スタートアップとは?成功事例や、リスク、学生起業家を説明

近年、スタートアップにおけるM&A活動が増加傾向にあり、また同時に学生による起業も注目を集めています。本記事では、学生起業家が手がけるスタートアップの事例40選をご紹介します。さらに、学生起業家が率いるスタートアップを成功に導くポイントやリスクへの対処方法にも触れていきます。

学生起業家によるスタートアップへの挑戦

スタートアップ企業は、独創的なアイデアを持ち、新たなビジネスモデルの開発を追求しています。それ故に、投資家だけでなく大手企業からも注目を集める可能性がある企業となります。

新たに誕生したビジネスモデルや革新的な技術を取り入れるべく、大手企業によるM&Aが活発化していることも特徴的です。

スタートアップとは、短期間で革新的な技術やサービスを開発し急成長を目指す、創業期間の短い企業を指します。ただし、単純に新興企業を指すわけではなく、革新的な事業に取り組んでいることが重要なポイントです。安定した経営ではなく、急成長に焦点を当てており、事業が成功するまで資金回収が期待できません。

スタートアップ企業は、将来的に成長が見込まれる事業形態を投資家やベンチャーキャピタルにアピールし、投融資を募ることで資金調達を行います。そして、最も顕著な特徴として、イグジット戦略がM&AやIPO(株式公開)を目標として定められていることが挙げられます。実際に、多くのスタートアップ企業は、M&AやIPOを通じて資本回収を目指しています。

M&Aとは、企業同士の合併や買収を意味する言葉です。近年では、後継者不在や人材不足など経営課題を解決する目的で行われるケースが多いですが、スタートアップにおけるM&Aの売却理由は根本的に異なります。

スタートアップ企業は、いずれ投資資本を回収しなければならないため、そのタイミングを事業スタート時かM&A定めていることが一般的です。一方、大手企業は目まぐるしいビジネス環境の変化への対応が求められるため、実績あるスタートアップ企業のビジネスモデルや技術を取り入れる戦略は非常に効果的だと言われています。このため、スタートアップのM&Aでは、譲渡側と譲受側双方の利益がマッチすることになるわけです。

スタートアップ企業がある程度の成果を上げることにより、個人投資家やベンチャーキャピタルからの資金調達を行い、事業の拡大や収益向上を目指し、さらなる成長の階段を上るのが一般的です。また、スタートアップ企業側からすればベンチャーキャピタルからの資金調達に伴い、資金だけではなく人的リソースの提供などもメリットといえます。

スタートアップ成功事例とその要因

スタートアップ業界において、多くの人が知る成功事例と言えば、以下の企業が挙げられます。これらの企業は、独自の技術やサービスで多くのファンを獲得し、確固たる地位を築いています。

これから起業や創業を考えている方々にとって、これらの成功事例から得られる学びは有用ですので、以下で詳しく解説をしていきます。

企業の設立年度や目標、規模、提供している商品やサービスに注目しながら、その成功の秘訣について徹底的に考察していきたいと思います。

メルカリ株式会社

メルカリ株式会社は、日本を代表するフリーマーケットアプリ「メルカリ」を運営しており、月間利用者数は驚異の2,000万人以上にも上ります。2013年2月に設立されたこの企業は、まだガラケーを使う人も多くいた時代に、スマートフォンの普及を見越して、革新的なアイデアを活用したサービスを展開しました。

その結果、インターネットを利用できる誰もが自分のアカウントを持ち、個人間での売買が容易にできる環境を作り出しました。このようなサービスは、限りある資源を循環させることで、より豊かな社会を作り出すという創立者の思いを具現化しています。

ラクスル株式会社

ラクスル株式会社は、インターネットを活用した印刷物の注文サービスを提供しています。2009年9月に設立されたこの企業は、資金調達を経て事業拡大を進め、2019年に東証一部に上場を果たしました。さらに、最近では海外進出も積極的に進めており、その成長は続いています。

これまでデジタル化の波が及んでいなかった印刷業界にインターネットを導入し、効率化を図ったのが同社の大きな特徴です。印刷業界が元々持っている知見や技術とIT技術を組み合わせることで、業界を変革させる狙いがあります。

  • 革新的なアイデアを活用し、資源の循環を促すメルカリ
  • インターネット技術を活用して印刷業界を変革するラクスル

これらの企業はいずれも、独自のアイデアや技術、戦略を採用し、それぞれの業界で成功を収めています。これから創業を考えている方にとって、これらの企業の取り組みや戦略は大いに参考になることでしょう。

スマートニュースとその魅力

スマートニュースは、身辺のさまざまな情報を日々無料で提供するサービスです。彼らのミッションは、「世界中の優れた情報を必要とする人々に届ける」と定義されています。

スマートニュースは2012年6月15日に創業されました。当時、SNSの利用者はそこまで多くはなく、現在のようにTwitterやYouTubeで瞬時に現地の様子を知ることができる状況ではありませんでした。しかし、無料で利用できるスタイルや多様なコンテンツが人々の関心を引き、多くの人々がこのサービスを利用するようになりました。

