M&A関連の資格の1つに、「M&Aシニアエキスパート」というものがあります。本記事では「M&Aエキスパート」資格との違いや学習する必要性、資格の取得方法を解説します。
M&Aシニアエキスパートとは
M&Aシニアエキスパートは、M&Aに関する有名な資格です。M&Aによって譲渡を計画する際には、資格についての知識も持っておくことも有効です。
▷関連:会社のM&Aとは何か?方法・価格・利点と欠点・流れを簡単に解説
中小企業M&Aの実務に関する専門的な知識とスキルを証明できる資格
M&Aシニアエキスパートとは、M&Aに精通した人材の養成を実施し、中小・零細企業の安定や成長を目的とした認定制度に含まれる資格です。日本M&Aセンターの成約実績に基づいたケーススタディを活用し、実務に関するさまざまなノウハウを習得できます。すでに3,300名超の人が、M&Aシニアエキスパートとして認定されています。M&A業界への転職時はもちろん、実際にM&Aをする人にとっても役立つ資格です。
M&Aシニアエキスパートは中小企業M&A実務に関する難関資格
M&Aシニアエキスパートは、数あるM&A資格のなかでも難関資格として有名です。そのため受験の際には多くの時間をかけて、対策を取る必要があるでしょう。M&Aエキスパートの認定制度には、ほかに「事業承継シニアエキスパート」「事業承継・M&Aエキスパート」といった種類があります。
事業承継・M&Aエキスパートとの違い
M&Aエキスパートは基礎的な知識を証明する入門レベルの資格であるのに対し、M&Aシニアエキスパートはより高度な実務知識を要する上級レベルの資格です。両者の違いを以下の表にまとめました。
項目 | M&Aエキスパート | M&Aシニアエキスパート |
---|---|---|
正式名称 | 事業承継・M&Aエキスパート | M&Aシニアエキスパート |
難易度 | 基礎レベル | 上級レベル |
位置づけ | M&Aの基本的な知識を証明する資格 | M&A実務に関する高度な専門知識を証明する資格 |
受験資格 | 特になし | 事業承継・M&Aエキスパート認定者などの条件あり |
試験方式 | CBT方式(コンピューター試験) | 認定講座受講後に筆記試験 |
試験時間 | 120分 | 120分 |
出題形式 | 四答択一式30問、総合問題10題 | 四答択一式 50題 |
合格基準 | 100点満点中70点以上 | 非公開 |
実施時期 | 通年実施 | 年2回(5月と11月) |
認定機関 | 一般社団法人金融財政事情研究会 | 一般社団法人金融財政事情研究会 |
▷関連:株式譲渡とは|中小企業の利点と欠点・譲渡益課税・M&A後の待遇
M&A業界を目指す方へ:M&A業務に必要?
M&Aシニアエキスパートの取得にはさまざまなメリットがありますが、M&Aに関わる際に必須となるかは別の話です。以下では、M&Aシニアエキスパートの必要性について解説します。
▷関連:M&A会社に転職するなら|仕事内容・必要スキル・業界の将来性
M&Aを実施する際に資格は不要
M&Aをする際に、特別な資格の取得は不要です。そのため資格を取得していなくても、問題なくM&Aを進められます。一方で、M&Aを計画・実施する際には、会計事務所などの専門家と一体となった仲介会社に依頼し、サポートを任せるのがおすすめです。専門知識を持つスペシャリストによる支援は、M&Aのスムーズな成約につながる可能性を高めます。
▷関連:M&A業務に資格は不要!関連資格の種類・税理士についても解説
M&Aに備えて資格の概要を把握しておくことはおすすめ
これからのM&Aに備えて、資格の概要を把握しておくことも検討すべきです。資格についての知識があると、M&Aの際にさまざまなメリットを得られる可能性があります。直接的に知識を活かすシーンがなくても、「M&Aの資格を取得している」「関連資格の知識を持っている」事実が、自信のある行動につながるケースは考えられます。
▷関連:M&A仲介会社に転職する方法|M&A業界の概要や将来性も解説
オーナー経営者へ:譲渡側が学習するメリット
M&Aシニアエキスパートの資格は、譲渡側に多くのメリットを与えます。以下では、M&Aの譲渡主が、M&Aシニアエキスパートについて知るメリットを解説します。
M&Aに関する専門的な知識を身に付けられる
M&Aシニアエキスパートの概要や試験内容をチェックすることで、M&Aの専門知識を身に付けられる可能性があります。M&Aに関する学習の一環として、資格の概要を確認する方法も検討されます。一方で、M&Aシニアエキスパートは専門的な要素が多いため、初心者は別のM&A資格を参考にすると良いでしょう。
相手のスキルや能力を図る指標になる
M&Aシニアエキスパートを取得している人材は、M&Aに関する高いスキルを持っていると想定できます。コンサルタントやM&Aサービスに依頼する際には、M&Aシニアエキスパートの資格を持っている人材を探すのも1つの方法です。一方で、必ずしも「M&Aシニアエキスパートの資格を持っているから、高いスキルを保有している」とは限らない点に注意が必要です。資格はあくまで目安に過ぎないため、実際にその目で相手の能力を測る必要があります。
将来的にM&Aの事業に関わるのなら取得を目指すこともおすすめ
