ハッピーリタイアできる事業承継型M&Aとは?実現のポイントを解説

中小企業の経営者がハッピーリタイアを実現するためには、M&Aによる事業承継が有効な選択肢となります。早期の判断と準備、信頼できる支援機関の活用がポイントです。創業者利益の獲得や個人保証からの解放、雇用維持など、M&Aによるメリットを解説します。

廃業の現状

近年、廃業件数は増加傾向にあります。帝国データバンクの調査によると、2023年の「休廃業・解散」は5万9千件(前年比10%増)となり、急増しました。

これまでは持続化給付金や雇用調整助成金などの「給付」やコロナ特例融資などによる銀行からの「借入」による手厚い資金繰り支援のおかげで、コロナ禍の厳しい経営環境下でも、休廃業・解散数は抑制された水準で推移してきました。しかし、2023年に入ると、これらの支援策は徐々に縮小されていきました。

また、電気代などのエネルギー価格をはじめとした物価高、人手不足問題やそれに伴う人件費負担の増加など、中小企業は四重・五重の経営問題に直面することになったのです。

収益面・財務面で傷ついた中小企業は、先送りしてきた「事業継続か否か」の決断を迫られることになりました。そして、さらなる経営悪化に陥る前に、やむなく会社を畳むことを余儀なくされた中小企業が多く発生したようです。

事業承継の選択肢

事業承継には、以下のような選択肢があります。

  • 親族内承継
  • 社内承継(役員・従業員承継)
  • 第三者承継(M&A)

親族内承継のメリット・デメリット

親族内承継は、現経営者の子息をはじめとした親族に事業を承継させる方法です。一般的に、他の方法と比べて、企業内外の関係者から全面的に受け入れられやすいこと、後継者の早期決定により長期の教育期間の確保が可能であること、家族などの身内に対し資産を後継者に移譲できるため、経営と相続が一体となるような承継が期待できることなどのメリットがあります。

一方、親族内に経営の才覚と志向性を兼ね備えた後継者候補がいるとは限らないことや家族間が相続に際しトラブルになる場合、後継者の決定・経営権の集中が難しいことなどがデメリットとしてあげられます。

また後継者の意志だけでなく、後継者の配偶者や周りの人間の意志も重要となります。事業承継を行ったことによりライフスタイルが変わり、家族との関係に悪影響を与えるケースなどもあります。

社内承継(役員・従業員承継)のメリット・デメリット

親族外承継の中で、役員・従業員承継は親族以外の役員・従業員に事業を承継する方法です。経営者としての適性のある人材を見極めて承継できること、社内で長年働いてきた役員・従業員であれば経営方針などの一貫性を保ちやすいことがメリットです。

一方デメリットとして、親族内承継の場合以上に、後継者候補が経営への強い志向性を有していることがポイントですが、そういった適任者が中々いないことや、後継者候補が豊富な経営資源を有していない場合が多いこと、個人資産の引き継ぎや株式の取得費用の準備など、経済的な問題が多いことが挙げられます。

組織体制が盤石な会社である程、後継者候補が複数いる場合などもあり、後継者とならなかったキーマンの離脱など、社中から後継者候補を選定する場合今後の経営に重要な問題です。

第三者承継(M&A)のメリット・デメリット

親族外承継の中で、M&Aは株式譲渡などにより承継を行う方法です。親族や社内に適任者がいない場合でも、幅広く候補者を外部に求めることができるなどのメリットがあります。

デメリットとしては、カルチャーの異なる従業員の融和や、賃金などの雇用条件の維持を図る難しさがある点や経営の一貫性を保つのが難しい点が挙げられます。

第三者承継(M&A)によるリタイアの効果

創業者利益

M&Aは、対象企業の経営者がそれまでの努力により築き上げてきた事業の価値を、社外の第三者である買収企業が評価して認めることで初めて実現します。

そのため、M&A対象企業の経営者にとって喜ばしいことだと言えます。そしてその対価としてハッピーリタイアに充分な金額の現金を一時で受け取れるという創業者利益を獲得できる可能性があります。一般的な従業員の退職金とは異なり、老後資金としては十二分な金額になることが多いです。

雇用維持

事業承継問題の行き詰まりなどによって倒産の危機に瀕している中小企業が、既存取引先・地域の同業種・異業種企業とのM&Aによって、事業や雇用の維持を実現しているケースは日本中で多く見られます。

M&A対象企業の雇用維持は、地域経済の維持にもつながります。地域経済の源泉は、その多くが中小企業によるものであり、中小企業による雇用から生み出されているとも言えるからです。

