M&Aの流れを仲介会社が解説|中小企業の売却プロセス・進め方

M&Aのプロセスは、多くの段階を経て進みます。M&Aとは、企業の一部または全部を譲渡する手続です。本記事では、M&Aの基本的な流れ、各ステップのスケジュール、そして成功への進め方を詳細に解説します。

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M&Aプロセスの全体像

M&Aは、会社の未来を左右する重要な手続です。その流れを正確に理解することは、譲渡オーナーにとっても、譲受企業にとっても、極めて大切になります。全体像を把握することで、次に何をすべきか、今何が必要なのかが明確になるでしょう。

M&Aの期間、その多様なスケジュール

M&Aにかかる期間は、案件によって大きく異なります。短い場合は2~3月以内という特殊例もありますが、平均的には半年~1年程度が一般的です。長いケースでは2~3年に及ぶこともあります。これは、譲渡オーナーの希望条件が高すぎたり、魅力的な譲受企業が見つからない場合などに起こり得る現象です。

M&Aの二段階に分かれるフロー

M&Aのプロセスは、大きく二つのフェーズに分けられます。最初のフェーズでは、複数の譲受候補に打診し、初期的な条件提示を受けます。次のフェーズでは、その中から絞り込んだ少数の譲受企業に対し、さらに詳細な情報を開示し、深い交渉へと進む手続です。この二段階の進め方には、売り手と買い手双方にとって合理的な理由があります。

一般的なM&Aご成約までの流れ

Step1: M&A 進め方と情報開示の原則

M&Aの第一段階では、譲渡オーナーは多くの譲受候補に情報を開示しますが、その内容は匿名性が高く、限定的です。これは、まだ初期段階であるため、会社の機密情報をむやみに公開したくないという譲渡オーナーの意向が反映されています。情報漏洩のリスクを最小限に抑えつつ、広く候補を探るための重要なプロセスです。

Step2: M&A 手順と詳細な情報共有

第二段階に進む譲受企業は、譲渡オーナーが「買っても良い」と考える意欲の高い候補です。この段階では、より機密性の高い情報が開示され、詳細な調査が行われます。譲受企業も多額の調査費用を負担するため、真剣な検討を伴う手続となります。

以下では、より詳細にM&Aの流れを説明していきます。

フェーズ1.M&Aの初期的検討・準備~価値評価のフロー

M&Aの最初の段階は、譲渡オーナー自身の内なる検討と準備から始まります。この準備段階が、M&A成功の土台を築く非常に重要な手続と言えるでしょう。

初期的な検討、M&Aの意義を考える

まずは、ご自身の会社の経営課題や事業環境をじっくりと見つめ直し、M&Aが本当に有効な選択肢なのかを検討します。譲渡対価、役員や従業員の処遇、個人保証の解除など、譲渡オーナーが絶対に譲れない条件や優先順位を明確にしておくことが、その後の交渉プロセスにおいてぶれない軸となります。

M&A仲介会社への相談、準備期間の設け方

初期検討段階でM&A仲介会社に相談することで、多くのM&A事例を聞き、ご自身の考えを整理できるでしょう。場合によっては、売却プロセスを開始する前に数ヶ月から数年の準備期間を設ける方が良いと判断されることもあります。特定の課題を解決したり、会社の成長性を高めてからM&Aに臨むことで、より良い条件での譲渡に繋がる可能性が高まります。

秘密保持契約書(NDA)の締結、情報管理の厳格な手順

M&A仲介会社との間で、秘密保持契約書(NDA)を締結することは、情報管理の観点から極めて重要です。M&Aを検討しているという情報が漏洩すると、従業員の不安や退職、取引条件の悪化など、様々なリスクが発生しかねません。情報開示の段階に応じて、適切なNDAを結び、機密情報を守る流れを徹底します。

