後継者がいない、何から手をつけるべきか分からない。事業承継の相談先は、無料で中立の公的機関と、税務・法務やM&Aの実務を任せる民間専門家に大別できます。それぞれの強みと選び方、費用の目安、後継者が不在なら第三者承継へつなぐ道筋まで整理しました。自社に合う相談先を見極める材料としてお使いください。
「うちの会社でも売却できるだろうか…」、「何から始めればいいんだろう…」。そのようなオーナー経営者の不安に、中小企業向けM&A仲介会社みつきコンサルティングは、20年間・500件以上の支援実績に基づき、お応えします。本格検討前の情報収集として、まずはお話をお聞かせください。
> みつきコンサルティングに無料相談する|税理士法人グループ
事業承継の相談先は「無料の公的機関」と「有料の専門家」に分かれる
「誰に聞けばいいのか」で足が止まる。事業承継の入口で、これが意外と多い。相談先は数多くありますが、性格で分ければ大きく2つです。費用をかけず中立の助言を得たいなら公的機関、税務や法務、M&Aの実務を前に進めたいなら民間の専門家。この2軸を先に押さえると、遠回りが減ります。まずは事業承継の進め方を俯瞰したうえで、自社の状況に近い窓口から当たるのが現実的です。
相談先を2軸で整理する
公的機関は無料で、利害から離れた立場で全体像を示してくれます。民間の専門家は費用が発生する代わりに、個別課題を深く掘り下げ、手続まで伴走してくれる。どちらが上ということはなく、段階に応じた使い分けが軸になります。
後継者の有無で入口が変わる
後継者候補が社内や親族にいるかどうかで、最適な相談先は変わります。候補がいれば計画策定や税務の色が濃くなり、いなければ第三者への会社売却、つまりM&Aが視野に入る。この分岐を意識しておくと、相談時の話が早い。
無料で相談できる公的機関・支援団体
費用を抑え、中立の目線で方向性を確かめたい。そんな段階でまず頼れるのが公的機関です。国や地域が運営しており、後継者が決まっていない状態でも気兼ねなく持ち込めます。
事業承継・引継ぎ支援センター
国が全国47都道府県に置く公的窓口です。中小企業庁の事業承継の支援策によれば、親族内承継からM&Aのマッチングまで、承継全般の相談を原則無料でワンストップ対応します。金融機関OBや中小企業診断士など、経験を積んだ相談員が在籍している点も安心材料です。
使いどころと注意点
「何から始めるか分からない」段階の交通整理に向いています。ただし条件交渉や仲介そのものはセンターが直接担わず、登録機関や外部専門家への橋渡しが基本。実務段階では別途費用が生じる場合もあり、そこは事前に確認しておきたいところです。
商工会議所・商工会
地域密着で、地元の経営実態に沿った相談ができます。会員であれば利用できるサービスも広がり、地域の専門家を紹介してくれることも多い。一方で、M&Aの具体的な手続や交渉となると、専門機関ほどの蓄積はありません。入口としての活用が現実的です。
よろず支援拠点
国が設ける無料の経営相談所で、承継だけでなく売上拡大や資金繰りなど幅広い課題を同時に持ち込めます。何度でも無料で相談できるため、承継を経営全体の中で位置づけたいときに使い勝手がよい窓口です。
実務を任せる民間の専門家
方向性が定まったら、次は手を動かす段階です。ここからは、それぞれ得意分野を持つ民間の専門家の出番になります。下表に、代表的な相談先と得意な相談、向いている経営者を整理しました。
| 相談先 | 得意とする相談 | 向いている経営者 |
|---|---|---|
| 税理士・公認会計士 | 自社株評価、事業承継税制、節税対策 | 税負担や手取りを重視したい |
| 弁護士・司法書士 | 契約書チェック、登記、相続争いの予防 | 法的リスクや親族間トラブルを避けたい |
| 金融機関 | 資金調達、経営者保証の見直し | 融資や資金繰りに不安がある |
| M&A仲介会社 | 第三者への会社売却、相手探し | 後継者がおらず売却を検討したい |
| コンサルティング会社 | 計画策定から承継後まで一貫支援 | 丸ごと任せて進めたい |
公認会計士・税理士
顧問として財務や税務を長く見てきた税理士は、最も身近な相談相手です。金融庁が2023年に公表した企業アンケート調査でも、事業承継の相談相手は顧問税理士が43.0%で最多でした。会社の成り立ちや家族構成まで理解しているため、踏み込んだ助言が期待できます。

強みは自社株評価と税負担の設計
企業価値の算定や、贈与税・相続税を抑えるスキームづくりは税理士の本領です。手取りを左右する論点なので、ここは専門家の関与が効きます。詳しくは事業承継税制の要件で整理しています。
第三者承継の経験は差が大きい
