事業承継アドバイザリーとは|税務対策からM&A・選び方・費用相場

事業承継アドバイザリーとは、円滑な経営権の移行や財産の適切な分配を支援するサービスです。法人・個人の税務対策から相続対策、M&Aを活用した後継者問題の解決など、幅広いサービスで事業の継続を支援します。

事業承継アドバイザリーとは

事業承継アドバイザリーは、企業が次世代に円滑に事業を引き継ぐために必要な支援を提供するサービスです。特に中小企業においては、事業承継はオーナー経営者が直面する最大の課題といっても良いでしょう。

事業承継には、後継者の選定、自社株や財産の分配、税務面や法務面の対策検討、M&Aを活用した第三者への承継の模索など、非常に多岐にわたる要素が含まれています。こうした複雑なプロセスを円滑に進めるためには、専門的な知識と経験を持った専門家から事業承継アドバイザリーの提供を受けることが不可欠です。

事業承継アドバイザリーの主な役割

事業承継アドバイザリーは、経営者が持つ悩みや課題を理解し、それに基づいて個別の状況に応じた解決策を提案します。特に、後継者が親族内に存在しない場合、あるいは承継に伴う税務対策を含む場合などは、慎重なプランニングが必要になります。

M&Aを活用した事業承継の可能性

M&A(企業譲渡)を活用した事業承継は、後継者が見つからない場合や、事業のスケールアップを目指す場合に有効な手段として、近年は認識されるようになりました。特に家族や従業員に後継者がいない企業にとって、事業を引き継ぐための最適な選択肢となり得ます。

サービス内容

事業承継アドバイザリーの提供するサービスは、単なる後継者の選定の支援に留まらず、企業の将来を見据えた包括的な支援が含まれます。承継計画の策定や、税務・法務の対策、場合によりM&Aの実施など、事業承継に関連するあらゆる側面をサポートします。特に、中小企業では、後継者問題や財産分配におけるトラブルが発生しやすいため、アドバイザリーが果たす役割は非常に大きいです。

現状の把握

事業承継アドバイザリーは、最初に企業の現状を正確に分析し、その情報を基に承継の課題を特定します。企業の資産や負債、経営状態を把握した上で、最適な承継プランの方向性を提案するのが第一歩です。後継者が身近にいない場合、外部の適切な後継者や第三者への承継を検討することもあります。

事業承継計画の策定支援

承継計画の策定は、事業承継を成功させるために不可欠なステップです。事業承継アドバイザリーは、企業の現状を詳細に分析し、後継者選定、株式や財産の分配、税務対策などを含む包括的な計画を立てます。この計画は、企業の状況やオーナーの意向を反映したものであり、事業の将来に対して現実的かつ持続可能な方向性を示します。

事業承継計画の実行支援

計画が立てられた後は、その実行に向けた支援が行われます。事業承継アドバイザリーは、自社株の移動や財産の分配、法的手続などをサポートし、計画通りに承継が進むようフォローアップします。

また、企業内部でのコミュニケーションや従業員への説明も重要な要素です。事業承継アドバイザリーでは、必要に応じて、こらについてもサポートします。

財産分けと税金対策

事業承継における適切な財産の分配は、親族内での紛争を防ぎ、企業の財務的安定を確保するために重要です。事業承継アドバイザリーは、自社株の評価は当然のこと、状況によっては個人財産の評価も行い、後継者と親族の理解を得るための調整をサポートします。特に、複数の後継者候補や相続人がいる場合や、オーナー経営者の保有財産が株式、不動産、現金など多岐にわたる場合には、綿密なプランニングが必要になります。

これと連動して、税務対策も非常に重要です。相続税や贈与税が多額になると、結局は企業の財務にも悪影響を及ぼしかねず、事業承継を考える上で無視できません。事業承継アドバイザリーは、トータルの税負担を最小限に抑えるために、適切なタックスプランニングを提案します。これには、事業承継税制の活用や様々な相続税対策の手法が含まれます。

第三者承継(M&A)の支援

M&A(企業譲渡)は、後継者が見つからない場合や、企業のさらなる成長を目指す際に有効な選択肢です。事業承継アドバイザリーは、M&Aのプロセス全体をサポートします。特に重要なプロセスは以下になります。

企業価値評価

企業価値の評価は、M&Aの成功にとって非常に重要です。事業承継アドバイザリーは、企業の業績や資産状況、将来の成長見込などを基に、適切な譲渡価格を算出します。

お相手候補の選定

買い手候補のリサーチと選定を行い、譲渡の目的に合ったパートナーを見つけるために、独自のネットワークや専門知識を活用します。交渉段階では、双方の希望条件が合致するように調整し、スムーズな成約を目指します。

M&A後のフォロー

M&Aが成立した後も、事業承継アドバイザリーは、企業間の統合プロセスや従業員のマネジメントなど、承継後のサポートを行います。これにより、中小企業は、新しい体制の下でスムーズに運営を開始し、事業が成長し続けることが可能となります。

事業承継アドバイザーの選び方

事業承継は企業の将来に関わる重要なプロジェクトであり、その成功には適切なアドバイザーを選ぶことが重要です。事業承継アドバイザーは、経営者の引退から次世代へのスムーズな移行を支援し、後継者の選定、財産分け、税務対策、さらにはM&Aを活用した事業承継に至るまで、さまざまな領域で専門的なサポートを提供します。

しかし、すべてのアドバイザーが同じサービスを提供しているわけではありません。適切なアドバイザーを選ぶためには、以下のポイントに注意する必要があります。

専門性の高さ

事業承継は、自社株の移転や財産分け、税務対策など、多くの要素が絡む複雑なプロセスです。そのため、事業承継アドバイザーには幅広い専門知識が求められます。特に、税務や法務の知識が欠かせません。相続税や贈与税をはじとする税金の負担を最小限に抑えるためには、深い専門性が必要になります。

