事業承継アドバイザリーとは、企業の次世代への円滑な移行を支援する専門サービスです。後継者問題、複雑な税務・法務、そしてM&A活用による第三者承継まで、多岐にわたる課題を解決に導きます。本記事では、事業承継アドバイザリーの具体的なサービス内容から選び方、費用相場までを分かりやすく解説します。
「うちの会社でも売却できるだろうか…」、「何から始めればいいんだろう…」
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事業承継アドバイザリーとは
オーナー経営者の皆様、会社の未来を考えたとき、事業承継という大きな課題が頭をよぎるのではないでしょうか。
- 誰に会社の舵取りを託すのか?
- 従業員の生活はどうなるのか?
- 長年築き上げてきた取引先との関係はどう守るのか?
これらの問いは、経営者の皆様にとって、まさに「静かなる経営課題」と言えるでしょう。特に中小企業では、経営そのものに直結する一大事です。しかし、日々の業務に追われ、ついつい後回しにしてしまいがちで、この問題に一人で向き合うのは本当に大変なことだと思います。事業承継アドバイザリーは、そんな皆様の悩みに寄り添い、円滑な事業承継を実現するための専門的なサポートを提供するサービスです。会社の存続と発展を確実にするため、信頼できる事業承継アドバイザリーの存在は大事です。
事業承継アドバイザリーの役割
事業承継アドバイザリーは、会社の未来に向けた航海における「航海士」のような存在です。オーナー経営者が船長だとしたら、アドバイザリーは専門的な知識と経験を駆使して、目的地までの最も安全で確実な航路を示します。事業承継という航海は、時に後継者問題、従業員の不安、金融機関との交渉、そして複雑な税務や法務の暗礁といった荒波に揉まれることがあります。これらを乗り越え、会社という船を次の時代へと無事に送り届けるために、経営方針や企業文化、お客様との関係といった目には見えない大切な財産まで含めて、次世代に承継するための戦略を共に考え、実行をサポートします。
なぜ事業承継アドバイザリーが必要なのか
特に中小会社において、事業承継はオーナー経営者が直面する最大の課題の一つです。後継者の選定、自社株や財産の分配、税務面や法務面の対策検討、そしてM&Aを活用した第三者への承継の模索など、非常に多岐にわたる要素が含まれています。これらの複雑なプロセスを円滑に進めるためには、専門的な知識と経験を持った専門家からの支援が不可欠です。経営者が抱える悩みや課題を理解し、個別の状況に応じた解決策を提案する事業承継アドバイザリーは、親族内に後継者がいない場合や、承継に伴う税務対策を含む場合など、慎重なプランニングが必要な場面で特にその真価を発揮します。
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事業承継アドバイザリーの具体的なサービス内容
事業承継アドバイザリーが提供するサービスは、単なる後継者の選定支援に留まらず、自社の将来を見据えた包括的な支援が含まれます。承継計画の策定や税務・法務の対策、場合によってはM&Aの実施など、事業承継に関連するあらゆる側面をサポートします。中小会社では、後継者問題や財産分配におけるトラブルが発生しやすいため、事業承継アドバイザリーが果たす役割は非常に大きいと感じます。ここからは、具体的なサービス内容を一つずつ見ていきましょう。
企業の現状を正確に把握し最適な方向性を探る
事業承継アドバイザリーは、まず自社の現状を正確に分析し、その情報を基に承継の課題を特定します。自社の資産や負債、経営状態を詳細に把握した上で、最適な承継プランの方向性を提案するのが第一歩です。この段階で、例えば後継者が身近にいない場合には、外部の適切な後継者や第三者への承継、つまりM&Aの可能性も検討することになります。
事業承継計画の策定支援
承継計画の策定は、事業承継を成功させるために不可欠なステップです。事業承継アドバイザリーは、自社の現状を詳細に分析し、後継者選定、株式や財産の分配、税務対策などを含む包括的な計画を立てます。この計画は、自社の状況や経営者の意向を反映したものであり、事業の将来に対して現実的かつ持続可能な方向性を示すものです。
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事業承継計画の実行支援
