バイアウト・イグジット徹底解説!成功の秘訣と注意点

バイアウト・イグジット戦略の徹底解説と成功の秘訣、注意点を有益な情報と共に提供。違いや種類、適切なタイミングと進め方、専門機関との連携、事業譲渡と会社売却の重要ポイントを探求。

バイアウトとイグジットの違いとは?

「バイアウト」

バイアウト

バイアウトとイグジットの基本的な意味

バイアウトとイグジットは、企業経営において重要な概念であり、目的と手法が異なります。バイアウトは、企業内部の人間が株式の一部または全部を取得することで、経営権を握ることを表しています。一方、イグジットは、投資家が保有している企業の株式や資産を売却することで、利益を得ることを主眼としています。株式の売却方法にはIPOやM&Aなどがあり、投資家は状況に応じて最適な手法を選択することとなります。

バイアウトの全体像:種類とその目的

バイアウトには、MBO(マネジメント・バイアウト)、LBO(レバレッジド・バイアウト)、MBOとLBOの組み合わせ、EBO(エンプロイ・バイアウト)などの種類があります。それぞれの目的は、企業価値の向上、事業再構築、経営者の権益確保などであり、企業のニーズに合わせて選択されことになります。手法毎に特色があるため、どの手法を使うかについては、専門家と相談し、適切なバイアウト手法を選択することが重要となります。

MBO(マネジメント・バイアウト)

MBO(マネジメント・バイアウト)とは

EBO(エンプロイ・バイアウト)

EBO(エンプロイ・バイアウト)とは

LBO(レバレッジド・バイアウト)

LBO(レバレッジド・バイアウト)とは

各バイアウト手法の特徴と活用事例

MBO(マネジメント・バイアウト)は、経営者が自社株式を取得し、経営の自主性を確保する手法で、事業承継や企業の成長戦略を推進する際に活用されています。経営者の高齢化や後継者不在が課題となる中小企業において主に用いられる手法です。

LBO(レバレッジド・バイアウト)は、買収資金の大部分を借入などの資金調達を行い買収する方法で、少ない自己資金で買収を実行できるため、ビジネスの機会創出する効果があります。一方で、借入を伴うためリスクがあります。具体的には、再生案件やPE投資などへの投資で利用されることが多い手法です。

EBO(エンプロイー・バイアウト)は、従業員が自社株式を取得し、経営権を取得する手法です。EBOは、後継者不在の中小企業で行われる手法で、従業員の意識向上や経営参加による企業価値の向上が期待できます。

バイアウト実施の際の注意点と成功の秘訣

バイアウトは経営者や投資家にとって有効な戦略の一つですが、バイアウトが成功するためには、いくつかの注意点が存在します。

1点目の注意事項は、企業価値評価です。適切な評価額の設定がバイアウト成功のカギとなるため、企業評価に際しては、専門家などのサポートを受けると良いでしょう。

2点目は、事業の成長性です。バイアウト後に事業が成長して利益が上がることが期待できる場合、より高い価格で売却することが可能となります。

3点目は、適切なタイミングで計画的に実施することです。イグジット戦略にはMBOやLBO、EBOなど複数の手法が存在しますが、それぞれの企業に適した方法を検討し、取引のタイミングを見極める必要があります。また、市場の状況や競合他社の動向に注視し、一般的な手法だけでなく独自の戦略を立てることも大切です。

最後に、バイアウト実施前の事前準備が成功のカギとなります。事業売却に際して、事業の強みや弱みを整理し、買い手に対して自社の魅力をアピールすることが重要となります。

イグジット戦略の全体像:種類とその目的

イグジットは、企業経営者や投資家が保有している株を売却することで、目的は投資回収や事業価値の最大化です。イグジットの手法は主に以下の3つがあります。

  • IPO(株式公開)
    • 企業が株式市場に上場し、株式を売却することで資金調達を行う方法です。株式上場により、企業価値が向上し、投資家にとって利益の最大化が期待できます。
  • 事業売却(M&A)
    • 事業の一部または全部を別の企業や投資家に売却する手法です。後継者問題の解決や事業再編の目的で実行されることが多く、中小企業で最も多く採用されているイグジット手法です。
  • MBO(マネジメント・バイアウト)
    • 経営陣が自社株式を取得し、経営権を持つことで事業の効率化や価値向上を目指す方法です。