ただ、税理士が親族外承継まで得意とは限りません。親族内の経験は豊富でも、M&Aの実務は手薄という方が実際には多い。現場でよく見るのは、顧問税理士に相談したものの株価算定までで話が止まり、相手探しに進めないケースです。承継の方向がM&A寄りなら、実務判断として、税務は顧問に、相手探しは仲介にと役割を分けるのが無理のない進め方になります。
弁護士・司法書士
法務面の守りを固める専門家です。株式の移転、登記の変更、相続トラブルの予防など、法律が絡む場面で力を発揮します。将来の紛争の芽を摘む役回りといえます。
費用と調整役への向き不向き
弁護士の相談料は高めになりやすく、依頼者の利益最大化を徹底する性格上、親族や金融機関との落としどころを探る調整役には必ずしも向きません。司法書士は登記に強く費用を抑えやすい反面、相続争いには対応できない。役割を見極めて使いたいところです。
金融機関
普段から取引のある銀行や信用金庫は、自社の財務を把握しており相談しやすい相手です。承継に必要な資金調達に乗ってくれるほか、取引網から専門家を紹介してくれることもあります。承継資金の調達は事業承継融資の種類もあわせて確認しておくと安心です。
自行商品の提案には目を配る
一方で、融資や金融商品の販売も金融機関の事業です。承継と関係の薄い商品まで勧められる場面もあり得ます。自社に本当に必要な提案かを、自分の物差しで見極める姿勢が要ります。
M&A仲介会社
第三者への承継、すなわち会社売却に特化した専門家集団です。後継者が見つからない会社にとって、有力な相談先になります。M&A仲介の仕組みを押さえておくと、依頼時の判断が楽になります。
相手探しの層の厚さが最大の価値
実績のある仲介会社は、全国の譲受企業とのつながりを持ちます。第三者承継で最も重いのが相手候補探し。この一点で、他の専門機関を大きく引き離します。交渉やマッチング全体を伴走してくれる点も心強い。
M&A前提で話が進みやすい点に留意
ただし、仲介に持ち込むとM&Aありきで話が動く傾向は否めません。売却が本当に最善かを自分で吟味したうえで、相談を進めましょう。親族内・従業員承継との比較はM&Aと承継の違いが参考になります。
事業承継コンサルティング会社
計画策定から後継者育成、承継後の経営支援まで、丸ごと引き受けるのがコンサルの特徴です。「何から手をつければ」という経営者の受け皿になります。料金体系や実績は会社ごとに差が大きいため、事前の確認が欠かせません。役割や報酬は事業承継コンサルや承継アドバイザリーで整理しています。
後継者がいないなら第三者承継(M&A)という選択肢
ここで視点を変えます。相談先選びの前に、そもそも「誰に継ぐか」が定まっていない会社は少なくありません。帝国データバンクの2025年の後継者不在率調査では、全国の後継者不在率は50.1%。中小企業では51.2%、小規模企業では57.3%と、規模が小さいほど不在が目立ちます。継ぎ手がいないなら、第三者承継が現実的な出口になります。

承継の3類型で相談先の重心が動く
承継には親族内、従業員(社内)、第三者(M&A)の3つの道があります。親族内承継の手順なら税理士の比重が高く、従業員承継では資金と株式の設計が肝になります。役員や社員が株式を買い取るMBOの活用も選択肢のひとつ。どの道かで、頼るべき相手が変わります。
M&Aなら創業者利益と雇用の両立を狙える
第三者承継の魅力は、譲渡オーナーが創業者利益を手にしつつ、従業員の雇用や取引先との関係を引き継げる点にあります。廃業なら消えてしまう技術や顧客基盤が、譲受企業のもとで生き続ける。売却の相場観は会社売却の相場、値づけの理屈は企業価値評価で確認できます。仕組み全体はM&Aの基礎から。
現場でよくある相談
年商8億円ほどの地方の建設業で、社長が70代、後継者不在という相談がありました。顧問税理士に打診したものの、M&Aの経験が乏しく相手探しに進めず、時間だけが過ぎていた。技術者の雇用維持を条件に譲受企業を探し、事業を残す形でまとまりました。継ぎ手不在は、決して珍しい話ではありません。
失敗しない相談先の選び方
相談先選びで結果は大きく変わります。肩書きや知名度ではなく、次の観点で見極めるのが実務的です。持ち込む前に、社内でざっと確認しておくとよいでしょう。
相談前のセルフチェックリスト
- 後継者候補が親族・社内にいるか、いないか
- いつまでに承継を終えたいか(時期の目安)
- 会社の財務を把握している顧問税理士はいるか
- 個人保証や借入をどう引き継ぐか、方針はあるか
- 従業員の雇用維持を条件に置くかどうか
実績と専門知識の厚み
親族内、社内、M&Aでスキームは大きく異なります。自社の状況に沿った助言ができるか、承継の解決実績があるかを確かめたい。得意分野が自社の課題とかみ合っているかが分かれ目です。
他分野との連携体制
承継は法務、税務、財務が絡み合います。選んだ相談先が他分野の専門家と組めているかで、対応の幅が変わる。窓口が一つでも、その先に連携網があるかを見ておきましょう。
