事業承継アドバイザリーとは、後継者不足に悩む中小企業の事業承継を支援する専門的な業務であり、その専門家です。本記事では、事業承継アドバイザリーの役割や具体的な業務内容、資格の種類や試験の概要、他の専門家との違い、さらに経営者が依頼する際のメリットや注意点について、分かりやすく解説します。
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事業承継アドバイザリーとは
事業承継アドバイザリーとは、近年、注目が高まっている中小企業の事業承継について、専門的なアドバイスを行う業務を指します。そして、事業承継アドバイザリーを提供する専門家としての資格、あるいはその資格を有する専門家を「事業承継アドバイザー」といいます。
事業承継アドバイザーは、後継者不足が深刻化する中小企業経営者が抱える事業承継に関する悩みに対し、専門的な知識とノウハウを駆使して、最適な解決策の提案や支援を行います。事業承継は、単に経営者の交代というだけでなく、会社や従業員の今後を大きく左右する重要なプロセスです。専門的な知識とノウハウを活用することで、円滑な事業承継をサポートし、企業の存続と成長を支える役割を担っています。
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事業承継アドバイザリーの役割
事業承継アドバイザリーの役割は、企業の経営者にとって心強いパートナーとなることです。アドバイザーは、企業が培ってきた経営方針や文化、そして顧客との大切な関係性を次の世代に承継するための戦略を立案し、その実行をサポートします。
企業の持続可能な発展を促進
この支援を通じて、経営者の負担を軽減し、企業の持続可能な発展を促進することが目的です。また、法律や税務に関する専門知識も駆使し、個々の企業特性に合わせた最適な助言を提供することで、企業のビジョン実現をサポートします。特に事業承継に関する経験が少ない中小企業にとって、事業承継アドバイザーは欠かせないパートナー的な存在です。
アドバイザリーとコンサルティングの違い
企業の経営課題を解決するために活用される外部専門家として、アドバイザリーとコンサルティングがありますが、両者には支援の「深さ」と「広さ」に違いがあるといえます。アドバイザリーは、企業全体を広い視点から俯瞰し、中長期の経営方針やリスクマネジメントなど、幅広いテーマについて助言を行います。中立の立場を重視し、継続的に企業に寄り添う伴走型の支援となるケースが一般的です。
一方、コンサルティングは、企業が抱える特定の課題(例えば、業務改善やIT導入、新規事業立案など)に焦点を当てます。深い専門性を基に分析・提案を行い、具体的なアクションプランを提示することで、成果の創出を支援する短期集中のプロジェクト型が多いのが特徴です。事業承継アドバイザリーは、企業全体を俯瞰し、経営の方向性について助言を行うアドバイザリーの側面に重点を置いた支援スタイルです。
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事業承継アドバイザリーの必要性
事業承継アドバイザリーは、企業の成長段階や経営課題に応じて、さまざまな場面で専門的な助言を行います。特に、将来を見越した重要な意思決定や、複雑な利害調整が求められる分野では、企業の大きな助けとなります。
ビジョンや戦略の策定・改善
企業が中長期的に成長を遂げるためには、ビジョンの策定が不可欠であり、事業承継アドバイザーは経営陣と連携しながら長期的なビジョンを描くことを支援します。また、市場の動向や競合の状況を的確に分析し、既存の戦略を見直して柔軟に対応する姿勢が求められる中で、現実的かつ実行可能な戦略の再構築を支援します。
組織力の強化と事業承継・売却
企業の競争力を高めるためには、戦略だけでなく、それを実行する組織の力が重要です。事業承継アドバイザーは、組織体制や企業文化に関する課題を抽出し、組織力強化の方向性を提示します。また、後継者問題や経営資源の再配分といった課題がある中で、事業承継や売却の複雑なプロセスにおいて、企業価値の評価や交渉支援を含め、包括的なアドバイスを提供し、円滑な承継や売却の実現を支援します。