計画が立てられた後は、その実行に向けた支援が行われます。事業承継アドバイザリーは、自社株の移動や財産の分配、法的手続などをサポートし、計画通りに承継が進むようフォローアップします。また、自社内部でのコミュニケーションや従業員への説明も重要な要素です。新しい経営体制への移行は、従業員にとって大きな変化ですから、事業承継アドバイザリーでは、必要に応じて、これらについてもサポートします。
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財産の適切な分配と税金対策
事業承継における適切な財産の分配は、親族内での紛争を防ぎ、自社の財務的安定を確保するために非常に重要です。事業承継アドバイザリーは、自社株の評価はもちろんのこと、状況によっては個人財産の評価も行い、後継者と親族の理解を得るための調整をサポートします。複数の後継者候補や相続人がいる場合、または経営者の保有財産が株式、不動産、現金など多岐にわたる場合には、綿密なプランニングが必要になります。
この財産分けと連動して、税務対策が極めて重要です。相続税や贈与税が多額になると、結果的に自社の財務にも悪影響を及ぼしかねません。事業承継アドバイザリーは、トータルの税負担を最小限に抑えるために、適切なタックスプランニングを提案します。これには、事業承継税制の活用や様々な相続税対策の手法が含まれるのです。未来の税負担を予測し、適切な手を打つことは、自社の永続性にも関わる大切な視点と言えるでしょう。
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M&Aを活用した第三者への承継支援
M&A(企業譲渡)は、後継者が見つからない場合や、自社のさらなる成長を目指す際に有効な選択肢として、近年、注目度が高まっています。事業承継アドバイザリーは、このM&Aのプロセス全体を強力にサポートします。
第三者承継での主な支援内容
M&Aは専門的な知識が不可欠な複雑なプロセスですが、適切な事業承継アドバイザリーがいれば、経営者は安心して手続を進めることができます。
企業価値の正確な評価
M&Aの成功にとって、企業価値の評価は非常に重要です。事業承継アドバイザリーは、自社の業績や資産状況、将来の成長見込などを詳細に分析し、適切な譲渡価格を算出します。自社の真の価値を見極めることは、譲渡オーナーが納得のいく対価を得るため、そして譲受企業が適切な投資判断をするためにも欠かせないプロセスです。
最適な譲受企業候補の選定と交渉支援
事業承継アドバイザリーは、譲渡の目的に合った最適なパートナーを見つけるため、譲受企業候補のリサーチと選定を行います。独自のネットワークや専門知識を駆使し、譲渡オーナーの想いに合致する譲受企業を探し出すのです。交渉段階では、譲渡オーナーと譲受企業の双方の希望条件が合致するように調整し、スムーズな成約を目指します。M&Aは利害がぶつかり合う場面も少なくありませんが、事業承継アドバイザリーが「潤滑油」となり、円滑な合意形成を支援します。
M&A後のスムーズな統合と成長支援
M&Aが成立したら終わり、ではありません。むしろそこからが新たなスタートです。事業承継アドバイザリーは、M&Aが成立した後も、企業間の統合プロセスや従業員のマネジメントなど、承継後のサポートを行います。新しい体制の下で自社がスムーズに運営を開始し、事業が成長し続けることを可能にするための支援は、譲渡オーナーにとっても譲受企業にとっても非常に価値のあるサービスです。
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M&Aを活用した事業承継の可能性と利点
M&Aは、単に会社を売却するというイメージを持たれがちですが、実は自社の未来を大きく拓く可能性を秘めた、有効な事業承継の選択肢です。
後継者不在の課題解決と事業の継続
多くの中小会社で、後継者が見つからないという深刻な課題に直面しています。家族や従業員の中に適任者がいない場合、M&Aは事業の継続を諦めることなく、第三者に引き継ぐための最適な選択肢となります。長年築き上げてきた事業や、そこで働く従業員の雇用を守るためにも、M&Aは非常に有効な手段だと考えます。事業承継アドバイザリーは、こうした状況でM&Aという選択肢を具体的に提案し、その実現を支援します。
事業のスケールアップと新たな成長の機会
