会社売却は、後継者不在の解決や事業成長の加速、経営者の引退後の人生設計など、未来を見据えた前向きな経営判断です。本記事では、会社売却の定義から具体的な手続、価格相場、税金、さらにはメリット・デメリット、信頼できる相談先の選び方まで、M&A専門家の視点から網羅的に解説します。
会社売却とは
「会社を売る」という言葉に抵抗を覚える経営者は少なくありません。実態は、育てた事業を第三者へ引き継ぎ、その対価を受け取る前向きな決断です。M&Aの全体像のなかでも、譲渡オーナーの人生設計に直結するのが会社売却になります。

会社売却の意味と事業譲渡との関係
会社売却は、株式を譲り渡してオーナーが交代する形が中心です。一部の事業だけを切り出す事業譲渡とは、対象も税務も異なります。中小企業では9割前後がこの株式の譲渡を選んでいます。
会社売却が増えている背景
背景にあるのは深刻な後継者不在です。親族や社内に継ぐ人がいない会社が、廃業ではなく第三者への事業承継を選ぶ流れが定着しました。中小企業庁も中小M&Aガイドラインで円滑な引継ぎを後押ししています。黒字でも継ぐ人がいないという相談は、現場で毎週のように届きます。

会社売却で得られる主なメリット
譲渡オーナーが会社売却で手にする利点は、お金の話だけではありません。代表的な4つを順に見ていきます。
創業者利益の獲得
いちばん分かりやすいのは、株式の対価としてまとまった現金が入ることです。これが創業者利益です。長年の経営の成果を一度に現金化でき、引退後の生活資金や次の挑戦の元手になります。会社売却で資産を築くオーナーは珍しくありません。
後継者問題の解決と廃業の回避
後継者がいなくても会社を残せる点も見逃せません。廃業すれば従業員は職を失い、取引先との関係や技術も途絶えてしまいます。譲り受け企業のもとで事業が続けば、こうした損失を避けられます。
従業員の雇用と取引先の維持
従業員の雇用や取引関係を守れるのも大きな価値です。多くの譲受企業は人材や顧客基盤を価値とみなすため、雇用継続を前提に交渉が進みます。従業員の待遇がどう変わるかは、譲渡オーナーが最も気にする論点です。
シナジーによる事業成長
成長戦略として捉える見方もあります。大手やファンドの傘下に入れば、単独では難しかった設備投資や販路拡大が現実になる。承継だけでなく、伸びしろを取りにいくための売却を選ぶ会社も増えています。
会社売却のデメリットと注意点
利点ばかりではありません。進め方を誤ると、条件面で損をしたり社内が混乱したりします。代表的な注意点を押さえておきましょう。