これらのイグジット戦略は、事業の成長や収益性を最大化するために実行されますが、適切なイグジット戦略の選択は企業の状況や目的によって異なります。適切な戦略を選択し、効果的な結果を得ることが重要です。

IPOや事業売却などのイグジット手法

イグジット戦略には複数の手法が存在し、状況に応じ適切な手法を選択することが重要です。本章では、IPOや事業売却(M&A)などの一般的な手法について解説します。

IPOは企業が株式市場に上場し、新たな資金を調達する方法であり、株式売却による資金調達や企業価値向上、株式の流動性確保が目的です。しかし、上場準備や運営コストが高く、市場の厳しい審査に合格する必要があり、希望した企業の全てが採用できる手法ではありません。

事業売却(M&A)は、事業の一部または全部を他の企業や投資家に譲渡する手法です。事業売却(M&A)によって経営者利益の獲得や雇用の安定化、事業の再編が可能となるなど効果の高い手法ですが、一方で、適切な譲渡価格の設定や買い手の確保及びその交渉などが課題となります。

イグジット戦略の適切なタイミングと進め方

イグジット戦略を成功させるためには、適切なタイミングで計画的に実施することが重要です。具体的には、市場状況や競合他社の動向を踏まえた上で、自社の事業状況に最適なイグジット手法を選択します。また、適切な企業価値評価や買い手の調査を行い、綿密なイグジット戦略を立案します。

イグジット戦略の進め方は、手法によって異なります。IPOでは上場準備や財務諸表の整備、株式公開に際しての審査や取引所との協議が不可欠です。事業売却(M&A)では、提案資料の作成や買い手の募集、譲渡価格の算定が重要なポイントとなります。また、イグジット戦略を進める際には、自社事業の強みや将来性をアピールすることも重要となりますので、専門家や支援機関と連携し、適切なアドバイスを受けることで、イグジット戦略の成功確率を高めることができます。

事業譲渡と株式譲渡の違いと重要ポイント

事業譲渡と株式譲渡は、企業の経営者が資金調達や戦略的目的のために行う手法ですが、その違いと重要なポイントについて解説します。

事業譲渡は、会社の一部または全事業を別の企業に移管する方法であり、株式譲渡は、株式の売買により企業全体の所有権を移転させる方法です。

具体的には、事業譲渡では資産や従業員、取引先との契約など事業に関連するものを個別に特定して譲渡移転する取引となります。したがって、営業許可や取引先との基本契約、従業員との雇用契約などは、基本的には締結のし直しとなります。一方で、株式譲渡では、株の移転効果は、基本的には株主が変わるにとどまり、雇用契約や取引先との契約は維持されます。

重要なポイントは、それぞれの手法で取引リスクや税務処理が異なるため、専門的な知識や専門家への相談が不可欠であるという点です。

それぞれの手法における金融・法務面の留意点

事業譲渡と株式譲渡の違いに伴い、金融・法務面で留意すべき点も存在します。事業譲渡においては、譲渡対価の税務処理や法令の確認が重要です。また、移転後の事業継続性や、従業員や取引先との契約も再締結が必要となります。

株式譲渡では、企業価値評価の妥当性や、株式売買契約内容につき、必要事項に関して適切な取り決めがなされているかが重要となります。また、定款に則った社内手続きの実施、監査機関への報告、株主総会決議など、一連の必要不可欠な手続きが適切に行われることが求められます。

事業譲渡と株式譲渡、いずれの手法もリスクを伴いますが、専門家からの適切なアドバイスとサポートを活用することにより、取引を成功へと導くことが可能となります。

事業譲渡のメリット

本章では、事業譲渡のメリットについて解説します。

一部の事業のみ売却できる(譲渡側)