NDAの役割とM&Aにおける情報管理の重要性

NDAは、自社のM&A検討に関する情報が外部に漏れないように約束する契約であり、守秘義務の遵守を法的に担保するものです。特に、多数の譲受企業に打診する場合、ティザー(ノンネームシート)の開示に先立ってNDAを締結することが一般的です。機密性の高い情報は、NDAがなければ決して開示してはいけない、という原則を忘れてはなりません。

アドバイザリー契約の締結、M&A支援のプロセス開始

M&Aの具体的な検討を進めることを決めたら、M&A仲介会社とアドバイザリー契約を結びます。この契約には、アドバイザーの業務内容、報酬体系、秘密保持義務などが規定されています。着手金や月額報酬が発生するケースもあるため、事前にしっかりと確認することが大切です。

アドバイザリー契約後の M&A 進め方と要件整理

アドバイザリー契約締結後、M&Aアドバイザーは簡易的な企業価値算定を行い、譲受候補企業との交渉に向けた重要な要件を整理していきます。どのような譲受企業をターゲットにするか、譲渡オーナーの希望条件などを明確にする手続です。なお、2024年4月からは、一部の悪質なM&A業者を牽制するため、M&A会社が重要事項を説明することが義務化されており、譲渡オーナーを保護する動きが進んでいます。

企業価値評価の実施、適正価格を見定める

譲渡オーナーから提供された資料(決算書・科目明細、試算表など)をもとに、アドバイザーが企業の簡易的な価値評価を行います。評価方法には、コストアプローチ法、インカムアプローチ法、マーケットアプローチ法など様々ありますが、これらを通じて譲渡オーナーが期待する譲渡価格と市場の妥当な評価額の目線をすり合わせる重要なプロセスです。

フェーズ2.M&Aの交渉先の選定・打診~出会いのプロセス

準備が整ったら、次は譲受企業候補を探し、アプローチを開始する段階です。これはM&Aの成否を大きく左右する、重要なプロセスになります。

お相手候補先リストの作成、ターゲット選定

M&Aアドバイザーは、譲渡オーナーからヒアリングした事業内容や経営課題に基づき、譲受候補企業のリストを作成します。候補はロングリスト(多くの候補)やショートリスト(厳選した候補)としてまとめられます。譲渡オーナーが「打診してほしくない」と考える企業があれば、この時点で除外することが可能です。

買収者候補選定におけるM&A戦略とシナジーの考慮

譲受企業候補を選定する際は、単に数が多いだけでなく、どの企業が対象会社に最も興味を持ち、シナジー効果を生み出せるかを深く考えることが重要です。特に事業上の関係性がある候補は、譲受の可能性が高い傾向があります。また、譲受企業側の資金力やM&A後の事業運営、組織維持の観点も踏まえて、幅広い候補と交渉する価値は十分にあります。

ノンネームでの打診、匿名性を保つ

作成したリストに基づき、M&Aアドバイザーが譲受候補企業に匿名で打診を行います。この際に用いるのが「ノンネームシート」(ティザーとも呼ばれます)です。ノンネームシートには、会社名が特定されない範囲で、事業内容や所在地、社員数、財務データなど、簡易的な情報がまとめられています。情報が少なすぎると魅力が伝わらず、多すぎると特定されるリスクがあるため、情報のバランス調整には細心の注意を払う必要があります。

ノンネームシート作成とM&Aの進め方への効果

ノンネームシートは、譲渡オーナーの情報を伏せたまま、多数の譲受候補にM&A情報を提供する上で不可欠な書類です。この資料が魅力的であればあるほど、譲受候補からの関心が高まり、その後のプロセスへスムーズに進む可能性が高まります。プロのM&Aアドバイザーが作成することで、対象会社の魅力を最大限に引き出し、最適な譲受企業と出会える確率を高めることができます。

企業概要書(IM)の開示、詳細情報共有のM&A手順

ノンネームシートに関心を持った譲受候補企業に対しては、秘密保持契約(NDA)を締結した後、「企業概要書」(IM:Information Memorandum)が開示されます。IMには、会社の詳細な事業内容、財務状況、市場環境、プロジェクション(事業計画)などが記載され、譲渡企業の社名が開示されます(ネームクリア)。これは、譲受企業がM&Aを本格的に検討するための重要な資料です。

