M&Aのトレンドは?業界別に日本企業の今後の予測を解説

足元では、2025年のM&A件数は過去最多となりました。今後、M&Aを検討する際には、M&Aの動向やトレンドについて知っておくことも重要です。本記事では、業界別に最新のM&Aの動向・トレンドについて解説します。

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M&Aの長期的なトレンド

日本企業のM&A件数は、ここ何年も増加しています。MARR Online「グラフで見るM&A動向」によると、1985年以降の国内企業の状況は、リーマンショックや東日本大地震といった一時的な不況を除き、M&A件数は増加しています。

特に、1993年から2006年までは、M&Aの増加が顕著な時期だったといえます。バブル経済の崩壊をきっかけとして、事業の存続や成長のためにM&Aを決断する企業が目立っていました。また、2017年以降は、M&Aの件数は年間3,000~5,000件程度で推移しています。

M&A件数が上向きな理由

M&A市場は、なぜトレンドが上向きになっているのでしょうか。ここでは、その理由について解説します。

後継者問題の深刻化

M&A市場が注目されるようになった背景には、後継者不足に悩む中小企業の増加があげられます。例えば、現在の経営者が高齢になり、引退しようとしても後継者がいないケースも多いのが現状です。たとえ経営者に子どもがいても、事業を継がないケースも少なくありません。東京商工リサーチの2025年「後継者不在率」調査によると、後継者不在率は全産業平均で62.6%に達しています(下表)。

業界後継者:有り(社数)後継者:無し(社数)不在率
情報通信業1,9426,52677.06%
サービス業他10,06020,69567.28%
小売業4,8358,94264.90%
建設業10,20317,90063.69%
卸売業12,37619,73061.45%
不動産業2,4103,78861.11%
農・林・漁・鉱業8581,16057.48%
運輸業3,9105,24057.26%
製造業15,86820,94156.89%
金融・保険業79096254.90%
合計63,252105,88462.60%
出所:東京商工リサーチ TSRデータインサイトを当社にて再編加工

そのような事情により、親族以外の第三者に事業を譲渡する事例が増加しています。有力な方法の1つとして、M&Aが頻繁に利用されるようになりました。大手企業だけではなく、中小企業も積極的にM&Aを実施しています。

大手企業の戦略的買収ニーズ

大手企業では、ビジネスモデルの見直しやデジタル・トランスフォーメーション(DX)に対応すべき差し迫ったニーズがあります。

また、海外進出のために、M&Aを活用する企業もあります。人口減少により、国内市場の縮小は加速すると考えられているため、海外進出も企業として生き残る選択肢の1つです。大手企業では、海外進出の風潮が特に強まっています。M&Aを利用すれば、海外向けの事業をゼロから作る必要はありません。買収した事業の知見や実績を活用できるため、海外進出をよりスムーズに進めやすくなります。

人材確保の手段

人口減少による人材不足を補うため、M&Aを通じて人材を獲得する企業が増えています。譲渡企業は、大手企業の傘下に入ることで、社会的信用力やブランドを活かした人材獲得が可能になります。

その他の増加理由

M&Aの増加トレンドの背景には、以下のような点も影響していると考えられます。

  • 政府の支援策:政府は事業承継を円滑化するため、支援制度や税制優遇措置を導入しています。これにより、M&Aを活用した事業承継の経済的な負担が軽減され、多くの経営者がM&Aを検討しやすくなっています。
  • 事業承継・引継ぎ支援センターの支援強化:事業承継・引継ぎ支援センターが積極的に中小企業の相談を受け、M&A成約を促進しています。同センターの支援により、以前はM&Aに消極的だった経営者も取引に踏み切るケースが増えています。
  • 産業構造の変化:技術革新が著しいセクターや、グローバル化が進む中での国際的な市場統合によってM&Aが牽引されています。AI、半導体、電気自動車、バイオテクノロジーなどの成長分野でM&Aが活発化しています。

2026年のM&Aのトレンド

2026年の国内M&A市場は、中小企業における後継者難と産業再編の加速により、活況が見込まれます。2026年1月発表のレコフデータ調べによると、直近2025年(1月~12月)の日本企業のM&A件数は5,115件となり、過去最多を更新しています。

注目すべき動向として、AI・IT技術の導入、人材の確保、ESG対応の推進が挙げられます。事業承継や企業規模の拡大を狙う成熟業種(医療、建設、運送等)において、再編の波が広がっています。

活発な取引件数と成熟業種の統合

後継者不在率が約62%に到達し、事業承継を目的とする中小企業のM&Aが継続的に増えています。建設・運輸・医療・介護・薬局といった、人材不足が顕著な業種では、企業統合による再編が顕著です。

戦略目的の多様化

従来の事業拡大路線だけではなく、AI導入やデジタル化の推進、サプライチェーンの見直しを狙ったM&Aが中心となっています。脱炭素への対応(ESG)や人的資本の強化に向けた、持続可能性を重視する取引が増えつつあります。

売り手有利の環境と高い評価額

買い手の候補者増加(異業種からの参入を含む)により、業績の良い中小企業の譲渡価格は上昇傾向にあります。上場企業による事業や子会社の切り出し(カーブアウト)も盛んです。

留意すべきリスク

金利の上昇に伴う資金調達コストの増大が、譲受企業の意欲を抑制する懸念があります。為替変動やグローバルな政治的リスクが、海外企業による日本企業の譲受や国際的な取引に不確実性をもたらしています。