株式譲渡では、譲渡側が譲受側の子会社となる事例がほとんどですが、事業譲渡では、非譲渡事業は存続するため譲受側の子会社とはなりません。したがって、事業譲渡は、非採算事業のみを手放して、経営資源を採算事業に集中させたい場合などに使われます。さらに、残された事業に売却益を投資することで、収益性の向上が期待できます。

企業を存続できる(譲渡側)

事業譲渡は、企業を売却するM&Aではなく、一部事業のみを譲渡する手法ですので、譲渡側は経営権を維持でき、企業の存続が可能です。また、事業譲渡の譲渡益を活用して、財務の健全化や新規事業の展開も可能となります。

簿外債務などのリスクを回避できる(譲受側)

事業譲渡では、必要とする経営資源のみを取得するため、簿外債務などのリスクを回避できます。一方で、株式譲渡は企業全体を引き継ぐ手法であるため、リスクを避けられない手法となります。したがって、リスクを避けるために、意図的に事業譲渡を選択するケースもあります。

節税効果が得られる(譲受側)

事業譲渡によってのれんや償却資産を引き継ぎ、償却すると資金の流出はない損失が計上されるため、節税につながります。節税対策と事業取得の両方が可能であることは事業譲渡の大きなメリットと言えます。

株式譲渡のメリット

本章では、株式譲渡のメリットについて解説します。

会社のすべてのリソースを引き継ぐことができる

株式譲渡の場合は、株主が代わるだけで会社はそのまま存続するため、従業員や取引先等との契約や許認可をそのまま引き継ぐことが可能となります。

取引が簡易である

債権者保護の手続きや公告が原則不要であり、他の事業譲渡と比較して手続きが容易です。

買収・バイアウト関連の専門機関とその活用法

買収やバイアウトに取り組む際には、専門的な知識やノウハウが必要になるため、自社だけで取引を進めるのは難しく、専門家のサポートが必須となります。この記事では、買収・バイアウトを検討中の経営者に向けて、専門家の種類や、選び方をわかりやすく解説しますので、ぜひ役立ててください。

金融機関

近年、メガバンクに加え、地銀や信用金庫などの銀行でもM&Aに積極的に取り組んでおり、普段から取引している金融機関へも相談することができるようになっています。金融機関は、金融機関固有のネットワークを有していること、M&Aに伴う資金面の相談がしやすいことが主な特色です。一方で金融機関はマッチングをメインとし、M&A業務は提携コンサルへ紹介する金融機関も多いことや、金融機関の取引先である地場のオーナー企業とのマッチングが多く、情報漏洩のリスクが比較的高いこと、さらに、メガバンクへの相談の場合は、成功報酬が高額となるケースが多いことなど注意を要します。メガバンクは、M&Aのなかでも主に大型案件を扱っています。

M&A仲介会社

M&A仲介会社は、同一のM&Aアドバイザーが譲渡側と譲受側の間に立ち、交渉の仲介を行い、中立的な立場でM&Aの成立に向けて助言業務を行なうことをいいます。言い換えると、M&A仲介には、譲渡企業・譲受企業ともに、それぞれの目的を最大化できるように交渉を進める役割があります。

 また、M&Aを成約に導く過程では、法務的手続きや税務会計処理、買手企業の選定まで、幅広い経験が必要となり、譲渡企業と譲受企業のマッチングに成功してからも、双方の利害関係を調整しつつ、案件ごとに複雑なプロセスを進める必要があります。M&A仲介会社は、こうした各プロセスを譲渡側と譲受側の中立的な立場からサポートし、M&Aを成功に導く存在であると言えます

 参考までに、中小規模のM&Aは仲介会社への依頼が多くを占めております。なぜなら、国内のM&Aは、ほとんどが友好的に行われており、M&A仲介会社が両者のバランスをとりながら進める仲介方式のほうがM&Aがまとまりやすいためです。

専門機関との連携による事業承継の成功ポイント

専門機関と連携し事業承継を成功させるための重要なポイントは以下の通りです。

  • 良質なアドバイザーとの関係構築
  • 適切な評価額の設定
  • 効果的な資金調達計画の策定
  • 人材戦略の見直し
  • 業務効率化や収益向上策の推進