M&Aは後継者問題の解決だけでなく、事業のさらなるスケールアップや成長を目指す場合にも有効な手段です。譲受企業の持つ経営資源や販路、技術などを活用することで、単独では難しかった新たな市場開拓や事業展開が可能になるケースが少なくありません。M&Aを通じて、自社がより大きな舞台で活躍するチャンスを得られることは、譲渡オーナーにとっても、従業員にとっても喜ばしい未来だと言えるでしょう。事業承継アドバイザリーは、こうした成長戦略としてのM&Aもサポートします。
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事業承継アドバイザリーに依頼する5つのメリット
専門的な知識や経験を持つ事業承継アドバイザリーに依頼することは、時間や費用がかかるというイメージがあるかもしれません。しかし、その費用を上回る、計り知れないメリットがあることを、ご理解いただきたいと思います。
第三者視点による客観的な判断と円満な承継
事業承継、特に親族内での承継は、どうしても感情が絡んできます。例えば「長男に継がせたいが、本当に経営者としての器量があるだろうか」「娘婿は優秀だが、古参の役員たちがついてきてくれるだろうか」といった悩みは尽きないものです。家族だからこそ、言いにくいこと、冷静に判断しにくいことがあるのも事実です。このような時、事業承継アドバイザリーのような第三者が入ることで、客観的で冷静な視点から状況を分析し、最適な判断を下すお手伝いができます。感情的な対立を避け、それぞれの立場や想いを尊重しながら、自社にとって最善の道は何かを共に考える。この「冷静な目」こそが、家族間の無用な争いを防ぎ、円満な事業承継を実現するための鍵となります。
複雑な手続を効率化し本業に集中できる環境
事業承継のプロセスは、想像以上に煩雑で時間がかかります。資料の準備、関係者との面談、各種の法的手続。これら全てを経営者が一人で抱え込んでしまっては、本来最も注力すべき日々の経営がおろそかになりかねません。これでは本末転倒と思います。事業承継アドバイザリーに依頼することで、これらの複雑なプロセスを整理し、計画的に進めることができます。事業承継アドバイザリーは全体のスケジュールを管理し、各段階で何をすべきかを明確に示します。これにより、経営者の時間的、そして精神的な負担を大幅に軽減し、安心して本業に集中できる環境を整えることができるのです。
専門知識と経験に乗っかる
事業承継は、ほとんどの経営者様にとって一生に一度の経験です。しかし、事業承継アドバイザリーは数多くの事業承継に携わってきました。成功事例はもちろん、残念ながらうまくいかなかった事例も知っています。この膨大な知識と経験の蓄積こそが、事業承継アドバイザリーの最大の強みです。事業承継アドバイザリーの知識と経験を活用いただくことで、経営者は、自社だけでは見えなかったであろうリスクやチャンスに気づき、より良い意思決定を下すことができるようになります。複雑な税務や法務の最新情報に基づいた最適なプランニングは、まさに専門家ならではの価値と言えるでしょう。
豊富なネットワークがもたらす予想外の解決策
事業承継アドバイザリーは、弁護士、税理士、司法書士、金融機関など、様々な分野の専門家と広範なネットワークを築いています。このネットワークが、事業承継のプロセスで大きな力を発揮することは間違いありません。例えば、最適な譲受企業を探している際には、事業承継アドバイザリーのネットワークを通じて、通常では出会えないような優良な候補企業が見つかる可能性があります。また、法務や税務で特殊な問題が発生した場合でも、その分野で最も信頼できる専門家をすぐに紹介できます。
交渉を円滑に進める「潤滑油」としての役割
M&Aによる事業承継の場合、譲渡オーナーと譲受企業との間で、様々な条件交渉が行われます。価格はもちろん、従業員の処遇や今後の経営方針など、双方の利害がぶつかり合う場面も少なくありません。事業承継アドバイザリーは、両者の間に立ち、それぞれの言い分や希望を正確に伝え、妥協点を見出すための「潤滑油」のような役割を果たします。直接は言いにくいような条件も、事業承継アドバイザリーを介すことで、角を立てずに相手に伝えることができます。多くのM&A交渉を経験してきたからこそ分かる、落としどころの見極めや、双方にとって「Win-Win」となる解決策の提案も可能です。これにより、交渉がスムーズに進み、良好な関係を保ったまま、事業承継を成功に導くことができます。