現在では、アプリだけでも利用者数は1,000万人を超えており、日常生活に必要な情報はもちろん、世界情勢や経済、エンタメ情報など幅広いジャンルの情報を提供しています。そのため、多くの人々に愛用され続けています。

学生起業家がスタートアップを成功へ導く3つのポイント

学生起業を成功させるための3つのポイントを以下に解説します。

  • 起業目的および期限を具体化する
  • 支援者を探す
  • 大学卒業後の進路を計画する

起業目的および期限を具体化する

ビジネスを行う際には、具体的な目標と期限が不可欠です。「起業の目的は何か?」「いつまでに何を達成するのか?」「売上や利益の見通しはどうか?」など、自分自身に問いかけ、方針を設定し、進捗管理を行いましょう。

支援者を探す

学生起業の成功には、教えてくれる人や助けてくれる人といった支援者の存在が欠かせません。近年では、起業を支援する大学が増えており、学内の支援制度を一度調べてみてください。

また、資金面での支援者も重要であり、先輩起業家やエンジェル投資家を見つけることや、クラウドファンディングを活用する方法も考えられます。またSNSを通じて積極的に交流を図ることでそのような起業家、投資家と接点を持つことが出来ます。

大学卒業後の進路を計画する

学生起業家も、いずれ大学を卒業します。そのため、卒業後の自分の姿を事前にイメージしておくことが大切です。「卒業後も経営者として会社を運営する」「就職しながら副業として続ける」「後継者に引き継ぐ」「事業譲渡する」など、具体的な卒業後の進路を決定しておくことが肝心です。事業譲渡した先の企業にいったん就職した後、再度起業される方も多いのが特徴です。

学生起業家がスタートアップを行うメリット

  • リスクが比較的少ない
  • 起業家としての人脈の構築が可能
  • 大きな可能性を秘めている
  • 収入が生活費に影響を与えない
  • 経営に関するスキルやキャリアを積むチャンスを得られることができる
  • 長い時間を使ってビジネスに取り組める
  • 資金調達がしやすい

その他に、以下のメリットもあり、これについて説明します。

  • やりたいことをやれる
  • やり直しがきく
  • 人脈が広がり就職に有利になる
  • アイデア勝負で借金を負わずに済む

やりたいことをやれる

学生起業の最大の特徴として、自分の夢や目標に向かって取り組むことができる点があります。一般的に、学生はまず学業に専念すべきであり、起業は副業的な立場で行うべきでしょう。

しかし、そのような制約の中でも、起業によって収益を上げることができれば、事業として継続していくことが可能となります。また、親からの仕送りなども受けている場合は、大きな収益がなくても自分の夢を追い求めることができます。

さらに、アルバイトから得た資金や、投資家からの資金援助も受けられることもあり、学生起業家にとって大きな魅力となります。

やり直しがきく

もし起業が上手くいかなかった場合でも、学生であることを利用してやり直すことができます。学生起業家は、収益性が不確かな計画でもチャレンジできることが強みです。

そして、もし失敗しても、就職という選択肢が残っているため、リスクを軽減することができます。

人脈が広がり就職に有利になる

学生起業の経験が、最終的に就職活動にプラスに働く場合もあります。学生起業を経験することで、経営者の視点を持って仕事に取り組める能力を磨くことができます。

また、年上のビジネスパーソンとの交流を通じて、様々な知識や経験を得ることができます。さらに、学生起業家として活動する中で、企業の代表者と出会い、人脈も広げることができます。企業経験のある学生と、無い学生では人脈が大きく異なります。

これらの人脈を活用し、就職活動で良い結果を出すことができるかもしれません。

アイデア勝負で借金を負わずに済む

学生起業の場合、自ら考えたサービスや研究・開発の内容をビジネス化することが多く、大きな資金を必要としないことが一般的です。そのため、金融機関からの融資などを受けずに起業が可能となり、借金リスクを回避することができます。

また、少額の資金から始めた場合、起業に成功すれば、アルバイトなどで得る賃金を上回る収入を手にすることができる可能性があります。

以上が、学生起業家がスタートアップを行うメリットです。これらのメリットを活かして、自分の夢に向かってチャレンジしましょう。

スタートアップに取り組む学生起業家のリスク

  • 大きな責任を負わなければならない
  • 学生という立場を利用されることがある
  • 甘い誘いを受け入れてしまう危険がある

その他に、以下のデメリットがあり、解説します。

  • 学業との両立が難しい。
  • 信用を得にくい。
  • 交友関係が希薄になる。

学業との両立が難しい

学生起業家は、ビジネスを運営しながらも学業を継続しなければならないため、その両立が難しくなることがあります。その結果、学業がおろそかになってしまうことが珍しくありません。

さらに、事業が成功し始めると時間を大きくとられ、本来学業に費やすべき時間が確保できなくなるケースも存在します。一方で、学業に集中しすぎるあまり、事業の進展が遅れることも考えられます。社内のメンバーも学生である場合が多く、起業と学業の時間配分などで温度差が出てくるケースもあります。