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事業承継アドバイザリーの具体的な業務
事業承継アドバイザーの業務は、企業の現状分析から承継計画の立案、実行支援、M&Aのサポートまで、多岐にわたります。

事業承継計画の立案と策定支援
事業承継アドバイザーの主要な業務の一つが、事業承継計画の立案です。この計画は、経営者が退任した後も事業を円滑に後継者へ引き継ぐための具体的な道筋を示すものです。アドバイザーは、事業の価値評価や財産の分配、税務対策などを加味した承継を検討し、経営者の意向を反映させながら、現実的で持続可能な計画を策定します。この計画は、経営者や後継者の意思決定をサポートするための重要なツールとなります。
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後継者探しと教育のサポート
後継者不足が深刻な企業に対し、事業承継アドバイザーは適切な後継者候補探しを支援します。親族内や社内に適切な人材が見当たらない場合は、外部人材の活用も視野に入れてサポートします。
育成計画の立案と能力開発
事業承継を成功させるには、後継者の育成が不可欠です。事業承継アドバイザーは、後継者候補の育成計画の立案と実行をサポートします。たとえば、現経営者が直接指導を行ったり、経営会議への参加や意思決定の経験を積ませたりすることで、経営者としての能力開発を促進します。アドバイザーは、個々の後継者の強みや弱みを分析し、カスタマイズされた教育プランを提供します。
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M&A手続のサポート
後継者が見つからない場合、M&A(第三者への事業承継)が選択肢の一つとして検討されます。M&Aは複雑な手続を伴うため、事業承継アドバイザーのサポートが不可欠です。
譲渡価格の算出と交渉支援
事業承継アドバイザーは、企業の適切な譲渡価格を算出し、独自のネットワークを活かして、条件に合致する譲受企業候補を探し出します。譲受企業が見つかれば、アドバイザーは譲渡オーナーと譲受企業の間に入り、交渉を支援します。企業価値の評価、デューデリジェンスの実施支援、契約交渉のサポートなど、各ステップで専門的なアドバイスを提供します。M&A成立後も、企業間の統合プロセスや従業員のマネジメントなど、長期的な成長をサポートします。
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税務や法律に関するアドバイス
事業承継アドバイザーは、企業の後継者問題を解決するために、税務や法律に関する専門的なアドバイスも提供します。企業の株式や資産の移転に伴う相続税や贈与税の最適化を図ることは、後継者の経済的負担を軽減するために非常に重要です。
法的リスクの把握と契約書作成の支援
事業承継に関わる法律面では、承継プロセスにおける法的リスクを把握し、必要な契約書や合意書の作成を通じて、円滑な承継をサポートします。事業承継アドバイザーは、税制改正や法改正に迅速に対応し、企業が不利益を被ることを防ぎ、後継者が安心して事業を引き継げる環境を整えます。
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事業承継アドバイザリーに依頼するメリット
事業承継アドバイザーにサポートを依頼するメリットは、多岐にわたります。特に複雑な問題が絡み合う事業承継において、専門家の力は絶大です。
専門知識と経験の活用による信頼性向上
事業承継は、経営、法律、税務など多岐にわたる専門的な知識が必要となります。事業承継アドバイザーに依頼することで、専門的な知識や経験に基づいた支援を受けられ、予期せぬトラブルやリスクを回避し、安心して承継を進められます。また、事業承継に関する国家資格は存在しないため、民間資格ではあるものの、事業承継アドバイザー資格は専門家としての信頼性向上につながり、需要に対しアドバンテージとなります。
プロセス全体の効率化と客観的な判断
事業承継アドバイザーは、複雑な承継プロセス全体を効率化することが可能です。法的手続や財務的な評価など、多岐にわたるステップをスムーズに進めるための戦略を立案し、無駄な時間を削減します。
