映像業界のM&Aは成長戦略や人材確保に効果的です。本記事では映像業界の特性、市場動向、具体的な成功事例を詳しく解説します。
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映像業界の概要と仕事
映像業界には様々な会社があります。主に映像を作る「制作会社」や映像の配信を専門とする企業などが含まれます。制作会社は、CMや広告、ドラマや映画、アニメ、ネット動画などを作っています。
映像業界の主な仕事は、大きく分けて「制作系」と「技術系」に分類できます。
制作系の仕事とは
制作系の人たちは、映像を作る計画を立てたり、全体をまとめたりする役割です。具体的には、プロデューサーやディレクター、シナリオライターなどがいます。企画を立てたり予算を決めたりしながら、映像を作るための方向性を示し、他のスタッフと協力して完成を目指します。
技術系の仕事とは
技術系の人たちは、撮影や編集など、実際に映像を作るための技術を持ったスタッフです。具体的にはカメラマン、編集者、デザイナー、照明スタッフ、音響スタッフなどがいます。彼らは専門の技術を使って映像の質を高める役割を果たしています。
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映像業界の課題と現状
映像業界にはいくつかの課題があります。主な課題としては以下のものが挙げられます。
少子高齢化による需要の減少
日本では、少子高齢化が進んでいます。そのため、映像を見る人が減っているだけでなく、商品やサービスを売るための広告効果も低下しています。特にテレビ番組など従来型のメディアでは、その影響が強く出ています。
媒体の変化とネットへの移行
最近では、テレビからネットに消費者の関心が移っています。YouTubeやSNSなどで配信される映像は多くの人に見られ、広告効果が高いことが特徴です。しかしその分競争も激しくなっています。多くの企業や個人がネット動画市場に参入しているため、競争はますます厳しくなっています。
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映像業界の市場動向と外部環境
映像業界は非常に多様化しており、明確な市場規模を出すのは難しいですが、動画市場全体は右肩上がりに成長しています。
動画広告市場の拡大
動画広告市場は引き続き成長を維持しています。特にスマートフォンで動画を楽しむ人が増え、広告効果が高まっています。今後もスマホユーザーが増えることを考えると、動画市場はますます伸びていくと予想されます。サイバーエージェントによる調査では、動画広告市場は一貫して右肩上がりです。

新規参入者の増加
映像を作るための技術や機材の価格が下がったことで、ウェブマーケティング企業やコンサル企業、そして個人が参入してくることが増えました。特に個人の映像クリエイターは、自宅で簡単に動画を制作して公開できるようになっています。そのため、映像を作る仕事は企業だけでなく、個人でも簡単にできるようになりました。
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映像業界の将来性とM&Aの動向
映像業界は変化に対応しやすく、将来性の高い業界です。その理由として、次のようなポイントがあります。
オンライン化への迅速な対応
映像業界はオンライン化の波にうまく乗っています。テレビ業界など従来型メディアがオンライン化に苦戦する中、映像業界はむしろオンライン配信のニーズ増加をチャンスとして活かしています。
5Gや新技術の普及
5G通信やVR、3D映像技術の普及により、より高品質な映像コンテンツが求められるようになりました。視聴者が求める映像の質が高まり、それに対応するために新しい技術を取り入れた映像制作が求められます。これが映像業界の成長を支える要素です。
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M&Aの活発化とその理由
映像業界ではM&Aが増えています。M&Aが活発になる主な理由は次のとおりです。
- 人材確保のためのM&A
映像制作技術を持つ人材を短期間で確保する目的でM&Aが行われています。 - 各種SNSに特化した企業の買収
YouTubeやTikTok、Instagramなど特定のSNSに特化した企業を譲受し、細かなニーズに対応しています。 - 自社制作への移行のためのM&A
映像制作を外注から自社で行う体制にするため、映像制作会社を譲受するケースが増えています。
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映像業界におけるM&Aのメリット
映像業界のM&Aには、譲渡オーナーと譲受企業のそれぞれに大きなメリットがあります。ここではそれぞれの立場から詳しく見ていきます。
譲渡オーナーのメリット
映像業界において企業を譲渡する側のメリットは主に以下の5つです。
- 従業員の雇用を維持できる 映像会社を廃業すると、そこで働く従業員は仕事を失ってしまいます。しかし、M&Aを通じて企業を譲渡することで、従業員の雇用を守ることができます。
- 経営リスクを軽くすることができる 譲受企業は大きな資本を持ち、安定した経営基盤があります。そのため、譲渡した企業も安定した経営が可能となり、短期的な資金繰りや売上低下などのリスクを避けることができます。
- 譲渡益(売却益)を得られる 中小企業のオーナー経営者にとって、自社の売却は退職金の代わりにもなります。企業を譲渡することでまとまった資金を得ることができるため、老後の生活資金として活用できます。
- 個人保証から解放される 中小企業経営者は銀行融資の個人保証をしているケースが多くありますが、企業を譲渡することで、この個人保証から解放されるメリットがあります。
- 経営資源を集中させられる M&Aを活用することで、選択と集中が可能になります。競争力が弱くなった事業を譲渡し、強みがある事業に資源を集中させることができます。
譲受企業のメリット
譲受企業のメリットも大きく、以下のような点が挙げられます。
- 優秀な人材を一括で確保できる 映像業界において専門性が高い人材はすぐに育つものではありません。M&Aにより経験豊富な専門スタッフを迅速に獲得できます。
- 高度な技術やノウハウの獲得 映像業界は技術の進化が早いため、自社でゼロから新しい技術を開発するのは困難です。M&Aを通じてすでに確立された高度な映像制作技術を即座に取り込めます。
- 市場シェアの拡大が可能 同業他社を譲受することで顧客基盤を広げ、競争力を高めることができます。これにより市場内での地位を強化できます。
- 多角化・グローバル化を加速できる 映像コンテンツは国境を超えやすいため、海外企業の譲受を通じて迅速なグローバル展開が可能となります。
- 短期間で効率よく成長できる ゼロから新規事業を立ち上げるよりも、すでに成果を出している企業を譲受した方が、短期間で効率的に成長することができます。
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映像業界のM&Aにおける注意点
映像業界でM&Aを実施する際には、次のような注意点があります。
財務状況を正確に把握することが必要
譲渡企業には帳簿に記載されていない負債(簿外債務)が隠れている可能性があります。従業員への未払い残業代や過去のクライアントとのトラブルなど、潜在的な負債がないかをしっかり調査することが重要です。
企業文化や経営方針の統合を慎重に進める
異なる企業同士が一つになる場合、企業文化や働き方が違うため従業員間のトラブルが起こることがあります。スムーズな統合のためには双方の価値観を尊重し、共通の目標を作ることが必要です。
法的手続を確実に行うこと
映像業界のM&Aには契約書作成や権利関係の手続など複雑な法律問題が関係します。専門的な知識を持った専門家のアドバイスを受けて、確実に手続を進める必要があります。
映像業界のM&Aを成功させるためのポイント
映像業界でM&Aを成功させるためのポイントは以下のとおりです。
- 明確なM&A戦略を作成する 自社がなぜM&Aを行うのか、どのような成果を期待するのかを明確にしておく必要があります。これによりM&A後の方向性が定まります。
- 適正な譲渡価格を把握する 譲渡企業の価値を正しく評価することが重要です。市場の将来性や財務状況、技術力などを多面的に評価し、適正価格での取引を目指します。
- 統合後のPMI(統合作業)を徹底する 譲受後の企業統合作業(PMI)が成功の鍵です。従業員の配置、企業文化の融合、業務システムの統合など、細かな調整を確実に行うことでM&A後の成功が決まります。
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みつきコンサルティングのM&A成約事例
「みつきコンサルのM&A仲介」では、映像制作会社の譲渡を成功させたオーナー経営者の体験談を紹介しています。
映像制作のM&A事例 【関東】V社さま
本事例は、オンラインコンテンツの制作・提供を行う映像制作会社V社(売上約1.5億円)が、事業発展のためG社に譲渡されたものです。業界の周辺企業とのマッチングによって新たな成長機会を獲得しました。