そのため、承継先が決まっていない場合には、税務・法律に強い会計系コンルティング会社か、第三者承継に強い会計事務所、が最適な相談先になります。なお、いわゆるM&A仲介会社等のM&Aの専門機関は、M&Aの相談には向いていますが、親族内承継や社内承継を含めた総合的な事業承継対策は不得手です。

支援実績

これまでの実績もアドバイザーを選ぶ上での重要な要素です。事業承継に成功した事例が多いアドバイザーほど、信頼性が高く、企業に適切なアドバイスを提供できる可能性が高いです。特に、同じ業界や同じ規模の企業での実績があるアドバイザーは、企業の具体的なニーズに合った提案を行えるため、事業承継の成功率が高くなります。

M&Aの経験とサポート体制

後継者がいない場合や、十分な創業利潤を得ようとする場合には、M&Aが効果的な手段となります。しかしながらM&Aは、企業の価値評価や買い手の選定、交渉など、複雑なプロセスを経て行われます。これらのプロセスをスムーズに進めるためには、豊富な経験のあるアドバイザーに依頼することが重要です。

事業承継アドバイザリーの費用相場

事業承継アドバイザリーの費用は、提供されるサービスの内容や企業の規模によって大きく異なります。通常、事業承継アドバイザリーは初期相談や計画策定、M&Aの実施支援、さらには承継後のフォローアップなど、包括的なサポートを提供するため、その費用は長期的に発生します。

事業承継アドバイザーを選ぶ際には、費用だけでなく、提供されるサービスの質やサポート内容も考慮することが重要です。安価なサービスでも、事業承継が円滑に進まなければ、結果的に大きな損失を被る可能性があります。

各フェーズ毎にかかる費用

事業承継アドバイザリーの費用は、その提供するサービスの種類や範囲に応じて変動します。例えば、初期段階のコンサルティング事業承継計画の策定のみを行う場合は比較的費用が低く抑えられますが、M&Aの支援や承継後のフォローアップまで行う場合は、費用が高額になる傾向があります。

具体的には、以下のような費用が発生することが一般的です。レンジで金額感をお示していますが、何を、どこまでサポートすべきか、は極めて個別性が強いため、あくまでも参考程度とお考え下さい。

初期相談料

事業承継に関する初期の相談や、企業の現状分析にかかる費用です。この段階では、事業承継の課題を特定し、どのようなサポートが必要かを明確にします。金額感としては、無料~100万円程度が多いです。

計画策定費用

事業承継計画を立案する際に発生する費用です。後継者選定や財産分け、税務対策など、具体的な承継計画を作成します。金額感としては、50万円~500万円程度が多いです。

実行支援費用

自社株の移動、財産分配、法務手続など、事業承継を実行する際に必要な実務的なサポートにかかる費用です。金額感としては、イベント毎に、数十万円~数百万円度とお考え下さい。

M&A関連費用

M&Aを活用した事業承継を行う場合、企業価値の評価や買い手との交渉、契約締結にかかる費用が発生します。事業承継の方向として、最初から第三承継を選択する場合には、上記一連のアドバイザリー費用は発生せず、後述するM&A費用のみがかかります。

M&Aを活用する場合の費用

M&Aを活用した事業承継の場合、一般的に追加の費用が発生します。これは、M&Aのプロセスが複雑であり、企業価値の評価、買い手候補の選定、交渉、契約締結、さらには統合プロセスまで、多くのステップを踏む必要があるためです。これらのステップをサポートするための専門的な知識と経験が求められるため、費用も高額になる傾向があります。ただし、事業承継の選択として最初からM&A1本で検討をすすめる場合は、以下で説明するM&A費用だけが生じます。

企業譲渡を進めるためには、一般に以下のような費用が発生します。

月額顧問料

一般的に月額報酬は数万円から数十万円の範囲です。ただし、M&A仲介会社の場合は、多くは月額報酬を無料としています。

中間金

お相手候補との縁談が進行し、基本合意の締結時(または意向表明のジ受理時)に発生する必要です。100万円程度の固定報酬か、成功報酬の10%~50%程度です。成約時には成約報酬に充当できますが、M&Aの成否にかかわらず返金されません。もっともM&A仲介会社の場合は、、中間金が生じない完全成功報酬制の会社が多いです。

成功報酬

最終契約締結後に生じる費用で、譲渡代金等を基準に算出されます。多くの会社が「レーマン方式」を採用していますが、具体的な計算方法は各社で異なります。一般に最低報酬額が設定され、500万円~2,500万円程度が多いです。

事業承継アドバイザリーのまとめ

事業承継アドバイザリーは、後継者問題や資産分配、税務対策など、事業承継に伴う複雑な課題に対して包括的なサポートを提供します。適切なアドバイザリーを選ぶことで、M&Aを含めた最適な承継プランを策定し、企業の未来を確実に引き継ぐことができます。

みつきコンサルティングは、税理士法人グループのM&A仲介会社として15年以上の業歴があり、中小企業M&Aに特化した実績経験が豊富なM&Aアドバイザーが多数在籍しております。手数料も単純明快な完全成功報酬制としています。貴社の事業承継の成功にお役に立てると思います。

著者

潟野和徳
潟野和徳名古屋法人部長
人材支援会社にて、海外人材の採用・紹介事業のチームを率いて新規開拓・人材開発に従事。みつきコンサルティングでは、強みを生かし人材会社・日本語学校等の案件を中心に工事業・広告・IT業など多種に渡る案件支援を行う。
監修:みつき税理士法人

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