株式譲渡契約書とは、譲渡オーナと譲受企業が合意した株式譲渡の条件を詳細に定める最終契約書です。本記事では、株式譲渡契約書の基礎知識から作成の流れ、主要条項、注意点までをわかりやすく解説します。
株式譲渡契約書(SPA)とは
株式譲渡契約書は、譲渡企業の株主が保有する株式を譲受企業へ正式に移転する際に締結する最終契約書です。英語では「Stock Purchase Agreement」又は「Share Purchase Agreement」と呼ばれ、頭文字を取ってSPAとも表記されます。株式の数量や価格、支払条件だけでなく、取引後のトラブルを防ぐための表明保証や補償条項まで幅広く規定し、譲渡企業と譲受企業の権利義務を明確にします。
事業承継・M&Aで株式譲渡が選ばれる背景
事事業承継やM&Aの手法には合併・会社分割・事業譲渡などがありますが、株式譲渡は「株式」という単一の対象を移転すれば経営権ごと譲受企業へ移すことができるため、手続が比較的シンプルです。経営権を維持したまま従業員・許認可・契約関係をそのまま引き継げる点も選好される理由です。
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株式譲渡契約の当事者
SPAは、原則として株式を売る側(売り手)と買う側(買い手)の間で結ばれます。売り手が複数人いる場合は、それぞれの売り手と買い手が個別に契約を結ぶこともありますし、売り手全員と買い手が一つの契約書を交わすこともあります。
株券不発行が原則
2009年以降、上場会社の株券は電子化され、株券そのものは発行されません。非上場会社でも定款に発行条項を置かない限り株券は不発行が原則です。そのため株式譲渡は名義書換によって完結し、物理的な株券の受渡しは通常発生しません。
最終契約(DA)との違い
SPAは株式譲渡を手法とするM&Aにおける最終契約であり、最終契約書全般を示す「Definitive Agreement(DA)」の一種です。株式譲渡以外の手法(事業譲渡や合併など)では最終契約書の呼称が異なりますが、取引の透明性を担保し当事者間のリスクを最小化するという役割は共通しています。
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株式譲渡における最終契約の種類
株式譲渡を進める最終段階で結ぶ契約には、いくつかの種類があります。代表的なものとして、主に以下の3つが挙げられます。
- 株式譲渡契約: 会社の株式(所有権の一部)を売り渡すための契約
- 株主間契約: 複数の株主がいる場合に、株主同士の関係や権利義務などを定める契約
- 経営委任契約: 株式譲渡後も元の経営者が一定期間、経営に関与する場合などに、その役割や権限を定める契約
本記事では、M&Aにおいて最も中心的となる株式譲渡契約に焦点を当てて解説します。株主間契約や経営委任契約も大切な契約ですが、詳しい説明は省略します。
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株式譲渡契約の主な項目
SPAには、通常、様々な取り決めが書かれています。
契約に含まれる主な内容
一般的には、以下のような10個程度の項目が含まれます。
項目 | 内容 |
---|---|
合意 | 誰が誰に、どの会社の株式を譲渡するのか、基本的な合意内容を定めます。 |
譲渡価格 | 株式をいくらで売買するのか、その金額を定めます。 |
価格調整 | 特定の条件に応じて、最終的な譲渡価格を調整する場合のルールを定めます。 |
取引実行と支払方法 | 株式の引き渡しと代金の受領を、いつ、どのように行うかを定めます。 |
前提条件 | 契約の最終的な実行(クロージング)を行うための前提となる条件を定めます。 |
表明保証 | 売り手が、会社の状況などについて、買い手に対して真実であることを表明し、保証する内容を定めます。 |
制約事項 | 契約を結んでからクロージングまでの間、またはクロージング後に、売り手や買い手が守るべきルール(やってはいけないこと、やるべきこと)を定めます。 |
解除 | どのような場合に契約を解除できるかを定めます。 |
損害賠償(補償) | 表明保証違反など、契約違反があった場合に、相手方に与えた損害をどのように賠償するか、その範囲や上限などを定めます。 |
別紙等 | 契約書の本文だけでは書ききれない詳細な情報(表明保証の具体的な内容など)を、別紙として添付します。 |
項目ごとの役割
これらの項目の中でも、特に最初の4つ(合意、譲渡価格、価格調整、取引実行と支払方法)は、M&A取引の基本的な骨組みとなる条件を定めています。そして、クロージングの前提条件、表明保証、解除、損害賠償、別紙などは、当事者間の主要な権利や義務の関係を定める重要な部分です。制約事項は、個別のM&A案件の内容によって大きく異なります。
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株式譲渡契約の締結までの流れ
SPAを取り交わすまでには、調査・交渉・社内承認・名義書換という複数の段階が連続します。ここでは各フェーズで押さえておくべき実務上の要点を順を追って整理します。
1.デューデリジェンス
デューデリジェンスは、譲受企業が対象会社の財務・法務・税務・労務などを多面的に検証し、潜在リスクを洗い出す工程です。財務面では過年度の財務諸表や資産負債の実在性、オフバランス債務の有無を確認し、法務面では訴訟や契約違反のリスクを精査します。これらの調査結果は、表明保証や補償条項の範囲・期間・金額を決定する際の重要な根拠となります。
2.株式譲渡の承認手続
対象会社の株式が譲渡制限株式である場合、株主総会または取締役会で譲渡承認決議を得る必要があります。承認を得る際には、譲渡先・譲渡株数・譲渡価格などの基本条件を説明し、既存株主や取締役の理解を得ることが不可欠です。規制業種では公正取引委員会や監督官庁の承認が求められる場合もあるため、スケジュールに余裕を持って手続を進めます。
3.株式譲渡契約書の作成と最終協議