感情に左右されない戦略的決定
事業承継は、経営者やその家族にとって感情的な側面が強くなりがちですが、事業承継アドバイザーは外部からの客観的な視点で状況を分析します。これにより、主観に左右されずに事業の現状を評価し、最適な戦略を策定することが可能になります。多くの事例をサポートしてきた経験に基づき、経営者が見落としがちなリスクや機会を明らかにし、より堅実な戦略を立てることができます。
承継をスムーズに進める交渉とネットワーク
事業承継プロセスでは、後継者候補との話し合いやM&Aにおける相手方との折衝など、さまざまな交渉が発生します。
円滑な交渉の実現
事業承継アドバイザーは、豊富な経験とコミュニケーションスキルを駆使し、有利になるよう円滑な交渉をサポートします。第三者として客観的な立場から介入することで、感情に左右されない冷静な交渉を進めることが可能となり、関係者全員が納得できる形での承継を実現しやすくなります。
広範なネットワークの活用
事業承継アドバイザーの持つ広範なネットワークを活用できることも大きなメリットです。承継先や譲受企業を探す際、アドバイザーのネットワークを通じて適切な候補者を紹介してもらえる可能性があり、時間と労力を大幅に削減できます。また、法務、税務、財務といった各専門分野で信頼性の高い専門家を紹介してもらうことも可能です。
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事業承継アドバイザリーの資格の種類
事業承継アドバイザーに関連する資格には、主に3種類があります。それぞれ認定団体、難易度、合格率が異なるため、目的に応じて選ぶことが大切です。
事業承継アドバイザー認定試験(BSA)
事業承継アドバイザー(BSA=Business Succession Advisor)は、一般社団法人金融検定協会が認定団体となって運営している資格です。事業承継分野で最も知名度と権威があり、一般的に事業承継アドバイザーとだけいえば、BSAをさしているケースがほとんどです。
BSAの目的と試験概要
BSAは、銀行の支店長や役職のある行員をはじめ、金融機関の職員が中小企業経営者に事業承継のアドバイスができるようになることを目的として開始されました。試験は5択問題が50問(各2点)で、合格基準は基本的に60点以上ですが、試験結果を踏まえて試験委員会で最終決定される規定です。受験料は7,400円(税込)または8,400円(税込)です。
BSAの難易度と合格率
難易度は、BSA認定試験専用の講座を受けてきちんと理解すれば、それほど高くありません。試験内容は暗記系ではなく、理解を求める内容が大半です。合格率は、受験者数が少ないためバラつきがありますが、平均合格率は50%前後で推移しています。
事業承継アドバイザー3級
事業承継アドバイザー3級は、株式会社経済法令研究会が認定団体として運営しています。銀行員が受験する各種銀行業務検定試験のうちの1つで、金融機関における渉外業務や窓口業務で増えている事業承継の相談に対応できる資格です。
3級の概要と難易度
この資格は2016年に始まったため、歴史が浅く難易度がまだ安定していません。出題形式は4択マークシート式(一部事例付)50問で、試験時間は120分です。合格基準は満点の60%以上ですが、こちらも試験委員会にて最終決定されます。難易度は年度によって変動し、過去には記述式問題が加わり難易度が上がったこともあります。
3級の合格率と対策
直近の合格率は公開されていませんが、過去のデータから50%前後で推移していると推測されます。難易度の変動に備えて、推奨されている通信講座や模擬問題集などをこなして、試験対策を取ることが有効です。受験料は5,500円(税込)です。
事業承継・M&Aエキスパート(金融業務2級 事業承継・M&Aコース)
「事業承継・M&Aエキスパート」は、一般社団法人金融財政事情研究会(きんざい)と日本M&Aセンターが共同で認定する資格です。この資格は、きんざいが実施する試験「金融業務2級(事業承継・M&Aコース)」に合格することで取得できます。
2級の概要と合格基準
