M&A仲介会社に転職する方法|M&A業界の概要や将来性も解説

M&A業界の将来性を見込んで、関連する職業への転職を考える人も増えています。M&Aを仲介する企業に転職を目指す際には、業界の事情や仕事内容などを把握しておくことが重要です。具体的にどのような仕事をするのか、どんなスキルが必要になるのかを知っておけば、M&A業界で活躍することもできるでしょう。本記事ではM&A仲介企業へ転職する方法やポイント、業界の状況や将来性について解説します。

M&A業界の状況

M&A業界への転職を考えているのなら、まずは業界の状況を把握する必要があります。以下では、M&A業界の近年状況を解説します。

M&Aの件数は増加している

レコフデータの調査によると、2022年にM&Aの件数は過去最多を更新しています。特にIN-IN(日本国内の企業同士によるM&A)が、3,000件以上となっている点に注目です。国内の企業が積極的に他企業と関わり、M&Aによるシナジー(相乗効果)を引き出すことを、目指していると想定されます。この流れを維持して、2023年以降もM&A件数の増加に期待されます。

M&A業界が活性化している背景

後継者不足による問題の慢性化などが、M&A業界の活性化に関係していると考えられます。「事業を継続したいが、後継者がみつからない」といった中小企業が増えた結果、M&Aを選択する事例が増えている可能性が高いと想像できるからです。後継者不足の問題はまだ解決に至らないため、今後もM&Aの件数は増加する可能性が高いです。

M&A仲介企業への転職事情

M&A仲介企業への転職を考える際には、業界全体の転職事情を把握することもポイントです。以下では、M&A仲介企業への転職事情について詳しく解説します。

M&A仲介企業とは

M&A仲介企業とは、M&Aの計画立案から交渉までの流れを、トータルでサポートする企業です。M&Aを進める際に困ったことやトラブルが発生した際に、専門家による支援を実施する役割を担います。M&Aにおけるプロジェクトに初期から関わり、クライアントの目標達成に貢献することも多いです。M&Aの成約を実現するためのあらゆる支援が、M&A仲介企業によって行われています。

M&A仲介企業の需要は高い

M&A仲介企業の需要は高く、多くのシーンで必要とされています。M&Aの専門家として仲介に入ることで、M&Aに不慣れ・知識不足の企業も、クロージング(成約)できる可能性が高まります。M&Aの認知度が高まっている一方、具体的な手法や流れを正確に把握できない企業も珍しくありません。

M&A仲介企業は、M&Aに興味があるけれど具体的な方法が分からずに躊躇している企業に高い需要があります。

企業同士の譲渡・譲受にはM&Aの専門家が不可欠

企業同士がM&Aを行う際には、さまざまな問題が発生する可能性があります。そこでM&Aの知識・ノウハウを持つ仲介企業が間に入り、それぞれの問題を解決するケースが増えています。スムーズなM&Aの実現には、もはや仲介企業の存在が欠かせないといえるでしょう。

M&A仲介企業の仕事内容

M&A仲介企業は、契約に臨む企業がお互いに納得いくように、M&Aの条件や内容を調整することが仕事です。どちらかの企業を贔屓することなく、あくまで中立の立場から、M&Aを成功に導くことがM&A仲介企業の仕事におけるポイントです。M&Aの具体的な目的を設定したり、シナジー(相乗効果)を最大に引き出すためのアドバイスをしたりすることも、M&A仲介企業の仕事内容に含まれます。

M&A仲介企業への転職方法

M&A仲介企業に転職する際には、まずM&A業界への理解を深める必要があります。業界における仲介企業の役割や必要性、どのようなスキルを持つ人材が必要とされているのかを把握することが、転職につながる最初のステップです。M&A仲介企業について理解してから、具体的な転職活動に移ることが基本的な流れになるでしょう。

転職時に求められるスキル・資格

M&A仲介企業への転職時には、さまざまなスキルや資格が求められます。実際にどのようなスキル・資格が必要になるのかを、以下で解説します。

コミュニケーション能力・営業力

M&A業界では、コミュニケーション能力・営業力が求められます。M&Aを考えている企業に対して適切なアプローチを行い、相談される能力が必要です。多くの企業と交流があるため、柔軟なコミュニケーション能力が重視されます。普段から人とのコミュニケーションを意識し、M&Aの業務に活かせる会話術や交渉術を学ぶことがポイントです。

中小企業の問題に寄り添える意識

M&A仲介企業では、M&Aを考えている中小企業の問題に寄り添える意識を持つ人材が重宝される傾向にあります。ただ企業としての利益を追求するだけでなく、後任のいない企業が抱える問題を理解し、解決に導ける能力も必要です。問題の理解力を深めることで、企業から信頼され、結果的に契約につながる可能性が高まります。

