M&Aによる事業投資とは?株式投資との違いと会社売却の判断軸

大手企業やファンドから出資・株式取得の打診を受け、どう向き合うべきか迷っていませんか。譲受企業にとってM&Aは経営権を得て利益を生む投資であり、回収年数やシナジーを物差しに価格を決めます。上場株の売買との差や主な手法、リスク、買い手の減税制度まで押さえれば、全部を譲るか一部の出資にとどめるか、交渉の方針が見えてきます。

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M&Aによる事業投資の意味と株式投資との違い

「会社を買うことを投資と呼ぶのは、どうもしっくりこない」。そう話す経営者は少なくありません。けれども譲受企業の社内で、M&Aは工場の新設と同じ事業投資として稟議にかけられるもの。他社の経営権を得る企業買収も、最後は投資の採算で可否が決まります。

金融投資と事業投資の違い

投資は、お金をどこに置くかで大きく2つに分かれます。株式や債券を買い、配当や値上がり益を受け取るのが金融投資。これに対して事業投資は、事業そのものに資金や人材を投じ、利益を自分たちの手で生み出す投資を指します。M&Aは、この事業投資を短期間で形にする代表的な手段です。

M&Aと株式投資の違いを比較

下表は、事業投資としてのM&Aと、市場で株を買う株式投資を6つの観点で比べたものです。最も大きな差は、経営に直接手を入れられるかどうかにあります。

比較項目M&A(事業投資)株式投資(金融投資)
主な目的経営権を得て事業を伸ばす配当や値上がり益を得る
取得する比率過半数から100%が中心数%以下の少数保有が中心
経営への関与役員を送り込み直接経営する株主総会での議決権行使にとどまる
リターンの源泉利益の増加やコスト削減配当と株価の上昇
主なリスク高額な資金負担、統合の失敗株価の下落、投資先の業績悪化
換金のしやすさ低い(再売却に時間がかかる)高い(上場株は市場で売れる)

もう1つ見落とせないのが、換金のしやすさ。上場株と違い、M&Aで非上場株式の取得に踏み切ると、市場で売り戻すという逃げ道がありません。一度買えば簡単には引き返せない重さが、譲受企業の慎重な検討につながっています。

売り手が投資の物差しを知っておく理由

売る側のオーナーが、なぜ譲受企業の投資判断まで知っておく必要があるのか。理由はシンプルで、会社売却の価格や条件は、譲受企業の採算計算から逆算される面が大きいためです。相手が何年で投資を回収したいのか、どんな相乗効果を見込んでいるのかがわかれば、提示額の根拠を読み解けるようになります。

M&Aで事業投資を行う主な手法

M&Aと聞くと会社を丸ごと買う場面を思い浮かべがちですが、何を、どの形で取得するかによってM&Aの種類は大きく分かれます。中小企業の事業投資で主に使われるのは、株式取得、事業譲渡、会社分割、合併です。

株式取得による投資

対象会社の株式を手に入れ、議決権を通じて経営権を握る方法です。株式を誰から、どのように取得するかで、手法はさらに細かく分かれます。

株式譲渡

既存の株主から株式を買い取る、中小企業のM&Aで最も多く使われる手法。株式譲渡では会社そのものが引き継がれるため、許認可や従業員との雇用契約も原則としてそのまま維持されます。対価はオーナー個人に支払われ、譲渡益には個人の税金がかかります。

第三者割当増資

対象会社が新たに株式を発行し、譲受企業がそれを引き受ける方法です。第三者割当増資の払込金は会社に入るため、成長資金を確保しながら資本提携を結ぶ場面で選ばれます。既存株主の持株比率が下がる点には注意が必要。

株式交換

譲受企業が自社の株式を対価として渡し、対象会社を100%子会社にする手法です。現金を用意せずに済むため、上場企業が譲受側となる案件で使われます。株式を受け取ったオーナーは、その後の株価変動のリスクも抱えることに。

事業譲渡

会社全体ではなく、特定の事業だけを売買する方法です。事業譲渡なら、譲受企業は欲しい資産や人材を選んで引き継げ、不要な債務を背負わずに済むのが利点。その代わり、契約や許認可は個別に移し替える必要があり、従業員の転籍にも本人の同意が欠かせません。

会社分割

会社分割は、事業に関する権利義務をまとめて別の会社へ移す組織再編の手法です。移し先を新たに設立するのが新設分割、既存の会社に承継させるのが吸収分割。中小企業では、グループ内の再編や不採算部門の切り出しで使われる場面が中心です。