情報漏洩のリスク
売却の噂が広がると、不安から退職者が出たり取引が止まったりします。売却後の社内がどうなるかを社員が憶測で語り始める前に、正式発表まで情報を絞るのが鉄則になります。
| 注意すべきリスク | 内容と対策 |
|---|---|
| 情報漏えい対策 | M&Aの検討事実が社内外に漏れると、従業員の不安や人材流出、取引先の信用低下を招く恐れがあります。譲受候補企業とは必ず秘密保持契約を締結し、情報開示は必要最小限に留め、段階的に行うことが重要です。 情報漏えいを防ぐため、M&Aの初期段階では対象会社名が特定されないコードネームを用いて交渉を進めます。また、開示する資料の閲覧権限を厳密に管理し、見られる人を限定することも有効です。 |
| 連帯保証・担保の解除 | 多くの中小企業では、経営者が金融機関からの借入に対して個人で連帯保証を行っています。会社売却では、譲受企業が負債を引き継ぎ、譲渡オーナーの個人保証が解除されることが一般的です。ただし、確実に解除されるよう、契約時の詳細な確認が不可欠です。 |
| 契約上の約束(表明保証・補償) | 最終契約書には表明保証や補償条項が記載されます。表明保証とは、譲渡オーナーが対象会社の財務状況などについて、事実が真実かつ正確であることを保証するものです。もし虚偽があった場合、譲渡オーナーは損害賠償責任を負う可能性があります。 |
| 運転資本の基準日と差額調整 | 期末を跨いで譲渡が実行される場合、期中の運転資本の変動が譲渡価格に影響を与える可能性があります。企業価値評価の基準日と実際のクロージング日の運転資本の状況に差が生じると、譲渡価格を調整する必要が出てきます。専門家と協力し、細かく確認することをお勧めします。 |
希望条件が通らない可能性
相場とかけ離れた価格を望むと、相手が見つからないまま時間だけが過ぎます。価格だけでなく、雇用や屋号といった譲れない条件を事前に整理しておくと、交渉がぶれません。
売却後の残留義務
譲渡後も一定期間、社長が引継ぎのため会社に残るケースが一般的です。報酬や期間は契約で決まります。引退時期をいつにするかは、家族とも早めにすり合わせておきたいところ。
会社売却の主な手法
ひと口に会社売却といっても、進め方は複数あります。まず、お相手先のタイプによっても、譲渡後の展望が違ってきます。
| 譲受企業のタイプ | 主な目的 | 特徴とメリット | 注意点・その他 |
|---|---|---|---|
| 事業会社(シナジー重視) | シナジー効果の創出 | 既存事業との相乗効果により、売上増加やコスト削減、技術開発の促進などを期待します。例えば、自社の販路を拡大したい、新たな技術を獲得したい、市場シェアを広げたいといった目的があります。譲受企業が対象会社の事業内容を深く理解し、成長戦略の一環として買収を検討するため、対象会社の従業員や文化が維持されやすい傾向があるのも特徴です。 | 事業内容への深い理解と、従業員や文化の維持が期待できます。 |
| 投資ファンド(成長と出口) | 対象会社を一時的に保有し、企業価値を高めた後に再売却することで利益を得る | 譲受企業の事業拡大を支援するために、経営体制の強化や事業戦略の見直し、新たな投資などを行います。短期間での成長を強く求める傾向があるため、対象会社はファンドの専門知識や資金力を活用して、飛躍的な成長を目指せる可能性があります。 | 将来的な再売却を視野に入れるため、譲渡オーナーもその点を理解しておく必要があります。 |
| 個人(承継・独立) | 事業承継や独立開業 | 対象会社の後継者候補となる個人、あるいは独立して経営者になりたいと考える個人が対象会社を買収します。このような場合、買い手は対象会社の既存の事業基盤や顧客、技術を引き継ぎ、安定した経営を目指すことが多く見られます。譲渡オーナーにとっては、長年築き上げてきた対象会社の文化や雇用を守りつつ、安心してバトンを渡せる相手を見つけやすいというメリットがあるかもしれません。 | 既存の事業基盤を活用した安定経営が期待できます。 |
譲渡手法による違いもあります。以下では、中小企業で使われる代表的なスキームを紹介します。
株式譲渡
オーナーが持つ株式譲渡の仕組みで会社ごと引き継ぐ方法です。許認可や契約がそのまま残り、手続も比較的シンプル。中小企業のM&Aでは、この形が約9割を占めます。
事業譲渡
会社は手元に残し、特定の事業や資産だけを売る方法です。不採算部門の切り離しや一部事業の現金化に向きます。ただし許認可の取り直しや契約の巻き直しが必要で、手続は重くなりがちです。
株式交換などの組織再編による売却
現金ではなく相手企業の株式を対価とする手法もあります。株式交換による会社売却では、譲渡オーナーが譲受企業の株主になる形が代表例です。上場企業グループ入りなどで使われます。
会社売却の流れと手続
相談から成約まで、中小企業のM&Aはおおむね半年から1年かかります。M&Aの進め方を、譲渡オーナーの視点で7つの段階に分けて追います。