IM作成のM&Aフローと譲渡オーナーの役割

IMは、対象会社の本質的な価値や魅力を正確に譲受企業に伝えるための「会社の履歴書」のようなものです。M&A仲介会社が譲渡オーナーから収集した情報を適切に、そして余すことなく記載することが求められます。譲受企業はIMの内容を深く検討し、その後の意向表明書作成の判断材料とします。

トップ面談の実施、経営者同士の直接対話

企業概要書の内容を踏まえ、特に関心を持った数社(通常3~4社)の譲受候補企業と、譲渡オーナーとの間でトップ面談が実施されます。この面談の主な目的は、お互いの経営ビジョンや事業内容、企業文化への理解を深めることです。この段階では、譲渡価格などの条件交渉は行わないのが一般的です。

トップ面談の成功ポイント

トップ面談は、譲渡オーナーと譲受企業の経営者が直接対話できる貴重な機会です。資料だけでは伝わらない「想い」や「熱意」を伝えることで、候補先の優先順位が大きく変わることもあります。面談に際しては、想定問答集の作成や、自社の強み・魅力を論理的に説明できるよう、十分な準備が求められます。誠実な姿勢で臨むことが、信頼関係構築の第一歩です。

フェーズ3:M&A契約の条件交渉~成約・クロージングの最終プロセス

トップ面談を経て、譲受候補を1社に絞り込み、いよいよ具体的な条件交渉から最終契約、そしてクロージングへと進む最終段階です。

意向表明の提出、譲受の意思を示す M&A 手順

トップ面談後、本格的に譲受の意思を固めた譲受候補企業から、譲渡オーナーに対して「意向表明書」(LOI:Letter of Intent)が提出されます。この書類には、譲受を検討する背景、譲受後の運営方針、そして譲渡価格などの基本的な条件が記載されています。意向表明書は通常、法的拘束力を持たない形で提出されることが多いですが、その内容は譲渡オーナーにとって非常に重要な判断材料となります。

意向表明書の内容とM&Aスケジュールへの影響

意向表明書は、譲渡オーナーにとって、譲受企業の真剣度や希望条件を知るための重要な機会です。特に、価格だけでなく、譲渡後の経営方針、従業員の処遇、譲渡オーナーの関与度など、様々な条件が提示されます。譲渡オーナー側でひな型を作成し、知りたい項目を盛り込んでおくことで、より多くの情報を引き出すことが可能です。これは、後々の交渉をスムーズに進める上で非常に有効な手続と言えるでしょう。

基本合意の締結、独占交渉権の設定を含むM&Aフロー

複数の譲受候補企業から意向表明書が提出された場合、その中から譲渡オーナーが最も良いと判断する1社を選び、「基本合意書」を締結します。基本合意書には、M&Aのスキーム、取引価格、今後のスケジュール、デューデリジェンスへの協力、そして譲受企業に対する独占交渉権の付与などが規定されます。一般的に、基本合意書に記載される条件の多くは法的拘束力を持たないものの、独占交渉権については法的拘束力を持たせることが通常です。

基本合意書の重要性とM&A交渉における役割

基本合意書は、M&Aの方向性を明確にし、その後の詳細な調査と交渉を進めるための重要な中間合意です。これにより、譲受企業は安心してデューデリジェンスに多大な費用と時間を投入できるようになります。譲渡オーナーにとっては、この段階で譲受企業との信頼関係を一層強固にし、最終契約に向けた土台を築く重要な手続となります。しかし、デューデリジェンスの結果によっては、条件の変更や修正が生じる可能性があることも覚悟しておく必要があります。