SPAのドラフトはM&A仲介会社が作成する場合が殆どです。その上で、条項ごとに修正案を出し合い、責任範囲や補償限度額、クロージング条件を調整します。譲渡オーナーはリスクを限定したい、譲受企業は取得後の経営に支障がないよう情報の完全性を担保したいため、両者のバランスを取りながら推敲を重ねることが一般的です。
4.株主名簿の更新
SPAの締結と代金の決済が完了すると、対象会社が名義書換を実施します。名義書換が完了した日を基準に譲受企業は正式な株主となり、議決権や配当受領権を行使できます。
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株式譲渡契約の締結時の注意点
SPAは譲渡企業と譲受企業の利害を調整する最終契約書であるため、締結前に以下のポイントを確認することで、取引後のトラブルを未然に防ぐことができます。
事前調査の徹底
譲受側では、デューデリジェンスはもちろん、業界動向や競合他社の買収事例を調べ、譲渡価格の妥当性やリスクの大きさを客観的に評価します。特にオフバランス債務や訴訟リスクが潜んでいると、後日の損失につながるため入念にチェックします。
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適切な専門家による十分な支援
会計税務・法務労務の知見を備えたM&A仲介会社や会計コンサルティング会社等のサポートは不可欠です。専門家はデューデリジェンス結果の分析、条項案の作成、交渉時のリスク説明を担い、適切な意思決定を助けます。
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譲渡後の役員・従業員の処遇
譲渡企業のオーナーにとって、譲渡後のご自身の処遇のみならず、役員・従業員の処遇の維持は重要な関心事です。SPAでは一定期間の雇用継続や待遇維持を定めることが多く、保証期間は1~2年程度が一般的です。一方、譲受企業は未払残業代や未払給与のリスクを重視します。
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印紙税の取扱い
SPAは原則として課税文書に該当しないため収入印紙を貼付する必要はありません。ただし、譲渡オーナーが株式の対価を受領した旨を記載すると課税対象になる可能性があります。税理士や公認会計士に確認し、不要な納税負担を避けるよう注意しましょう。
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株式譲渡契約書の主要項目ごとの注意点
SPAには譲渡価格や表明保証以外にも、競業避止、従業員の処遇、知的財産権の帰属、環境法規制への対応など、多岐にわたる条項が含まれます。当事者は全条項を通読し、責任範囲と義務を正確に把握することで、想定外のリスクを回避できます。
以下では、株式譲渡契約の主要な項目について、後述する経産省のモデル契約書を前提に、注意点を解説します。
取引の基本事項
契約書の序盤では、M&Aの目的、どの会社の株式を、いつ(クロージング日)譲渡するのかといった、取引の基本的な合意内容を定めます。
クロージング日の設定は適切か:
クロージング日は、譲渡オーナーと譲受企業が話し合って合意の上で決定すべき日です。契約書を読む際には、譲受側が一方的に都合の良い日を指定できるような書き方になっていないか、確認しましょう。
譲渡対象株式は正確か:
譲渡する株式の種類(普通株式など)や数も、間違いなく正確に記載することが重要です。会社の「発行済株式総数」に対して「〇〇%」という形で記載する場合もありますが、その際は計算の基となる発行済株式数が正確かどうかも確認が必要です。
譲渡価格
ここでは、株式の譲渡対価、つまり売買金額を明示します。譲渡価格はM&Aの根幹となる条件ですので、金額に間違いがないか、しっかりと確認しましょう。
取引実行と支払い方法
この項目では、株式の引き渡し(名義変更など)と、譲渡代金の支払を、いつ、どのように行うかを具体的に定めます。
価格調整条項は妥当か:
経済産業省のモデル契約書には、価格調整に関する条項が含まれていません。しかし、実際のM&Aでは、価格調整条項が設けられることがあります。例えば、M&A後の会社の業績に応じて、追加で代金を支払う「アーンアウト条項」や、契約締結日からクロージング日までの間に会社の純資産(ネットキャッシュなど)が変動した場合に、その変動分を譲渡価格に反映させる価格調整条項などが考えられます。
支払留保は許容できるか:
譲受企業から、「譲渡代金の一部を一定期間支払わずに留保したい」とか、「第三者(エスクロー業者)に一旦譲渡代金を預けて、将来条件が満たされたら支払う形(エスクロー払い)にしたい」といった打診があり得ます。これらの条件についても、譲渡オーナーとして受け入れられるかどうか、慎重に検討する必要があります。
クロージング条件
ここでは、クロージング(契約の実行)を行うために、事前に満たされていなければならない条件(前提条件)を定めます。例えば、「必要な許認可が得られていること」や「表明保証の内容が真実であること」などが挙げられます。
軽微な点は保証しない:
譲渡オーナーとしては、表明保証が真実であることを求める条件において、「ただし、重要でない軽微な点については除く」、「重要な点において真実であること」といった表現を入れてもらうことが、リスク管理の観点から重要になります。すべての表明保証が完璧に真実でないとクロージングできないとなると、些細な問題で取引自体が破談になるリスクもあります。
曖昧な前提条件は避ける:
譲受企業から提示される前提条件の中に、「買い手が満足するような状況であること」といった曖昧な条件が含まれている場合は注意が必要です。どのような状態になれば条件が満たされるのか不明確なため、後でトラブルになる可能性があります。できるだけ具体的で客観的な条件にするよう交渉しましょう。
制約事項
この項目では、SPAを結んでからクロージングまでの間、あるいはクロージング後に、譲渡オーナーや譲受企業が守らなければならない義務を定めます。
