株式譲渡の必要書類|手続の流れに沿って作成書類を解説・注意点は?

株式譲渡では、トラブルを防いで株主の権利を守るためにも、各種書類の準備をあらかじめしておかなければなりません。本記事では、事業の継続を希望する経営者に向けて、株式譲渡の概要や手順、必要な書類について解説します。株式譲渡を検討している方は、参考にしてください。

「うちの会社でも売却できるだろうか…」、「何から始めればいいんだろう…」
そのような漠然とした疑問をお持ちではありませんか? みつきコンサルティングでは、20年間・500件以上のM&A支援実績をもとに、本格的なご検討の前でも、情報収集を目的とした無料相談を随時お受けしています。まずはお話をお聞かせください。

株式譲渡で作成する書類

株式譲渡を法的に問題がないように進めるためには、様々な書類を作成する必要があります。それは主に以下のような書類です。

株式譲渡における必要書類

以下では、株式譲渡のプロセスに沿って、一般的に作成が必要となる書類を紹介します。

株式譲渡承認請求書

株式譲渡承認請求書とは、株式譲渡制限を定める企業の株式を譲渡したい株主が、企業に提出する書類です。以下のような内容を記載します。

  • 株式を譲渡するための承認をお願いする旨
  • 承認しない場合には譲渡先を指定してほしい旨

株主総会招集通知

株式譲渡承認請求書が提出されたときに、取締役会を設置していない場合は、株主総会の開催が必要となります。株主総会招集通知は、株主総会開催する際に、株主に対して発送する書類です。

株主総会議事録

株主総会議事録は、株主総会の内容を記録する書類です。議事録には、株主総会の開催日時や参加者、議題などを残します。株主総会議事録の作成は必ず行うように、会社法で定められています。

株式譲渡契約書

株式譲渡契約書とは、株式譲渡の成立を確認する書類です。記載内容は、譲渡側と譲受側の交渉をもとに決定されます。株式譲渡契約書に記載すべき主要な事項と具体的な内容を、下表に整理します。

記載事項具体的な記載内容記載する目的と重要性
合意内容譲渡対象となる株式の種類・株数・対価などを詳細に記載します。当事者間の認識の違いから起こるトラブルを防ぐために、細かく明記することが必要です。
株式譲渡の対価と支払方法1株あたりの金額、譲渡総額、支払期日、振込先口座などの譲渡実行(決済)に関する詳細を記載します。決済条件を明確化し、支払トラブルを回避するために重要です。
株主名簿の書換請求契約成立後に行う株主名簿の名義書換に必要な手続を記載します。株主名簿の書換を確実に行っておくことで、将来のリスク回避に役立ちます。
表明保証相手方に提供した情報等が真実かつ正確であることを表明し保証する条項を記載します。譲渡実行後に表明内容と異なることが判明した場合、相手方に補償を請求することができます。
契約解除契約解除を認める事由を記載します。具体例として、譲渡実行の前提条件の不充足、重大な表明保証違反、重大な遵守事項違反、対象会社に関する重大な事情変更、天災地変などの不可抗力が挙げられます。どのような場合に契約を解除できるかを明確にし、紛争発生時の対応を事前に定めます。

無償取引の場合の対応方法

株式譲渡の譲渡価格を無償とする場合があります。しかし、無償であっても後から契約にまつわるトラブルが起きる恐れは十分にあるでしょう。トラブルを未然に防ぐためには、無償で譲渡する旨を記載した、株式譲渡契約書の作成が重要です。無償取引であっても、株式譲渡契約書は必ず作成するよう留意しましょう。

株主名簿

株主名簿とは、株主の氏名・住所、株式の種類、株数などが記載されている書類です。株式譲渡が行われた場合は、株主名簿を更新しなければなりません。適切に管理していない企業には、罰金が課される可能性もあるため、注意しましょう。

株主名簿記載事項書換請求書

株主名簿記載事項書換請求書とは、譲渡側と譲受側が共同で企業に提出し、株主名簿の書き換えを依頼する書類です。法令で決められた様式はありません。一般的には、株主の住所・氏名や譲渡株式の種類、株数を記載します。

株主名簿記載事項証明書

株主名簿記載事項証明書とは、株主である事実を証明するための書類です。新たに株主になった際には、会社に対して株主名簿記載事項書換請求書を提出する必要があります。株主名簿記載事項証明書には、株主の氏名や住所・株式の保有数・種類などを記載しましょう。なお、株主名簿の登記は必要ありません。

株式譲渡の流れ

株式譲渡とは、譲渡側から譲受側に株式を譲渡し、経営権を移行する手法です。他のM&Aの手法より、手続が簡易であることが特徴として挙げられます。株式譲渡の実施手順と各段階での対応内容を、下表に整理します。