デューデリジェンス(DD)の実施

基本合意書が締結されると、譲受企業は、譲受対象会社の詳細な調査であるデューデリジェンス(DD)を実施します。この「買収監査」は、財務、税務、法務、労務、事業、ITなど、あらゆる側面から対象会社の状態を検証する手続です。譲受企業が費用を負担し、公認会計士や弁護士などの外部専門家が調査に当たることが多く、機密性の高い情報が開示されます。

DDのM&A進め方と円滑な情報開示のポイント

DDは通常、1週間から2ヶ月程度の期間を要し、多くの資料開示が求められます。譲渡オーナーは、スムーズなDDのために、早い段階から資料を準備しておくことが重要です。もし簿外債務や労務問題など、譲受企業にとって不都合な情報が見つかった場合でも、隠さずに早期に開示することが大切です。後になって発覚すると、譲渡オーナーの印象が悪くなり、交渉が難航するリスクがあるためです。誠実な対応が、M&Aの成功に繋がる不可欠な要素です。

M&AスケジュールにおけるQ&Aセッションの重要性

デューデリジェンスの過程では、譲受企業やその専門家からの質問に対し、譲渡オーナーが回答するQ&Aセッションが頻繁に行われます。これは「マネジメントインタビュー」とも呼ばれ、資料だけでは把握できない詳細な情報や、会社の経営実態について深く掘り下げる機会です。質問に迅速かつ正確に回答することで、譲受企業の理解を深め、信頼を構築する重要な手続となります。

最終条件の調整、譲渡価格とその他条件の交渉フロー

デューデリジェンスが終了すると、譲受企業は調査結果を踏まえ、最終的な買収条件を提示します。この段階で、意向表明書に記載された条件から価格が減額されることも少なくありません。価格だけでなく、表明保証条項や補償条項、クロージング前提条件など、最終契約書に盛り込まれる様々な条項について、詳細な交渉が行われます。

M&A交渉における譲渡オーナーの譲れない条件

譲渡オーナーにとって「絶対に譲れない条件」がある場合は、早い段階で譲受企業に伝え、合意を得ておくことが交渉を円滑に進める秘訣です。最終交渉段階で初めてそのような条件を提示すると、譲受企業が再検討を迫られ、交渉が難航する原因となり得ます。譲渡価格だけでなく、譲渡後の経営関与、従業員の雇用、決済条件など、多岐にわたる条件を慎重に調整する流れとなります。

最終契約の締結とクロージング、M&A成立の手順

最終条件の交渉を経て、双方の合意が得られれば、最終契約書を締結します。実務では「SPA(Share Purchase Agreement)」や「DA(Definitive Agreement)」とも呼ばれるこの契約書は、株式譲渡契約書や事業譲渡契約書など、具体的なM&Aスキームに応じた確定的な契約書です。契約締結後、代金の支払いと株式の引き渡しが行われ、M&Aが完了します(クロージング)。

契約日とクロージング日、M&Aスケジュールの違い

最終契約書の締結日とクロージング日は、同日に行われることもありますが、数週間から1ヶ月程度期間が空くケースも多いです。この期間は「クロージング前提条件(CP:Condition Precedent)」を満たすための手続を行うために設けられます。例えば、譲受企業が資金調達を行う必要がある場合や、主要な取引先への通知・挨拶、特定の覚書の締結などがCPとして設定されることがあります。

クロージングの具体的なプロセス

クロージングでは、譲受企業が代金を譲渡オーナーに払い込み、譲渡オーナーはそれと引き換えに株式を譲受企業へ引き渡します。この手続は、銀行の振込確認や株式名義書換請求書の授受など、厳密なフローで行われます。これでM&Aの取引は完了し、新たな経営体制へと移行する重要な節目となります。

M&A後の情報開示と引継ぎ、円滑な移行のための進め方

M&Aの実行後も、譲渡オーナーの役割は続きます。従業員への説明、取引先への挨拶など、M&A後の情報開示と円滑な引継ぎが求められます。譲受企業も、適時開示制度に基づき、ホームページなどでプレスリリースとしてM&Aの事実を開示することがあります。