譲渡オーナーの課題
譲渡オーナーは主に二つの課題を抱えていました。一つ目は業界の先行きに対する不安でした。映像制作業界は技術の進歩が速く、常に新しい技術や手法に追いついていく必要があります。二つ目は後継者の問題です。オーナーはまだ50代でしたが、子どもはまだ会社を任せられる年齢ではありませんでした。さらに、会社の業績が過去最低を記録した時期もあり、将来に対する焦りも感じていたのです。
みつきコンサルの導入過程
みつきコンサルティングからのDMが届いたタイミングが、オーナーが会社の将来について不安を感じていた時期と重なりました。初回の電話対応での丁寧さが印象的だったといいます。初回訪問時には、オーナーの意向、潜在的買手、株価の簡易査定、今後の進め方、報酬などについて話し合いが行われました。事前に財務資料を取得して簡易査定を行うなど、みつきコンサルの準備の良さにオーナーは安心感を持ちました。
コンサルティングの成果
みつきコンサルは過去の案件リストを活用し、112社中75社に打診可能としました。トップ面談を経て、最終的に周辺業界の企業(V社にとっての外注先)との話が進展しました。この企業は案件の理解も早く、シナジー効果も期待できる相手でした。クロージングは条件合意後スピーディーに進み、無事成約となりました。M&A後は社員のキャリアパスが広がり、外注していた業務の一部を内製化できるようになるなど、事業の発展につながっています。再試行
映像業界のM&Aのまとめ
映像制作会社のM&Aは、市場環境の変化に対応し、競争力を高めるために非常に有効です。戦略的なM&Aを活用して、映像業界での成長を実現しましょう。
当社は、みつき税理士法人グループのM&A仲介会社として15年以上の業歴があり、中小企業M&Aに特化した実績経験が豊富なM&Aアドバイザー・公認会計士・税理士が多く在籍しております。M&Aをご検討の際は、みつきコンサルティングにご相談ください
著者

- 事業法人第三部長/M&A担当ディレクター
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宅食事業を共同経営者として立ち上げ、CFOとして従事。みつきコンサルティングでは、会計・法務・労務の知見を活かし、業界を問わず、事業承継型・救済型・カーブアウト・MBO等、様々なニーズに即した多数の支援実績を誇る。M&Aの成約実績多数、M&A仲介・助言の経験年数は10年以上
監修:みつき税理士法人
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