システム開発会社のM&Aの動向|事例や相場、成功させるポイントも解説

近年、システム開発会社において、人手不足の解消や業務の内製化を目的としたМ&Aが実施されています。

本記事では、システム開発会社におけるM&Aの最新動向や、具体的な事例や相場、メリット・デメリット、M&Aを成功させるためのポイントについて詳しく解説します。これからの時代を見据え、事業の継続と発展を図る経営者の方は、ぜひ参考にしてみてください。

システム開発会社の概要

ここでは、システム開発会社のM&Aについて、近年の状況を解説します。

システム開発会社とは

システム開発とは、情報技術(IT)を活用して業務プロセスを効率化する、システムの構築を指します。システム開発会社は、企業や組織からの依頼を受け、ニーズに合わせたシステムの設計・実装・運用・サポートを行う企業です。

システム開発会社の現状と将来性

2022年に実施された「国内企業のIT投資に関する調査」によると、システム開発会社が属するIT業界は、2018年度から右肩上がりの成長を遂げています。この傾向は、今後も続くと予想されており、クラウド、ビッグデータ、IoT(モノのインターネット)などの技術が、あらゆる業界で求められています。

※参考: 国内企業のIT投資に関する調査を実施(2022年) | ニュース・トピックス | 市場調査とマーケティングの矢野経済研究所

システム開発会社のM&Aの動向

デジタル化の波は、システム開発会社に新たな課題と機会をもたらしました。特に、クラウド化の進展により、従来型のシステム開発のビジネスモデルは変化を迫られています。このため、多くのシステム開発会社が、クラウド型システムパッケージを活用したソリューション事業への移行を目指し、M&Aを実施しています。

システム開発会社のM&Aで解決できる課題

システム開発会社が直面する多くの課題は、M&Aを通じて解決することが可能です。

人材不足の解消

IT業界の市場規模が拡大する一方で、多くのシステム開発会社は人材不足に直面しています。M&Aは、人材不足問題に対する有効な解決策の1つです。譲受側の会社は、譲渡側から人材を引き継ぎ、即戦力として活用することで、人材不足を効果的に解消できるでしょう。

業務の内製化

業務の内製化は、コスト削減や業務効率の向上を目指すシステム開発会社にとって、重要な戦略です。M&Aを通じて、会社は必要な技術や専門知識を持った企業を取り込むことができます。

システム開発会社のM&A事例6選

システム開発会社のM&Aは、多様な戦略的目的を持ちます。以下では、注目のM&A事例を6つ紹介します。

エスエイティーティーがアイ・ティ・コンサルティングを子会社化

2019年8月6日、エスエイティーティー株式会社は、株式会社アイ・ティ・コンサルティングの全株式を取得し、子会社化しました。このM&Aの主な目的は、全国展開を加速させることです。全国的に知名度を上げることで、新たなクライアントの獲得や業務拡張が期待できます。

サンロフトがS’PLANTを子会社化

2021年3月3日、株式会社サンロフトは、株式会社S’PLANTの株式を100%取得し、子会社化しました。このM&Aは、基幹業務システム開発事業部門の体制強化を目的としています。株式会社サンロフトのサービス範囲と競争力を強化するための、戦略的な一歩といえるでしょう。

方正がインテック武漢を子会社化

2021年1月4日、HOUSEI株式会社(方正)は、英特克信息技術(武漢)有限公司(通称インテック武漢)の全株式を取得し、子会社化しました。HOUSEI株式会社は、このM&Aにより、事業規模と事業領域の拡大を目指しています。

TDCソフトが八木ビジネスコンサルタントを子会社化

2020年2月3日、TDCソフト株式会社は、株式会社八木ビジネスコンサルタントを子会社化しました。このM&Aは、2社のノウハウとシステム開発技術を融合させ、次世代を見据えたサービス提供につなげることを目的としています。

ソフィア総合研究所が藤井を子会社化

2020年8月1日、株式会社ソフィア総合研究所は、株式会社藤井を子会社化しました。このM&Aの目的は、技術力の強化と事業の拡大です。ソフィア総合研究所の研究開発能力を、一層高めることを目指しています。

エイム・ソフトがケア・ダイナミクスを子会社化

2020年5月1日、株式会社エイム・ソフト(現・クシムソフト)は、株式会社ケア・ダイナミクスを子会社化しました。このM&Aは、新たな市場の開拓や、人員の効率的な活用方法の模索、自社開発プロダクトの開発や販売、保守などの実現を目的としており、企業の成長戦略の重要な一環となっています。

譲渡するメリット

事業のM&Aは、譲渡側にもメリットがあります。

後継者が不在でも事業を継承できる

後継者が不在の場合でも、M&Aを通じて事業を継承できます。後継者不足による事業の断絶や廃業を防ぐ手段として有効です。

売却益を獲得できる

M&Aを実施することで、譲渡側は売却益を獲得できます。この資金は、企業の主力事業への再投資や、経営者勇退後のリタイアメントプランに役立てることが可能です。

譲渡するデメリット

M&Aには、上記のようなメリットがある一方、デメリットも存在します。以下では、デメリットについて詳しく解説します。

従業員から反発を受ける可能性がある

M&Aを進める際、企業文化の違いから従業員の間で不安や反発が生じることがあります。また、M&Aによって取引先との関係が悪化することもあり、長期的な業績への影響が懸念されるでしょう。

システム開発会社のM&Aの相場

システム開発会社のM&Aにおける相場価格は、企業規模や営業利益などの要因によって大きく変動し、一概には決められません。一般的に、IT業界のM&A相場は、他の業界と比較して高い傾向にあります。

