M&Aニーズの高い業種6選!業界別の動向・成約事例も紹介

日本では企業の合併・買収や業務提携、いわゆる「M&A」の件数が増加しています。自社のさまざまな課題を解決するために、現在M&Aを検討中の企業も多いことでしょう。本記事では、M&Aにおいてニーズ(需要)の高い業種や注目度の高い業種、それぞれの動向について解説します。

目次
  1. M&Aが増加している理由
    1. 人手不足を解消するため
    2. 後継者が不足しているため
    3. 経営を安定させるため
  2. M&Aの需要が高い業種6選
    1. 1.サービス業
    2. 2.建設業・物件管理業
    3. 3.情報通信・IT業
    4. 4.小売業
    5. 5.飲食業
    6. 6.製造業
  3. M&Aが注目される業種3選と将来動向
    1. 1.調剤薬局
    2. 2.ホテル業界
    3. 3.医療業界
  4. サービス業M&Aの成約事例
    1. ソニー・ライフケア株式会社×株式会社ゆうあいホールディングス
    2. 株式会社マイナビ×リヴォート株式会社
  5. 建設業・物件管理業M&Aの成約事例
    1. 高松建設株式会社×大昭工業株式会社
    2. 東邦ガス株式会社×株式会社ヤマサ
  6. 情報通信・IT業M&Aの成約事例
    1. 株式会社メルペイ×株式会社Origami
    2. 日本電気株式会社(NEC)×ARCON INFORMATICA S.A.
  7. 小売業M&Aの成約事例
    1. 株式会社アダストリア×プレティア・テクノロジーズ株式会社
    2. 株式会社アークス×株式会社オータニ
  8. 飲食業M&Aの成約事例
    1. 株式会社木曽路×株式会社大将軍
    2. アークランドサービスホールディングス株式会社×株式会社バックパッカーズ
  9. 製造業M&Aの成約事例
    1. ローツェ株式会社×株式会社イアス
    2. 株式会社ヨシムラ・フード・ホールディングス×株式会社丸太太兵衛小林製麺
  10. 業種別M&A よくある質問
    1. 同業種を選ぶべき?異業種を選ぶべき?
    2. 特定の業種に特化したM&A仲介会社はある?
  11. 業種別M&Aニーズのまとめ

M&Aが増加している理由

まずは、多くの日本企業が抱える課題を紹介するとともに、国内でM&Aが増加している理由を解説します。

人手不足を解消するため

日本では少子高齢化や技術革新などにより、人手不足に陥っている業界が数多くあります。M&Aを実施すれば、2つの企業の人材を合わせることが可能です。実際に、人手不足を解消するため、M&Aを選択する企業が増加しています。

後継者が不足しているため

株式会社帝国データバンクの調査(2022年)によると、約57.2%の企業が後継者不在の問題を抱えています。せっかく事業が軌道にのっても、引き継ぐ人材がいなければ事業を継続できず、最悪の場合は廃業に追い込まれてしまうでしょう。後継者不在の企業は、外部に事業を承継するためにM&Aを選択する場合が少なくありません。

※参考:全国企業「後継者不在率」動向調査(2022)|株式会社 帝国データバンク[TDB]

経営を安定させるため

企業間競争が激化するなか、多くの中小企業が倒産に追い込まれていることも、M&Aが増加している一因です。M&Aは、他社との協業を実現することにより、事業を継続しやすくなるというメリットがあります。一見すると安定的な業種でも、経営難により倒産する可能性はゼロではありません。経営の安定化を目指してM&Aを選択する企業は、今後も増えていくでしょう。

M&Aの需要が高い業種6選

ここからは、M&Aにおけるニーズ(需要)が高い6つの業種を紹介します。

1.サービス業

サービス業界では、長年人手不足が問題視されてきました。なかでも、介護業界の人材不足は深刻です。厚生労働省の調査によると、人材の不足感を訴える事業所は過半数を超えています。このような背景から、業務効率の向上を目的に、M&Aを実施する事例が増えています。譲受や譲渡の対象は、主に同業界の大手企業や、介護向けICT・AIシステムや介護ロボットを開発する企業です。

※参考:介護人材の確保・介護現場の革新 参考資料 厚生労働省

2.建設業・物件管理業

建設業・物件管理業は、同業種や隣接業種のM&Aが盛んな業界です。同業種に属する2社の販売網・ノウハウなどの経営資源を活かすことで、競争力の向上やシェア(市場占有率)の拡大にもつながっています。