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信頼できる事業承継アドバイザリーの選び方
事業承継の成否は、まさにパートナーとなる事業承継アドバイザリー選びにかかっていると言っても過言ではありません。では、どのようにして信頼できる事業承継アドバイザリーを見つければ良いのでしょうか。いくつかの重要なポイントをご紹介します。
自社の状況とニーズを明確にする
事業承継アドバイザリーを探し始める前に、まず自社の状況と、事業承継アドバイザリーに何を期待するのかを整理しておくことが重要です。例えば、「後継者候補はいるが、経営者としての教育を手伝ってほしい」「後継者がいないので、M&Aの可能性を探りたい」「まずは自社の価値がどれくらいあるのか知りたい」など、相談したい内容が明確であればあるほど、自社に合った専門性を持つ事業承継アドバイザリーを見つけやすくなります。
見極めるべきは専門性、実績、そして相性
事業承継アドバイザリーを選ぶ際には、いくつかの重要なポイントがあります。まず、その事業承継アドバイザリーが持つ専門性の高さ、これまでの支援実績、そして何よりも経営者との相性です。これらの要素を総合的に判断することが大事です。
事業承継アドバイザリーの専門性の高さ
事業承継は、自社株の移転や財産分け、税務対策など、多くの要素が絡む複雑なプロセスです。そのため、事業承継アドバイザリーには幅広い専門知識が求められます。特に、税務や法務の知識は欠かせません。相続税や贈与税をはじめとする税金の負担を最小限に抑えるためには、深い専門性が必要になります。承継先が決まっていない場合には、税務・法律に強い会計系のコンサルティング会社か、第三者承継に強い会計事務所が最適な相談先になることが多いです。
豊富な支援実績が信頼の証
これまでの支援実績も、事業承継アドバイザリーを選ぶ上での重要な要素です。事業承継に成功した事例が多い事業承継アドバイザリーほど、信頼性が高く、自社に適切なアドバイスを提供できる可能性が高いです。特に、自社と同じ業界や同じ規模の会社での実績がある事業承継アドバイザリーは、自社の具体的なニーズに合った提案を行えるため、事業承継の成功率が高まります。ウェブサイトで公開されている事例だけでなく、可能であれば直接、具体的な実績について質問してみることも大切です。
M&A経験とサポート体制の重要性
後継者がいない場合や、十分な創業利潤を得ようとする場合には、M&Aが効果的な手段となります。しかしM&Aは、自社の価値評価や譲受企業の選定、交渉など、複雑なプロセスを経て行われます。これらのプロセスをスムーズに進めるためには、豊富な経験のある事業承継アドバイザリーに依頼することが重要です。M&Aの経験が豊富な事業承継アドバイザリーは、予期せぬ問題にも適切に対応し、経営者を力強くサポートしてくれるでしょう。
信頼関係を築く相性の見極め
実績や専門性以上に大切なのが、経営者との「相性」です。事業承継は、自社の根幹に関わるデリケートな問題を共有する、非常にプライベートなプロセスです。心から信頼し、何でも話せる相手でなければ、うまくいくものもいかなくなってしまう可能性があります。最初の相談の際に、こちらの話を親身になって聞いてくれるか、分かりやすい言葉で説明してくれるか、そして何より「この人になら任せられる」と直感的に思えるかどうか。その感覚を大切にしてください。
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事業承継アドバイザリーの費用体系と注意点
事業承継アドバイザリーに依頼する上で、費用は避けて通れない問題です。料金体系は事業承継アドバイザリーによって様々で、通常、事業承継アドバイザリーは初期相談や計画策定、M&Aの実施支援、さらには承継後のフォローアップなど、包括的なサポートを提供するため、その費用は長期的に発生します。
提供するサービスの内容や会社の規模によって大きく異なる
事業承継アドバイザリーの費用は、初期段階のコンサルティングや事業承継計画の策定のみを行う場合は比較的費用が低く抑えられますが、M&Aの支援や承継後のフォローアップまで行う場合は、費用が高額になる傾向があります。事業承継アドバイザリーを選ぶ際には、費用だけでなく、提供されるサービスの質やサポート内容も総合的に考慮することが重要です。安価なサービスでも、事業承継が円滑に進まなければ、結果的に大きな損失を被る可能性もあります。
各フェーズで発生する費用の相場