手順実施内容留意点と対応方法
1 株式譲渡制限の確認自社株式の譲渡制限の有無を確認します。譲渡制限が定められていると、取締役会や株主総会の承諾なしに株式譲渡ができません。最初に確認することが必要です。
2 株式譲渡承認請求株式の譲渡制限がある場合、株式譲渡承認請求書を作成し、保有株式の譲渡について承認を得るための手続を行います。譲渡制限がある場合は、取締役会・株主総会での承認を得なければなりません。
3 取締役会・株主総会の開催譲渡側が株式譲渡承認請求を受けたら、取締役会あるいは株主総会を開催し、株式譲渡承認請求の承認または非承認を議決します。取締役会設置会社では取締役会、取締役会がない場合は株主総会で可否を決定します。承認に係る通知手続は、譲渡承認請求の日から2週間以内に行う必要があります。通知手続をしないと、自動的に承認したことになるため注意が必要です。
4 株式譲渡契約の締結承認を得たら、譲渡側と譲受側の交渉や手続を進め、合意を明らかにするために株式譲渡契約書を締結します。契約書には、譲渡日・譲渡価格・譲渡対象株式の種類・株数といった項目が盛り込まれていることが一般的です。
5 株主名簿書換の依頼株式譲渡契約を締結したら、会社に対して譲渡側と譲受側が連名で株主名簿の書き換えを依頼します。株主名簿書換請求書が必要です。株主名簿の書き換えを終えた後は、書き換え事実を示す株主名簿記載事項証明書を、譲受側に対して交付しなければなりません。
6 決済(クロージング)譲渡側が譲受側に対象株式を譲渡し、譲受側が譲渡側に対価を支払います。株式譲渡の決済は、契約締結のときに一括決済する手法が一般的です。

株式譲渡の書類を準備する上での注意点

株主譲渡に関わる手続を進め、書類を作成するにあたって、注意すべきことを解説します。当然ながら、会社法や税法など関連する法律を守って書類を整備する必要があります。

自社が株券発行会社であるかを確認する

株主譲渡に関わる手続きを行う際には、自社が株券発行会社であるかを、事前に確認しましょう。株券発行会社が株式譲渡をする場合は、会社法で株券の交付が必須とされています。株券不発行会社であれば、株券を交付しなくても株式譲渡が成立します。株券発行会社であるか否かについては、登記簿謄本で確認できます。

株式譲渡で発生する利益は課税対象になる

株式譲渡で発生する利益は、課税対象となります。譲渡側が個人である場合は、所得税や住民税が発生します。譲渡側が法人の場合は、法人税が発生します。支払うべき税金についても、あらかじめ入念に確認しておきましょう。

株式譲渡に収入印紙は不要

株式譲渡契約書は、基本的に印紙を貼付する必要がありません。そのため、印紙をわざわざ購入しないよう留意しましょう。ただし、すでに対価を受け取り、その旨を記載している場合は、課税文書となるため、収入印紙を用意しましょう。貼付する収入印紙は、譲受した金額に応じて決まるため、金額に応じた枚数の収入印紙を貼付する必要があります。

株式譲渡における必要書類のまとめ      

株式譲渡には株式譲渡承認請求書、株式譲渡契約書、株主名簿記載事項書換請求書など複数の書類が必要です。譲渡制限の確認、取締役会・株主総会での承認、株主名簿の書換といった手続きを順に進めます。株券発行会社か確認し、税金や収入印紙の取り扱いにも注意が必要です。

みつきコンサルティングは累計500件以上の支援実績を持ち、M&A成約率は80%以上を誇ります。税理士グループの強みを活かしてM&Aに伴う相続対策にもワンストップで対応します。株式譲渡によるM&Aをお考えならお問い合わせください。

著者

西尾 崇
西尾 崇事業法人第三部長/M&A担当ディレクター
宅食事業を共同経営者として立ち上げ、CFOとして従事。みつきコンサルティングでは、会計・法務・労務の知見を活かし、業界を問わず、事業承継型・救済型・カーブアウト・MBO等、様々なニーズに即した多数の支援実績を誇る。M&Aの成約実績多数、M&A仲介・助言の経験年数は10年以上
監修:みつき税理士法人

【無料】資料をダウンロードする

M&Aを成功させるための重要ポイント

M&Aを成功させるための
重要ポイント

M&Aの事例20選

M&Aの事例20選

事業承継の方法とは

事業承継の方法とは

【無料】企業譲渡のご相談 
簡単30秒!最適なお相手をご提案

貴社名*
お名前*
電話番号*
メールアドレス*
所在地*
ご相談内容(任意)

個人情報の取扱規程をご確認の上、「送信する」ボタンを押してください。

買収ニーズのご登録はこちら >

その他のお問い合わせはこちら >