合併

2つ以上の会社を1つの法人にまとめる方法で、一方が存続する吸収合併と、すべての会社が解散して新会社をつくる新設合併があります。消滅する会社の株主には存続会社の株式などが交付されるため、オーナーが現金を手にしにくい点が特徴。中小企業では、グループ会社同士の統合で使われることが多い手法です。

手法ごとの違いを比較

各手法で「何を取得するのか」と「対価を誰が受け取るのか」を整理したのが下表です。とくに見ておきたいのは、譲渡オーナーの手取りを左右する対価の受取人。

手法取得する対象対価を受け取る人中小企業での主な使われ方
株式譲渡発行済株式(会社そのもの)株主(オーナー個人)会社売却の中心的な手法
第三者割当増資新たに発行する株式対象会社資本提携や成長資金の受け入れ
株式交換対象会社の全株式株主(譲受企業の株式などを受け取る)上場企業による100%子会社化
事業譲渡特定の事業や資産対象会社(法人)一部事業の切り離し
会社分割事業に関する権利義務会社または株主(分割の型による)グループ再編や事業の切り出し
合併会社全体(法人格ごと統合)消滅会社の株主グループ会社同士の統合

事業譲渡では対価がいったん会社に入るため、オーナー個人が受け取るまでに法人税と所得税の2段階で課税されやすくなります。株式譲渡と事業譲渡の違いのなかでも、この税負担の差は譲渡金額が大きいほど広がり、スキーム選びの分かれ目になりがち。

事業投資としてのM&Aのメリットとデメリット

買う側の事情など自社には関係ない、と感じるかもしれません。ただ、譲受企業から見たM&Aのメリットとデメリットを知っておくと、相手の本気度や懸念を読み取る材料になります。

買い手にとってのメリット

事業投資としてM&Aが選ばれる背景には、自力の成長では得にくい利点があります。

事業の立ち上げ期間を短縮できる

新規事業をゼロから育てると、顧客や人材がそろうまでに何年もかかります。M&Aなら顧客基盤や技術、許認可を持つ会社ごと引き継げるため、「時間を買う投資」と呼ばれることも。早く利益が出れば、そのぶん投資資金の回収も早まります。

単独では生まれないシナジーを得られる

販路の相互活用で売上が伸びたり、仕入れの集約で原価が下がったりするシナジー効果も、事業投資としてのM&Aの大きな魅力です。譲受企業はこの上乗せ分を見込めるからこそ、純資産を上回る価格を提示できます。

買い手にとってのデメリット

その反面、事業投資としてのM&Aは失敗したときの痛手が大きく、譲受企業は次のようなリスクを強く警戒します。

まとまった資金が必要になる

株式の取得資金に加え、仲介手数料や専門家による調査の費用もかかります。多くの譲受企業は借入を組み合わせるため、M&Aファイナンスの条件次第で投資の採算は大きく変わります。

人材流出や統合の失敗

買ったのは会社でも、利益を生むのは人です。経営方針や評価制度が急に変わればキーパーソンが離れ、企業買収の失敗に直結しかねません。譲受企業がオーナーに一定期間の残留を求めるのは、この不安の裏返し。

簿外債務を見落とす

決算書に載っていない未払残業代や保証債務が、引き継いだ後に見つかることもあります。相手がデューデリジェンスで細かく調べるのは、投資額を守るための当然の手続です。

買い手は事業投資の採算をどう判断するか

提示された金額を見て「なぜこの数字なのか」と首をかしげるオーナーは多いもの。譲受企業の頭の中では、回収年数、プレミアム、資金計画、税制が同時に計算されています。

投資回収の物差し

価格の妥当性を測る物差しは、対象会社の規模や譲受企業の種類によって変わります。

年買法と回収年数

中小企業の案件で広く使われるのが年買法。時価で見直した純資産に、営業利益の数年分を「のれん」として上乗せして株式価値を求めます。上乗せする年数は業種や成長性で変わるものの、当社の支援現場では2〜3年分前後に落ち着く例が多い印象です。

年買法による試算例

数字に置き換えると、譲受企業の考え方がつかみやすくなるはず。仮の数字で株式価値を試算すると、下表のようになります。

試算項目金額計算の考え方
時価純資産2億円資産と負債を時価で評価し直した額
調整後の営業利益年4,000万円役員報酬の過不足や一時的な費用を補正
のれん(3年分)1億2,000万円4,000万円×3年
株式価値の目安3億2,000万円2億円+1億2,000万円

