化粧品業界のM&A事例18選!動向・メリット・成功方法を解説

近年、化粧品業界においてもM&Aが活発になっています。この記事では、M&Aの実施を検討している化粧品業界の経営者に向けて、化粧品業界のM&A事例を紹介します。化粧品業界の現状やM&Aの動向に加え、M&Aを成功させる方法についても、参考にしてください。

目次
  1. 化粧品業界の現状・業界動向
  2. 化粧品業界のM&A動向
  3. 化粧品会社のM&Aメリット
    1. 譲渡側のメリット
    2. 譲受側のメリット
  4. 【国内】化粧品会社の事業承継M&Aの事例12選
    1. 株式会社サンドラッグの子会社が株式会社I-neよりスキンケアブランドの事業を譲受
    2. 株式会社アイケイの子会社がコンビ株式会社の化粧品事業を譲受
    3. ジェイフロンティア株式会社が株式会社Lyckaの化粧品ブランドを譲受
    4. 株式会社アクシージアが株式会社ユイット・ラボラトリーズを子会社化
    5. リバースラボ株式会社が株式会社Reternalのヘアケアブランドを譲受
    6. 株式会社ナックが株式会社トレミーを子会社化
    7. 株式会社ユーグレナが株式会社LIGUNAを子会社化
    8. 粧美堂株式会社がビューティードア・ホールディングス株式会社を子会社化
    9. イワキ株式会社がマルマンH&B株式会社を子会社化
    10. 株式会社山田養蜂場が株式会社PDCを譲受
    11. 株式会社ナリス化粧品が株式会社ナリスアップ コスメティックスを合併
    12. ロート製薬株式会社と三洋化成工業株式会社が資本業務提携
  5. 【海外×国内】化粧品会社のM&A・事業承継の事例6選
    1. 花王株式会社がOribe Hair Careを譲受
    2. 株式会社資生堂がGiaran, Inc.を譲受
    3. 株式会社コーセーがTarte, Inc.を子会社化
    4. 株式会社マンダムがACG INTERNATIONAL SDN. BHD.を子会社化
    5. 株式会社b-exと台湾発のゼロカーボングリーンコスメブランド「O’right」が資本業務提携
    6. 株式会社ポーラ・オルビスホールディングスがトリコ株式会社を子会社化
  6. 化粧品会社業界でのM&A成功のポイント
    1. 計画的に準備する
    2. 希望の条件を明確にする
    3. M&Aの目的を明確化する
    4. 自社の技術・収益性などをまとめる
    5. M&Aの専門家に相談する
  7. 化粧品会社のM&Aなら「みつきコンサルティング」がおすすめ
  8. 化粧品業界M&Aまとめ

化粧品業界の現状・業界動向

矢野経済研究所が実施した調査によれば、2021年度の国内化粧品市場の規模(メーカー出荷金額ベース)は2兆2,900億円でした。前年度比102.5%となっており、市場規模は拡大傾向にあります。ただし、今後については人口減少による市場規模の縮小も懸念されています。また、近年は安全性を重視した化粧品が増え、オンラインによる販売が増加している状況です。

※参考:化粧品市場に関する調査を実施(2022年)|株式会社矢野経済研究所

化粧品業界のM&A動向

国内の化粧品業界には異業種からの参入が相次いでおり、競争は激化しています。そのため、利益の維持向上を目指し、海外進出を目指す化粧品会社も増えてきました。特に、アジア諸国へ進出するケースが多くなっています。海外進出を成功させる方法の1つとして、M&Aが行われています。

化粧品会社のM&Aメリット

化粧品業界のM&Aにはさまざまなメリットがあります。譲渡側と譲受側のメリットをそれぞれまとめると、以下のようになります。

譲渡側のメリット

  • 経営が安定化する
  • 後継者が不在でも事業承継を実現できる
  • 従業員の雇用を継続できる

譲受側のメリット

  • 商品のラインナップの増加や技術力の補完などにより売上を向上させられる
  • 経営の合理化によりコストを削減できる

【国内】化粧品会社の事業承継M&Aの事例12選

ここでは、国内の化粧品会社の事業承継・M&Aについて12の事例を紹介します。

株式会社サンドラッグの子会社が株式会社I-neよりスキンケアブランドの事業を譲受

幅広い販売経路を強みとする、サンドラッググループの株式会社ピュマージは、株式会社I-neのスキンケアブランド「skinvill」を譲り受けました。サンドラッググループのオリジナルブランドの強化にあたり、スキンケア商品を展開するためです。

