M&Aを検討し始めた際、案件探しをどう進めればよいのか分からず迷うケースも少なくありません。現在は、M&A仲介会社の利用だけでなく、マッチングサイトを使うなど案件との接点も多様化しています。自身の企業規模・希望などに見合った探し方を知ることが大切です。この記事では、M&A案件の探し方や注意点、成功のポイントなどを解説します。
M&Aの現状
中小企業庁によると、現在M&Aの件数は右肩上がりで推移しており、M&Aをする企業が増加していることがわかります。M&Aが増加する要因としては、高齢化による後継者問題が深刻化していることも挙げられるでしょう。後継者がいない場合の事業承継方法として、M&Aが注目を集めています。
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M&Aの「お相手候補」の探し方
M&Aを希望する会社の探し方としては、主に7つの方法が挙げられます。以下では、それぞれの探し方について解説します。
取引先や知り合いに依頼する
まずは、取引先や知り合いに依頼する方法です。身近な関係から生まれるM&Aは親和性が高いというメリットがあり、相乗効果も生まれやすいといわれています。また、M&Aにかかる費用を抑えやすいことも魅力です。ただし、取引先や知り合いという知った仲ではあるといえ、事業精査は専門家を活用したほうがよいでしょう。
M&A仲介会社に依頼する
M&A仲介会社に依頼する方法もあります。M&A案件を探す方法としては、もっとも一般的な方法です。M&A仲介会社だけでなく、税理士事務所や経営コンサルティング会社などに依頼する方法もあります。M&A仲介会社は独自のネットワークを保有しているため、表には出ていない案件情報を把握しているケースも多いです。
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M&Aマッチングサイトを利用する
M&Aマッチングサイトを利用して、自社で案件を探すことも可能です。M&Aマッチングサイトは、登録無料で仲介料もかからないサイトもあります。そのため、自社で案件を探したい、できるだけ費用を抑えて案件を探したいという場合によいでしょう。M&Aマッチングサイトでは、譲渡側・譲受側双方の条件を満たした会社を探せる可能性が高いです。
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各種金融機関に依頼する
各種金融機関に依頼して、M&A案件を探す方法もあります。金融機関を通した案件は、金融機関がチェックした案件であるため、譲受側もある程度信頼しやすくなっています。また、資金調達についても相談しやすいでしょう。ただし、金融機関のなかには自社利益を考えて案件を持ってくるケースもあるため、見極めが重要です。
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事業引継ぎ支援センターに依頼する
事業承継を目的としてM&Aを検討している場合は、事業引継ぎ支援センターなどの公的機関に依頼するのもよい方法です。事業引継ぎ支援センターとは、中小企業や個人事業主などの事業承継をサポートする目的で設立された機関です。相談は無料となっているため、事業や従業員を守る目的でM&Aを考えている場合にはよいでしょう。
税理士などの士業に依頼する
税理士などの士業に依頼してM&A案件を探すことも可能です。多くの顧問先を持つ士業に相談することで、顧客のなかに該当する企業があれば優先的に紹介してもらえる可能性があるでしょう。また、顧問先の案件を紹介してもらえた場合、士業が財務データなどを把握しているためM&Aのプロセスがスムーズに進みます。
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ベンチャーキャピタルに依頼する
ベンチャーキャピタルとは、有望なスタートアップに投資し、IPO(新規株式公開)やM&Aによって利益を得ることを目的としている企業です。出資したベンチャー企業の企業価値向上につながる可能性がある場合、ベンチャー企業にM&A案件を紹介することがあります。優先的に紹介してもらうためには、普段からコミュニケーションを取っておくとよいでしょう。
M&A案件を探す際の注意点
M&A案件を探す際には、注意したいポイントがあります。ここでは、譲渡側・譲受側それぞれの注意点を解説します。
譲受側の注意点
M&Aサービスを利用する前に、M&A戦略を明確にしておきましょう。M&Aの目的や重視するポイントなどが明確でないと、依頼された側もどのような案件を紹介すればよいのか判断できません。思ったような案件を紹介してもらえる可能性が低くなるため、M&A戦略をしっかりと定めることが重要です。
