会社の売却を考え始めたものの、どの仲介会社に任せればよいか判断がつかない譲渡オーナーは少なくありません。M&A仲介に必須の国家資格はないものの、公認会計士や税理士など有資格者の在籍は信頼性を測る手がかりになります。2026年度に始まる中小M&A資格制度の動きも踏まえ、資格と実績の両面から失敗しない相談先の見極め方を解説します。
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会社売却の相談先選びで資格はどこまで重要か
初めて会社売却を検討すると、まず迷うのが相談先です。資格を持つ担当者なら安心なのか。そんな素朴な疑問から業者選びを始める譲渡オーナーは少なくありません。結論から言えば、資格の有無は判断材料の一つにすぎません。とはいえ、まったく無視してよいわけでもないのが実情です。
仲介業務そのものに必須の国家資格はない
M&A仲介を行うこと自体に、法律で義務付けられた資格はありません。宅地建物取引業のような業法上の独占免許も存在しないため、無資格でも仲介業を営めます。実際、大手から個人事務所まで、多くの担当者が資格を持たずに案件を手掛けているのが現状です。
それでも有資格者の在籍が決め手になる理由
必須ではない一方で、会社売却の現場には資格者でなければ踏み込めない領域があります。企業価値の算定、税務の判断、契約書の作成。いずれも会社の値段と手取りを左右する重い工程です。だからこそ、社内に有資格者がいるかどうかは、仲介会社の足腰の強さを映す鏡になります。
仲介会社が担う役割の全体像は、M&A仲介の役割と選び方の基本で整理しています。ここでは資格と専門性に絞って掘り下げます。
譲渡オーナーが確認すべき国家資格と独占業務
仲介業に免許は要りません。ところが、その仲介が扱う中身に目を移すと、国家資格者にしか担えない仕事が点在しています。会社の価格、税金、契約。この三つに直結する専門家を押さえておくと、業者の実力を見抜きやすくなります。
企業価値の算定を支える公認会計士・税理士
会社をいくらで売るか。その根拠を組み立てるのが企業価値評価です。決算書の数字を読み解き、将来の収益力まで織り込む作業は、財務の専門家が関与してこそ説得力を持ちます。買い手との価格交渉で土台になる部分です。
譲渡益の手取りを左右する税務判断
売却で得たお金には税金がかかります。スキームの選び方ひとつで譲渡益にかかる負担は変わるため、税理士の関与は手取り額に直結します。M&Aでの税理士の関わり方は、税理士に相談するメリットと報酬相場で詳しく触れています。
財務面の検証を担う会計士の視点
買い手は譲受の前に財務デューデリジェンスで数字の中身を精査します。売り手側でも、決算書の弱点を先回りで把握しておくと交渉が崩れにくくなります。会計士が果たす役割はM&Aでの公認会計士の重要性にまとめました。
最終契約と法務リスクに対応する弁護士
合意した内容を法的に固めるのが最終契約書です。表明保証や競業避止など、後々もめやすい条項を適切に組み立てるには弁護士の関与が欠かせません。会社売却で弁護士が必要になる場面は、M&Aでの弁護士の必要性と費用を参考にしてください。
専門家が担う領域を一覧で整理する
下表に、会社売却で各専門家が担う主な領域と、それが譲渡オーナーにどう響くかを整理しました。仲介会社にこれらの専門家が関与しているかを確認する際の物差しとして使えます。
| 専門家の種類 | 会社売却で担う主な領域 | 譲渡オーナーへの影響 |
|---|---|---|
| 公認会計士 | 企業価値評価、財務デューデリジェンス対応 | 会社の値段の根拠づけ |
| 税理士 | 税務デューデリジェンス、譲渡益の試算 | 手取り額の最大化 |
| 弁護士 | 最終契約書の作成、法務リスクの精査 | 契約後のトラブル防止 |
値段の根拠そのものをもう少し知りたい場合は、企業価値評価の考え方もあわせてご覧ください。
専門性を示す民間資格の種類と限界
国家資格のほかに、M&Aの知識を示す民間資格もいくつか存在します。担当者の名刺にこうした肩書きが並ぶと頼もしく感じるものです。ただ、肩書きの数と実務力は別物だという前提も持っておきたいところです。
M&Aシニアエキスパートとアドバイザー資格