企業価値算定の3つの方法

企業価値を算定する方法として、主に3つのアプローチがあります。これらの方法は、それぞれ異なる側面から企業価値を評価し、M&Aにおける適正な価格を決定するのに役立ちます。

コストアプローチ

コストアプローチは、企業の現在の純資産をもとに企業価値を算出します。企業の物理的な資産や負債を考慮するため、客観性に優れた譲渡価格の算出が可能です。

インカムアプローチ

インカムアプローチでは、将来のキャッシュフローを現在価値に割り引いて算出する方法を取ります。この算定方法は、今後の収益性や成長可能性に期待できる場合、特に有効です。

マーケットアプローチ

マーケットアプローチは、市場取引をもとに企業価値を算出する方法です。類似企業の取引データを参考にして価値を評価するため、正確に企業価値を算定できます。

M&Aを成功させるポイント

M&Aを成功に導くためには、いくつかの重要なポイントがあります。詳しく解説します。

自社の強みを明確にする

M&Aで可能な限り高値で譲渡するためには、自社の強みを明確にすることが重要です。特に、技術力、顧客基盤、ブランド価値など、自社独自の競争優位点を強調することを意識しましょう。

専門家に相談する

M&Aには複雑な手続きや法的な側面が含まれるため、自社のみで対応するのは困難かもしれません。弁護士、会計士、M&Aアドバイザーなど、専門家による適切なアドバイスとサポートを受けることで、スムーズな取引が実現しやすくなるでしょう。

優秀な従業員を育成する

優秀な従業員を多く雇用している企業は、高額で取引される傾向にあります。従業員の育成と定着に向けた取り組みは、企業価値を高めるために欠かせません。

市場の状況やトレンドを把握する

M&Aを成功させるためには、市場の状況や最新のトレンドを把握することが重要です。市場動向、競合他社の動き、業界の変化などを理解することで、適切なタイミングでM&Aを実施し、より良い条件で取引できるでしょう。

必要なデータをまとめる

M&Aにおいては、事業に関連するデータの整理と提示が重要です。財務諸表、契約書、顧客リスト、業績データなどを整理・可視化し、取引相手に対して事業の透明性と信頼性を高めましょう。

M&Aの相談先

M&Aに関する相談先は多岐にわたり、それぞれが異なる専門性とサポートを提供します。適切な相談先を選ぶことが、M&Aの成功においては非常に重要です。

税理士や公認会計士

M&Aにおいて、税理士や公認会計士は重要な役割を担います。これらの専門家は、会計や税務に関する深い知識を持ち、M&Aに伴う複雑な財務処理や税務処理を適切にサポートします。M&Aにおいて財務的なリスクを最小限に抑えるのに役立つでしょう。

M&A仲介会社

M&A仲介会社は、売り手と買い手のマッチングから交渉、契約締結までの一連のプロセスをサポートする企業です。これらの企業は、豊富な経験と専門知識を持ち、効率的な取引の進行や適切な価格設定のアドバイスを提供します。また、幅広いネットワークを利用して、最適な取引相手を見つけることも可能です。

金融機関

銀行や証券会社などの金融機関も、M&Aにおいて重要な相談先です。これらの機関は、資金調達から財務アドバイザリーまで、幅広いサポートを提供します。特に、資金調達に関するアドバイスやM&Aに伴う融資の手配は、金融機関の得意とする領域です。

公的機関

商工会議所や経済産業省などの公的機関は、M&Aに関する情報提供やアドバイスを行っています。特に、中小企業の事業承継を支援するための事業承継・引継ぎ支援センターは、地域に密着したサポートを提供します。これらの機関は、費用面でのメリットや公的な信頼性が高いという点で、特に小規模な事業者にとって有用です。

システム開発会社のM&Aの相談は「みつきコンサルティング」がおすすめ

システム開発会社のM&Aを検討しているなら、ぜひ「みつきコンサルティング」にご相談ください。税理士法人グループのため、M&Aだけでなく、事業所内承継や親族内承継を含む複数の選択肢を提案し、それぞれのメリットとデメリットを比較検討します。

また、経験豊富な経営コンサルタントが在籍しており、詳細な事業分析とシナジー創出のための候補先の紹介も可能です。企業価値算定や事業計画書の策定、債務超過や収益赤字企業の事業再生に至るまで、多岐にわたる専門的サポートを提供します。国際的な案件や相続対策にも対応可能です。

まとめ

デジタル化による社会の変化に伴い、課題を抱えるシステム開発会社は少なくありません。М&Aは、人材不足や業務の内製化をはじめとする課題の解決に有効な手段です。しかし、M&Aは複雑なプロセスが伴います。経験豊富な専門家による、適切な知識とサポートがМ&Aの成功の鍵といえるでしょう。

みつきコンサルティングは、M&Aにまつわる専門的支援を提供するパートナーです。事業承継の多様な選択肢、経営コンサルティング、国際案件、相続対策に至るまで幅広いサービスの提供が可能です。企業のM&A戦略を成功に導くため、ワンストップの支援を実施しています。

著者

西尾崇
西尾崇事業法人第三部長
宅食事業を共同経営者として立ち上げ、CFOとして従事。みつきコンサルティングでは、会計・法務・労務の知見を活かし、業界を問わず、事業承継型・救済型・カーブアウト・MBO等、様々なニーズに即した多数の支援実績を誇る。
監修:みつき税理士法人

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