また、組織間の役割分担や企業文化についてもきちんと検討しましょう。M&Aはあくまで手段であり、目的ではないと意識することもポイントです。
譲渡側の注意点
会社を譲渡する場合は、自社と同規模の案件を得意とするM&Aサービスを利用することが重要です。売り上げ規模が小さいと、大手を得意とするM&A仲介会社では相談に乗ってくれない、案件を探せても成功報酬が割高になるなどのデメリットが生じる可能性があります。
また、1社だけに問い合わせるのではなく、複数のサービスに問い合わせて料金体系などを確認しておきましょう。担当者が信頼できるかどうかも大切なポイントです。
M&A時に活用される資料の概要
参考までに、M&Aの際に活用される資料は、以下のとおりです。
ノンネームシート
ノンネームシートとは、その名のとおり対象会社を特定できる情報が記載されていない資料です。譲受側がM&Aの初期的検討ができるように、譲渡側の事業の特徴や譲渡条件、大まかな業績といった基本的な情報が記載されています。情報漏えいのリスクをできる限りなくすために、具体的な情報は記載されていません。
ロングリスト
ロングリストとは、M&Aにおける相手先候補が一覧になったリストです。譲渡側からすると譲受側の企業、譲受側からすると譲渡側の企業がリストアップされています。企業名・代表者名・本社所在地・主な商材や売上高といった情報がリスト化されています。一般的には、20~100社を目安にリストアップするケースが多いでしょう。
ショートリスト
ショートリストとは、ロングリストからさらに候補先を絞ってリスト化したものです。基本的には5~10社程度まで絞り込むケースが多いでしょう。ショートリストでは、ロングリストに記載されている情報の他に、従業員数や役員構成、株主構成、事業の強みや弱み、M&Aをした際のメリット・デメリットなどの詳細が記載されています。
企業概要書
企業概要書とは、譲渡側の詳細な情報がまとめられた資料です。譲受側がM&Aを具体的に検討できるように、さまざまな情報が記載されています。たとえば、財務状況や組織図、事業計画などです。ノンネームシートで関心を示した企業との間で秘密保持契約を結び、企業概要書を提示するというケースが一般的です。
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M&Aを成功のためのポイント
M&Aを成功させるためには、3つのポイントを押さえましょう。ここでは、各ポイントを詳しく解説します。
自社の強みやウリを整理する
まずは、自社の強みやウリを整理しましょう。強みやウリが明確な企業は、M&Aにおいて譲渡先を探しやすいです。赤字であったとしても、明確な強みや魅力があることで譲渡できる可能性が高まります。そのため、自社分析をして自社の強みを把握したうえで、譲受側に興味を持ってもらえるようにアピールすることがポイントです。
M&Aの目的を明確にしておく
M&Aの目的を明確にすることも大切です。M&A自体が目的ではなく、M&Aはあくまでも手段です。M&Aの目的としては、譲渡側であれば事業承継や譲渡益の獲得など、譲受側であれば新規事業への参入や事業の拡大などが考えられるでしょう。目的が曖昧だと成約自体が目的になってしまう場合もあるため注意が必要です。
早期に適切な専門会社を頼る
M&Aは専門家のサポートなしで進めるのは難しいです。そのため、M&Aを検討している場合は早期に適切な専門会社に依頼するとよいでしょう。M&Aは、経営者の時間や労力を多く使うため、精神的な負担も重くなりがちです。早めに専門会社などに相談することで、負担も軽くなりスムーズにM&Aが進みやすいでしょう。
M&Aの相手方の探し方のまとめ
M&Aのお相手候補の探し方としては、M&A仲介会社や取引先、金融機関などに依頼する方法や、M&Aマッチングサイトを利用する方法などがあります。M&Aをする際には、自社の強みやウリを整理して、M&Aの目的を明確にしておきましょう。M&Aでは専門知識も必要になるため、早期に専門家へ依頼することもポイントです。
みつきコンサルティングは、税理士法人グループのためM&Aありきではなく、さまざまな選択肢のメリット・デメリットを提示したうえで適切な方法をご提案できます。経営コンサルティング経験者も多く在籍しており、シナジー創出を見込める候補先の紹介が可能です。M&Aを検討している場合は、ぜひご相談ください。
著者
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宅食事業を共同経営者として立ち上げ、CFOとして従事。みつきコンサルティングでは、会計・法務・労務の知見を活かし、業界を問わず、事業承継型・救済型・カーブアウト・MBO等、様々なニーズに即した多数の支援実績を誇る。
監修:みつき税理士法人
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