事前準備と目的の明確化
出発点は「なぜ売るのか」の整理です。引退後の生活、希望額、雇用維持などの譲れない条件を言葉にします。売却に向けた準備がここで整っていると、後の交渉がぐっと進めやすくなります。
| 段階 | 具体的な内容・実施事項 |
|---|---|
| 1.準備:秘密保持契約書と資料整備 | 会社売却の準備段階では、まず売却の目的や希望条件を明確にします。そして、譲受候補企業との情報交換に備え、秘密保持契約書の準備を進めます。同時に、対象会社の決算書、組織図、従業員名簿、主要な契約書、許認可リストなど、企業価値評価に必要な各種資料を整備しておきます。これらの資料は、M&A仲介会社や譲受企業が対象会社を理解するための情報源となります。 最低限の準備資料(財務・顧客・人材・設備) 会社売却の初期段階で必要となる最低限の資料は、対象会社の経営状況を客観的に示すものです。具体的には以下の通りです。 – 過去3期分の決算書一式(財務) – 主要な取引先との契約書や売上推移表(顧客) – 組織体制図や役職員名簿、就業規則・給与関連規程(人材) – 賃貸借契約書や固定資産税納税通知書(設備) これらの資料を事前に整理しておくことで、M&A仲介会社との相談や譲受候補企業への情報開示をスムーズに進めることができます。 |
| 2.買い手探索:候補抽出と連絡手順 | M&A仲介会社との契約後、譲受企業の探索が始まります。まず、M&A仲介会社が譲渡オーナーの希望条件に基づき、数十社~100社社程度の候補企業をリストアップします(ロングリスト)。その後、さらに数社~10社程度に絞り込み(ショートリスト)、身元が特定されない範囲で対象会社の情報(ノンネームシート)を開示します。関心を示した譲受候補企業とは秘密保持契約を締結し、より詳細な情報が記載された企業概要書を開示することで、本格的な検討へ進めます。 |
| 3.一次交渉:主要条件のすり合わせ | 譲受候補企業が対象会社に関心を示し、企業概要書を検討した後、トップ面談を行います。これは、譲渡オーナーと譲受企業の経営陣が直接会い、M&A後のビジョンや経営の価値観などを話し合う貴重な機会です。この面談を経て、譲受候補企業から意向表明書が提出されると、売却金額や従業員の処遇、M&Aスキームなど、主要な条件に関する具体的な交渉に入ります。双方の基本的な合意形成を目指す重要なフェーズです。 |
| 4.確認作業(財務・法務・労務の観点) | 主要条件の合意後、譲受企業は対象会社に対してデューデリジェンスと呼ばれる詳細な確認作業を行います。これは、財務、法務、税務、ビジネス、労務など、多岐にわたる側面から対象会社のリスクや強みを調査するプロセスです。公認会計士や弁護士などの専門家が、対象会社から開示された資料を精査し、ヒアリングを行います。この確認作業の結果は、最終的な売却価格や契約条件に影響を与える可能性があるため、正確な情報開示が求められます。 |
| 5.最終契約書の締結と決済 | デューデリジェンスの結果を踏まえ、最終的な売却条件の交渉が行われます。双方の合意に至れば、株式譲渡契約書などの最終契約書が締結されます。この契約書には、売却価格、支払い方法、表明保証、補償条項など、M&Aの根幹となる詳細な条件が明記されます。最終契約の締結後、クロージングと呼ばれる手続で、株式の引き渡しと譲渡対価の支払いが行われ、会社売却の取引が完了します。 |
| 6.引継ぎ(経営・従業員・取引先) | クロージングが完了しても、会社売却のプロセスは終わりではありません。M&Aによるシナジー効果を最大限に引き出すためには、譲受企業と対象会社との円滑な経営統合が不可欠です。これには、組織文化の融合、業務プロセスの統一、従業員のモチベーション維持、主要な取引先への説明などが含まれます。譲渡オーナーも、一定期間、引継ぎのために対象会社に残るキーマン条項が設定される場合があるため、譲渡後の役割を事前に確認しておくことが大切です。 |
相談先・アドバイザーの選定
依頼先を決める段階です。M&A仲介の役割や手数料体系を理解し、自社に合う相手を選びます。銀行・税理士・仲介会社にはそれぞれ守備範囲があり、相性も成否を分けます。