相手から見れば、純資産を上回って払う1億2,000万円を、3年分の利益で取り戻す計算です。もっとも、実際には法人税や借入の返済があるため、手元に残るお金で回収し終えるには3年より長くかかるのが普通。この差を理解している譲受企業ほど、上乗せ年数を慎重に見積もる傾向があります。

DCF法とIRRによる判断

投資ファンドや上場企業は、将来のキャッシュフローを現在の価値に割り戻すDCF法を重視します。投資額に対して年何%の利回りが見込めるかを示すIRR(内部収益率)が、社内の基準を超えるかどうかも確認するのが一般的。上場企業の株価倍率を参考にする類似会社比較法と併用し、価格の幅を確かめる例も見られます。

買収プレミアムを支払う理由

純資産や市場株価を上回る額が支払われる場面もあります。経営権を握る価値と、シナジーで増える利益を前払いする部分で、買収プレミアムと呼ばれるもの。払いすぎれば回収年数が延び、投資そのものが失敗に傾くため、シナジーの実現性は厳しく見極められます。

投資枠と資金計画

多くの譲受企業は、1件あたりに使える投資枠をあらかじめ決めています。失敗しても本業が揺らがない範囲に収めるためで、初めて譲受に挑む会社なら、投資額の小さいスモールM&Aから経験を積む選択肢もあります。譲渡オーナーにとっては、相手の投資枠が希望価格に届くかどうかが、交渉の入口で確かめたいポイント。

買い手が使える減税制度

買う側の実質的な負担を軽くする税制もあります。いわゆる経営資源集約化税制の柱となる、中小企業事業再編投資損失準備金です。

中小企業事業再編投資損失準備金の概要

経営力向上計画の認定を受けた中小企業が株式取得によるM&Aを行う場合、取得価額の70%以下を準備金として積み立て、損金に算入できます。対象は取得価額10億円以下の案件で、計画の認定期限は2027年3月31日です(中小企業庁の手引き)。積み立てた準備金は5年間据え置いた後、5年間で均等に取り崩して益金に算入するため、税金が消えるのではなく、納める時期を先に延ばせる仕組みです。

拡充枠と延長に向けた動き

複数の会社を段階的に傘下に収める中堅・中小企業向けには、産業競争力強化法の特別事業再編計画に基づく拡充枠もあります。取得価額1億円以上100億円以下が対象で、積立率は1回目90%、2回目以降100%、据置期間は10年です(関東経済産業局の資料)。経済産業省は2027年度税制改正要望で、期限を2030年3月31日まで延ばすよう求めています(財務省掲載の要望資料)。

売り手から見た税制の意味

この準備金を使う譲受企業は、計画に事業承継等事前調査(デューデリジェンス)の内容を記載するため、調査を省けません。裏を返せば、制度を活用できる相手ほど実質的な投資負担が軽くなり、価格や条件の検討余地も生まれるということ。交渉の早い段階で、相手が税制の活用を想定しているかを確かめておくと話が進めやすくなります。

M&Aと株価の関係

同じ「株の値段」でも、上場企業と中小企業では決まり方がまるで違います。

上場企業はM&Aの発表で株価が動く

上場企業がM&Aを発表すると、市場はその投資の採算をすぐに評価します。シナジーへの期待が高ければ株価は上がり、高値づかみや統合の難しさが意識されれば下がるのが典型的な動き。M&Aで株価が動く理由は、事業投資としての成否を市場が先読みする点にあります。合併では株式の交換比率が焦点となり、合併発表時の株価もその妥当性に反応します。

非上場の中小企業は交渉で価格が決まる

市場価格のない中小企業の株式は、評価方法をもとにした交渉で値段が決まります。相続税の計算に使う評価額と、M&Aでの取引価格がかけ離れることも珍しくないもの。親族への承継と第三者への売却を比べる際に、両者を同じ物差しで見てしまうのは意外と多い落とし穴です。

会社売却を考える売り手が知りたい事業投資の視点

大手企業やファンドから打診を受けたとき、選択肢は「すべて売る」か「断る」かのどちらかだけではありません。譲渡オーナーの立場に立つと、事業投資を受け入れる形にもいくつかの段階があることが見えてきます。

全部売るか一部の出資を受けるか

出資する相手にどれだけの株式を渡すかで、経営に対する権限は大きく変わります。会社法が定める株主総会の決議要件をもとに、持株比率ごとの違いを下表に整理しました。定款で要件を変えていない場合の目安としてご覧ください。