担当者との相性
承継は1年から5年に及ぶ長い道のりです。共に歩む担当者と呼吸が合うかは、進行の速さに直結します。経営者の想いに寄り添い、最適解を一緒に探せる相手かどうか。ここは軽視できません。
報酬体系の明確さ
着手金、月額、成功報酬など、費用の出方は相談先で異なります。どの段階でいくらかかるのか、見積もりを先に取るのがトラブル回避の基本です。承継全体の費用感は承継費用の内訳で押さえておくと比較が楽になります。
相談で活用できる公的制度・補助金
承継には、国が用意した後押しの仕組みがあります。相談の際にあわせて確認しておくと、費用や税負担の軽減につながります。
事業承継税制と経営承継円滑化法
一定の要件を満たせば、贈与税・相続税の納税が猶予・免除される制度があります。その土台となるのが経営承継円滑化法です。適用要件は変わりやすいので、税理士や公的窓口で最新の可否を確かめましょう。
事業承継・M&A補助金
専門家費用や設備投資の一部に、補助を受けられる場合があります。申請には期限があり、公募のタイミングを逃さないことが肝心です。要件はM&A補助金の要件や事業再構築補助金で確認できます。
相談を始めるタイミングと進め方
「まだ早い」と感じる時期こそ、動き出しどきです。承継には準備の時間がかかります。段取りを押さえておきましょう。
悩みを言葉にして整理する
何が課題で、何を実現したいのか。ここが曖昧だと、相談先も方向を示しにくい。承継で達成したい目的を先に言語化しておくと、話が具体化します。
相談先を決めて情報を共有する
課題が見えたら、得意分野が合う専門家を選びます。決めたら決算書などを開示し、対策や解決策を具体的に描いてもらう。ここで初めて、絵が動き出します。
セカンドオピニオンを取る
一つの意見だけで決めない。特に第三者承継では、担当者の交代や、提示条件と進捗のズレも起こり得ます。別の専門家の客観的な目を入れることで、判断の精度が上がります。
事業承継の相談相手に関するFAQ
相談先選びでつまずきやすい点を、実務の答え方で並べました。
現場ではまず顧問税理士に打診する方が多いです。会社の内情を知っており、話が早い。ただ承継やM&Aの経験は税理士によって差があるため、実績が薄ければ事業承継・引継ぎ支援センターでセカンドオピニオンを取るのがおすすめです。
公的機関は無料です。民間の税理士や弁護士は初回無料が多く、継続依頼で費用が発生します。M&A仲介は成功報酬型が主流で、完全成功報酬の会社も増えています。相談段階は費用を抑えて情報を集めるのが得策です。
順番に迷うなら公的機関からで問題ありません。無料で中立の助言を得て全体像をつかみ、実務に入る段階で民間へ。段階的に進める方が、無駄な費用も判断ミスも減らせます。
税理士や弁護士など士業には守秘義務があります。M&A仲介でも、会社名を伏せた匿名での初期相談が可能です。ただ詳細検討の段階では情報開示が必要になるため、秘密保持契約の締結を最初に確認しておくと安心です。
できます。承継か売却か決めきれない段階でも、公的機関や連携の広い専門家なら、親族内・従業員・第三者を横並びで比較したうえで方向性を示してくれます。契約条項や金融機関の条件次第で最適解は動くので、まずは選択肢を並べるところからで十分です。
事業承継の相談先選びのまとめ
相談先は、無料で中立の公的機関と、実務を担う民間専門家に大きく分かれます。何から始めるか迷う段階は公的機関で整理し、税務やM&Aを前に進める段階で専門家へ。後継者が不在でも、第三者承継という道が残されています。焦らず、しかし早めに動き出すことが、会社と従業員を守る一歩になります。
当社は、みつき税理士法人グループのM&A仲介会社です。中小企業のM&A・事業承継に特化し、経験豊富なアドバイザーや公認会計士・税理士が在籍しています。会社売却や承継の進め方でお悩みなら、無料相談からお気軽にお声がけください。
完全成功報酬のM&A仲介会社なら、みつきコンサルティングへ >
著者

- 事業法人第三部長/M&A担当ディレクター
-
宅食事業を共同経営者として立ち上げ、CFOとして従事。みつきコンサルティングでは、会計・法務・労務の知見を活かし、業界を問わず、事業承継型・救済型・カーブアウト・MBO等、様々なニーズに即した多数の支援実績を誇る。M&Aの成約実績多数、M&A仲介・助言の経験年数は10年以上
監修者 神門 剛 代表取締役 / 公認会計士・税理士
最近書いた記事
2026年7月10日M&A仲介の利益相反とは?問題と対処法・仲介会社の選び方を解説
2026年7月10日M&Aブティックとは?仲介会社やFAとの違い・種類と選び方
2026年7月10日M&A仲介会社ランキング|売上規模と大手への依頼判断・選び方
2026年7月9日M&Aエージェントとは|仲介との違いと会社売却での選び方