将来的にM&Aに関する事業に携わりたいのなら、M&Aシニアエキスパートの資格取得が検討されます。実際にM&Aをする機会を利用し、具体的な経験をしながら、M&Aシニアエキスパートの勉強をすることも考えられるでしょう。M&Aシニアエキスパートは難関資格に該当するため、長期的な学習が必要になる可能性もあります。興味があるなら早めに情報収集と試験対策に臨み、合格を目指すのがおすすめです。
▷関連:M&Aを学ぼう|経営者が知っておきたい知識・勉強方法を紹介
資格を取得する方法
M&Aシニアエキスパートを取得するには、所定の方法・条件を満たす必要があります。以下では、M&Aシニアエキスパートの資格を取得する方法を解説します。
資格を取得するまでの流れ
M&Aシニアエキスパート資格を取得までの一般的な流れは以下のとおりです。
1.「M&Aシニアエキスパート養成スクール」を受講する
M&Aシニアエキスパート資格を受験するには、「M&Aシニアエキスパート養成スクール」の認定講座を、3日間受ける必要があります。受講資格は、以下の内容になっています。
- 事業承継・M&Aエキスパート認定者(試験合格者)
- 弁護士・公認会計士・税理士・司法書士、銀行・信用金庫・信用組合・証券会社・生命保険会社において法人営業経験が5年以上あり、現在も在籍中の人
- 会計事務所等で5年以上の実務経験があり、現在も在籍中の人
- 1級ファイナンシャル・プランニング技能士
講義時間は10:00〜17:30で、受講料としてテキスト代を含めた132,000円(10%税込)が必要です。詳しい受講カリキュラムも、事業継承・M&Aエキスパート協会のホームページで確認できます。
2.M&Aシニアエキスパートの認定試験を受験する
M&Aシニアエキスパート養成スクールの認定講座を受講後、M&Aシニアエキスパートの認定試験を受験します。試験で100点中70点以上を取得することで、合格となります。点数は試験終了後のスコアレポートで確認可能なため、合否をスムーズに把握できます。試験では7割の正答が必要になるため、しっかりと試験対策をして点数を獲得できるように備えましょう。
3.M&Aシニアエキスパートの認定証を受け取る
試験に合格したら、M&Aシニアエキスパートの認定証を受け取ります。認定証を受け取ることで、正式にM&Aシニアエキスパートとして認定されます。認定証の送付には、試験から約1か月程度かかります。そのためM&A業界への転職時に、M&Aシニアエキスパートの資格を活用したい場合には、送付時期に注意が必要です。
試験の概要
M&Aシニアエキスパート資格は、四答択一式・記述式などの問題が計50題出題され、120分間で回答する試験が実施されます。出題範囲には、「M&A実務」「企業評価実務」「M&Aの法務・会計・税務」が含まれます。試験を受ける際には、受験料として11,000円(10%税込)が必要です。試験日時や会場は、事業継承・M&Aエキスパート協会のホームページで確認可能です。
▷関連:M&Aに役立つ本32選!譲渡側・譲受側に分けておすすめ書籍を紹介
M&Aなら「みつきコンサルティング」がおすすめ
M&Aの実施時には、専門家のサポートを受けることでスムーズに必要なプロセスを進められます。M&Aを検討する際には、専門知識を持つ人材を多数確保している「みつきコンサルティング」への相談がおすすめです。
みつきコンサルティングは、税理士法人系のM&A仲介会社です。これまで財務のプロとしてさまざまなM&Aに携わり、多数の案件を制約させた実績があります。成約率は80%以上となっているため、スムーズにM&Aをクロージング(成約)させたいケースでもお役に立てます。専任のコンサルタントがM&Aの支援を実施し、候補先の選定から調査、交渉までを担当します。完全成功報酬となるため、成約に至るまで費用はかかりません。まずはお気軽に、M&Aの進め方について「みつきコンサルティング」にご相談ください。
▷関連:M&Aの相談先はどこが良い?税理士・銀行・仲介会社の違い
M&Aシニアエキスパートのまとめ
M&Aシニアエキスパートは、M&A関連の資格のなかでも、難関なものとして知られています。取得の難易度は高いですが、その分メリットが大きい資格だといえるでしょう。M&A業界への転職を考える人だけでなく、実際にM&Aで譲渡を検討している人にも役立つ可能性があります。この機会にM&Aシニアエキスパートについて、詳細を確認してみてはいかがでしょうか。
M&Aのプロにサポートを依頼するのなら、みつきコンサルティングへご相談ください。税理士や会計士といった財務のプロが、専門知識とノウハウを活かしてM&Aの全面的なサポートを実施します。M&Aにおける悩みの解決につながるアドバイスも可能なので、お困りの際にはまず1度「みつきコンサルティング」にお問い合わせください。
著者
-
宅食事業を共同経営者として立ち上げ、CFOとして従事。みつきコンサルティングでは、会計・法務・労務の知見を活かし、業界を問わず、事業承継型・救済型・カーブアウト・MBO等、様々なニーズに即した多数の支援実績を誇る。
監修:みつき税理士法人
最近書いた記事
- 2024年12月7日2024年のM&A件数は過去最多!日本企業の成約の推移・今後も増える?
- 2024年12月6日【図解】M&Aに必要な契約書は?NDA・仲介契約から最終契約まで
- 2024年12月5日中小企業M&Aの相談先は仲介会社が良い?税理士・銀行との違い
- 2024年12月5日事業承継の相談先は税理士・公認会計士がおすすめ!選び方・費用相場