2026年は、戦略的な「成長」や「存続」をかけたM&Aがより深化し、単純な事業承継にとどまらず、組織や人材の「質的向上」を狙った譲受が拡大すると考えられます。

業界別M&Aのトレンド

業界によって、M&Aの動向やトレンドには違いがあります。ここでは、業界別にM&Aの動向やトレンドを解説します。

薬局業界

薬局業界では、薬剤師の不足が問題となっています。その課題を解決する目的で、中小規模の薬局が、M&Aにより大手の薬局の傘下となるケースが増加傾向です。大手の薬局にとってM&Aは、薬剤師をまとめて確保する方法になるため、店舗の拡大もしやすくなります。薬局業界自体は成長が見込まれていることから、M&Aによる異業種からの参入も増えている状況です。

医療・介護業界

医療・介護業界は、今後も十分な需要が見込まれているものの、長時間労働や低賃金などによる人材不足の課題もあります。後継者がいない開業医も増えているのが実情です。そのため、人材不足や後継者不在などの問題を解決する方法として、M&Aが注目されています。また、施設や設備を強化する目的で、M&Aが実施されるケースも珍しくありません。

運送・物流業界

運送・物流業界も需要が増しており、将来性が期待できる業界です。ただし、規制緩和による競争の激化や、ドライバーの人手不足といった課題もあります。それらの解決策として、中小規模の運送会社が、M&Aにより大手企業の傘下に入るケースが増えています。

労働時間を適正に管理する「2024年問題」として問題視されている、時間外労働の規制などの影響もあり、運送・物流業界におけるM&Aは、今後ますます増加する可能性が高いでしょう。

建設業界

建設業界は規模が大きく、今後の需要の予測も安定しています。しかし、慢性的な人材不足が生じており、中小企業の多くが悩んでいます。また、高齢化による廃業も相次いでいます。人手不足や後継者不在による廃業の課題解決を、M&Aにより目指すケースが増えてきました。また、建設業界でも労働時間を適正に管理する「2024年問題」を見越し、対策としてM&Aを実行する企業もいます。

不動産業界

不動産業界は、人口減少の影響を特に受けやすいという特徴があります。たとえば、地方の過疎化に伴って空家が生じたり、高齢の単身者が増加したりしています。また、経営者自身も高齢になり、後継者の不在に悩むケースも多い状況です。そのような状況のなか、規模の拡大や都市部への進出などを目的としたM&Aが、不動産業界で活発に行われています。

IT業界

IT業界でも、慢性的な人材不足の問題があります。また、変化が速い業界であり、他の業界よりも早い時期から、後継者への事業承継を検討する経営者も少なくありません。問題を解決する方法として、IT企業同士のM&Aが注目されています。また、大手企業が新しい技術や知見を確保する目的で、ベンチャー企業を相手に、M&Aを実施するケースもあるでしょう。

製造業界

日本の製造業界は、世界のなかでも特に高い競争力を誇っていました。しかし、近年は他国の製造業の台頭により、競争力が落ちています。製造業界でも、後継者の不在に悩む中小企業が多く、M&Aにより大手企業の傘下に入るケースは珍しくありません。M&Aを実施することで、中小企業の廃業を防げるようになり、長年にわたり培ってきた技術の承継も可能です。

サービス業界

サービス業界には、宿泊施設、外食産業、人材派遣、教育など、幅広い分野が含まれています。いずれも需要が高く、今後も市場の成長が見込めます。しかし、サービスを提供する人材不足は大きな課題です。人材不足に陥っている中小企業が大手企業の傘下に入り、サービスの品質の維持向上を目指すケースも増えています。

M&Aの今後の予測

アメリカでは、設立から間もない企業が、M&Aにより株式を譲渡し、投資した資金を回収するケースが多くみられます。今後は日本においても、設立したばかりの企業がM&Aにより飛躍を目指すパターンが増加すると考えられます。

また、東南アジアでのM&Aも活発です。日本企業が海外進出を目指すには、東南アジアでのM&Aにも積極的に挑戦する必要があるでしょう。インターネットを活用したM&Aのマッチングも増加しています。

M&Aの長期トレンドのまとめ

日本のM&Aは増加し、2025年は過去最多の5,115件でした。後継者不在率が62.6%に達する中、医療や物流、建設などで活用が進んでいます。今後はスタートアップの売却や、東南アジアなど海外案件の増加も予測されています。

みつきコンサルティングは、税理士法人グループのM&A仲介会社です。第三者承継や親族内・従業員承継など、多様な選択肢から最適な手法を提案します。経営コンサルタントによる精緻な計画策定も可能ですので、お気軽にご相談ください。

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著者

西尾 崇
西尾 崇事業法人第三部長/M&A担当ディレクター
宅食事業を共同経営者として立ち上げ、CFOとして従事。みつきコンサルティングでは、会計・法務・労務の知見を活かし、業界を問わず、事業承継型・救済型・カーブアウト・MBO等、様々なニーズに即した多数の支援実績を誇る。M&Aの成約実績多数、M&A仲介・助言の経験年数は10年以上
監修:みつき税理士法人

みつきコンサルティングは、中小企業の会社売却・事業承継に特化した譲渡企業様に完全成功報酬制のM&A仲介会社です。売り手と買い手企業の最適なマッチングを、経験豊富なM&Aコンサルタントが初期相談から成約まで一貫してフルサポートします。

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