譲受企業の持株比率譲受企業ができること譲渡オーナーの立場
3分の1超特別決議(定款変更や合併など)を単独で否決できる経営権は残るが、重要事項は相手の同意が実質的に必要
過半数普通決議(取締役の選任など)を単独で可決できる子会社となり、経営の主導権が相手に移る
3分の2以上特別決議も単独で可決できる組織再編や定款変更も相手が決められる
100%すべての株主権を持つ創業者利益を得て、引継ぎ後に経営から離れる

一部出資の資本提携が向くケース

経営は自分で続けながら販路や技術、資金を得たいという場合は、少数の出資を受ける資本提携が候補になります。支援現場でよく受けるのが「取引先の大手から2割ほどの出資を打診されたが、受けてよいか」という相談です。

比率より株主間契約の中身を確認する

こうした相談で当社が重視するのは、出資比率そのものより株主間契約の中身です。取締役を何人派遣されるのか、どの事項に相手の同意が要るのか、将来の株式買取りをどちらが申し出られるのか。この3点の定め方が、数年後の経営の自由度と売却の選択肢を左右します。

過半数を譲って段階的に売るケース

いきなり全株を手放すのが不安なら、過半数を譲って子会社化し、数年後に残りを売る方法もあります。相手にとっても、オーナーの協力を得ながら統合を進められる利点は大きいもの。残りの株式の価格の決め方と売却の時期は、最初の契約で取り決めておくことが欠かせません。

100%譲渡が向くケース

後継者がいない、あるいは個人保証から解放されたいという事業承継型の売却では、100%の株式譲渡が基本です。経営と所有を同時に引き渡すため、創業者利益を一度に確定できます。

事業会社とファンドで異なる投資の考え方

同じ事業投資でも、事業会社と投資ファンドとでは目的も保有期間も異なります。下表は、譲渡オーナーから見た主な違いをまとめたもの。

比較項目事業会社(戦略投資家)投資ファンド(金融投資家)
投資の目的自社事業とのシナジーで成長する企業価値を高めて譲渡益を得る
保有期間長期保有が前提数年後の再売却が前提
価格の考え方シナジー分を上乗せしやすい投資リターンの基準から逆算する
経営への関与自社グループに組み入れて統合する経営陣を支え、管理体制を整える
オーナーの関わり方引継ぎ期間を経て退任する例が多い一部株式の再出資を求められる場合もある

PEファンドへの譲渡では、数年後に別の会社へ再び売られる前提で、従業員への説明や雇用条件の取り決めを考える必要があります。

買い手の投資判断に応える準備

相手が抱く不安を先回りして解消できれば、価格は下がりにくくなります。

交渉前に整えたい6項目

当社の支援現場で、交渉に入る前に整えておくよう助言している項目は次のとおりです。

  • 役員報酬や一時的な費用を補正した実態の営業利益
  • 主要取引先とキーパーソンが譲渡後も残る見込み
  • 3〜5年の事業計画と、受注残など数字の根拠
  • 借入金と個人保証の解除に向けた段取り
  • 未払残業代やオーナー個人との貸し借りの整理
  • 譲渡後に自分が関与できる期間と立場

準備が減額を防ぐ理由

どの項目も、譲受企業が回収年数を見積もるときの不確かさを減らす材料です。デューデリジェンスへの備えを早めに進めておけば、調査後に問題が見つかって条件を下げられる事態も防ぎやすくなります。

投資の物差しで価格交渉に臨む

相手の物差しがわかれば、交渉で使う言葉も変わってきます。

回収の根拠を示して上乗せ年数を守る

価格交渉で「もう少し高く」と繰り返すだけでは、譲受企業は動きません。来期以降も利益が続く根拠、つまり回収年数を短く見積もれる理由を示せるかが勝負どころ。シナジーを大きく描ける相手を候補に加えることも、価格を引き上げる現実的な方法の1つです。

提示額ではなく手取り額で比べる

複数の提案を比べるときは、提示額ではなく税引き後の手取り額で見ます。個人が株式譲渡で得た譲渡益には、所得税・住民税・復興特別所得税を合わせて20.315%の税金がかかります(国税庁タックスアンサーNo.1463)。役員退職金を組み合わせると手取りが変わるため、金額と受け取り方はセットで検討しましょう。

投資回収を急ぐ相手には要注意

中小企業庁が2024年8月に改訂した中小M&Aガイドラインの第3版では、最終契約を意図的に守らない不適切な譲受側を市場から排除するため、仲介者・FAの対応が追記されました。譲受直後に会社の現預金を動かそうとする、個人保証の解除を先延ばしにする、といった兆しは要警戒。資金の出どころと譲受後の経営方針は、早い段階で確かめておくと安心です。