事業承継アドバイザリーの費用は、主に以下のフェーズで発生することが一般的です。
- 初期相談料:事業承継に関する初期の相談や自社の現状分析にかかる費用があり、これは無料から100万円程度が多いです。
- 計画策定費用:事業承継計画の立案にかかる費用で、50万円から500万円程度が目安です。
- 実行支援費用:自社株の移動や財産分配、法務手続には、イベントごとに数十万円から数百万円程度かかります。
これらの費用は、事業承継の進捗に応じて発生します。
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M&Aを進める場合の費用
M&Aを活用した事業承継の場合は、上記とは異なる費用体系になります。M&Aのプロセスは複雑であり、企業価値の評価、譲受企業候補の選定、交渉、契約締結、さらには統合プロセスまで、多くのステップを踏む必要がある一方で、「良いお相手企業と成約して成功」という成果報酬の側面が強いためです。
これらのステップをサポートするための専門的な知識と経験が求められるため、費用も高額になる傾向があります。M&A費用は、月額顧問料、中間金、成功報酬などで構成されますが、M&A仲介会社の場合は月額報酬を無料とし、完全成功報酬制を採用しているケースも多く見られます。成功報酬は、最終契約締結後に発生し、譲渡代金等を基準に算出される「レーマン方式」が多くの会社で採用されています。
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契約前に確認すべきこと
依頼する事業承継アドバイザリーが決まったら、アドバイザリー契約を締結します。この契約書は非常に重要ですので、必ず内容を隅々まで確認してください。特に、「サービスの範囲」は明確にしておく必要があります。どこからどこまでの業務を、いくらの費用で担当してくれるのか。例えば、M&Aの交渉はサポートしてくれるが、契約書の作成は別料金、といったケースもあります。後々のトラブルを避けるためにも、契約書に記載されている業務内容が、自社の期待と合っているかをしっかりと確認しましょう。不明な点があれば、遠慮なく質問し、納得できるまで説明を求めることが大切です。
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事業承継アドバイザーが持つ資格と活躍の場
事業承継アドバイザーの質を見極める一つの指標として「資格」があります。もちろん資格がすべてではありませんが、一定の知識レベルを担保するものとして、知っておいて損はありません。また、どのような場所で事業承継アドバイザーが活躍しているかを知ることも、最適なパートナーを見つける上で役立ちます。
事業承継アドバイザーに関連する資格
「事業承継アドバイザー」という職に就くために必須の国家資格は存在しませんが、関連する民間資格はいくつかあります。これらの資格は、事業承継に関する体系的な知識を学んだ証となり、事業承継アドバイザーとしての信頼性を高める一助となります。
国家資格ではない「事業承継アドバイザー」
実は、「事業承継アドバイザー」という名称の国家資格はありません。一般的には、一般社団法人金融検定協会が認定する民間資格を指すことが多いです。この資格を持っていることは、事業承継に関する体系的な知識を学んだ証となり、事業承継アドバイザーとしての信頼性を高める一助となります。ただ、資格の有無だけで判断せず、実際の経験や実績と合わせて評価することが、より重要です。
主要な関連資格とその特徴
事業承継に関連する資格はいくつか存在します。
- 一般社団法人金融検定協会が運営する「事業承継アドバイザー認定試験(BSA)」は、事業承継の実務における問題解決能力を重視し、法務、税務、財務など幅広い知識が問われます。
- 経済法令研究会が運営する「事業承継アドバイザー3級試験」は基礎知識を証明するもので、
- 一般社団法人金融財政事情研究会が運営する「金融業務試験(事業承継・M&Aコース)」は、特に金融面に関する知識が問われます。
これらの資格は、事業承継アドバイザーの専門性の一端を示すものです。
少し紛らわしい?似ている資格との違い
事業承継に関連する資格には、他にも似たような名称のものがありますので、混同しないように少し解説します。
- 「事業承継士」は、弁護士、公認会計士、税理士といった国家資格を持っていることが受験の前提となる、非常に専門性が高い民間資格です。