金融財政事情研究会が認定するM&Aシニアエキスパートは、民間資格のなかでも知名度の高い存在です。事業承継の資格との違いや位置づけは、M&Aシニアエキスパートの位置づけで確認できます。一定の体系的な学習を経た証ではあります。
中小企業診断士など周辺の資格
中小企業診断士は、経営の分析や統合後の助言に強みを持ちます。M&Aそのものの資格ではありませんが、譲受後の経営をどう描くかという場面で生きてきます。財務やコンサルの素養を示す肩書きは、担当者の引き出しの広さをうかがう材料になります。
民間資格を過信してはいけない理由
民間資格は、運営団体が独自の基準で認定しているものです。取得の難易度や審査の厳しさは資格ごとに差があります。資格があるから優秀、無資格だから力不足。そう単純に線引きできないのがM&Aの世界です。あくまで参考の一つと割り切るのが賢明でしょう。
2026年度に始まる中小M&A資格制度の中身
ここにきて、業者選びの風景を変えそうな動きが出てきました。中小企業庁が、中小M&Aを担うアドバイザー向けの公的な資格試験を整える方針を示しています。何が変わるのか、譲渡オーナーの視点で押さえておきましょう。
制度が生まれた背景にあるトラブルの増加
中小M&A市場では新規参入の支援業者が急増し、知識や倫理観のばらつきが課題になっていました。一部の業者による不適切な仲介がトラブルとして表面化したことが、制度創設を後押ししています。市場の信頼を底上げする狙いです。
試験範囲と合格者の登録制度

出所:中小企業庁「中小M&A市場の改革に向けた方向性について」
試験は5つの領域・約50問規模が想定され、M&A実務、財務・税務、バリュエーションやデューデリジェンス、法務、そして倫理・行動規範までを問う設計です。中小企業庁が運営主体となり、合格者は登録制度に氏名が登録される見込みとされています。
倫理規程に違反した場合は登録の取消しや氏名公表もあり得る仕組みが検討されています。資格と登録を一体で運用し、知識と倫理の両面で質を担保する狙いが読み取れます。制度の方向性は中小企業庁の検討会資料(中小企業庁「中小M&A市場の改革に向けた方向性について」)で公表されています。
譲渡オーナーは新制度をどう使えばよいか
制度が動き出せば、有資格の担当者かどうかが業者選びの新しい目安に加わります。あわせて確認したいのが、その仲介会社が国が認定するM&A支援機関登録制度に登録しているかどうかです。2026年3月時点で、仲介・FAを中心に約3,400者が登録しています。
中小M&Aガイドラインでは、登録機関に対し担当者の資格取得を推奨する方向も議論されています。手数料開示など業者選びに直結するルールは、中小M&Aガイドラインの手数料開示で確かめられます。
資格より先に見るべき仲介会社選定の3つの軸
資格は安心材料の一つです。けれど、それだけで相手探しの成否が決まるわけではありません。当社の支援現場では、肩書きより次の三つを丁寧に確認したオーナーほど、相手探しの満足度が高い傾向にあります。順に見ていきます。
自社の業種と規模での成約実績
どれだけ資格者が多くても、自社と同じ業種・規模を扱った実績が乏しければ、買い手候補をうまく引き出せません。年商や従業員数の近い譲渡を何件まとめたか。具体的な数字で尋ねると、業者の得手不得手が見えてきます。実績確認は最優先の軸です。
比較の進め方は信頼できる仲介会社の比較ポイントが参考になります。
手数料体系が書面で明確か
着手金の有無、成功報酬の計算基準、最低報酬額。これらが口頭ではなく書面で示されるかは、誠実さを測る試金石です。レーマン方式や完全成功報酬の仕組みを理解しておくと、説明の質も見抜けます。手数料の相場感はM&A手数料の相場と内訳で確認できます。
成功報酬型の落とし穴に注意
「完全成功報酬」という言葉は魅力的に響きます。ただし最低報酬額が高く設定され、小規模な譲渡では割高になる例も珍しくありません。完全成功報酬の仕組みと比較で中身を見極めておくと安心です。
支援機関登録制度への登録の有無
国の登録制度に登録された業者は、ガイドラインの遵守を宣言しています。トラブルの相談を受け付ける窓口も整備されているため、一つの信頼の目安になります。登録の有無は公開情報で誰でも確かめられます。