競業避止義務の範囲・期間は明確か:
例えば、売り手に対して、M&A後一定期間、譲渡した事業と同じような事業を行ってはならないという義務(競業避止義務)が課されることが一般的です。この場合、禁止される事業の範囲、期間、地域、具体的な活動内容などを、契約書で明確に定義しておくことが重要です。曖昧なままにしておくと、後で「これは禁止される行為なのかどうか」で争いになる可能性があります。
従業員の引き抜きは禁止:
一定期間、譲渡企業の役員・従業員を引き抜いてはならない、といった条項が含まれることは一般的です。
契約の解除
ここでは、どのような場合に契約を解除できるか、その条件を定めます。
いつまで解除可能か:
譲渡オーナーとしては、契約を解除できるのは原則として「クロージング(契約実行)の前まで」と明記されているかを確認しましょう。クロージング後に簡単に契約解除されてしまうと、非常に不安定な状況になります。
解除事由を限定する:
解除できる理由(解除事由)は、相手方に重大な契約違反や表明保証違反があった場合に限定するなど、できるだけ範囲を絞る方が、譲渡オーナーにとっては望ましいでしょう。
クロージングに期限を設けるか:
後述する経済産業省のモデル契約書には、相手方が法的倒産手続(破産など)の申立てをした場合や、定められた期限までにクロージングが実行されなかった場合の解除条項が含まれていません。実際の契約では、これらのケースに関する解除条項を追加することがあります。
損害賠償(補償)
表明保証した内容が事実と異なっていた場合など、契約違反によって相手方に損害を与えてしまった場合に、その損害をどのように賠償するかを定めるのが損害賠償(補償)条項です。なお、デューデリジェンス等によって既に認識されているリスク(例えば、過去の税務問題や訴訟リスクなど)については、通常の表明保証とは別に、「特別保証」として、損害賠償の上限や期間などを個別に定めることもあります。
損害賠償に上限を設ける:
譲渡オーナーとしては、賠償しなければならない損害額に上限を設定することが非常に重要です。例えば、「譲渡価格を上限とする」といった形です。上限がないと、予期せぬ大きな金額の賠償責任を負うリスクがあります。
損害賠償の下限を設定することもある:
損害賠償請求できる金額の下限を設定することも一般的です。例えば、「損害額が〇〇万円未満の場合は請求できない(ミニマム条項)」とか、「損害額の合計が〇〇万円を超えた場合に、その超えた部分のみ請求できる(バスケット条項)」といった定め方があります。これにより、少額の損害について、その都度請求する煩雑さを省くことができます。
保険加入を検討する:
損害賠償のリスクに備えて、表明保証保険への加入を検討したり、損害額をどのように確定するかの手続(例えば、専門家による鑑定など)を契約書に定めておくことも考えられます。
表明保証条項の詳細(別紙1)
契約書の本文に書ききれない詳細な事項、特に表明保証の具体的な内容は、別紙に記載されることが一般的です。この別紙は、契約書の重要な一部であり、非常に細かい内容が書かれていることが多いです。見落としがないように、しっかりと内容を確認する必要があります。
別紙には、例えば、「会社の財務諸表は適正に作成されている」「必要な許認可は全て取得している」「未払いの税金はない」といった、会社の様々な側面に関する保証内容がリストアップされます。譲渡オーナー自身の保証(例えば、株式を正当に保有していること)と、譲渡企業に関する保証に大きく分けられます。
無制限の保証は避ける:
表明保証の項目の中には、「会社に関して重要な情報で開示していないものはない」といった包括的な保証が含まれることがあります。このような条項に対して、譲渡オーナーとしては、「売り主の知る限りにおいて」といった限定を加えることで、自分が知らなかった事項についてまで責任を負うリスクを減らすことができます。
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株式譲渡契約書を成功に導くためのチェックリスト
以下のチェックリストは簡易的なものですが、起用したM&Aアドバイザーに適宜追加してもらい、条項の漏れや重複を防ぎ、取引の安全性を高めましょう。
- 譲渡対象株式・価格・支払条件が具体的に記載されているか
- 表明保証の範囲と補償限度額が妥当か
- 契約解除条件や前提条件が明確か
- 競業避止条項の期間・地域・事業範囲が合理的か
- 従業員の処遇に関する取り決めが双方の合意を反映しているか
- 譲受企業の支払能力に問題はなく、支払意思はあるか
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株式譲渡契約書の雛型(経産省モデル)
経済産業省から示されている株式譲渡契約書の雛型は以下のとおりです。これは中小企業庁「中小M&Aガイドライン」の参考資料として位置付けられています。実際の書式は、M&A仲介会社によって、また案件によって異なりますので、あくまでも標準的なテンプレートとお考えください。
株式譲渡契約書
※あくまでも例であり、当事者の意向を制約するものではなく、具体的な 内容は、当事者間での調整により設定される。必要に応じて弁護士等 の専門家に相談することが望ましい。
【譲り渡し側株主】(以下「甲」という。)及び【譲り受け側】(以下「乙」という。)は、 【譲り渡し側(株式会社)】(代表者:○○、本店所在地:○○。以下「対象会社」という。) の発行済株式の全てである普通株式○○株(以下「本株式」という。)の甲から乙に 対する譲渡(以下「本株式譲渡」という。)に関し、本日、以下のとおり株式譲渡契約 (以下「本契約」という。)を締結する。
注:簡易な株式譲渡契約書として、次の条項のみを設ける例もあり得る。
第1条(目的)
第2条(本株式の譲渡)
第3条(譲渡価格)
第4条(本株式譲渡の実行)
第13条(甲の義務)
第14条(乙の義務)
第15条(本契約の解除)
第18条(秘密保持義務)
第27条(誠実協議)
第1章 本株式の譲渡
第1条(目的)