一般的に譲渡企業より譲受企業の方が企業規模が大きいことがほとんどであり、譲渡後は譲渡企業の財務基盤は改善される傾向にあり、かつ利益水準も向上する傾向にもあります。

個人保証から解放される

親族内承継においては、オーナーが個人保証を金融機関やリース会社に差し入れているケースが殆どです。こういった場合は、M&Aの後日付けで個人保証を外すことを求めることが殆どであり、実際、個人保証から解放されるのが一般的です。

2020年度において、経営者保証の代替措置として、担保の全部に経営者保証を代替している企業は44%、担保の一部に経営者保証を代替している企業は36%でした。一方で、個人保証を外すためには譲受側の与信が関係してきますので、譲渡前に調査はすべきです。

経営の強化

企業を統括し、人を雇い、資金を集め、技術を開発し続け、ゼロからリスクを取って事業を育てていくのは本当に時間がかかります。譲渡先にとっては、既に存在する企業とM&Aすることで、一気にその時間を短縮することが可能になります。特に、既に利益を出している企業が多く存在する業界では、ゼロから始めて追いつくのは非常に難易度が高いものです。そこでM&Aすることでそのハードルを下げるとともに、対象会社の経営を強化することでグループとして成長することができるでしょう。また、対象会社にとって経営人材層の強化など、資金面以外でのメリットも非常に大きなものがあります。

このような時間短縮を目的としたM&Aの結果として、企業や事業の成長が加速する可能性があります。

時間を確保できる

アーリーリタイアを実現できると、まとまった時間が生まれるため、経営に忙殺されこれまででなかった趣味などに時間を充てることができます。

M&Aによるハッピーリタイア実現のポイント

第三者承継によるハッピーリタイアを成功させるために、以下の点に留意してください。

早めに判断する

M&Aをより早期に着手することにより、M&A後に残る金額が多くなるケースがあります。これは、経営者の年齢が上がれば上がるほど企業の業績は低迷する傾向があるためです。譲渡側が考えているほどお相手先がすぐに見つからないケースもあり、自身の考えより数年早い行動が望ましいといえます。

一方で、判断が遅ければ遅れるほどM&Aの選択肢は狭まる傾向にあります。

業績が良いタイミングでM&Aをする

企業体力が十分に余裕のあるタイミングで決断するのも非常に重要です。経営体力に余裕がない場合には、資金繰りに行き詰まりフレキシブルな決断ができなくなるケースも散見されます実際、タイミングが遅れた結果、倒産の危機に陥り、M&Aを検討することすら困難な状況になってしまったケースもあります。同じ譲受先であっても、譲渡企業の経営状況次第では譲渡条件、主に金額が大きく異なります。

ハッピーリタイア後の公私のビジョンを明確にしておく

M&A対象企業の経営者は、引退後のビジョンを含む将来設計を事前によく考えておく必要があります。例えば、事業に関わり続けたいのか、別の事業に移行したいのか、それともボランティア活動や趣味を楽しむといった全く別のことを行いたいのかなどです。ハッピーリタイア後にどのような過ごし方をするかは、本人のその後の人生にとって本当に重要な要素です。

信頼性できるM&A仲介会社を活用して進める

仲介会社は、譲渡元・譲受先の意向との擦り合わせに基づいてマッチング支援などを行う支援機関です。

M&Aの成功のためには、特に信頼性の高い仲介会社を活用して進めることが重要です。

M&Aによるハッピー リタイアのまとめ

ここまでハッピーリタイアのためのM&Aについて述べてきました。メリット・成功のためのポイント・実際の事例を挙げたため、しっかりとイメージできた方も多いことでしょう。ハッピーリタイアのためのM&Aを実行する際は、高いタイミングで判断し、教育を進めることが特に重要です。

みつきコンサルティングは、税理士法人グループのM&A仲介会社として15年以上の業歴があり、中小企業M&Aに特化した経験実績が豊富なM&Aアドバイザーが多数在籍しております。 みつき税理士法人と連携することにより、税務面や法律面のサポートもワンストップで対応可能ですので、M&Aをご検討の際は、成功するM&A仲介で実績のある、みつきコンサルティングに是非ご相談ください。 

著者

野口慎矢
野口慎矢熊本支店長 兼 事業法人第四部長
国内証券会社(現SMBC日興証券)にてクライアントの資産運用を支援。みつきコンサルティングでは、消費財・小売業界の企業に対してアドバイザリーを提供。事業承継案件のみならず、Tech系スタートアップへの支援も行う。
監修:みつき税理士法人

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