2017年までは「金融業務能力検定 事業承継・M&Aエキスパート」という試験名称でしたが、2018年度から現在の名称に変わりました。試験はCBT-Solutionsというシステムを用い、総合問題10問と4択30問で構成されます。試験時間は120分で、合格基準は100点中70点以上と明確です。BSAや3級と異なり、試験委員会が最終決定するという規定はありません。
2級の難易度と合格率
難易度はそれほど高くなく、専用の試験対策問題集を繰り返し練習すれば合格可能です。対策問題集と似たような問題が多く出題される傾向があります。合格率は5割から7割で推移しており、合格者のほとんどが金融機関の職員です。受験料は7,700円(税込)です。
他の専門資格との違い:事業承継アドバイザリーの立ち位置
事業承継に関する専門資格が複数ある中で、事業承継アドバイザーがどのような位置づけにあるのかを理解しましょう。
事業承継士との違い
事業承継士と事業承継アドバイザーは、どちらも事業承継を支援する専門家ですが、資格取得の難易度に大きな違いがあります。事業承継アドバイザーは基礎知識を問う試験に合格すれば取得できます。
事業承継士の高度な専門性
一方、事業承継士は一般社団法人事業承継協会が認定する資格で、講座を受講し修了試験に合格が必要です。この講座を受講するためには、税理士、公認会計士、弁護士といった事業承継に関連する国家資格を有していることが条件となります。したがって、事業承継士は、より高度な専門性が求められる資格といえます。
事業承継プランナーとの違い
事業承継アドバイザーが中小企業の経営者に対して総合的に幅広い分野に対応できる知識を持つことを目指すのに対し、事業承継プランナーは、事業承継支援の入り口で初期対応ができる人材の育成を目指しています。事業承継プランナーは、詳細な計画書を作成し、具体的なステップを提案する能力に長けているでしょう。事業承継プランナーも一般社団法人事業承継協会が認定する民間資格です。
事業承継・M&Aエキスパートとの違い
事業承継アドバイザーが事業承継全般に関する相談に対応できるのに対し、M&Aに関する専門知識は限定的です。これに対し、事業承継・M&Aエキスパートは、M&Aに関する基礎知識を習得するための資格です。資格取得者はM&Aの基礎知識や進め方、関連法規などM&Aに関する幅広い知識を習得しているでしょう。
事業承継アドバイザリー関連試験の勉強法
事業承継アドバイザーの認定試験は、主催する団体によって内容が異なり、独自の問題も多いです。効率よく合格を目指すためには、試験の特性を理解した勉強法が重要です。
推奨テキストと通信講座の活用
最も効率的な勉強法は、資格認定団体が推奨しているテキストや問題集を使用することです。分野によっては専門用語が多く、文章が難解で理解が難しい場合もあるため、理解を深めるために通信講座を活用すると、勉強がスムーズに進めやすくなります。BSA認定試験では、専用講座の受講で短期間での合格も可能とされています。例えば、TAC事業承継アドバイザー講座や大原事業承継アドバイザー講座といった通信講座が存在します。
過去問題の反復演習と理解の徹底
どの団体の試験においても、過去問題の演習は非常に重要であり、繰り返し解くことが必須となります。本試験では暗記よりも理解の深さが問われる内容が多いので、問題集や過去問題を丸暗記するのではなく、解説をしっかりと読みながら、内容の本質的な理解に努めることが合格の鍵です。これは、取得した知識を実務で応用するためにも不可欠な訓練といえます。
事業承継アドバイザリー資格を活かすキャリアパス
事業承継アドバイザリーの資格を取得することで、事業承継に関する知識と実務能力が磨かれ、さまざまな職場でのキャリアアップにつながる可能性が高いです。
金融機関・保険会社での活用
金融機関(銀行・証券会社)や保険会社では、顧客の事業承継を支援する業務に関われます。関連資格を持つことで、顧客の相談に的確に応じ、適切な金融商品やサービスを提案できます。
M&A知識を深める機会
金融機関では、事業承継コンサルティングに力を入れているところが多く、資格を持つ人材は高く評価されるでしょう。企業価値評価やM&Aに関する知識を深め、クライアントに対するより深い洞察と信頼を築く助けとなります。
コンサルティング会社での専門支援