本契約は、対象会社の一層の発展を目指し、本株式を甲が乙に対して譲渡す ることにより、対象会社の経営権を乙に移転することを目的として、締結する。
第2条(本株式の譲渡)
甲は、乙に対し、本契約の規定に従い、○○年○○月○○日又は甲及び乙が 書面により別途合意する日(以下「クロージング日」という。)において、本株式を 譲り渡し、乙は甲から本株式を譲り受ける。
第3条(譲渡価格)
本株式譲渡における本株式の対価(以下「本譲渡価額」という。)は、金○○円 (1株あたり金○○円)とする。
第4条(本株式譲渡の実行)
1 甲は、乙に対し、クロージング日に、乙から本譲渡価額の支払を受けることと 引換えに、次の各号の書類を交付する。
① 甲の印鑑証明書
② 本株式に係る株券
③ 第5条第2号及び第9条第1号に定める本株式譲渡を承認した対象会社の 取締役会決議に係る議事録の原本証明付写し
注: 多くの中小企業は、発行済株式が全て譲渡制限株式である会社(いわゆる非 公開会社)であり、株式譲渡については会社の承認(原則として、取締役会設置会 社では取締役会決議、取締役会非設置会社では株主総会決議を要するが、定款 でそれ以外の方法とすることもできる。)が必要である。
④ 第12条第1項及び第2項に定める対象会社の全取締役及び全監査役の辞 任届
⑤ 対象会社の株主名簿(クロージング日の前日時点でのもの)の原本証明付 写し
2 乙は、甲に対し、クロージング日に、前項各号の書類の引渡しを受けることと 引換えに、本譲渡価額を支払う。
3 前項の支払は、乙が下記の銀行口座に振込送金する方法により行う。ただし、 振込手数料は乙の負担とする。
記
銀行支店名 〇〇銀行 〇〇支店
口座種別 普通預金
口座番号 〇〇
口座名義 甲
4 本株式譲渡の効力は、本条第1項に従い行われる株券の交付時に生じる。
注:本サンプルは、対象会社が株券発行会社であるという前提である。株券発行会 社の場合、有効な株式譲渡のためには、原則として株券の交付が必要である。
5 甲及び乙は、クロージング日において、甲及び乙による本条第1項及び第2 項の各義務の履行(以下「クロージング」という。)後直ちに、対象会社をして、 本株式に係る甲から乙への株主名簿の名義書換を行わせる。
注:株券発行会社であるか否かにかかわらず、株式譲渡後には、株主名簿の名義 書換を行う必要がある。
第2章 前提条件
第5条(乙のクロージングの前提条件)
乙は、クロージング日において甲について次の各号が満たされていることを前 提条件として、第4条第2項に定める乙の義務を履行する。 なお、クロージング日 において以下の各号の条件が一部でも満たされていない場合には、乙は、第4 条第2項に定める義務の履行を拒絶できるが、その任意の裁量により、以下の 各号の条件の一部又は全部を放棄することができる。 ただし、かかる条件の一部 又は全部の放棄によっても、以下の各号の条件が充足したとみなされるものでは なく、また、甲は、本契約に基づく表明及び保証の違反に基づく責任その他本契 約に定める甲の責任を減免されるものではない。
① 第7条に規定する甲の表明及び保証が、クロージング日において、真実か つ正確であること。 ただし、軽微な点における誤りは除く。
② 第9条に規定する甲の義務が全て履行されていること。
第6条(甲のクロージングの前提条件)
甲は、クロージング日においてて乙について次の各号が満たされていることを前 提条件として、第4条第1項に定める甲の義務を履行する。 なお、クロージング日 において以下の各号の条件が一部でも満たされていない場合には、甲は、第4 条第1項に定める義務の履行を拒絶できるが、その任意の裁量により、以下の 各号の条件の一部又は全部を放棄することができる。 ただし、かかる条件の一部 又は全部の放棄によっても、以下の各号の条件が充足したとみなされるものでは なく、また、乙は、本契約に基づく表明及び保証の違反に基づく責任その他本契 約に定めるこの責任を減免されるものではない。
① 第8条に規定する乙の表明及び保証が、クロージング日において、真実か つ正確であること。 ただし、軽微な点における誤りは除く。
② 第10条に規定する乙の義務が全て履行されていること。
第3章 表明及び保証
第7条(甲の表明及び保証)
甲は、乙に対し、本契約締結日及びクロージング日において、別紙1に記載の 各事項が真実かつ正確であることを表明し保証する。
第8条(乙の表明及び保証)
乙は、甲に対し、本契約締結日及びクロージング日において、別紙2に記載の 各事項が真実かつ正確であることを表明し保証する。
第4章 クロージング前の取扱い
第9条(甲の義務)
甲は、乙に対し、本契約締結日後クロージングまでの間に、次の各号に定める 義務を履行するものとする。
① 甲は、対象会社の取締役会をして、本株式譲渡を承認する旨の決議をさせ なければならない。
② 甲は、対象会社をして、対象会社の活動を通常の事業活動の範囲内で行わ せなければならず、通常の事業活動の範囲外の活動については、事前に乙 の同意を得なければ行わせてはならない。
③ 甲は、第7条に規定する表明保証に違反することとなる行為を行わず、違反 の事実又はそのおそれが生じた場合、直ちにその旨並びに当該事実又はそ のおそれの詳細を乙に対して通知する。
第10条(乙の義務)
乙は、甲に対し、本契約締結日後クロージングまでの間に、次の各号に定める 義務を履行するものとする。
① 乙は、対象会社の債務を対象会社の役職員が保証している契約(以下本条 において「経営者保証」という。)につき、当該契約の相手方(金融機関等、以 下本条において「相手方」という。)との間で、書面又は口頭による交渉の実 施や、相手方から要請される書類の提出や必要な面談等を行い、経営者保 証の解除又は新規差し入れに関し、相手方より意向表明を得た上で、当該 意向表明の結果を甲に対して通知する。
② 乙は、前号の意向表明の結果、経営者保証の解除又は新規差し入れ手続 を進めることができる場合は、相手方から保証契約書、保証差入書等その他 手続を進めるために必要となる書面の交付を受け、必要事項を記載の上、こ れを相手方に差し入れる。