現場で見る「資格があっても安心できない」典型例
資格は信頼の入口です。しかし入口を抜けた先で、相性や実績がかみ合わずに後悔するケースも見てきました。よくある相談として、二つの落とし穴を共有します。仮の事例として数字は調整しています。
資格はあるが自社業種の実績が乏しいケース
地方で年商10億円規模の食品製造業を営むオーナーが、有資格者を多く抱える業者に相談したものの、同業種の買い手候補がほとんど出てこなかった。結局は業種特化の小規模ファームに切り替えて成約に至った。そんな相談を受けたことがあります。肩書きと相手探しの幅は別問題です。
発注前に確認したいチェックリスト
初回面談で何を聞けばよいか迷ったときは、下のチェックリストが役立ちます。当社が相談時に確認している項目を、譲渡オーナー向けに整理したものです。
- 企業価値評価や税務を担う有資格者が社内にいるか
- 自社と同じ業種・規模での成約実績が何件あるか
- 想定される買い手候補の数を、具体的な見込みとして説明できるか
- 着手金・成功報酬・最低報酬額が書面で明示されているか、または「完全」成功報酬か
- M&A支援機関登録制度に登録しているか
- 担当者個人の経験年数と、過去に手掛けた案件の傾向
契約や手数料での失敗を避けたい場合は、仲介会社選びで失敗しない注意点もあわせて確認しておくと安心です。
そもそも誰に相談すべきか迷うとき
銀行、税理士、仲介会社。相談先には複数の選択肢があります。それぞれ得意分野が異なるため、自社の状況に合った窓口を選ぶことが第一歩です。違いはM&Aの相談先ごとの違いで比較できます。
M&A仲介会社の資格と選び方に関するFAQ
会社売却の相談先選びで、譲渡オーナーから寄せられることの多い疑問をまとめました。現場での確認の仕方も交えてお答えします。
無資格でも仲介はできます。現場でまず確認したいのは、企業価値評価や税務を担う有資格者が社内にいるかどうかです。担当者個人の資格より、会社全体の専門家ネットワークを見たほうが実態に近づけます。
一概には言えません。有資格者の層の厚さでは大手が優位な場合が多い一方、自社と同じ業種・規模の買い手リストを持つのは特化型ということもあります。自社の決算規模と業種で成約実績を尋ね、買い手候補の見込み数を具体的に確認するのが近道です。
資格は知識と倫理の最低ラインを示す目安にはなりますが、成約力や相性まで保証するものではありません。制度が始まった後も、実績・手数料の透明性・相手探しの幅をあわせて確認する姿勢は変わらないとお考えください。
立場が変わっても確認軸はおおむね同じです。買い手側ではとくに財務・税務デューデリジェンスの質が重要になるため、会計士や税理士の関与体制を早めに確認しておくと安心です。条件次第では外部専門家の追加も検討します。
資格と実績で選ぶ会社売却の相談先まとめ
会社売却の相談先選びでは、仲介に必須の国家資格がない一方、企業価値評価や税務、契約を担う有資格者の在籍と、自社業種での実績が信頼性を測る現実的な手がかりになります。何を基準に選べばよいか分からない不安は、確認すべき軸を持てば着実に小さくできます。
当社は税理士法人グループのM&A仲介会社として、公認会計士や税理士が企業価値評価から税務まで一貫して関与します。中小企業の会社売却・事業承継で培った実績と経験を活かし、初めての検討でも納得して進められるよう支援します。相談先選びで迷ったら、まずは気軽にお問い合わせください。
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著者

- 名古屋法人部長/M&A担当ディレクター
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人材支援会社にて、海外人材の採用・紹介事業のチームを率いて新規開拓・人材開発に従事。みつきコンサルティングでは、強みを生かし人材会社・日本語学校等の案件を中心に工事業・広告・IT業など多種に渡る案件支援を行う。M&Aの成約実績多数、M&A仲介・助言の経験年数は10年以上
監修:みつき税理士法人
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