3.情報通信・IT業

情報通信・IT業はめざましい技術革新を遂げており、まさしく日進月歩の世界です。技術が進歩するごとに、新しい技術に対応できる人材の確保が必要となるため、M&Aを実施するケース(事例)が数多くあります。また、人材確保を目的とし、異業種間のM&Aも積極的に行なわれている業界です。

4.小売業

小売業は、もともとM&Aが活発な業界として知られています。近年は、誰もが知っている大手企業同士のM&Aも増えており、多くの注目を集めています。小売業は以前から価格競争が激化しており、店舗の入れ替わりが激しい業界です。こうした背景から、生き残り戦略の1つとしてM&Aが選択される場合もあります。

5.飲食業

飲食業では、消費者のニーズ(需要)の多様化に対応するため、M&Aが盛んに実施されています。また、飲食業はサービス業と同様、人手不足が深刻化している業界です。そのため、効率化を目指したM&Aにも注目が集まっています。店舗を承継した時点で、サービスの提供エリアや客層が明確なため、譲受側にとっては「顧客選定の失敗が少ない」という点もメリットです。

6.製造業

製造業は、比較的M&Aが活発な業界として知られています。その専門性の高さから新規参入が難しく、譲受側が見つかりやすい業種です。近年は国内だけでなく、海外メーカー(製造業者)との競争に打ち勝つために、M&Aが選択されるケース(事例)も増えています。

M&Aが注目される業種3選と将来動向

続いては、M&Aにおける注目が高まっている3つの業種を紹介します。

1.調剤薬局

調剤薬局とは、病院から患者に処方された薬を、医師の指示に基づいて調剤する薬局のことです。

調剤薬局は人手不足が懸念されており、後継者問題に頭を悩ませている個人薬局も少なくありません。さらに、調剤報酬に関する改定にともなう収益減に対応するため、生き残り戦略としてM&Aが選択されるケースも増えています。業界を牽引する調剤薬局による大規模M&Aも相次いでおり、今後も目が離せません。

2.ホテル業界

ホテル業界では、コロナ禍の影響によってM&Aの件数が増加しました。現在でもその余波から、M&A市場は拡大の一途をたどっています。また、ホテル事業のコスト(費用)削減や運営体制の見直しのために、他社との協業を選択する企業も増加しています。今後は、利用者の多様なニーズ(需要)に対応するためのM&Aも増えていく見込みです。

3.医療業界

医療業界は、国による制度の緩和や新設など、業界再編が積極的に進められている業界です。また、後継者不足や医師の高齢化などの課題を抱えている医院も多いため、M&Aを選択する医院は今後も増えていくでしょう。

サービス業M&Aの成約事例

ここからは、業種ごとのM&Aの成功事例を紹介します。まずは、サービス業の成功事例からです。

ソニー・ライフケア株式会社×株式会社ゆうあいホールディングス

介護付き有料老人ホームを運営するソニー・ライフケア株式会社が、同業種の株式会社ゆうあいホールディングスを完全子会社化。介護事業の拡大と、サービス品質の向上を目的としたものです。

株式会社マイナビ×リヴォート株式会社

2021年11月、株式会社マイナビとリヴォート株式会社は資本業務提携契約を締結しました。株式会社マイナビが持つ不動産業界との強力なネットワークと、リヴォート株式会社のデジタルソリューションをかけ合わせ、不動産業界のビジネスモデルの変革を図るねらいです。

建設業・物件管理業M&Aの成約事例

次に、建設業・物件管理業におけるM&Aの成功事例を紹介します。

高松建設株式会社×大昭工業株式会社

高松建設株式会社は、大阪府高槻市の地場建設会社の大昭工業株式会社を子会社化しました。⼤昭⼯業株式会社が保有する不動産の有効活⽤や、両者の経営資源の相互活用による受注数増加を目的としたものです。

東邦ガス株式会社×株式会社ヤマサ

愛知・岐阜・三重の3県にガスを供給する東邦ガス株式会社は、株式会社ヤマサを子会社化しました。このM&Aのねらいとしては、株式会社ヤマサのLPガス事業を吸収し、都市ガス・LPガス・電気の3つのエネルギーを包括的に提供することが挙げられます。

情報通信・IT業M&Aの成約事例

次に、情報通信・IT業におけるM&Aの成功事例を紹介します。

株式会社メルペイ×株式会社Origami

株式会社メルカリの子会社である株式会社メルペイが、同業種の株式会社Origamiを子会社化しました。ともにスマートフォン決済事業を行なう両者の強みを活かし、業界での競争力を高める目的です。

日本電気株式会社(NEC)×ARCON INFORMATICA S.A.