③ 乙は、クロージング後直ちに当該変更登記を完了するため、本株式譲渡に 伴う対象会社の代表取締役及び取締役の変更登記に係る必要書類(就任 承諾書・印鑑登録証書等)の作成を完了させ、当該書類を甲及び相手方に 提出する。
④ 乙は、本契約締結日後クロージングまでの間に、第8条に規定する表明保 証に違反することとなる行為を行わず、違反の事実又はそのおそれが生じた 場合、直ちにその旨並びに当該事実又はそのおそれの詳細を甲に対して通 知する。
注:なお、本条①~③は、クロージング時に譲り渡し側の経営者保証の対象となっ ている債務を譲り受け側の資力により返済し、別途譲り受け側が借り換えを行う 場合は不要。
第5章 クロージング後の取扱い
第11条(役員退職慰労金の支払)
1 乙は、対象会社をして、クロージング後速やかに、クロージングに際して対象 会社の代表取締役を辞任する甲に対して金○○円の役員退職慰労金を支払 う旨の承認決議を行わせ、甲に対して当該役員退職慰労金を支払わせるもの とする。
2 乙は、対象会社をして、前項の金員を、下記の銀行口座に振込送金する方法 により支払わせる。 ただし、振込手数料は対象会社の負担とする。
記
銀行支店名 〇〇銀行 〇〇支店
口座種別 普通預金
口座番号 〇〇
口座名義人 甲
3 乙は、対象会社をして、本条に定める役員退職慰労金の支払について、法令 等に従い、所要の源泉徴収を行わせる。
第12条(対象会社の役員)
1 甲は、クロージング日付の辞任届を作成して対象会社に提出し、クロージング に際して対象会社の取締役及び代表取締役を辞任する。
2 甲は、対象会社の甲以外の全取締役及び全監査役をして、クロージング日付 の辞任届を作成させて対象会社に提出させ、クロージングに際して対象会社 の取締役ないし監査役を辞任させる。
3 甲は、乙がクロージング日においてクロージング後直ちに対象会社の株主総 会を開催して、乙が、(i)別途指定するとおり対象会社の定款を変更し、かつ、 (ii)別途指名する者を対象会社の役員に選任できるよう協力する。
第13条(甲の義務)
1 甲は、クロージング後、乙の合理的な求めに応じて、必要な引継ぎ(決算及び 税務申告に関するものを含む。)について、合理的な範囲で協力する。 甲及び 乙は、別途協議して、引継ぎの詳細を取り決める。
2 甲は、本契約締結後○年間は、乙及び対象会社の書面による承諾がない限 り、対象会社と競業関係に立つ業務を行わず、又は第三者をしてこれを行わせ ない。
3 甲は、本契約締結後○年間、自ら又はその関係者を通じて、対象会社の従業 員を勧誘し、対象会社からの退職を促し、又はその他何らの働きかけも行わな いことを約する。
4 甲は、乙又は対象会社が、甲の表明及び保証が正確若しくは真実でなかった こと又は甲の本契約上の債務不履行に関し、第三者から損害賠償の請求その 他のクレームを受けた場合、乙からの求めに応じ、当該クレームの処理につき 乙又は対象会社に協力する。
5 甲は、本株式について、所有権、株主権その他の権利を主張する第三者の 存在が判明した場合には、甲の費用と責任において、当該第三者が主張する 本株式に関する一切の権利を消滅させる。
6 甲は、クロージング前の商取引等に関する税務調査を受けた乙から連絡を受 けた場合には、相互に協力して対応する。
第14条(乙の義務)
1 乙は、原則として、クロージング後、対象会社の従業員を全員継続雇用する。
2 乙は、クロージング前の商取引等に関する税務調査を受けた甲から連絡を 受けた場合には、相互に協力して対応する。
3 乙は、対象会社をして、対象会社の債務を対象会社の役職員が保証してい る契約につき、当該契約の相手方と書面又は口頭による交渉を行い、当該保 証の解除を合意させなければならない。 乙は、当該保証が合意解除されたこと を示す書類を甲に交付するよう最大限努力する。 甲が対象会社のために保証 している契約について、保証債務の履行その他の損害、損失又は費用が発生 した場合には、乙は、甲の損害、損失又は費用を補償する。
第6章 解除
第15条(本契約の解除)
1 甲及び乙は、相手方に本契約に定める表明保証、義務又は約束に違反があ った場合、相当期間を定めて催告し、相手方が当該期間内にこれを是正しない ときは、クロージング前に限り、本契約を解除することができる。
2 甲及び乙は、前項の定めにかかわらず、相手方が、別紙1の (1) ⑤ 及び (2) ①④に規定する第7条に基づく甲の表明及び保証に違反した場合又は別紙2の ⑤に規定する第8条に基づく乙の表明及び保証に違反した場合には、相手方 に対して書面で通知することで、本契約を解除することができる。
3 本契約の解除後も、第7章の規定に基づく補償の請求は妨げられない。
第7章 補償
第16条(甲による補償)
1 甲は、乙に対し、第7条に定める甲の表明保証の違反又は本契約に基づく甲 の義務の違反に起因又は関連して乙が被った損害、損失又は費用(合理的な 弁護士費用を含む。 以下「損害等」という。)を補償する。
2 前項の補償のうち、甲の表明保証の違反に基づく補償責任は、乙が、クロー ジング日から○年経過するまでに書面により甲に請求した場合に限り生じるも のとし、合計損害額○○円を上限とする。
3 甲は、乙が第1項に基づく補償の請求の対象となる自らの損害等の拡大を防 止するための措置を執らなかったことにより拡大した損害等については、第1 項に基づく補償責任を条理上合理的な範囲で免れるものとする。
4 本契約に商法第526条の規定は適用されないものとする。
第17条(乙による補償)
1 乙は、甲に対し、第8条に定めるこの表明保証の違反又は本契約に基づく乙 の義務の違反に起因又は関連して甲が被った損害等を補償する。
2 前項の補償のうち、乙の表明保証の違反に基づく補償責任は、甲が、クロー ジング日から○年経過するまでに書面により乙に請求した場合に限り生じるも のとし、合計損害額○○円を上限とする。
3 乙は、甲が第1項に基づく補償の請求の対象となる自らの損害等の拡大を防 止するための措置を執ソースと関連コンテンツ SPA PDF
