税務デューデリジェンスは、M&Aにおいて税務に関するリスクを把握するための重要な手続です。この記事では、税務デューデリジェンスの目的や調査範囲、主な確認事項について、初心者の方にも分かりやすく解説します。
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税理士法人グループによる財務デューデリジェンス
M&Aに潜む財務リスク、見逃していませんか?
M&Aにおけるデューデリジェンスとは
M&Aを進める際には、デューデリジェンス(DD)と呼ばれる調査が非常に重要になります。DDは、譲渡企業に関するさまざまな情報を詳しく調べ、その企業の価値やリスクを正確に理解するための手続です。特に、財務デューデリジェンス(財務DD)は、譲渡企業の財務状況を深く理解するために行われます。
財務DDでは、譲渡企業の収益力や資産価値、隠れた負債など、財務に関するあらゆる側面を詳細に調査します。この調査結果は、譲受企業がM&Aを行うかどうかの判断や、譲渡価格の決定に大きな影響を与えます。 税務DDは、財務DDの一環として行われることが多いです。
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税務デューデリジェンスの基礎
デューデリジェンスにはいくつかの種類がありますが、税務DDもその一つです。税務DDは、譲渡企業の税務状況に焦点を当てて調査を行います。税務DDの目的は、主に税務に関するリスクを把握すること、そしてM&A後の税務を効率的に進めることにあります。
税務デューデリジェンスの目的
M&Aでは、譲渡企業が過去に適切でない税務処理を行っていた場合、譲受企業が予期せぬ税金負担を負うリスクが発生する可能性があります。税務DDを行うことで、このようなリスクを事前に発見し、評価することができます。また、税務調査で指摘される可能性のある事項を早期に見つけ出し、譲受企業に報告することも、税務DDの重要な目的の一つです。
税務DDと財務DDの違い
財務DDと税務DDは、調査の焦点が異なります。財務DDは会計上の財務諸表の信頼性や実態純資産を把握することが主な目的です。一方、税務DDは財務DDで得られた情報を活用しながら、税務処理の適正性や過去の税務リスクを深く掘り下げます。
税務DDは、多くの場合、財務DDに引き続いて実施されます。または、財務DDの一部として実施されます。これは、財務DDで明らかになった会計処理に関する情報をもとに、税務上の問題点やリスクを特定するためです。財務DDの担当者と税務DDの担当者が密接に連携し、情報のやり取りを効率的に行うことで、より効果的な調査が可能となります。
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税務デューデリジェンスの調査範囲
税務デューデリジェンスの調査範囲は、M&Aの形態や譲渡企業・譲受企業の状況、M&Aの戦略によって異なります。 一般的には、譲渡企業が適切な税務処理を行っているかを確認し、潜在的な税務リスクを洗い出すことに焦点を当てて行われます。
特に中小企業のM&Aにおいては、税務会計が基本になりまさうので、法人税法に基づき適正な会計処理が行われているかどうかが重要な確認ポイントとなります。具体的には、過去の税務申告の内容や会計処理について確認し、税務上の問題点がないかを調査します。
▷関連:中小企業M&Aの財務デューデリジェンス|特有の論点と簡易財務DD
税務リスクがM&Aに与える影響
税務デューデリジェンスで発見された税務リスクは、M&Aの判断や条件に大きな影響を与えます。税務DDの結果、譲渡企業に申告漏れや過去の税務処理の誤りが見つかった場合、譲受企業は過去に遡って税金を支払う「追徴課税」を受けるリスクを負うことになります。これは予期せぬコスト増となり、M&Aの経済合理性を損なう可能性があります。そのような、税務リスクの存在は、譲渡価格の交渉において譲受企業にとって不利な要素となります。発見された税務リスクの金額的な影響を評価し、譲渡価格からその影響額を差し引くなどの調整が行われることがあります。
▷関連:企業価値評価へのデューデリジェンスの影響と関係・違いは?