コンサルティング会社では、クライアント企業のニーズに応じたカスタマイズされたソリューションの提供が求められます。企業の組織再編や後継者育成の計画立案、実行支援など、幅広い業務に関われます。
多様なビジネスモデルへの理解
コンサルティング会社では、異なる業種や規模の企業の事業承継を支援しており、多様なビジネスモデルに対する理解を深める機会があります。効率的なプロジェクト管理能力やコミュニケーションスキルも向上し、ビジネス全般にわたる広範な知識を得る基盤となります。
監査法人・会計事務所での財務・税務支援
監査法人や会計事務所も、事業承継アドバイザーの知識が活かせる重要なフィールドです。これらの機関は、事業承継時に不可欠な財務分析や税務戦略の策定を行います。
リスク管理と付加価値の提供
資格を持つことで、クライアント企業の財務状況を精査し、最適な承継方法を提案する力を発揮できます。税務面での効率化を図ることは、クライアントに対する付加価値を提供できます。税法や会計基準に関する深い知識と、企業の内部統制やリスク管理に関する理解を深めることができます。
独立系アドバイザリー企業や公的機関での貢献
資格は、中小企業診断士事務所や独立系アドバイザリー企業、さらには公的機関・地方自治体でも活かせます。中小企業診断士事務所や独立系アドバイザリー企業では、主に中小企業を対象に、事業承継計画の策定、後継者の育成、資金計画の構築など幅広いサポートを提供します。また、公的機関では、地域の中小企業支援を目的とした施策に携わり、地域経済の発展に直接貢献できるやりがいを感じることができます。
企業内アドバイザーや研修講師
企業内で資格を活かす場合は、主に経営企画部門や人事部門などで活躍が期待できます。事業承継アドバイザーの資格を取得することで、企業の持続的な成長に貢献できるだけでなく、自身のキャリアアップにもつながる可能性があります。また、事業承継に関する研修やセミナーの講師として活躍し、知識を広く伝える役割を担うことも可能です。
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事業承継アドバイザリーを依頼する際の留意点
事業承継アドバイザーに依頼することは非常に有効ですが、期待通りの成果を得るためにはいくつかの注意点を理解しておく必要があります。
事業承継アドバイザリーの契約形態
アドバイザーとの契約形態は、依頼する業務の性質や求める成果によって選ぶことができ、主に5つの代表的な形態があります。以下の表は、それぞれの契約形態の特徴とメリットをまとめたものです。
| 契約形態 | 内容・詳細 | 適しているケース |
|---|---|---|
| 時間契約 | – 必要な時に必要な分だけ:アドバイザーが活動した時間に応じて料金を支払う仕組みです。 – 単発的な相談に最適:1時間単位あるいは半日や1日単位で費用が定められることが一般的で、必要な時に、必要な分だけサービスを受けられます。 – 専門性が高いと高額に:専門性が高いテーマほど、1時間あたりの単価も高くなる傾向があります。 | 単発的な相談や短期間の課題解決 |
| プロジェクト制契約 | – 目標達成に向けた一括報酬:特定の業務や目的を達成するために、期間や成果物を明確に設定し、それに応じて一括で報酬を支払う形式です。 – ゴールを定めてから契約:開始時にプロジェクトの全体像が把握できている場合に向いており、あらかじめ取り組みのゴールやスケジュールを定めてから契約が結ばれます。 – 規模や期間で料金決定:料金はプロジェクトの規模や契約期間の長さによって決まります。 | プロジェクトの全体像が把握できている場合 |
| 顧問契約 | – 中長期的な関係性に基づく継続支援:長期的に継続的な支援を受けたい企業に適しています。 – 随時アドバイスが可能:月額で一定の報酬を支払うことで、随時アドバイスを求められる関係が構築されます。 – 信頼できるパートナー:経営に関する戦略的な助言や定期的なミーティングが行われるなど、信頼できるパートナーとしての関係を築きたい場合に有効です。 | 長期的に継続的な支援を受けたい場合 |