続き
止するための措置を執らなかったことにより拡大した損害等については、第1 項に基づく補償責任を条理上合理的な範囲で免れるものとする。
第8章一般条項
第18条(秘密保持義務)
1 甲及び乙は、本契約締結日から○年間、(i)本契約の検討又は交渉に関連し て相手方から開示を受けた情報、(ii)本契約の締結の事実並びに本契約の存 在及び内容、並びに(iii)本契約に係る交渉の経緯及び内容に関する事実(以 下「秘密情報」と総称する。)を、相手方の事前の書面による承諾なくして第三 者に対して開示してはならず、また、本契約の目的以外の目的で使用してはな らない。 ただし、上記(i)の秘密情報のうち、以下の各号のいずれかに該当する 情報は、秘密情報に該当しない。
① 開示を受けた時点において、既に公知の情報
② 開示を受けた時点において、情報受領者が既に正当に保有していた情報
③ 開示を受けた後に、情報受領者の責に帰すべき事由によらずに公知となっ た情報
④ 開示を受けた後に、情報受領者が正当な権限を有する第三者から秘密保 持義務を負うことなく正当に入手した情報
⑤ 情報受領者が秘密情報を利用することなく独自に開発した情報
2 甲及び乙は、前項の規定にかかわらず、以下の各号のいずれかに該当する 場合には、秘密情報を第三者に開示することができる。
① 自己(甲においては対象会社を含む。)の役員及び従業員並びに弁護士、 公認会計士、税理士、司法書士及びフィナンシャル・アドバイザーその他の アドバイザーに対し、本契約に基づく取引のために合理的に必要とされる範 囲内で秘密情報を開示する場合。 ただし、開示を受ける者が少なくとも本条 に定める秘密保持義務と同様の秘密保持義務を法令又は契約に基づき負 担する場合に限るものとし、かかる義務の違反については、その違反した者 に対して秘密情報を開示した当事者が自ら責任を負う。
② 法令等の規定に基づき、裁判所、政府、規制当局、所轄官庁その他これ らに準じる公的機関・団体(事業承継・引継ぎ支援センターを含む。)等によ り秘密情報の開示を要求又は要請される場合に、合理的に必要な範囲内で 当該秘密情報を開示する場合。 なお、かかる場合、相手方に対し、かかる開 示の内容を事前に(それが法令等上困難である場合は、開示後可能な限り 速やかに)通知しなければならない。
第19条(第三者への公表日)
1 本契約締結及びこれに関する一切の事実の対外的公表の日(以下「公表日」 という。)は、○○年○○月○○日とする。 当該対外的公表の方法等について は、甲及び乙が協議の上決定する。
2 各当事者は、公表日まで、本契約締結及びこれに関する一切の事実につい て秘密保持に努めるものとする。
第20条(公租公課及び費用)
甲及び乙は、原則として、本契約及び本契約が予定する取引に関連して発生 する公租公課、アドバイザーに対する費用・報酬、その他一切の費用については、 各自これを負担する。
第21条(通知等)
本契約に関する相手方に対する通知等は、後記当事者欄記載の住所ないし 所在地に対して行われる。 ただし、甲及び乙は、本契約締結後、書面により相手 方に通知することにより、連絡先の変更を行うことができる。 本条に従い通知等 がされたにもかかわらず、当該通知等が延着し又は未着となった場合、通常到 達すべき日に到達したものとみなされ、その効力が発生する。
第22条(残存効)
本契約が終了した場合であっても、第7章及び第8章(第19条を除く。)の規定 は引き続き効力を有する。
第23条(完全合意)
本契約は、本株式譲渡に関する当事者の完全な合意であり、これ以前に本株 式譲渡に関して甲乙間で交わされた文書、口頭を問わず、いかなる取決め(秘密 保持に関する契約を含む。)も全て失効する。
第24条(契約上の地位又は権利義務の譲渡等)
甲及び乙は、相手方の書面による事前の承諾を得ない限り、本契約上の地位 又は本契約に基づく権利義務につき、直接又は間接を問わず、第三者に譲渡、 移転、承継又は担保権の設定その他の処分をしてはならない。
第25条(条項の可分性)
本契約の一部の条項が無効、違法又は執行不能となった場合においても、そ の他の条項の有効性、適法性及び執行可能性はいかなる意味においても損な われることなく、また、影響を受けない。
第26条(準拠法・管轄)
1 本契約は、日本法に準拠し、これに従って解釈される。
2 本契約に関する一切の紛争(調停を含む。)については、○○地方裁判所を 第一審の専属的合意管轄裁判所とする。
第27条(誠実協議)
甲及び乙は、本契約に定めのない事項及び本契約の条項に関して疑義が生 じた場合には、信義誠実の原則に従い、誠実に協議の上解決する。
(以下、本頁余白)
本契約締結の証として本書2通を作成し、甲乙記名押印の上、各1通を保有する。
〇〇年〇〇月〇〇日
甲
(住所)
(氏名) 印
乙
(所在地)
(名称)
(代表者) 印
(別紙1) 甲が表明及び保証する事項
(1)甲に関する表明及び保証
① 自然人
甲は、日本国籍を有し日本国に居住する自然人であること。
② 本契約の締結及び履行
甲は、本契約を適法かつ有効に締結し、これを履行するために必要な権 限及び権能を全て有しており、法令等上の制限及び制約を受けていないこ と。
③ 強制執行可能性
本契約は、甲により適法かつ有効に締結されており、かつてにより適法か つ有効に締結された場合には、甲の適法、有効かつ法的拘束力のある義務 を構成し、かかる義務は、本契約の各条項に従い、甲に対して執行可能で あること。
④ 法令等との抵触の不存在
甲による本契約の締結及び履行は、(i)甲に適用ある法令等又は司法・行 政機関等の判断等に違反するものではなく、(ii)甲が当事者である契約等に ついて、債務不履行事由等を構成するものではないこと。 また、甲による本 契約の締結又は履行に重大な影響を及ぼす、甲を当事者とする訴訟等は 係属しておらず、かつ、将来かかる訴訟等が係属するおそれもないこと。
⑤ 反社会的勢力との関係の不存在