さらに、M&A後の経営統合(PMI)においても、税務リスクは影響を与えます。税務DDで特定されたリスクに対する適切な対応策を計画し、実行する必要があります。税務DDの結果は、PMIを円滑に進めるためにも活用されます。
▷関連:PMIを成功させるデューデリジェンス|M&A後の統合リスク対策
M&Aの税務DDで発見される税務リスク
M&Aにおいて譲受企業が注意すべき税務リスクには、様々なものがあります。税務DDは、これらのリスクを事前に特定し、その金額的な影響を見積もるために行います。主なリスクとしては、過去の税務申告の誤りによる追徴課税、会計処理の誤りによる税務リスク、さらには特定の税制に関するリスクなどがあります。
過去の税務申告や税務調査に関する確認
税務デューデリジェンスでは、譲渡企業の過去の税務申告書や税務当局とのやり取りについて確認することが重要です。特に、過去に税務調査を受けたことがあるか、その際にどのような指摘を受けたか、そしてその指摘に対する修正申告や対応が適切に行われたかなどを調査します。
税務調査で指摘された事項は、将来再び問題となる可能性があるため、税務DDでこれらの情報を確認することは、譲受企業にとって将来の予期せぬ税金負担リスクを回避するために非常に重要です。また、過去の経緯を確認することは、税務リスクの全体像を把握する上で役立ちます。
繰越欠損金と税額控除の利用可能性
譲渡企業が過去の事業で損失を計上している場合、その損失の一部は将来の所得と相殺できる「繰越欠損金」として税務上認められることがあります。また、特定の投資などを行った際に税金が軽減される「税額控除」が適用される場合があります。これらの繰越欠損金や税額控除は、譲受企業にとってM&A後の節税効果をもたらす可能性があるため、その利用可能性を検討します。
なお、M&Aによる承継においては、繰越欠損金や税額控除の利用に一定の制限が設けられている場合があります。税務DDでは、これらの税務メリットがM&A後も問題なく維持できるか、利用できる範囲に制限がないかを確認します。
税金種類別の調査項目
税務デューデリジェンスでは、法人税、消費税、源泉所得税といった主要な税目について、譲渡企業の処理が適切であるかを確認します。以下の点を中心に確認が行われます。
法人税
譲渡企業の所得計算が税法に従って正しく行われているか、経費の計上や収益の認識に誤りがないかなどを確認します。会計処理が税務上のルールと異なっていないか、申告漏れや計算ミスがないかなどがチェックされます。
消費税
消費税の計算や申告が適切に行われているかを確認します。課税取引と非課税取引の区分、仕入税額控除の計算などが主な確認点となります。
源泉所得税
従業員への給与や専門家への報酬などから源泉所得税が適切に徴収され、納付されているかを確認します。
これらの税目に関する潜在的なリスクを洗い出すことが、税務DDの目的の一つです。
特殊税制に関する確認
M&Aの形態によっては、特定の複雑な税制(特殊税制)に関する検討が必要となる場合があります。例えば、譲受企業が海外に子会社を持つ場合などに重要となる「移転価格税制」や、グループ内の組織再編に関わる「組織再編税制」、グループ全体で税金計算を行う場合の「グループ法人税制」などがあります。
これらの特殊税制は非常に専門的で、複雑なルールに基づいています。税務DDでは、これらの特殊税制が譲渡企業に適用される可能性があるか、適用される場合にどのようなリスクが内在しているかなどを評価します。
▷関連:M&Aにおける財務デューデリジェンスの進め方と必要資料リスト
税務デューデリジェンスの費用
対象会社が中小企業である場合の一般的な費用相場は、財務デューデリジェンス全体で100万円~300万円です。その一部を構成する税務DD単体で報酬見積することは実務上は少ないが、敢えて税務DD部分だけを抜き出して費用相場を説明します。
税務DDの費用相場
調査範囲や深度によって大きく異なりますが、30万円~80万円程度のケースもあれば、論点の多い案件では100万円~300万円以上となることもあります。専門家の日当は1日2万円~5万円程度が目安で、調査期間の長短(厳密には工数)によって総額が変動します。
費用が増えやすい要因