| 成功報酬型契約 | – 成果に基づく支払い:成果の達成度合いに応じて報酬を支払う方式です。 – 具体的な指標で料金決定:売上の増加額やコストの削減額、M&Aの成立など、具体的な指標に基づいて料金が決まります。 – 費用対効果が明確:企業側は成果が出た分だけ報酬を支払えばよいため、費用対効果が明確になりやすいです。 | 成果を明確に測定できる場合 |
| 固定報酬型契約 | – 予算見通しの立てやすさ:一定の業務内容や期間を定めて、あらかじめ決められた金額を支払う体系です。 – 活動時間に関係なくサービス提供:実際の活動時間に関係なく、契約内容に基づくサービスが提供されます。 – 予算管理が容易:予算の見通しが立てやすい点がメリットです。 | 予算管理を重視する場合 |
サポート内容のばらつきと専門性の確認
事業承継アドバイザーは、それぞれ得意分野や専門性が異なります。会計や税務に強いアドバイザー、M&Aに強いアドバイザーなど、専門分野は様々です。
自社の課題に合ったアドバイザーの選定
自社のニーズや課題に合わせて、適切な事業承継アドバイザーを選ぶことが非常に重要です。依頼前には、アドバイザーの経歴や実績を調査し、特定の業界に精通しているか、またコミュニケーション能力も選定の鍵となります。
事業承継アドバイザリーの報酬費用
事業承継アドバイザーに依頼する際には、当然ながら費用が発生します。料金体系はアドバイザーによって異なり、相談料、着手金、月額報酬、成功報酬など、さまざまな形態があります。
費用対効果の事前確認
費用は、アドバイザーの経験や実績、依頼する業務内容、サポート期間などによって異なります。依頼前に費用の見積もりをよく確認し、自社の予算に合ったサービスを選ぶことが重要です。
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事業承継とM&Aの最新動向
近年、後継者不在問題の解決策として、M&Aによる会社売却が注目されています。M&Aは、事業の存続、雇用の維持、地域経済の活性化に貢献できる有効な手段です。
M&A仲介会社の役割の増加
中小企業のM&A増加に伴い、M&A仲介会社の需要は2025年以降も高まると予想されています。M&A仲介会社は、譲渡オーナーと譲受企業のマッチング、条件交渉、デューデリジェンス、クロージングまで、M&Aプロセス全体をサポートします。事業承継アドバイザーはM&Aの知識も身につくため、この分野での活躍が期待されます。
M&A後のPMI(経営統合)の重要性
M&Aの成否を左右する重要な要素として、M&A後のPMI(経営統合)があります。文化やシステムの統合、従業員のモチベーション維持など、綿密な計画と実行が必要です。2025年以降、PMI支援サービスの需要も高まると予想されており、M&Aを活用した事業承継の増加とともに、事業承継アドバイザーの専門性がより一層重要視されるでしょう。
事業承継アドバイザリーのまとめ
事業承継アドバイザリーは、企業の事業承継プロセスを円滑に進めるための業務であり、後継者不足などの課題を抱える中小企業の持続的な成長をサポートする重要な役割を担っています。資格取得によって、専門知識、経験、豊富なネットワークを活用できるようになり、客観的な判断やスムーズな交渉を実現することで、事業承継の成功に大きく寄与します。
当社は、みつき税理士法人グループのM&A仲介会社として15年以上の業歴があり、中小企業M&Aに特化した実績経験が豊富なM&Aアドバイザー・公認会計士・税理士が多く在籍しております。M&Aをご検討の際は、みつきコンサルティングにご相談ください。
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著者

- 名古屋法人部長/M&A担当ディレクター
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人材支援会社にて、海外人材の採用・紹介事業のチームを率いて新規開拓・人材開発に従事。みつきコンサルティングでは、強みを生かし人材会社・日本語学校等の案件を中心に工事業・広告・IT業など多種に渡る案件支援を行う。M&Aの成約実績多数、M&A仲介・助言の経験年数は10年以上
監修:みつき税理士法人
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