i 甲は、反社会的勢力ではなく、反社会的勢力との間に取引、資金の提 供、便宜の供与、経営への関与その他一切の関係又は交流がないこと。 なお、反社会的勢力とは、以下の者のことを指し、本契約において以下同 じとする。
暴力団(その団体の構成員(その団体の構成団体の構成員を含む。) が集団的に又は常習的に暴力的不法行為等を行うことを助長するおそ れがある団体をいう。)
ii 暴力団員(暴力団の構成員をいう。)
iii 暴力団準構成員(暴力団員以外の暴力団と関係を有する者であって、 暴力団の威力を背景に暴力的不法行為等を行うおそれがある者、又は 暴力団若しくは暴力団員に対し資金、武器等の供給を行う等、暴力団の 維持若しくは運営に協力し若しくは関与する者をいう。)
iv 暴力団関係企業(暴力団員が実質的にその経営に関与している企業、 暴力団準構成員若しくは元暴力団員が経営する企業で暴力団に資金提 供を行う等、暴力団の維持若しくは運営に積極的に協力し若しくは関与 する企業又は業務の遂行等において積極的に暴力団を利用し暴力団の 維持若しくは運営に協力している企業をいう。)
v 総会屋等(総会屋、会社ゴロ等企業等を対象に不正な利益を求めて暴 力的不法行為等を行うおそれがあり、市民生活の安全に脅威を与える 者をいう。)
vi 社会運動等標ぼうゴロ (社会運動若しくは政治活動を仮装し、又は標 ぼうして、不正な利益を求めて暴力的不法行為等を行うおそれがあり、 市民生活の安全に脅威を与える者をいう。)
vii 特殊知能暴力集団等(上記iないしviに掲げる者以外の、暴力団との 関係を背景に、その威力を用い、又は暴力団と資金的なつながりを有 し、構造的な不正の中核となっている集団又は個人をいう。)
viii その他上記iないしviiに準ずる者
⑥ 倒産手続等の不存在
甲について、支払停止、手形不渡、銀行取引停止等の事由は生じておら ず、かつ、破産、民事再生等の倒産手続開始の申立てはされておらず、そ れらの申立て事由も生じておらず、私的整理も行われていないこと。
⑦ 対象会社との取引の不存在
クロージング日において、甲と対象会社の間には、甲が対象会社の役員 として提供する役務及びそれに対する報酬等の支払を除き、役務、便益の 提供その他の取引(契約書の有無を問わない。)は存在しないこと。 ただし、 本契約において記載がある事項については、この限りではない。
(2)対象会社に関する表明及び保証
① 対象会社の設立及び存続
対象会社は、日本法に基づき適法かつ有効に設立され、かつ存続する株 式会社であり、現在行っている事業に必要な権限及び権能を有していること。
② 対象会社の株式
i 対象会社の発行済株式は本株式が全てであること。 本株式は、その全て が適法かつ有効に発行され、全額払込済みの普通株式であること。
ii 甲は、本株式の全てを何らの負担、制限及び制約のない状態で、適法か つ有効に所有していること。
iii 本株式について、訴訟等、クレーム等、司法・行政機関等の判断等は存 在しないこと。
iv 対象会社は、転換社債、新株引受権付社債、新株引受権、新株予約権、 新株予約権付社債その他対象会社の株式を取得できる権利を発行又は 付与していないこと。
③ 子会社及び関連会社の不存在
対象会社は、子会社及び関連会社を有していないこと。
④ 倒産手続等の不存在
対象会社について、支払停止、手形不渡、銀行取引停止等の事由は生じ ておらず、かつ、破産、民事再生、会社更生、特別清算等の倒産手続開始 の申立てはされておらず、それらの申立て事由も生じておらず、私的整理も 行われていないこと。
⑤ 計算書類等
○○年○○月○○日を終期とする事業年度に係る対象会社の計算書類 その他の甲が乙に開示した計算書類等(以下「本計算書類等」という。)は、 適用ある法令等及び日本において一般に公正妥当と認められる企業会計 の基準に従って作成されており、その作成基準日及び対象期間における対 象会社の財政状態及び経営成績を、重要な点において正確に示しているこ と。
⑥ 資産
対象会社は、その事業の遂行のために使用している有形又は無形資産に つき、有効かつ対抗要件を具備した所有権、賃借権又は使用権を保有して おり、かかる資産上には対象会社以外の者に対する債権を被担保債権とす る担保権は存在しないこと。 また、対象会社の所有に係る不動産は、良好な 状態に維持されており、重要な変更を加えられていないこと。
⑦ 知的財産権
対象会社は、その事業を遂行するにあたり必要な全ての特許権、実用新 案権、意匠権、商標権、著作権その他の知的財産権(以下「知的財産権」と いう。)について、自ら保有するか又は知的財産権を使用する権利を有して おり、第三者の知的財産権を侵害しておらず、過去に侵害した事実もなく、 侵害しているとのクレームを受けたこともないこと。 また、第三者が対象会社 の知的財産権を侵害している事実もないこと。
⑧ 負債
対象会社は、保証契約、保証予約、経営指導念書、損失補填契約、損害 担保契約その他第三者の債務を負担し若しくは保証し、又は第三者の損失 を補填し若しくは担保する契約の当事者ではないこと。 対象会社は、○○年 ○○月○○日以降、通常の業務過程で生じる債務及び負債、本計算書類 等に記載された負債、第11条に従い甲に支払われる役員に係る役員退職 慰労金債務を除き、一切の債務及び負債を負担していないこと。
⑨ 重要な契約
対象会社が締結する重要な契約は全て有効に成立・存続し、それぞれ各 契約の全当事者を拘束し、かつ執行可能な義務を構成すること。 全ての重 要な契約に関し、これらの内容を変更若しくは修正し、又は契約の効果を減 ずるような約束は、口頭又は文書を問わず一切存在しないこと。 全ての重要 な契約について、本契約の締結及び履行は解除事由又は債務不履行を構 成せず、また、当該契約の相手方による理由なき解除を認める規定は存在 しないこと。 全ての重要な契約について、対象会社の債務不履行の事実は 存在せず、また、今後債務不履行が発生するおそれもないこと。
⑩ 競業避止義務の不存在
対象会社は、取引先等との契約において、競業避止義務等の義務のう ち、その事業の遂行に重大な影響を与える制限を内容とする義務を負って いないこと。
⑪ 労働関係