専門機関を活用し事業承継を円滑に進めるためには、適切なアドバイザー選定が重要です。また、評価額や資金調達に関する正確な情報を得ることも重要です。さらに、事業承継後の人材戦略や経営改革を考慮し、業務効率化や収益向上策を適切に導入することで、事業の持続的な成長が促されまる。

これらのポイントを押さえつつ、専門機関との連携を深めることが、事業承継の成功への道筋です。

バイアウト・イグジット戦略実施のためのチェックポイント

バイアウトやイグジット戦略を実施する際のチェックポイントは以下の通りです。

  • 目標とする事業価値の明確化
  • 経営陣や収益性の検証
  • 適切な資金調達手法の選択
  • 周囲の利害関係者との調整
  • タイミングや市場状況の理解

まず、目標となる事業価値を明確に設定し、達成のための計画を立てることが重要となります。次に、事業の持続的な成長を担保するために、経営陣の選定や収益性を検証します。また、資金調達については複数の手法が存在するため、事業規模や目的に応じて最適な方法を選ぶ必要があります。さらに、利害関係者と円滑な調整を行い、計画通りのバイアウトやイグジットの実現を目指します。

事前準備

本章では、バイアウト・イグジッド戦略に取り組むにあたり、経営者及び株主がなすべき事前準備について解説します。事前に検討すべき点は以下となります。

  • 事業の目的と経営方針の明確化
  • 資金調達や株式売却の必要性の検証
  • 金融機関や投資家との関係構築
  • 適切な企業価値算定の実施
  • 法務や税務に関する専門知識の習得
  • 売却や投資対象企業の選定基準の設定
  • 自社の強みや競合他社との違いの明確化
  • 中小企業向け支援サービスや資金調達の機関が提供する無料相談の活用
  • 社内外の人材や専門家との連携強化

適切な事前準備を行うことにより、効果的なイグジット・バイアウト戦略の立案が可能となり、取引を成功へと導くことが可能となります。

戦略立案のポイント

様々なケースに対応できる戦略立案のポイントは、次のようにまとめられる。

  • 市場動向の把握と分析
  • 株主や金融機関の要求や期待を考慮
  • メリット・デメリットの比較検討
  • バイアウトやM&A、IPOなど各種手法の特徴分析
  • 自社の事業目的や資本政策に合った戦略選択

これらのポイントを踏まえた戦略立案によって、企業は各種局面において迅速かつ柔軟な対応が可能となる。また、事業の成長と収益性を向上させ、企業価値の最大化を目指すことができる。適切な戦略立案には、市場知識や専門知識を持つ社内外の人材と連携し、最適な経営戦略を策定することが求められる。

バイアウト・イグジット戦略成功の秘訣とまとめ

バイアウト・イグジット戦略成功の秘訣は以下となります。

  • 目的や企業価値に応じた適切な手法選択
  • 株主や金融機関との良好な関係構築
  • サポート体制や専門知識を持つチーム編成
  • 事業リスクの評価と適切な対策の実施

これらを踏まえ、適切なバイアウト・イグジット戦略を実行することで、企業は成長と価値向上を図ることが可能となります。バイアウト・イグジット戦略の策定や実行にあたっては、専門家や支援機関のサービスを活用し、最適な経営判断を行うことが特に重要となります。

みつきコンサルティングは、税理士法人グループのM&A仲介会社として15年以上の業歴があり、中小企業M&Aに特化した経験実績が豊富なM&Aアドバイザーが多数在籍しております。  みつき税理士法人と連携することにより、税務面や法律面のサポートもワンストップで対応可能ですので、バイアウト・イグジット戦略をご検討の際は、成功するM&A仲介で実績のある、みつきコンサルティングに是非ご相談ください。

著者

竹内忍
竹内忍執行役員 名古屋事業法人第一部長
国内商業銀行において、法人向けファイナンスのスペシャリストとして活躍。貸出先企業に対して多彩な経営支援を行うコンサルティング室のリーダーとして、幅広い業界での支援実績を残す。みつきコンサルティングでは、ITから製造業まで幅広い領域をカバーし、多様な支援実績を有する。
監修:みつき税理士法人