大学を無事卒業することを重視する場合は、学業と起業活動のバランスを適切に保つことが重要です。

信用を得にくい

学生起業の場合、会社の代表者が学生であることから、社会的な信用が得られにくい状況が生じることが多々あります。業界で革新的なサービスや研究成果があっても、代表者が学生のため、十分に評価されないことも考えられます。

信用を築くためには、事業計画やビジョンをしっかり定め、誠実さをアピールすることが欠かせません。また、資金面では、学生の立場から銀行などの金融機関からの融資が厳しいのが現実です。

金融機関は、返済能力のある人物への融資を優先しますが、学生は安定した収入がないため、事業資金を借りることが難しくなります。その結果、事業の立ち上げを断念せざるを得ないケースも少なくありません。

信用を獲得するための戦略が重要となります。一度、有名なベンチャーキャピタルからの出資を得られると次回以降の資金調達の際、信用(投融資)を獲得しやすくなります。

交友関係が希薄になる

学生起業家は、ビジネスと学生生活を同時にこなさなければなりません。そのため、友人との交流時間が減少していくことは避けられません。

大学のサークル活動やアルバイトに割く時間も失われ、同年代の友人との交流が減ることがよくあります。ただし、学生起業家同士の出会いやビジネス関係者との人脈が広がる可能性もあるため、人間関係自体は拡大することでしょう。

また、学生起業家がよく陥る悩みについての情報を以下の章にて紹介します。事業が軌道に乗るまでに発生しやすい悩みを知ることで、適切な対処法を事前に考えることができます。

リスクへの対処法

インターネットの普及に伴い、学生が起業を行う事例が増加し、多くの成功者が出ています。学生がスタートアップ起業を行うにあたり、多くのメリットがある一方で、デメリットも存在するため、充分に準備をして取り組むことが肝心です。

  • 投融資先を慎重に選定する
  • 社会経験の乏しさに付け込む誘いに乗らない
  • 失敗に対して恐れずリスクを取る
  • 将来展望を考慮したビジネス戦略を構築する

学生起業家が立ち上げたスタートアップの今後の展望

スタートアップ企業やベンチャー企業にとって、創業したビジネスを成功させることが最終目標となるケースもありますが、しばしば、成功した事業の株式を譲渡し、それによって大きな利益を得ることが目標となることも多いものです。

このような戦略をイグジット戦略と呼びます。イグジット(exit)は英語で出口を意味しており、出口戦略とも言われています。学生起業家たちが考えるイグジットは、通常IPO(株式公開)またはM&A(合併・買収)が一般的ですが、特に学生起業家の場合はM&Aが一般的です。

学生起業家にとってのM&Aの利点

学生起業家がM&Aを通じて自分たちが設立した会社の株式を売却することの最大のメリットは、多額の現金を得ることができることです。その資金を元手に新たなビジネスを展開することもあるでしょう。他にもM&Aにはさまざまな利点があります。

M&A後に企業に留まる場合

創業したビジネスが順調に成功を収め、大企業とのM&Aで株式譲渡に至った場合、多くの学生起業家は次のステップに進むことが一般的です。しかし、中には大企業の子会社となった自分の会社に残る学生起業家もいます。

1つの事業を成功させたとはいえ、経営経験の観点から考えると、学生起業家はまだ十分ではありません。大企業グループに留まることで、通常の学生が得ることのできない経験や知識を学ぶことができ、今後の活動に活かすことができるでしょう。

M&A後に企業から離れる場合

大企業とのM&Aが成立した学生起業家は、その時点で新たな人脈を築くことができます。就職活動を行う一般の学生とは異なり、大企業の経営陣との人脈は容易に手に入れることができないものです。

このような貴重な人脈は、企業グループに残るかどうかに関わらず、今後の起業家活動に非常に役立つことでしょう。また、新たなビジネスチャンスをつかむための支援やアドバイスも期待できるでしょう。

いずれの場合も、学生起業家にとってM&Aは大きな成長の機会となり、将来に向けて大きなメリットをもたらすことが期待されます。

学生起業家によるスタートアップのまとめ

スタートアップ後の選択肢としては、経営者を続けることや、M&Aを通じて会社を売却し、売却資金を使って新たな事業に取り組むことが挙げられます。しかし、会社売却のプロセスは専門的な知識や見解が必要となります。そのため、M&A仲介会社などの協力を得て進めることが望ましいです。

みつきコンサルティングは、税理士法人グループのM&A仲介会社として15年以上の業歴があり、中小企業M&Aに特化した経験実績が豊富なM&Aアドバイザーが多数在籍しております。 みつき税理士法人と連携することにより、税務面や法律面のサポートもワンストップで対応可能ですので、M&Aをご検討の際は、成功するM&A仲介で実績のある、みつきコンサルティングに是非ご相談ください。 

著者

野口慎矢
野口慎矢熊本支店長 兼 事業法人第四部長
国内証券会社(現SMBC日興証券)にてクライアントの資産運用を支援。みつきコンサルティングでは、消費財・小売業界の企業に対してアドバイザリーを提供。事業承継案件のみならず、Tech系スタートアップへの支援も行う。
監修:みつき税理士法人

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