M&A後の従業員・取引先への対応スケジュール

M&Aのクロージング直後に情報開示を行うのが一般的ですが、会社の規模や社員の状況によっては、クロージング前に幹部社員やキーパーソンに説明するケースもあります。譲渡オーナーは、譲渡後も一定期間社長等として会社に残ることもあれば、一線は退きつつも顧問等として関与することもあります。いずれの場合も、残された従業員や取引先が不安を感じないよう、最大限協力する姿勢が非常に重要です。これは、新しい体制での事業の継続性を確保するために不可欠な手続であり、譲渡オーナーの誠実さが試される場面と言えるでしょう。

M&Aを成功に導く進め方

M&Aのプロセスは多岐にわたり、専門的な知識と経験が必要です。

M&A仲介会社の立場で見たM&Aの流れ

当社(みつきコンサルティング)が譲渡オーナー様にM&Aの一般的なフローを説明する場合、およそ以下のような内容になります。

実践!アドバイザー視点でのM&Aの流れ
事業承継に向けての初期的な打合せ 物的承継(株式の承継)及び人的承継(経営の承継)について、後継候補者の有無・適性、資金面、税金面、経営環境と貴社の将来性など、多面的に伺い、検討します。その結果、M&Aが事業承継の選択肢になり得るかどうかを判断します。併せて、譲渡後の人生プランがあるようでしたら、お聞かせ下さい。
M&A仲介会社との秘密保持契約/アドバイザリー契約の締結 オーナー経営者とM&A仲介会社との秘密保持契約を締結した後、決算書などを拝見し、貴社の概要を把握させて頂きます。その後、フィナンシャル・アドバイザリー契約を締結し、M&A仲介会社及び担当コンサルタントは、貴社の事業承継の成功に向け、全身全霊をささげることを誓います。
企業評価 ご提供頂いた情報をもとに、貴社の企業価値/株式価値を算定します。評価方法は々ですが、一般的な評価結果に業界特性や貴社固有の事情を反映させて頂くことがあります。
ノンネーム/企業概要書の作成 相手先企業に開示する貴社の簡易/詳細プロフィールを作成します。ノンネーム・シートでは、貴社名は伏せるなど、貴社であることが特定されない概略情報のみとなります。
相手先企業の選定/打診 貴社及び相手先企業の双方にメリットが見込める相手候補先をリストアップし、ご相談の上、持込先を絞り込んでいきます。その後、M&A仲介会社がノンネームにて相手先企業に打診し、関心の有無を探ります。その中で強い関心があった相手先には、貴社のご許可を得て企業概要書(貴社名を含む)を相手先企業に開示します。
トップ面談 M&A仲介会社立会のもと、オーナー経営者と相手先企業の経営者/責任者が面談し、両社の歴史や企業理念、成約に至った場合の事業方針など、大きな観点から「相性」をご確認頂きます。
相互理解/主要条件の調整 M&A仲介会社を介して互いの理解を深めていきます。相手先企業からの要望により本社・営業所・工場見学などを実施する場合があります。譲渡価格やオーナー社長・その他役職員の処遇など主要条件について、M&A仲介会社を介して調整します。
意向表明/基本合意 主要条件やスケジュール面の調整が整ったら、当事者間で基本合意書を締結します。もしくは、相手先企業から意向表明書を取得します。いずれも、法的拘束力のない文面とすることが一般的です。
デューデリジェンス 相手先企業の要望によりデューデリジェンスが実施されることがあります。調査範囲は、財務・法務面とすることが一般的ですが、環境など他方面に及ぶことがあります。M&A仲介会社にて円滑な準備・進行をサポートして参ります。
詳細な条件の調整 M&A仲介会社を介して詳細かつ最終的な条件を調整します。デューデリジェンスを実施した場合には、その結果を必要に応じて反映して参ります。
ご成約/譲渡実行 株式譲渡契約書への調印と、その後の取引実行(株券等の引き渡し、株式譲渡代金等の受領)により、事業承継はフィナーレを迎えます。M&A仲介会社では、不備が無いよう々な書類作成・確認・関係者調整をして参ります。