資格取得者は優遇される場合もある

公認会計士、税理士、中小企業診断士の資格取得者は、M&A仲介企業への転職で優遇される場合もあります。M&Aを実行する能力や会計のスキルは、入社してからでも身に付けられます。そのため勉強に時間のかかる公認会計士、税理士、中小企業診断士といった資格の取得を、先に実現しておくことがポイントです。

M&A仲介企業に向いている人の特徴

M&A仲介企業の仕事には、人によって向き不向きがあります。以下では、M&A仲介企業の仕事に向いている人の特徴を紹介します。

仕事に対する責任感が強い人

M&A仲介企業はM&Aに必要な業務をまっとうし、クライアントが求める結果を引き出すことが役割です。長期の計画になることも多いため、途中で投げ出さない責任感が必要です。自分が任せられた役割に対して、強い責任感を持てる人ほど、M&A仲介企業の仕事に向いています。転職をする際には、責任感を持って仕事ができることをアピールするエピソードを用意すると良いでしょう。

個人の能力を活かしたい人

M&A仲介業ではチームによる作業だけでなく、個人の働きも重要となります。個人単位で積極的にクライアントに貢献したいと思える人ほど、仕事に向いています。個人で成果を出すことに興味がある人は、M&A仲介業の仕事に対して高いモチベーションを維持できるでしょう。

新しい知識をどん欲に吸収できる人

M&A仲介企業の仕事においては、さまざまな知識が必要となります。例えば税務・法務・事業・ITなど、多様な知識が求められます。自分の把握している領域以外の知識も必要とされるため、知的向上心が強い人ほど向いているといえます。

M&A仲介企業に転職する際の注意点

M&A仲介企業に転職する際には、注意点を確認しておくことも重要です。以下では、M&A仲介企業に転職する際の注意点を解説します。

仕事が忙しく体力が必要

M&A業界はハードワークが一般的であるため、体力が必要になります。自身の健康管理を徹底し、仕事に支障が出ないように調整することが重要です。しかし、仕事が忙しい分、インセンティブ(報酬)なども期待できるため、仕事のモチベーションは維持しやすいかもしれません。

財務や法務などの知識が必要

M&A仲介企業ではM&Aの基本に加えて、財務や法務などの知識も必要です。専門知識を事前に学び、業務に活かせるように備えることも重要な工程となるでしょう。先に紹介したように、公認会計士、税理士、中小企業診断士といった資格取得を目指すこともおすすめです。

M&A業界の将来性

M&A仲介企業への転職時には、M&A業界そのものの将来性に目を向ける必要もあります。以下では、M&A業界の将来性について詳しく解説します。

必要な制度として定着する可能性がある

M&Aは、今後も多くの企業に必要な制度として認識される可能性があります。例えば後継者不足などの問題は、早急には解決できません。そのため対抗手段の1つとして、M&Aが今よりも定着するケースが考えられます。M&Aが一般化していくことで、M&A仲介企業の需要も高まり、必要性が向上すると予想できます。

将来性には期待ができる

M&Aは、すでに多くの成功事例があります。大企業・中小企業・個人によるM&Aと多くの事例があるため、メリットや魅力が広まっています。制度への理解も進んでいるため、これからチャレンジする企業が増えることも考えられます。M&A業界に転職することは、今後の将来性を考慮しても有益な結果となり得ます。将来的に長くM&A業界で働きたい人は、活躍できる可能性も大きいでしょう。

M&A仲介会社への転職方法まとめ

M&A業界は、近年その認知度を高めています。多くの企業が事業承継や成長戦略の一環として、M&Aを実施する時代となっています。今後もM&Aの事例は増加し、興味を持つ企業・個人も増えていくと予想されています。M&A業界の発展にともなって、M&A仲介企業の需要も高まっています。M&Aを仲介して調整するM&A仲介企業は、スムーズな契約交渉に欠かせない存在です。

M&A業界への転職を考えるのなら、今後も高い需要に期待できる、M&A仲介企業の詳細を確認してみてはいかがでしょうか。M&A仲介企業への転職を検討する際には、豊富な実績を持つ「みつきコンサルティング」をぜひ参考にしてください。

著者

西尾崇
西尾崇事業法人第三部長
宅食事業を共同経営者として立ち上げ、CFOとして従事。みつきコンサルティングでは、会計・法務・労務の知見を活かし、業界を問わず、事業承継型・救済型・カーブアウト・MBO等、様々なニーズに即した多数の支援実績を誇る。
監修:みつき税理士法人

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