株式会社アイケイの子会社がコンビ株式会社の化粧品事業を譲受

化粧品や食品などを展開する、株式会社アイケイの子会社である株式会社プライムダイレクトは、コンビ株式会社の化粧品事業を譲り受けました。ダイレクトマーケティング(無店舗販売)事業の拡大を目指しています。

ジェイフロンティア株式会社が株式会社Lyckaの化粧品ブランドを譲受

美容品や健康食品などの、開発・販売を手掛けるジェイフロンティア株式会社は、株式会社Lyckaのヘアケア・ボディケアブランド「LILAY」シリーズを譲り受けました。これにより、新しい販売経路の開拓と売上向上を目指しています。

株式会社アクシージアが株式会社ユイット・ラボラトリーズを子会社化

ニッチなニーズに応える、化粧品やサプリを販売する株式会社アクシージアは、化粧品や医薬部外品の製造や通信販売を行う、株式会社ユイット・ラボラトリーズの全株式を取得しました。販路や客層の拡大などが目的です。

リバースラボ株式会社が株式会社Reternalのヘアケアブランドを譲受

化粧品を扱うリバースラボ株式会社は、株式会社Reternalのヘアケアブランド「Neffy」を譲り受けました。「Neffy」はリバースラボ株式会社のブランドとして、引き続き販売されています。

株式会社ナックが株式会社トレミーを子会社化

ウォーターサーバーのサービスや建築コンサルティングなどを展開する株式会社ナックは、化粧品の受託製造を行う株式会社トレミーの全株式を取得しました。現在、株式会社ナックは、美容・健康事業の商品開発も手掛けています。

株式会社ユーグレナが株式会社LIGUNAを子会社化

ミドリムシを活用した機能性食品や化粧品を製造・販売する株式会社ユーグレナは、株式会社LIGUNAを株式交換により、完全子会社化しました。株式会社LIGUNAとの協業により、ヘルスケア事業の拡充に着手しています。

粧美堂株式会社がビューティードア・ホールディングス株式会社を子会社化

化粧品や化粧雑貨を企画・販売する粧美堂株式会社は、ビューティードア・ホールディングス株式会社の全株式を取得しました。ビューティードア・ホールディングス株式会社は、化粧品の受託製造をするビューティードア株式会社の、経営管理を担う持株会社です。買収により、化粧品事業の拡大を目指しています。

イワキ株式会社がマルマンH&B株式会社を子会社化

化粧品の商社事業や、医薬品の卸売事業を展開するイワキ株式会社は、マジェスティゴルフ株式会社が保有する、マルマンH&B株式会社の全株式を取得しました。マルマンH&B株式会社の事業内容は、健康食品や化粧品などの企画・開発・販売です。これにより、ダイレクトマーケティング事業の拡大を目指しています。

株式会社山田養蜂場が株式会社PDCを譲受

養蜂産品の健康食品や化粧品を扱う株式会社山田養蜂場は、「ピュアナチュラル」などのスキンケア用品を提供する株式会社PDCの全株式を取得しました。目的は、ドラッグストアをはじめとする、一般小売店へ流通する商品の展開です。

株式会社ナリス化粧品が株式会社ナリスアップ コスメティックスを合併

化粧品の訪問販売を展開する株式会社ナリス化粧品は、子会社でセルフコスメを扱う株式会社ナリスアップ コスメティックスを合併しました。ブランドを強化し、事業拡大を目指しています。

ロート製薬株式会社と三洋化成工業株式会社が資本業務提携

ロート製薬株式会社と三洋化成工業株式会社は、市場買付けにより双方が株式を取得し、資本業務提携を開始しました。化粧品、再生医療、医療機器などの事業拡大とともに、企業価値の向上を目指しています。

【海外×国内】化粧品会社のM&A・事業承継の事例6選

ここでは、海外と国内の化粧品会社のM&Aについて6つの事例を紹介します。

花王株式会社がOribe Hair Careを譲受

花王株式会社は、アメリカの子会社である花王USA Inc.を通じ、Oribe Hair Care社を譲り受けました。Oribe Hair Care社は、ヘアサロン向けのヘアケア製品のブランドを保有しています。花王株式会社は、事業の拡充や顧客層の拡大を目指しています。