会社売却を成功させるポイント

M&A成功のためには、全体の流れを理解し、各段階で適切な判断を下すことが求められます。

M&Aプロセスの全体像を把握する

M&Aを検討する際、多くの方が目の前の課題に集中しがちですが、全体のフローを把握することが成功への第一歩です。まるで地図なしで旅に出るようなものです。最終的なゴールを見据え、各ステップで何が必要か、どのように進めるべきかを理解することが、迷わずに目的地に到達するための重要な手続となります。

売却戦略の確立

M&Aによる売却戦略には、相対方式か入札方式か、資料準備、訴求方法、希望価格の提示有無など、多岐にわたる要素が含まれます。譲渡オーナーの希望条件や対象会社の特徴に応じて、最適な売却戦略を立てることが重要です。譲渡オーナーにとって「絶対に譲れない条件」がある場合は、交渉の早い段階でそれを提示し、譲受企業側の考え方を引き出すことが、後々の交渉を円滑にする手続となるでしょう。

専門家との連携

M&Aの各プロセスは複雑であり、専門的な知識が不可欠です。公認会計士、税理士、弁護士など、各分野の専門家と連携することで、財務、税務、法務などの課題に適切に対処できます。M&A仲介会社は、これらの専門家を統括し、譲渡オーナーのM&Aを最初から最後まで一貫してサポートする重要な役割を担います。

資料作成の品質向上

ノンネームやIMなど、譲受企業に開示する資料の品質は、M&Aの成否に直結します。これらの資料は、対象会社の魅力を正確に伝え、譲受企業の検討を深めるための重要なツールです。実績・経験の豊富なM&Aアドバイザーは、譲渡企業が持つ本質的な価値を最大限に引き出し、効果的な資料作成を支援します。高品質な資料は、譲受企業に安心感と信頼を与えます。

事業計画の策定と改善、M&Aにおける評価向上の進め方

M&Aの準備段階で、事業計画を精緻に策定し、必要に応じて改善することは、企業価値評価を高める上で非常に効果的です。事前にビジネス上の課題(例えば、特定の取引先への過度な依存など)が把握された場合には、それを解決し、KPI(重要業績評価指標)を改善してからM&Aに臨むことで、譲受企業にとっての魅力が増し、より高い評価を得られる可能性が高まります。将来の成長性を具体的に示す事業計画は、譲受企業の投資意欲を刺激する重要な要素となります。

競争原理の活用

複数の譲受候補に打診し、競争原理を働かせることで、より良い譲渡条件を引き出す可能性が高まります。譲渡オーナーにとって有利な条件を提示してくれる譲受企業を選ぶことができるため、この「複数の候補」を検討する流れは非常に有効な進め方です。ただし、やみくもに多くの企業に打診するのではなく、対象会社とのシナジーや資金力などを考慮して、適切な候補を選定することが重要です。

長期的な視点での取り組み

M&Aは短期間で完了するものではなく、長期的な視点での取り組みが必要です。市場環境の変化や交渉の進展に応じて、戦略を柔軟に調整する姿勢が求められます。譲渡オーナーの希望が市場価格とかけ離れている場合、M&Aが長期化することもありますが、安売りを避けるためにも、妥当な金額を見極めることは大切です。

価格以外の条件交渉の重要性

M&Aは単なる価格交渉ではありません。譲渡後の事業運営、従業員の処遇、譲渡オーナーの関与度、決済条件、表明保証や補償条項など、価格以外の様々な条件も同様に重要です。これらの条件は、最終契約書に詳細に記載されるため、譲渡オーナーの将来に大きな影響を与えます。全体のバランスを考慮し、譲渡オーナーにとって最適な条件を追求する大局観が、M&Aの成功には不可欠です。