企業価値評価(バリュエーション)
自社がいくらで売れそうか、客観的な企業価値の評価で見積もります。決算書をもとに収益力や純資産を分析し、交渉のたたき台となる価格帯を出します。
| 評価アプローチ | 評価の視点 | 代表的な手法 | 特徴と適用場面 |
|---|---|---|---|
| インカムアプローチ | 将来の収益力重視 | DCF法(将来キャッシュフロー割引法) 配当還元法 | 将来的な収益性やキャッシュフロー創出能力をベースに企業価値を評価する手法です。DCF法は、将来の利益予測から企業価値を算出する方法です。一定規模以上の会社や、譲受企業がファンドや上場企業の場合に使用されることが多く、成長性や将来性を重視する評価手法といえます。ただし、中小企業では実務負担が大きいため、利用頻度は限定的です。 |
| マーケットアプローチ | 市場価格重視 | 類似会社比較法(マルチプル法) EBITDA倍率法 | 株式市場やM&A市場における取引価額を基準に算定する評価方法です。客観性が高く、市場の状況を反映できる点が特徴です。EBITDA倍率法は、税引前利益+減価償却費に特定の倍率(8~10倍程度)※を乗じて企業価値を算出します。主に黒字企業・成長企業の企業価値算定に利用され、財務的な安定性や収益性が見込まれる企業で有効です。 |
| コストアプローチ | 純資産重視 | 時価純資産法 簿価純資産法 | 譲渡企業の純資産(貸借対照表の資産から負債を差し引いた金額)をベースに企業価値を評価する手法です。純資産法は、業績が安定していない企業や、保有資産の価値が重要視される資産型ビジネスの企業価値評価に活用されます。「今ある価値」をベースにした保守的な評価といえ、収益力を評価するのが難しい場合に有効です。 |
買い手探しと打診
社名を伏せたノンネームシートで候補企業に打診します。関心を示した相手にだけ、秘密保持契約のうえで詳細を開示する流れです。譲受企業の探し方は、仲介会社のネットワークに左右されます。
| 業種 | EBITDA倍率 |
|---|---|
| IT・SaaS | 5~10倍 |
| 製造業(部品・金属) | 3~6倍 |
| 飲食・小売 | 2~4倍 |
| 医療・介護 | 5~7倍 |
| 建設・設備 | 2~3倍 |
トップ面談・基本合意
経営者同士が顔を合わせ、人柄や経営方針を確認します。条件の大枠が一致すれば基本合意書を結びます。数字以上に、この場の相性が最終判断を動かすことも珍しくありません。
デューデリジェンス(買収監査)
譲受企業が財務・法務・事業のリスクを精査します。これがデューデリジェンスです。ここで想定外の問題が出ると価格が下がるため、譲渡オーナー側の事前準備が効いてきます。
最終契約・クロージング
条件が固まれば最終契約を締結し、株式の引き渡しと代金の決済を行います。この決済が完了して、会社売却は成立します。個人保証の解除も、このタイミングで処理するのが通例です。
会社売却の価格相場と決まり方
「うちはいくらで売れるのか」は、誰もが最初に抱く疑問です。相場の考え方と、価格がどう決まるかを押さえます。

中小企業の相場観
中小企業では、純資産に数年分の利益を上乗せした価格帯が一つの目安になります。会社売却の相場は業種や収益力で大きく動くため、あくまで出発点と考えておくのが安全です。
株価の評価方法
非上場株式の評価には、純資産をもとにする方法、利益やキャッシュフローから算定する方法などがあります。複数の手法を組み合わせ、多面的に価格を見るのが実務です。譲受企業の戦略次第で評価は上下します。
価格ギャップが生まれる理由
譲渡オーナーの希望と譲受企業の評価がずれることは、よくあります。将来性の見方や、のれんの捉え方の差が原因です。この価格のギャップを埋める作業こそ、仲介の腕の見せ所になります。
会社売却にかかる税金と費用
手取りを左右するのが税金と費用です。M&Aの税務は、譲渡オーナーと譲受企業で扱いが分かれます。ここでは代表的な株式譲渡を前提に、お金の出入りを整理します。