買い手の検討プロセスと売り手の備え

譲受企業は、打診から成約までの間に何を確かめているのでしょうか。事業投資としてのM&Aは、相手の側でも段階を踏んで検討が進みます。各段階で相手が見ていることと、譲渡オーナーが備えたいことを下表に整理しました。

検討の段階譲受企業が見ること譲渡オーナーの備え
戦略立案と候補探し自社の弱みを補える相手か自社の強みを一言で語れるよう整理する
初期検討概要資料から見える収益性と成長性実態の利益と事業計画の根拠をそろえる
トップ面談と意向表明経営者の人柄と引継ぎへの協力姿勢譲渡後の関与と従業員への想いを伝える
デューデリジェンス簿外債務や法務・労務のリスク資料を早めに用意し、懸念は自ら開示する
最終契約表明保証と価格調整の条件保証の範囲と個人保証の解除時期を確認する
統合(PMI)シナジーを実現できる体制かキーパーソンへの説明と引継ぎに協力する

PMIはM&A成立前から始まっている

投資の成否を最後に決めるのは、成立後のPMI(経営統合の取組)です。中小企業庁の中小PMIガイドラインも、統合の検討はM&Aの検討段階から始め、成立後おおむね1年を集中実施期と位置づけています。譲渡オーナーが引継ぎに前向きであるほど、譲受企業は投資回収の見通しを立てやすくなるもの。

M&Aの事業投資に関するFAQ

出資や株式取得の打診を受けた段階で、オーナーが抱きやすい疑問にお答えします。

Q:一部だけ出資を受けた後に、残りの株式も売れますか?

売れます。ただし、売却先や価格は最初に結ぶ株主間契約の内容次第。現場では、将来の買取価格の算定方法と、売り手・買い手のどちらから売却を申し出られるかを必ず確認します。定めがないまま出資を受けると、残りの株式の行き先が買い手の意向に縛られることもあります。

Q:赤字の会社でも事業投資の対象になりますか?

対象になり得ます。買い手が見るのは過去の赤字より、引き継いだ後に利益を出せるかどうかです。顧客基盤や技術、人材に価値があれば関心は集まるもの。その場合の価格は純資産を基準に低めになりやすく、債務超過なら借入の扱いが交渉の焦点になります。

Q:ファンドに売ると、社員の雇用はどうなりますか?

ファンドは経営陣と社員が働き続けることを前提に投資するのが一般的で、売却直後に大規模な人員整理をする例は多くありません。気をつけたいのは、数年後の再売却の時点。次の買い手の方針で状況が変わり得るため、最終契約で一定期間の雇用維持を定めておくと安心材料になります。

Q:買い手から直接打診が来たら、どう対応すべきですか?

その場で金額の話に乗らず、秘密保持契約を結んだうえで相手の目的と資金力を確かめることが先決です。1社だけの提案では相場がわからないため、ほかの候補と比べられる状態をつくるのが基本。打診の段階でも専門家に一度相談しておくと、判断を誤りにくくなります。

税理士法人を母体とするM&A仲介会社|みつきコンサルティングが選ばれる理由

M&Aによる事業投資のまとめと会社売却への生かし方

M&Aは、譲受企業にとって経営権と将来の利益を手に入れる事業投資です。株式投資と違い、価格は回収年数やシナジー、税制まで織り込んで決まります。相手の物差しを知るほど、全部を譲るか一部の出資にとどめるかも落ち着いて選べるはず。初めての打診に戸惑うのは、どの経営者も同じこと。

みつきコンサルティングは、税理士法人グループのM&A仲介会社として、中小企業のM&Aを数多く支援してきました。譲受企業の投資目線を踏まえた価格の見立てから、手取りを意識したスキーム設計まで一貫してお手伝いします。出資や売却の打診を受けた段階でも、お気軽にご相談ください。

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著者

西尾 崇
西尾 崇事業法人第三部長/M&A担当ディレクター
宅食事業を共同経営者として立ち上げ、CFOとして従事。みつきコンサルティングでは、会計・法務・労務の知見を活かし、業界を問わず、事業承継型・救済型・カーブアウト・MBO等、様々なニーズに即した多数の支援実績を誇る。M&Aの成約実績多数、M&A仲介・助言の経験年数は10年以上
監修者 神門 剛 代表取締役 / 公認会計士・税理士

みつきコンサルティングは、中小企業の会社売却・事業承継に特化した譲渡企業様に完全成功報酬制のM&A仲介会社です。売り手と買い手企業の最適なマッチングを、経験豊富なM&Aコンサルタントが初期相談から成約まで一貫してフルサポートします。

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