- 「事業承継プランナー」は、事業承継の初期段階における相談や計画策定のサポートを行う専門家と位置づけられています。
- 「M&Aエキスパート」は、M&Aや事業承継に関する知識レベルを証明するもので、レベルに応じていくつかの種類に分かれています。
それぞれの資格が持つ専門分野を理解することが、適切な事業承継アドバイザー選びに繋がります。
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事業承継アドバイザーが活躍する場所
信頼できる事業承継アドバイザーは、一体どこにいるのでしょうか。彼らが所属する組織の特性を知ることで、自社に合った事業承継アドバイザーを見つけるヒントになります。
会計事務所
会計事務所は、事業承継アドバイザーの代表的な活躍の場です。財務や税務に関する深い専門知識が最大の強みで、特に企業価値評価や税務戦略の立案において、非常に精度の高いサービスを提供できます。自社の数字を深く理解しているため、地に足の着いた現実的なアドバイスが可能です。M&Aにおける複雑な税務処理や財務分析に強みを持つ事業承継アドバイザーを見つけたい場合、会計系の専門家は有力な選択肢となるでしょう。
コンサルティング会社
経営戦略や組織再編などを専門とするコンサルティング会社にも、事業承継の専門家が在籍しています。幅広い業種の知見を活かした、多角的な視点からのアドバイスが期待できます。自社の成長戦略の一環として事業承継を捉えるなど、ダイナミックな提案が魅力です。特にM&Aを通じた企業成長を志向する経営者にとっては、心強いパートナーとなる可能性があります。
中小企業診断士・M&Aブティック
中小会社の経営に特化した中小企業診断士や、特定の金融機関に属さない独立系のM&Aアドバイザリー企業も有力な相談先です。中小会社の実情に精通しており、フットワークが軽く、柔軟できめ細やかな対応が期待できます。経営者の想いに寄り添ったサポートを得やすいのが特徴です。M&Aに関する専門的な知見を持ちながらも、中小会社の個別事情に深く踏み込んでくれる事業承継アドバイザーを求める場合に適しています。
金融機関
銀行や証券会社には、事業承継を専門に扱う部署があります。金融機関の強みは、何と言っても資金調達に関するノウハウと、豊富な取引先ネットワークです。融資と絡めた提案を受けられる可能性がある一方で、必ずしも自社にとって最適な選択肢だけを提案してくれるとは限らない、という側面も考慮する必要があるかもしれません。M&Aを検討する際にも、金融機関は一つの選択肢となり得ます。
公的機関・地方自治体の相談窓口
各都道府県に設置されている「事業承継・引継ぎ支援センター」などの公的機関でも、専門家による無料相談が受けられます。まずはどこに相談して良いか分からない、という場合の最初のステップとして活用するのに適しています。中立的な立場からアドバイスをもらえる安心感があります。M&Aを含む事業承継の基本的な情報を得たい場合に、気軽に相談できる窓口と言えるでしょう。
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事業承継アドバイザリーのまとめ
事業承継アドバイザリーは、後継者問題や資産分配、税務対策、そしてM&A活用など、事業承継に伴う複雑な課題に対して包括的なサポートを提供します。適切なアドバイザリーを選ぶことで、最適な承継プランを策定し、自社の未来を確実に引き継ぐことができます。
当社は、みつき税理士法人グループのM&A仲介会社として15年以上の業歴があり、中小会社のM&Aに特化した実績経験が豊富なM&Aアドバイザー・公認会計士・税理士が多く在籍しております。M&Aをご検討の際は、みつきコンサルティングにご相談ください。
著者

- 名古屋法人部長/M&A担当ディレクター
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人材支援会社にて、海外人材の採用・紹介事業のチームを率いて新規開拓・人材開発に従事。みつきコンサルティングでは、強みを生かし人材会社・日本語学校等の案件を中心に工事業・広告・IT業など多種に渡る案件支援を行う。M&Aの成約実績多数、M&A仲介・助言の経験年数は10年以上
監修:みつき税理士法人
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