貫してフルサポートします。

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