デューデリジェンス費用の考慮、譲受企業の負担を理解する

譲受企業がデューデリジェンスに多額の費用(小規模案件でも数百万円、中規模案件では数千万円以上)を投じることを理解することも大切です。この費用の負担があるからこそ、譲受企業は意向表明書の段階で、「ある程度の条件を飲んでくれるなら調査に費用をかけたい」と考える傾向があります。この譲受企業の心理を理解し、交渉を進めることが、M&Aの成功に繋がるでしょう。

誠実な情報開示とQ&A対応

M&Aのプロセスを通じて、譲渡オーナーには誠実な情報開示とQ&A対応が求められます。デューデリジェンスの過程で矛盾が生じたり、事実と異なる情報を開示したりすると、譲受企業からの信頼を失い、M&A交渉が中止になるリスクがあります。たとえ不利な情報であっても、早い段階で正確に伝えることで、譲受企業は適切な判断を下すことができ、信頼関係を維持することに繋がります。

各局面での譲渡オーナーの判断軸

M&Aの各段階で、譲渡オーナーは様々な判断を迫られます。譲渡対価だけでなく、従業員の雇用維持、事業の継続性、譲渡後の自身の関与など、譲れない条件と優先順位を明確にしておくことが、複雑な交渉の中での羅針盤となります。アドバイザーとの密な連携を通じて、これらの判断軸を常に確認し、後悔のない意思決定を行うことが、M&Aの重要な進め方です。

予期せぬ事態への対応、M&Aの柔軟なプロセス

M&Aのプロセスでは、予期せぬ事態が発生することもあります。例えば、デューデリジェンスで新たな問題が発見されたり、市場環境が急変したりするケースです。そのような場合でも、冷静に対処し、柔軟に戦略を調整する姿勢が求められます。経験豊富なM&Aアドバイザーは、このような状況においても、譲渡オーナーをサポートし、最善の解決策を導き出す手助けをします。M&Aは生きたプロセスであり、変化への対応力が問われる手続なのです。

株主総会や債権者保護などの法務手続

M&Aのスキームによっては、株主総会での特別決議や、債権者保護手続など、法的に定められた追加の手続が必要となる場合があります。例えば、会社分割の場合は債権者保護手続に1ヶ月程度の期間を要することがあります。これらの法務的な要件を確実に満たすことは、M&Aの有効性を確保するために極めて重要です。専門家によるリーガルチェックを通じて、これらの手続を遺漏なく進めることが求められます。

M&A後の事業承継と経営統合

M&Aは最終契約の締結とクロージングで物理的な取引は完了しますが、真の成功はM&A後の事業承継と経営統合にかかっています。譲渡オーナーが M&A 後も会社に残り、一定期間引継ぎを行うケースは多く、これは円滑な統合を促進します。従業員や取引先への丁寧な説明や、企業文化の融合など、経営統合を成功させるための手続は多岐にわたり、譲渡オーナーの協力が不可欠です。

M&Aの流れのまとめ

M&Aのプロセスは多岐にわたる手続とスケジュールで構成されています。譲渡オーナーは、初期検討から最終契約、クロージング後の引継ぎまで、各段階で適切な判断が求められます。

当社は、みつき税理士法人グループのM&A仲介会社として15年以上の業歴があり、中小企業M&Aに特化した実績経験が豊富なM&Aアドバイザー・公認会計士・税理士が多く在籍しております。M&Aをご検討の際は、みつきコンサルティングにご相談ください。

著者

田原 聖治
田原 聖治事業法人第一部長/M&A担当ディレクター
みずほ銀行にて大手企業から中小企業まで様々なファイナンスを支援。みつきコンサルティングでは、各種メーカーやアパレル企業等の事業計画立案・実行支援に従事。現在は、IT・テクノロジー・人材業界を中心に経営課題を解決。M&Aの成約実績多数、M&A仲介・助言の経験年数は10年以上
監修:みつき税理士法人

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