対象期間が3期を超える、グループ会社が多い、過去の税務調査での指摘事項が多い、あるいは特殊な取引が含まれる場合は工数が増え、費用は高額になります。
費用を抑える工夫
優先順位をつけて調査範囲を絞り込むことや、複数の専門家から見積もりを取得して比較検討することが有効です。財務DD担当と連携し、同じ資料確認を減らすなど効率化を図ることでコストを最適化できます。財務・法務DDまで含めた全体費用では、200万円~500万円以上を目安として考えると良いでしょう。
▷関連:デューデリジェンスの費用負担|相場と内訳・会計処理と税務も解説
税務デューデリジェンスの専門家
税務デューデリジェンスは、税務に関する高度な専門知識と実務経験が必要となる手続です。このため、税務DDは通常、税理士や公認会計士、これらの者から構成される会計系コンサルティング会社(いわゆるFAS)といった税務の専門家によって行われます。
税理士は税務の専門家として、企業の税務申告や税務相談を行っています。公認会計士も税務に関する一定の知識を持っており、企業の財務状況や会計処理の監査などを行っています。M&Aにおける税務DDでは、これらの専門家が連携して、譲渡企業の税務状況を詳細に調査し、税務リスクを評価します。
専門家は、過去の税務申告書や税務関連資料を確認するだけでなく、必要に応じて譲渡企業の担当者や顧問税理士、経営者へのヒアリングを行い、税務に関する潜在的な問題点を探ります。
▷関連:デューデリジェンスの依頼業者|専門家の選び方・役割・費用を解説
税理士法人グループによる財務デューデリジェンス
M&Aに潜む財務リスク、見逃していませんか?
よくあるご質問|税務デューデリジェンスに関するFAQ
税務デューデリジェンスに関するFAQをご紹介します。
税務デューデリジェンスでは、譲渡企業の過去の税務申告内容を詳細に確認します。これにより、申告漏れがないか、あるいは過去の会計処理に誤りがあり、税務リスクが潜在していないかを調査します。税務DDを行うことで、このような潜在的なリスクを事前に把握し、譲受後に予期せぬ税金負担が発生する可能性を低減することができます。
税務デューデリジェンスでは、過去の税務調査の有無や、調査を受けた際にどのような指摘があったかを確認します。また、その指摘に対して適切に対応が行われたかどうかも重要な確認ポイントとなります。過去の税務調査で指摘された内容は、将来再び問題になる可能性があるため、税務DDでこれらの情報を得ることは、譲受企業がリスクを正確に評価する上で非常に重要です。
譲渡企業が行ってきた節税策について、税務デューデリジェンスでは、その税務処理や計算過程が税務上のルールに従って適切に行われているかを確認します。もし、節税策の根拠となる会計処理や計算に誤りがある場合、税務当局から否認され、追徴課税となる可能性があります。税務DDではこのようなリスクの有無を専門家が評価します。
税務デューデリジェンスの主な目的の一つは、M&A後の譲受企業に予期せぬ追加税負担が発生するリスクを見積もることです。過去の申告漏れや会計処理の誤り、潜在的な税務リスクなどを事前に詳細に調査し、その影響を評価することで、譲受後の税金に関する不確実性を可能な限り減らすことを目指します。
譲渡企業に繰越欠損金がある場合、譲受企業はM&A後にその繰越欠損金を利用して税負担を軽減できる可能性があります。しかし、M&Aの形態や条件によっては、繰越欠損金の利用に一定の制限が設けられている場合があります。税務デューデリジェンスでは、繰越欠損金が税務上のルールに従って適切に計上されているかを確認するとともに、M&A後の承継において利用が可能か、どのような制限があるかなどを詳細に調査し、評価します。
M&Aの税務デューデリジェンスのまとめ
税務デューデリジェンスは、譲渡企業の申告内容や繰越欠損金、主要税目を確認し、譲受企業の想定外の税負担を防ぐ重要な手続です。
結果は、M&Aを進める判断や条件交渉、譲受後の計画に影響します。みつきコンサルティングは税理士法人グループとして、税務DDを含む財務DDを一括支援します。
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