日本国内企業が、海外の企業を子会社化する事例もあります。日本電気株式会社(NEC)は、2016年8月にブラジルのITセキュリティ会社、ARCON INFORMATICA S.A.を子会社化しました。これによって、ARCON INFORMATICA S.A.が保有するITセキュリティ領域の技術・ノウハウを活用し、現地でのITセキュリティ事業を推進することが可能です。

小売業M&Aの成約事例

次に、小売業におけるM&Aの成功事例を紹介します。

株式会社アダストリア×プレティア・テクノロジーズ株式会社

衣料品類の企画・販売を手掛ける株式会社アダストリアと、ARクラウドをはじめとしたアルゴリズムの研究・開発を手掛ける、プレティア・テクノロジーズ株式会社が資本提携を発表しました。これは、アパレル小売領域におけるDXを推進し、顧客に新しい体験を提供することが目的です。

株式会社アークス×株式会社オータニ

北海道や東北地方でスーパーマーケットを展開する株式会社アークスは、栃木県を中心にスーパーマーケットを展開する株式会社オータニを完全子会社化しました。これによって、株式会社オータニの営業基盤を獲得し、関東進出の足がかりとすることができます。

飲食業M&Aの成約事例

次に、飲食業におけるM&Aの成功事例を紹介します。

株式会社木曽路×株式会社大将軍

愛知県名古屋市に本社を構え、多ジャンルの飲食店を展開する株式会社木曽路が、関東地方を中心に焼肉店を手掛ける株式会社大将軍を完全子会社化しました。両社の強みを生かして、より付加価値の高い店舗運営を実現し、業績向上を図るねらいです。

アークランドサービスホールディングス株式会社×株式会社バックパッカーズ

カツ丼専門店「かつ屋」を運営するアークランドサービスホールディングス株式会社が、株式会社バックパッカーズを子会社化しました。この戦略によって、譲渡側に譲受側のノウハウを注ぎこみ、さらなる事業拡大と新業態のコンセプト開発能力強化を目指します。

製造業M&Aの成約事例

最後に、製造業におけるM&Aの成功事例を紹介します。

ローツェ株式会社×株式会社イアス

半導体製造装置メーカーのローツェ株式会社は、同業種の株式会社イアスを完全子会社化しました。これは、両社の技術を融合し、次世代製品開発を推し進めることが目的です。

株式会社ヨシムラ・フード・ホールディングス×株式会社丸太太兵衛小林製麺

株式会社ヨシムラ・フード・ホールディングスは、札幌市で生麺を中心とする製造・販売業を展開する、株式会社丸太太兵衛小林製麺を完全子会社化しました。譲受側は、後継者問題や成長停滞など、さまざまな課題を抱える中小食品メーカーを支援する「中小企業支援プラットフォーム」事業を実施しており、今回のM&Aもその一環とみられます。

業種別M&A よくある質問

業種別のM&Aについて、よくある質問にお答えします。

同業種を選ぶべき?異業種を選ぶべき?

同業他社とのM&Aを実施すれば、互いの経営資源を活用した相乗効果を期待できます。一方、異業種とのM&Aは、事業への新規参入のニーズ(需要)を満たせる点がメリットです。双方のメリットを把握したうえで、自社にとって最適な方法を選びましょう。

特定の業種に特化したM&A仲介会社はある?

M&A仲介会社のなかには、特定の業種に特化したサービスを展開している会社もあります。特殊な業界におけるM&Aは、特化型の仲介会社への相談がおすすめです。

業種別M&Aニーズのまとめ

M&Aにおいてニーズ(需要)が高い業種は、主に「サービス業」「建設・物件管理業」「情報通信・IT業」「小売業」「飲食業」「製造業」の6種です。M&Aを成功させるためには、自社や譲受側・譲渡側、それぞれの業界の動向をしっかり把握する必要があるでしょう。

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著者

西尾崇
西尾崇事業法人第三部長
宅食事業を共同経営者として立ち上げ、CFOとして従事。みつきコンサルティングでは、会計・法務・労務の知見を活かし、業界を問わず、事業承継型・救済型・カーブアウト・MBO等、様々なニーズに即した多数の支援実績を誇る。
監修:みつき税理士法人

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