後継者不足は、多くの中小企業が直面する問題です。本記事では、後継者不足の原因を説明し、後継者候補の探し方、M&Aによる解決方法、そのメリット・デメリットなどを紹介します。
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後継者がいない理由
中小企業の後継者難が叫ばれますが、主な要因として以下があります。
経営者の高齢化
東京商工リサーチによる「全国社長の年齢調査」によると、全国の社長の平均年齢は62.49歳です。中小企業の後継者不足の原因には、この経営者の高齢化が背景にあります。

団塊の世代の多くの経営者が高齢化しており、承継を考えるべき時期に差し掛かっています。その一方で、親族が後継者になることが難しい場合も多く、その結果として後継者が不在となり、経営者が勇退できないという状況が頻発しています。
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後継者(候補)の資質の問題
経営の変化のスピードが上がってきており、業界や市場の競争が激化していることから、経営に適任な人材が不足している面があります。帝国データバンクが公表した全国「後継者不在率」動向調査(2024年)によると、2022年から2024年の代表者交代を分析したところ、2024年は業界経験10年以上の人材が8割を超えました。

ただし、経営経験は3年未満が約6割を占めており、業界知識は豊富でも経営は初めての人材が多いことがわかりました。業界・経営の両方で10年以上の経験を持つ後任者も徐々に増加し、外部から社長経験者を招くケースも見られるようになっています。
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中小企業の後継者の探し方・決め方
親族内に後継者としての適任者がいない中小企業の場合、親族外から後継者を探すことになります。

