M&Aを実施する際には、M&Aに詳しい人材の存在が必要不可欠です。しかし、M&Aに強い人材を確保するには、どうしたらよいのでしょうか。この記事では、M&Aに携わる人材確保の優先度が高い理由や、確保が難しいとされる理由、社外で相談すべき専門家について解説します。M&Aに関心を持っている人は参考にしてください。
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M&Aに携わる人材確保の優先度が高い理由
ここでは、M&Aに携わる人材確保の優先度が高い理由を解説します。
多くの業界でM&Aが活発に行われている
近年、さまざまな業界でM&Aが活発に行われている点が、M&Aに携わる人材確保の優先度が高い理由の1つです。
M&Aが行われる目的は、ビジネスのグローバル化や事業承継、イグジット(出口戦略)などさまざまです。それぞれのM&Aを円滑に進める役割として、M&Aに詳しい人材確保の必要性が増しています。一方で、M&Aを支援する仲介会社の役割も増加しており、その数も増えています。
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経営人材の需要が増している
経営人材の需要が増している点も、M&Aに携わる人材確保の優先度が高い理由として挙げられます。経営人材とは、事業の目的や課題を設定し、企業の経営責任を負う人材を指す言葉です。M&Aに詳しい人材が、経営人材として求められています。M&Aに詳しい人材は実践的な学びを多く積み重ねているため、経営上も重宝する存在です。
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M&Aに携わる人材の確保は難しい
国内においてもM&Aの件数は増えています。その一方、事業会社1社が関わるM&Aの件数は、多いわけではありません。M&Aの実務に携わる人材の総数が限られているため、M&Aの経験を豊富に持った人材の確保が難しくなっています。
M&A業務に携わりたい方は、事業会社よりもM&A仲介会社への転職を目指す傾向にあります。
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M&Aに携わる人材に必要なスキル
ここでは、M&Aに携わる人材に必要なスキルを解説します。
会計や法務、税務などに関わる知識
M&Aに携わる人材には、広い知識が求められます。具体的には、会計・法務・税務・ファイナンスに関わる知識です。会計や法務に関わる知識を持っていると、PMI(統合プロセス)がスムーズに進みやすくなります。これらの知識は、M&Aを円滑に進め、法的な問題や税務上の問題を避けるためも重要となります。
業界に関わる知識
M&Aが成功するか否かは、会計や法務に関わる知識に加えて、業界に対する理解がどれだけあるかにかかっています。M&A先を選定する際には、データ上からはわからない業界構造や、M&Aによって生まれるシナジー(相乗効果)への理解、トレンドの把握も重要です。そのため、M&Aに関わる意思決定に携わる人材にとって、業界知識は不可欠といえるでしょう。
問題解決能力
問題解決能力も、M&Aに携わる人材に必要なスキルです。M&Aを進めるうえでは、各プロセスにおいてさまざまなトラブルが発生する可能性があります。そのため、M&Aに携わる人材には、トラブルや問題を迅速に解決し、可能な限りリスクを軽減させる力が求められます。
譲渡側、あるいは譲受側との交渉・折衝の際には、コミュニケーション能力を含めた高い対人能力も必要です。
思考力
M&Aに携わる人材には、さまざまな思考力が求められます。具体的には、論理的思考力や戦略的思考力などです。M&Aを進行するなかで、計画を見直さなければならないシチュエーションが発生するケースもあり得ます。M&Aに携わる人材には、状況に応じた正しい判断が求められるでしょう。
また、どの企業を買収するべきかを決定するためには、市場の動向や競合の動き、自社の強み・弱みなどを考慮に入れたうえで、長期的な視点での思考も必要です。
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M&A専門家への相談も検討する
日本では、M&Aに携わる人材の数はまだ少なく、自社で雇用するのはハードルが高い傾向にあります。自社での人材確保はあまり現実的ではないかもしれません。こういった現状から、M&Aの必要が出てきた際は、高い専門性や知識を持った外部の専門家への依頼がおすすめです。
M&Aの専門家
M&Aに関する専門家の種類は、下記のとおりです。
| 専門家 | 特徴 | 
|---|---|
| 公認会計士・税理士 | M&A検討時に、財務状態や税務に関して相談に乗ってくれる。デューデリジェンス(買収監査・企業調査)や税金計算に強い。 | 