株式譲渡にかかる税金
個人株主が株式を売って譲渡益が出ると、約20%(正確には20.315%)の税金がかかります。内訳は所得税・復興特別所得税と住民税です。詳しい区分は、国税庁の株式譲渡の課税の解説で確認できます。
| 株主の区分 | 種類 | 税率・計算方法 | 申告・手続の概要 |
|---|---|---|---|
| 個人株主(譲渡オーナー) | 譲渡所得税 | 約20.315%(所得税15%、住民税5%、復興特別所得税0.315%) 売却価格から株式の取得費と譲渡にかかった費用を差し引いた金額に対して課税されます。 | 譲渡所得は申告分離課税の対象となります。これは、他の所得(給与所得や事業所得など)とは合算せず、分離して税金を計算するという意味です。譲渡所得が発生した年の翌年の3月15日までに確定申告を行う必要があります。正確な申告のためには、株式の取得費を証明する書類を保管しておくことが重要です。 |
| 法人株主 | 法人税 | 約30%~35%程度(対象会社の規模や所得金額によって異なります) 譲渡益は対象法人の益金として計上されます。 | 譲渡益は他の収益と合算され、最終的な課税所得に対して法人税が課されます。法人税の計算は複雑なため、M&Aに強い税理士によるアドバイスが欲しいところです。 |
役員退職金を活用した節税
譲渡対価の一部を役員退職金で受け取ると、税負担を抑えられる場合があります。退職所得が税制上優遇されているためです。この役員退職金スキームは、会社売却の定番の節税策の一つです。
会社売却の手取り額
税金や費用を差し引いて、最終的に手元に残るのが手取りです。会社売却の手取りは、スキームの選び方で大きく変わります。税理士を交えた事前のシミュレーションが効いてきます。
仲介会社などへの費用
専門家への報酬も見込んでおきます。仲介会社の手数料はレーマン方式が一般的で、着手金の有無は会社ごとに違う。手数料体系が成果に見合うかは、契約前に必ず確かめておきたい点です。

会社売却を成功させるポイント
同じ会社でも、進め方しだいで結果は変わります。支援現場で成否を分けると感じる要素を挙げます。
早めの準備と企業価値の磨き上げ
動き出しが早い会社ほど、選択肢も価格も広がります。決算の見栄えを整え、属人化した業務を仕組み化しておくこと。こうした地道な磨き上げが、最終的な評価額にじわりと効いてきます。
当社が現場で見る、成否の分かれ目
支援現場では、技術や財務よりも「準備の差」で結果が分かれる場面を何度も見てきました。譲渡前に整えておきたい観点を、下表のチェックリストにまとめます。
| 確認する観点 | 整えておきたい状態 |
|---|---|
| 決算書の信頼性 | 3期分の数字に、説明のつかない変動がない |
| 社長への依存度 | 主要業務が社長個人に集中していない |
| 株式の集約 | 分散した株式がオーナーに集まっている |
| 許認可・契約 | 承継の支障になる条項を把握している |
| 個人保証の整理 | 解除の見通しを金融機関と確認済み |
準備の差が出た匿名事例
たとえば年商8億円・従業員35名ほどの地方の食品製造業では、こんな差が出ます。早期に株式を集約し、属人化していた受注管理を仕組み化していた会社は、デューデリジェンスでの指摘が少なく、当初の提示額に近い条件でまとまりやすい。逆に準備不足の会社は、価格の引き下げ交渉に持ち込まれがちです。
信頼できる相談先を選ぶ
そして相談先の力量です。自社の業種に明るいか、手数料は妥当か。実際の会社売却の成約事例に目を通すと、支援の質や相性が具体的にイメージできます。
会社形態やケース別の売却
会社の形や状況によって、売却の進め方は変わります。代表的なパターンを押さえておくと、判断を誤りません。
不動産を多く持つ会社の売却
含み益のある不動産を抱える会社では、不動産M&Aという手法が税務上有利になることがあります。物件を直接売るより、株式ごと譲渡したほうが手取りが増えるケースです。
債務超過・赤字でも売れるか
赤字や債務超過だからと、諦める必要はありません。技術や顧客基盤、許認可に価値を見いだす譲受企業は存在します。条件は厳しくなりますが、債務超過でのM&Aで活路が開けることも多いです。
引退と資産設計の視点
会社売却は、引退後の人生設計とセットで考える話でもあります。IPOとM&Aの比較や上場以外の出口も視野に入れると、自分に合った着地が見えてきます。