その場合の後継者を探す方法は、以下のいずれかの選択肢になります。
- 社内で探す(従業員承継)
- 社外から探す(第三者承継)
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社内の従業員から登用|従業員承継
社内の役員・従業員から後継者を見つけることは、有効な選択肢の1つです。親族でなくても、長年共に働いた優秀な役員・従業員がいる会社は幸運だと思います。
社内承継の良い面
役員・従業員を後継者とする方法には、以下のようなメリットがあります:
- 会社の事業や文化をよく理解している
- 従業員のモチベーション向上につながる
- 円滑な引き継ぎが期待できる
後継者候補となる従業員には、段階的に役職を付与し、経営者としての視点や意識を身につけさせると良いでしょう。
後継者育成の取り組み
社内から後継者候補が見つかった場合、以下のような方法で育成を行うことが考えられます。
- 社内の部門ローテーション
- 社内プロジェクトの担当
- 他社での勤務経験
- 社外の経営塾や研修への参加
- 必要な資格の取得
▷関連:従業員承継の方法|メリットとデメリット・株価と資金対策も解説
社外からの後継者探し|第三者承継
経済的な問題等により社内承継はハードルは高いことが多いです。そのため、親族内に適当な後継者がいない場合には、現実的には社外から探すことが一般的です。
後継者を募集する方法
社外に後継者を求める場合、以下のように幾つかの方法があります。このうち最も一般的なのは、M&A仲介会社への相談になります。
外部からの招へい・登用
業界内外から経験豊富な人材を招へいし、後継者として登用する方法もあります。候補者は経営者仲間や顧問会計事務所、取引銀行から紹介してもらうと良いでしょう。
ただ、実際には候補者が現れることは稀です。現れたとしても、社内承継における役員・従業員と同様の経済問題等により、自社株の引き継ぎが容易ではありません。
後継者募集のマッチングサイトの利用
インターネット上には、後継者を募集するためのマッチングサイトが存在します。これらのサイトを活用することで、広く後継者候補を探すことができます。
事業承継・引継ぎ支援センターの活用
全国47都道府県に設置されている事業承継・引継ぎ支援センターは、中小企業の事業承継の相談先として利用しやすい専門機関です。ここでは以下のようなサポートを受けられます。徐々に利用が拡がっています。
- M&Aによる事業承継の支援
- 第三者承継に向けた取り組みのサポート
M&A・事業承継の専門家への相談
M&Aや事業承継の専門家に相談することで、適切なアドバイスを受けられます。専門家は以下のような役割を果たします。
- 事業承継の課題解決
- 適切な後継者候補の紹介
「専門家」といっても、税理士・公認会計士や弁護士等の士業専門家は、各分野の専門性は高いですが、後継者探し(マッチング)の機能は持っていません(あっても実績が殆どない)。そのため、後継者候補になり得る第三者(一般に大手企業)を手当したい場合には、M&A仲介会社を利用すると良いでしょう。
▷関連:事業承継とM&Aの違い|比較表・準備と流れ・メリットとデメット
第三者承継(M&A)のメリット・デメリット
主なM&Aのメリットとデメリットは以下のようなものです。
第三者承継(M&A)メリット
- 事業承継先の選択肢が広がる
- 相手先企業の人材や知識、技術を活用できる
- 自社の経営資源の不足を補うことができる
第三者承継(M&A)デメリット
- 企業文化の相違による摩擦
- 経営陣や従業員の不安感
- 仲介会社や専門家に対する費用面での負担
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中小企業の後継者探しの費用
後継者探しを検討する際、多くのオーナー経営者が気になるのが費用の問題です。利用するサービスや専門家によって料金体系は大きく異なるため、事前に費用感を把握しておくことが重要です。
マッチングサイトや支援センターの費用
後継者募集のマッチングサイトや各都道府県の事業承継・引継ぎ支援センターは、比較的低コストで利用できるサービスです。マッチングサイトは月額数万円から利用でき、支援センターは無料で相談を受けられます。
しかし、これらのサービスでは個人の後継者候補や小規模な企業との出会いが中心となります。大手企業を含む幅広い譲受企業から後継者を探したい場合、これらのサービスだけでは限界があります。
M&A仲介会社が実質的な後継者探しの手段
実際に大手企業を含む多様な譲受企業を対象とした本格的な後継者探しを行う場合、M&A仲介会社の利用が現実的な選択肢となります。M&A仲介会社は豊富なネットワークと専門知識を持ち、より幅広い候補先から最適な後継者を見つけることができます。
M&A仲介会社の費用体系
M&A仲介会社を利用する場合の費用は、一般的に以下の4つの項目で構成されています。各社によって料金設定は異なりますが、基本的な仕組みは共通しています。
- 相談料:初回の相談時に発生する費用で、無料としている会社も多くあります。
- 着手金:正式に業務を開始する際に必要な費用で、数十万円から数百万円の幅があります。
- 中間金:意向表明受理時または基本合意締結時に発生します。
- 成功報酬:最終的な譲渡契約成立時に支払います。
費用の目安
全体的な費用は譲渡する会社の評価額によって決まることが多く、1千万円から数千万円の範囲となることが多いです。報酬が高額な仲介会社ほど充実したサポートを提供する傾向があるため、費用だけでなくサービス内容もしっかりと比較検討することが大切です。
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中小企業の後継者探しのポイント
後継者候補を探す上では、以下の点に留意頂きたいと思います。
事業承継の準備を早めに開始する
早期に承継プランをたて、適切な後継者を見つける時間を確保することが重要です。事業承継は数年間の時間がかかることが一般的であり、遅くとも自身の引退希望時期から3~5年前からの検討をお勧めしています。
経営者自らが後継者育成に関与し、適切な人材を選定し育成する
後継者としての資質や能力を見極めることが求められます。経営者が現役のうちに後継者に伴走することで、新たな経営者を育成することが重要です。結果として、承継手続がスムーズに行われることでしょう。
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M&A(事業承継)に関する専門家の支援を活用する
専門家によるアドバイスやサポートを受けることで、適切な後継者選定や事業承継が円滑に進められます。承継には税金など専門性が高いテーマも紐づいており、専門家のアドバイスを受けることで適切な承継が可能となります。また、いわゆるM&Aと呼ばれる第三者承継を検討する際は、候補先企業の紹介など、プロに依頼する事で選択肢が大幅に拡がり、満足のいく承継ができる可能性が高まります。
▷関連:事業承継の相談先を比較|中小企業のための選び方・おすすめ先を紹介
後継者がいない会社の社長の探し方(まとめ)
事業承継を成功させるには、早期に計画を立て、事業承継・引継ぎ支援センターなど公的機関や専門家のサポートを活用することが重要です。 地域ごとの支援体制やサービス内容を理解し、自社に合う相談先を選びながら、後継者探しやM&Aの検討を段階的に進めていきましょう。
みつきコンサルティングは、税理士法人グループのM&A仲介会社として15年以上の業歴と500件超の支援実績を有し、中小企業M&Aに特化したアドバイザー・公認会計士・税理士が在籍しています。 税務・法務も含めたワンストップ支援で、後継者不足に悩むオーナー経営者の事業承継をサポートします。
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著者

- 事業法人第四部長/M&A担当ディレクター
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国内証券会社(現SMBC日興証券)にてクライアントの資産運用を支援。みつきコンサルティングでは、消費財・小売業界の企業に対してアドバイザリーを提供。事業承継案件のみならず、Tech系スタートアップへの支援も行う。M&Aの成約実績多数、M&A仲介・助言の経験年数は10年以上
監修:みつき税理士法人
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