M&Aにおける提携提案書とは?主な構成内容、企業概要書も解説

M&Aを成功させるためには、提案書の作成・提供が必要不可欠です。本記事は、M&Aの提案書に関して疑問を抱える経営者に向け、M&Aにおける提案書の種類や重要性、作り方などを解説します。

M&Aにおける提案書とは

M&Aを成功させるためには、シナジー(相乗効果)が見込める譲渡企業と出会うことが大切です。このマッチングにおいて、的確な情報交換をするために、M&Aにおける提案書が活用されています。

M&Aにおける提案書の種類

M&Aにおける提案書は、企業概要書(IM)と、提携提案書の2種類に分けられます。

企業概要書は、譲渡企業の詳細内容を譲受企業に説明、理解いただくために作成されるものです。適正な企業価値を測るための情報を手に入れるためにも必要です。M&Aの判断材料が足りない場合、検討期間が長引いてしまったり、そもそも検討できなかったりしてしまう可能性があります。

一方、提携提案書は、譲受企業から譲渡企業に対して提出されるM&Aを提案する提案書となります。

【譲渡側→譲受側】M&Aを成功させる企業概要書(IM)の作り方

本章では、企業概要書(IM)の作り方について解説します。

企業概要書(IM)を作る際の手順

先ず、秘密保持契約を締結し、情報収集・業界調査をした後、ラフに企業価値評価をしてからIMを作成します。

譲受側が検討を行うにあたり必要な情報を記載することが目的となります。企業概要書を作るうえで大切となるポイントとしては、「譲渡企業の業界分析を徹底すること」、「譲渡企業の情報資料をしっかり集めること」、「譲渡企業の企業情報をわかりやすく纏めること」の3点といえます。この3点に関しては、譲渡側の協力も不可欠です。

企業概要書(IM)の主な構成内容

IMの主な構成内容である企業概要、事業内容、財務状況、M&Aによる譲渡理由、将来の事業計画について、以下で解説します。

1.企業概要

企業概要は、企業名・住所・代表者名・従業員数、沿革などの情報を記載します。企業概要は、譲渡側の魅力を譲受側に伝えるために必要な基本的な情報となります。譲渡企業が有している知的財産の情報などもここに記載すると良いでしょう・

2.事業内容

事業内容では、開発・製造する商品・サービスの詳細な情報を記載します。主な取引先や取引の流れを記載すると、譲受側のイメージが湧きやすくなるためスムーズに検討してもらうために必要なエッセンスです。譲渡企業のコアコンピタンスが何かを譲受側が理解しやすいように記載できると尚良いでしょう。

3.財務状況

財務状況では、損益計算書と賃借対照表を開示します。M&Aの判断を下す譲受側にとって、譲渡側の財務状況は、必要不可欠な情報です。また、金融機関からの借入状況や返済状況、簿外資産や簿外負債の有無、所有資産の回収可能性や時価評価などを反映した時価純資産を算出するなど、デューデリジェンス実施後に想定される資産査定も簡易に実施しておくと良いでしょう。

4.M&Aによる譲渡理由

M&Aによる譲渡理由では、M&Aによる譲渡検討の理由や経緯を記載します。なぜこのタイミングで譲渡するのか、できる限り詳細に記載する必要があります。譲渡理由で一般的に多いのは、後継者不在や経営状況の悪化などですが、譲渡理由が明確になることによって、譲受企業のM&A戦略と合致しているかが明確になります。

5.将来の事業計画

将来の事業計画がある場合は、記載します。譲渡側がどのような事業計画で経営を進めているのかを理解することで、譲受側はどのような戦略を立てるべきかイメージすることができ、M&A後の戦略に活かすことができます。しっかりしたポストM&A戦略(PMI)の立案ができる案件は、それだけ成約する確度が高まります。

なお、上記に加えて、想定される株式価値・事業価値をIMに折り込むことも少なくありません。それによりお相手候補企業(譲受企業)の温度感等を早めに掴み、その後の譲渡プロセスをスムースに進めることが期待するようなケースです。

【譲受側→譲渡側】M&Aを成功させる提携提案書の作り方

本章では、提携提案書の作り方について解説します。

提携提案書を作る際の手順

秘密保持契約を締結し、情報収集・業界調査をした後、譲渡側の分析をしてから、作成します。譲渡側が提携を検討するために必要な情報を記載するかたちとなります。

提携提案書の主な構成内容

提携提案書は、企業概要、M&Aの提案理由、M&Aの戦略目標、M&A実施後の譲渡企業の位置づけなどについて記載します。それぞれの項目について以下で解説します。

1.企業概要

企業概要では、経営理念や経営方針などの譲受企業の情報を記載します。譲渡側の事業を譲り受けるだけの資金・営業基盤や経営ノウハウがあることを伝えることがポイントです。

2.M&Aの提案理由

譲受の根拠を含めた具体的な提案理由を記載します。譲受企業と譲渡企業の企業規模が著しく違うような場合は特に譲渡企業に理解してもらいやすいように、譲渡企業の希少性や譲受企業にとって譲渡企業がどれだけ必要かなどを記載すると良いでしょう。

3.M&Aの戦略目標

M&Aの戦略目標では、譲渡側の事業買収後の戦略に関して記載します。自社とのシナジーによって得られるメリットなどをアピールするような内容で記載できると効果が高いと言えます。譲受会社でなければ実現できないようなシナジーを提案することができれば、譲渡側に与える印象は強く、前向きに検討してもらいやすいでしょう。

4.M&A実施後の譲渡側の位置づけ

M&A戦略を提示する際には、M&A実施後の譲渡側のグループ内の位置づけを決めて提示します。M&A後に譲受グループで譲渡企業が果たす役割機能や営業体制の変更点などを記載します。譲渡側は大幅な商流の変更や働き方の変更にたいして敏感になりやすいため、営業体制について緩やかな変化で済む場合は譲渡側にも受け入れられやすいでしょう。

M&Aの提携提案書の作成時に失敗するケース

M&Aの提携提案書の作成時に失敗するケースで多いのは、M&Aの目的が不明確な提案書となってしまっている場合です。M&Aを行う戦略的な目的、M&A後の譲受側の位置づけなど前章で解説したエッセンスが欠落している提案書とならないよう気を付けて下さい。このように失敗するのは、譲受側が譲渡側の情報収集が不十分であるため十分な分析ができていないことが主な原因であるケースが散見されます。

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提携提案書のまとめ

本記事では、M&Aの提案書に関して疑問を抱える経営者に向け、M&Aにおける提案書の種類や重要性、作り方などについて解説してきました。M&Aにおける提案書について、正しく理解したうえで自社にとって的確な提案書を作成することの重要性が理解いただけたと思います。

みつきコンサルティングは、税理士法人グループのM&A仲介会社として15年以上の業歴があり、中小企業M&Aに特化した経験実績が豊富なM&Aアドバイザーが多数在籍しております。みつき税理士法人と連携することにより、精度の高い提案書の作成が可能ですので、M&Aをご検討の際は、成功するM&A仲介で実績のある、みつきコンサルティングに是非ご相談ください。

著者

竹内忍
竹内忍執行役員 名古屋事業法人第一部長
国内商業銀行において、法人向けファイナンスのスペシャリストとして活躍。貸出先企業に対して多彩な経営支援を行うコンサルティング室のリーダーとして、幅広い業界での支援実績を残す。みつきコンサルティングでは、ITから製造業まで幅広い領域をカバーし、多様な支援実績を有する。
監修:みつき税理士法人