みつきコンサルティングが支援した事業承継型M&Aの事例
みつきコンサルティングは、これまで500件を超えるごM&Aを支援してまいりました。公認会計士・税理士ら専門家チームが、完全成功報酬制で支援した成約事例から、本記事テーマ「会社売却」に関連するものをご紹介します。
60歳の経営判断、従業員第一で製造業者へ承継

譲渡企業:プラスチック成形(売上約4億円)
譲受企業:セラミック加工(売上約32億円)
スキーム:株式譲渡
60歳で経営課題を自覚し、息子は別業界で活躍中のため第三者承継を決断。従業員の安心を最優先に、企業理念に共感できる同業他社への譲渡を決断。
70歳の区切りで後継者不在を酒類企業へ承継

譲渡企業:クラフビール販売(売上約1億円)
譲受企業:業務用酒類卸(売上約100億円)
スキーム:株式譲渡
70歳を目途とした事業整理を検討していた経営者が、後継者不在により雇用継続を最優先条件として、国内外に販路を持つ酒類関連企業への譲渡を実現。
上記は当社のM&A仲介実績のほんの一部です。様々な業界・規模の成約事例を下記のページでご紹介しておりますので、ぜひご覧ください。
会社売却に関するFAQ
譲渡オーナーから実際によく寄せられる疑問に答えます。
利益が出ている会社なら、十分に可能です。株式の対価がそのまま創業者利益になります。ただし金額は収益力と買い手しだい。現場ではまず、企業価値の試算から始めることをおすすめしています。
現場ではクロージングまで伏せるのが基本です。早すぎる開示は、不安と離職を招きます。発表のタイミングと伝え方は、買い手とも相談しながら慎重に設計します。
多くの場合、買い手への移行か、金融機関との交渉で解除を目指します。ただし解除できるかは金融機関の条件しだいです。最終契約での扱いを、早めに詰めておくのが安全になります。
見つかることはあります。買い手が見るのは決算書だけではありません。技術・顧客・人材に価値があれば、交渉は成立します。条件面は健全な会社より厳しくなる、と考えておきましょう。のが実務の感覚です。
おおむね半年から1年が目安です。準備が整っている会社ほど、早く進みます。買い手探しやデューデリジェンスで時間が読みにくいため、余裕をもった計画をおすすめします。
会社売却の全体像を押さえて次の一歩へ
会社売却は、創業者利益の獲得や雇用の維持、後継者問題の解決につながる前向きな選択です。手法・流れ・相場・税金を押さえ、早めに動くほど条件は良くなります。それでも、長年育てた会社を手放す決断には迷いがつきもの。一人で抱え込まず、信頼できる相手に相談するのが第一歩になります。
みつきコンサルティングは、税理士法人グループのM&A仲介会社です。中小企業の会社売却・事業承継を数多く支援してきた経験から、企業価値の試算から相手探し、税務まで一貫してサポートします。会社売却をお考えなら、まずは当社へお気軽にご相談ください。
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著者

- 事業法人第三部長/M&A担当ディレクター
-
宅食事業を共同経営者として立ち上げ、CFOとして従事。みつきコンサルティングでは、会計・法務・労務の知見を活かし、業界を問わず、事業承継型・救済型・カーブアウト・MBO等、様々なニーズに即した多数の支援実績を誇る。M&Aの成約実績多数、M&A仲介・助言の経験年数は10年以上
監修者 神門 剛 代表取締役 / 公認会計士・税理士
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