株式会社資生堂がGiaran, Inc.を譲受

株式会社資生堂は、アメリカ地域の本社で連結子会社でもあるShiseido Americas Corporationを通じ、Giaran Inc.を譲り受けました。Giaran Inc.は、AIを用いたバーチャルのメイクアップに関する技術を保有しています。株式会社資生堂は、技術力の強化を目指しています。

株式会社コーセーがTarte, Inc.を子会社化

株式会社コーセーは、天然由来成分を配合したスキンケア用品や化粧品のブランドを展開するTarte, Inc.の株式を取得して子会社化しました。海外展開により、グループの強化を図っています。

株式会社マンダムがACG INTERNATIONAL SDN. BHD.を子会社化

株式会社マンダムは、マレーシアの若い女性向けの化粧品ブランド「SILKYGIRL」を展開する、ACG INTERNATIONAL SDN. BHD.を完全子会社化しました。株式会社マンダムは、東南アジアでの活動に力を入れる見込みです。

株式会社b-exと台湾発のゼロカーボングリーンコスメブランド「O’right」が資本業務提携

ヘアサロン向けの化粧品メーカーである株式会社b-exは、環境に配慮した商品を開発している台湾発のコスメブランド「O’right」と、資本業務提携しました。これにより、同ブランドでは日本初の大容量の業務用シャンプー・トリートメントを発売しました。

株式会社ポーラ・オルビスホールディングスがトリコ株式会社を子会社化

株式会社ポーラ・オルビスホールディングスは、国内で健康食品やスキンケア用品をサブスクリプション形式で展開する、トリコ株式会社の全株式を取得しました。目的は、グループの戦略の強化や企業価値の向上などです。

化粧品会社業界でのM&A成功のポイント

化粧品会社のM&Aを成功させるには、どうすればよいのでしょうか。ここでは、方法を具体的に解説します。

計画的に準備する

化粧品会社のM&Aは、契約成立までの計画を具体的に立てて準備することが大切です。合併や買収の計画が遅れれば、企業全体の戦略にも大きなダメージが出る恐れがあります。そのため、計画やスケジュールの管理には細心の注意を払いましょう。

希望の条件を明確にする

M&Aでは希望の条件を曖昧にせず、明確にする必要があります。ただし、条件を絞り込みすぎると、候補となる企業を見つけにくくなります。M&Aにかけられる期間を考慮し、適切な条件を設定しましょう。

M&Aの目的を明確化する

M&Aを行う場合、企業にはそれぞれ目的があります。M&Aを成功させるには、自社の目的を明確にしておくことが大切です。目的が明確であれば、M&Aを仲介する専門家との連携や相手企業との交渉がスムーズになります。

自社の技術・収益性などをまとめる

M&Aの譲渡側は、自社の強みを伝えられないと売却益を挙げられません。一方、譲受側は、M&A戦略を練るために自社の強みを把握する必要があります。M&Aにおいては、譲渡側と譲受側がそれぞれ自社の技術・収益性などを説明できなければなりません。

M&Aの専門家に相談する

M&Aを行うには会社法をはじめとする専門的な知識が不可欠です。また、金額についての交渉は慎重に行うべきであり、豊富な経験が必要となります。M&Aの専門家に相談すれば、安心して手続きや交渉を進められます。

化粧品会社のM&Aなら「みつきコンサルティング」がおすすめ

みつきコンサルティングでは、聞き取り、候補先の選定、調査、交渉、M&Aの成立までを一貫してサポートしています。完全成功報酬制であり、途中費用は一切かかりません。化粧品会社のM&Aを成功させるために、ぜひご相談ください。

化粧品業界M&Aまとめ

化粧品業界の競争は激化しており、新しい戦略を打ち出すためにM&Aを行う企業も増えています。化粧品会社のM&Aの成功事例をみると、事業の強化に上手くつなげられているパターンが多いです。

みつきコンサルティングには経営コンサルティングの経験者が多く、候補先の事業をプロの目線で分析したうえで紹介しています。候補先から事業計画書の提出を求められるケースも多いですが、精緻な事業計画書の策定についてもサポート可能です。

化粧品会社のM&Aを成功させるにはさまざまな知識や知見が必要であるため、プロに相談したうえで適切に手続きや交渉を進めましょう。

著者

西尾崇
西尾崇事業法人第三部長
宅食事業を共同経営者として立ち上げ、CFOとして従事。みつきコンサルティングでは、会計・法務・労務の知見を活かし、業界を問わず、事業承継型・救済型・カーブアウト・MBO等、様々なニーズに即した多数の支援実績を誇る。
監修:みつき税理士法人

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