対象会社は、その従業員に対し法令等上支払義務を負っている全ての賃 金を支払っていること。 対象会社には、以下に記載されたもの以外にストラ イキ、ピケッティング、業務停止、怠業その他従業員との間での労働紛争は 存在しないこと。 対象会社は、いかなる従業員に対しても、退職金等の経済 的利益を提供する義務を負っていないこと。 対象会社においては、以下の一 又は複数の労働組合が組織されており、対象会社と当該労働組合との間で 以下の労働協約が締結されていること及び以下に記載されたもの以外に組 織された労働組合はなく、締結されている労働協約も存在しないこと。
(略)
⑫ 税務申告等の適正
対象会社は、過去7年間、国内外において、法人税をはじめとする各種課 税項目及び社会保険料等の公租公課について適法かつ適正な申告を行っ ており、適時にその支払を完了していること。 また、クロージング日以前の事 業に関して、対象会社に対する課税処分がなされるおそれは存在しないこ と。
⑬ 法令遵守
対象会社は、過去○年間において、適用ある法令等(労働関連の各法令 等を含む。)及び司法・行政機関等の判断等を、重要な点において、遵守し ており、重要な点において、これらに違反したことはないこと。 対象会社は、 過去○年間において、事業停止等の一切の行政処分を受けていないこと。
⑭ 反社会的勢力との関係の不存在
対象会社及びその役員は反社会的勢力ではなく、反社会的勢力との間に 取引、資金の提供、便宜の供与、経営への関与その他一切の関係又は交 流がないこと。 対象会社の従業員は、甲の知る限り、反社会的勢力ではな く、反社会的勢力との間に取引、資金の提供、便宜の供与、経営への関与 その他一切の関係又は交流がないこと。
⑮ 情報開示
本契約の締結及び履行に関連して、甲又は対象会社が、乙に開示した本 株式又は対象会社に関する一切の情報(本契約締結日前後を問わず、ま た、書面等の記録媒体によると口頭によるとを問わない。)は、重要な点に おいて、全て真実かつ正確であること。
注:表明保証条項は、乙側から上記のような内容のものを、もし事実と異なるところ があれば予め教えて欲しいという趣旨も込めて提案されることがある。 その場合、 甲側としては、表明保証の内容について理解し、事実と異なるところがあれば(例 えば、中小企業の場合、計算書類に誤りが含まれていること等は多い。 )、契約書 の中に、表明保証の対象から除外する事項を別途明記する必要がある。 表明保証 の内容をよく理解せずに事実に反することを表明保証してしまうと、後に損害賠償 等のトラブルになる可能性があるので注意が必要である。
(別紙2) 乙が表明及び保証する事項
① 設立及び存続
乙は、日本法に基づき適法かつ有効に設立され、かつ存続する株式会社で あり、現在行っている事業に必要な権限及び権能を全て有しており、法令等上 の制限及び制約を受けていないこと。
② 本契約の締結及び履行
乙は、本契約を適法かつ有効に締結し、これを履行するために必要な権限 及び権能を有していること。 乙による本契約の締結及び履行ソースと関連コンテンツ SPA PDF
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乙による本契約の締結及び履行は、その目的の 範囲内の行為であり、乙は、本契約の締結及び履行に関し、法令等又は乙の 定款その他内部規則において必要とされる手続を全て適法に履践しているこ と。
③ 強制執行可能性
本契約は、乙により適法かつ有効に締結されており、かつ甲により適法かつ 有効に締結された場合には、乙の適法、有効かつ法的拘束力のある義務を構 成し、かかる義務は、本契約の各条項に従い、乙に対して執行可能であること。 ④ 法令等との抵触の不存在
乙による本契約の締結及び履行は、(i) 乙に適用ある法令等又は司法・行 政機関等の判断等に違反するものではなく、(ii) 乙の定款その他内部規則に 違反するものではなく、(iii) 乙が当事者である契約等について、債務不履行事 由等を構成するものではないこと。 また、乙による本契約の締結又は履行に重 大な影響を及ぼす、乙を当事者とする訴訟等は係属しておらず、かつ、将来か かる訴訟等が係属するおそれもないこと。
⑤ 反社会的勢力との関係の不存在
乙及びその役員は反社会的勢力ではなく、反社会的勢力との間に取引、資 金の提供、便宜の供与、経営への関与その他一切の関係又は交流がないこ と。 乙の従業員は、乙の知る限り、反社会的勢力ではなく、反社会的勢力との 間に取引、資金の提供、便宜の供与、経営への関与その他一切の関係又は 交流がないこと。
⑥ 倒産手続等の不存在
乙について、支払停止、手形不渡、銀行取引停止等の事由は生じておら ず、かつ、破産、民事再生、会社更生、特別清算等の倒産手続開始の申立て はされておらず、それらの申立て事由も生じておらず、私的整理も行われてい ないこと。
出所:経済産業省(書式は当社にて変更)
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株式譲渡契約書(SPA)のまとめ
株式譲渡契約書は、譲渡オーナーと譲受企業が合意した株式譲渡の条件を詳細に定め、取引の透明性と安心感を担保する最終契約書です。価格や支払条件だけでなく、表明保証や補償条項、従業員の処遇まで多岐にわたる項目を網羅し、トラブルを未然に防ぐ役割を果たします。
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著者

- 事業法人第三部長
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宅食事業を共同経営者として立ち上げ、CFOとして従事。みつきコンサルティングでは、会計・法務・労務の知見を活かし、業界を問わず、事業承継型・救済型・カーブアウト・MBO等、様々なニーズに即した多数の支援実績を誇る。
監修:みつき税理士法人
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