| 弁護士 | M&Aに関する法律的なトラブルに対応してくれる。元々顧問弁護士がいた場合は、その弁護士に相談するケースも多々見られる。 | 
| 仲介会社 | M&Aに特化した業者であり、知識を豊富に持っている。サポートの範囲は仲介会社によって異なるが、専門的なネットワークを持っているためさまざまな相談に乗ってくれる。 | 
| 金融機関 | M&A検討時には、メガバンクや地方銀行、信託銀行、証券会社に相談することもある。独自のネットワークを活かし、M&Aの相手を紹介してくれる。 | 
| ファイナンシャルアドバイザー | 財務や金融関係の専門家として、M&Aの計画や交渉、クロージングなどに、一貫して対応してくれるケースがある。 | 
| 商工会・商工会議所 | 地域の商工会や商工会議所もM&Aの相談に対応している。助成金や補助金などを出しているケースもあるため、資金面の相談先としても選択肢に上がる。 | 
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事業会社が専門家に相談するメリット
ここでは、M&Aを専門家に相談するメリットを解説します。
適正な価格でM&Aを実行できる
譲受側、譲渡側どちらの場合においても、専門家に依頼すれば、適正な価格でM&Aを実現できます。さらに、不利な条件のM&Aを回避できる可能性も高くなるでしょう。不利な条件のM&Aは、後から問題が発生するケースもあります。そのため、クロージング(成約)前には、専門家を通した互いの条件確認が必要不可欠です。
スムーズにM&Aを進められる
知識や経験を持った専門家から適宜アドバイスを受けることで、スムーズにM&Aが進んでいきます。一方、専門家のアドバイスなしにM&Aを進めた場合は、契約不成立となる可能性が高くなるでしょう。さらに、時間がかかる、トラブルが発生するなどの危険性もあります。
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事業会社が専門家を選定する際のポイント
ここでは、M&Aの専門家を選定する際のポイントについて解説します。
費用を比較する
M&Aの専門家に依頼をすると、着手金・月額報酬・中間金・成功報酬などが発生します。依頼先によって費用設定は異なるため、あらかじめ金額を確認しておくとよいでしょう。必要な費用のうち、成功報酬の算出には、取引金額に応じて一定の報酬料率が定められたレーマン方式が採用されることが多い傾向です。
下記の表は、レーマン方式の報酬料率です。
| 報酬算出基準額 | 報酬料率 | 
|---|---|
| 5億円以下 | 5% | 
| 5億円以上~10億円以下 | 4% | 
| 10億円以上~50億円以下 | 3% | 
| 50億円以上~100億円以下 | 2% | 
| 100億円以上 | 1% | 
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サポート範囲を比較する
M&Aの専門家に依頼をする際には、プロセス全般に関わるサポート内容についてもあらかじめ確認しておきましょう。
専門家によっては、M&Aが完了した後のPMI(統合プロセス)までカバーしてくれることもあります。企業文化の違いによって思わぬトラブルが起きる可能性も考えられるため、そのようなケースまでサポートをしてくれる専門家に依頼をすると安心できます。
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M&A人材の確保のまとめ
M&A市場の拡大に伴い、会計・法務・税務の知識や業界への深い理解を持つM&A人材の需要が高まっています。しかし、M&Aの実務経験を豊富に持つ人材は限られており、社内での確保は容易ではありません。M&Aに詳しい人材が社内にいない場合は、外部の専門家への相談を積極的に検討することが重要です。
みつきコンサルティングは、みつき税理士法人グループのM&A仲介会社として15年以上の実績を持ちます。税理士法人グループであるため、M&Aありきの提案ではなく、社内承継や親族内承継を含む複数の選択肢を比較検討したうえで最適な方法をご提案します。さらに、債務超過や赤字企業に対しても、事業再生を通じて企業価値を向上させた上でM&Aを実施できる点が強みです。M&Aでお困りの際は、ぜひ当社にご相談ください。
著者

- 事業法人第三部長/M&A担当ディレクター
 - 
宅食事業を共同経営者として立ち上げ、CFOとして従事。みつきコンサルティングでは、会計・法務・労務の知見を活かし、業界を問わず、事業承継型・救済型・カーブアウト・MBO等、様々なニーズに即した多数の支援実績を誇る。M&Aの成約実績多数、M&A仲介・助言の経験年数は10年以上
監修:みつき税理士法人 
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