メガネ業界の売却|高度管理医療機器許可の承継と技能士が効くM&A評価

眼鏡店やコンタクトレンズ販売店の売却では、コンタクトを扱う高度管理医療機器等販売業の許可が営業所ごとに付いている点と、眼鏡作製技能士がどれだけ在籍しているかが条件を動かします。フレーム在庫の年齢、定期便の継続率、検眼機器の更新時期まで含め、譲渡オーナーが先に押さえておきたい論点を、税理士法人グループのM&A仲介会社の視点でまとめました。

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目次
  1. 眼鏡・コンタクトレンズ販売の市場構造と再編の現在地
    1. 眼鏡とコンタクトでは儲けの作り方が違う
    2. 600店舗連合が示した再編の圧力
    3. 販売額はチェーンに寄り、個人店は別の道を探す
  2. メガネ店のオーナーが売却へ動く4つの事情
    1. 眼鏡作製技能士を育てきれない
    2. 検眼機器と加工機の更新負担が読めない
    3. 季節資金と個人保証が離れていかない
    4. 眼科併設やSC出店の契約更新が近づく
  3. メガネ店を手放して得るものと、引き換えになるもの
    1. 譲渡オーナーから見た損得の全体像
    2. 廃業を選んだ場合との違い
  4. 高度管理医療機器等販売業の許可とコンタクト在庫の引継ぎ
    1. 株式譲渡なら許可は残り、事業譲渡なら取り直しになる
    2. 営業所管理者と毎年度の継続的研修
    3. 使用期限のある在庫をどう見るか
  5. 眼鏡作製技能士と認定補聴器技能者が価格に効く場面
    1. 技能士の在籍数が店舗網の価値を裏打ちする
    2. 補聴器を併売しているなら届出と認定を確かめる
    3. 引継ぎの設計次第で残る人数は変わる
  6. 譲渡価格の目安と譲受企業が確かめる数字
    1. 年買法で目安を置く
    2. メガネ店で実際に見られている数字
    3. 個人保証と借入の段取りを先に決める
  7. 眼鏡・コンタクトレンズ販売を譲り受ける側の顔ぶれ
    1. 同業の眼鏡チェーン
    2. コンタクトレンズメーカーと系列の販売会社
    3. 異業種と投資ファンド
  8. メガネ店のM&Aで特に注意しておきたい実務論点
    1. 顧客カルテと度数データの扱い
    2. 保証とアフターサービスに残る約束
    3. レンズメーカーとの取引条件
    4. 眼科や医療機関との距離感
  9. 眼鏡・コンタクトレンズ販売の売却でよくある質問
  10. まとめ|眼鏡・コンタクトレンズ販売の売却はみつきコンサルティングへ
    1. メガネ業界の会社売却の関連コラム

店は黒字で、客足も落ちてはいません。それでも「あと何年、技能士を育てられるか」で手が止まるオーナーは少なくありません。眼鏡とコンタクトレンズの販売は、許可も資格も在庫も設備も、すべて店舗単位で積み上がる商売です。会社を手放す選択肢を考え始めた段階で、何が値段に響き、何が引継ぎの障害になるのかを見ておきましょう。

眼鏡・コンタクトレンズ販売の市場構造と再編の現在地

視力矯正の需要が細ったわけではないのに、店舗の顔ぶれは数年で入れ替わりました。眼鏡業界のM&Aを読む前提として、外部環境から見ていきます。

眼鏡とコンタクトでは儲けの作り方が違う

同じ店内に並んでいても、眼鏡とコンタクトレンズでは収益の出方が違います。眼鏡はフレームとレンズを組み合わせ、視力測定と加工、フィッティングという手間に値段が乗る商売。買い替えは2年から3年に一度で、来店の間隔は長くなります。一方のコンタクトレンズは1日使い捨てが主流になり、定期便や定額プランによる月次の積み上げが効くように。日本コンタクトレンズ協会の2025年マーケットサイズ調査では、市場規模は3,100億円超と推計されています。譲受企業がどちらの比率を見るかで、提示される条件も変わります。

600店舗連合が示した再編の圧力

業界の空気が変わったのは2025年の秋でした。「Zoff」のインターメスティックが、「メガネスーパー」を運営するビジョナリーホールディングスを傘下に持つHorus HDの全株式を取得し、同年10月1日付で子会社化しています。取得価額は約190億円、両社を合わせた店舗網は600店舗を超えました。目を引くのは狙いのほうで、メガネスーパーは2025年4月期にコンタクトレンズ事業の売上がメガネ事業を上回り、定期便比率は70%超。眼鏡チェーンが、コンタクトの継続顧客をまとめて取りにいった取引だったわけです。

販売額はチェーンに寄り、個人店は別の道を探す

地方都市の駅前で、時計店から続いた眼鏡店が今も暖簾を守っている例。そんな風景は珍しくありません。ただ総務省・経済産業省の経済センサスでみると、写真機・時計・眼鏡小売業は事業所数では単独店と本・支店に大きな差がない一方、販売額では本・支店側が9割近くを占めます。店の数ほどには売上が分散していないということ。仕入条件でも広告でも規模の差が効く以上、独立系の中堅企業が単独で戦い続ける前提は年々厳しくなっています。だからこそ、廃業ではなく会社売却を早めに机へ載せる経営者が増えました。

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メガネ店のオーナーが売却へ動く4つの事情

相談の入口は業績不振ばかりではありません。会社を売りたいと考える理由は、むしろ黒字のうちにという動機が目立ちます。

眼鏡作製技能士を育てきれない

2022年4月、技能検定に「眼鏡作製職種」が加わり、眼鏡作製技能士という国家検定が始まりました。公益社団法人日本眼鏡技術者協会によると、2025年度は1級188名・2級670名の合計858名が合格し、累計の登録者は9,606名。1店舗に何人配置できるかは別の話です。受検には実務経験が要り、測定も加工も任せられるまで育てる時間もかかる。60代のオーナーが最も腕の立つ技能者という店では、引退の時期と技術の途切れる時期が重なりかねません。親族内での事業承継が難しい会社ほど、この悩みは重く響きます。

検眼機器と加工機の更新負担が読めない

オートレフラクトメーター、レンズメーター、玉摺機。眼鏡店の設備はどれも高額で、しかも壊れてから買い替えるわけにいきません。加工精度が落ちれば、そのままクレームと再作成の原価に跳ね返るためです。10年選手の機械を抱えたまま、後継者のいない会社が数千万円の再投資を決めるのは、率直なところ難しいはずです。設備年齢が上がるほど譲受企業の投資見積りは膨らみ、条件にも反映されます。更新を先送りしている自覚があるなら、その事実を隠さず出したほうが交渉は早く進みます。

季節資金と個人保証が離れていかない

コンタクトレンズは仕入が先、回収が後になりやすく、在庫の持ち方で運転資金が上下します。中小機構が運営するJ-Net21でも、国内出荷額は12月に山、1月に谷があり、季節指数でみると1.7倍から1.8倍の開きが出ると説明されています。この山谷を越えるための短期借入に、オーナーの個人保証が付いたまま10年、20年と続いている会社は多いところ。自宅を担保に入れた状態で高齢期を迎える不安が、売却を考える直接のきっかけになることもあります。

眼科併設やSC出店の契約更新が近づく

眼科の隣、あるいは医療モールの一角という立地は、コンタクトレンズ販売にとって生命線です。ところが定期建物賃貸借で入っている場合、更新は自動ではありません。ショッピングセンターの出店契約も同じで、賃料改定や退店条件の見直しが数年ごとに訪れます。承継先が決まらないまま契約満了を迎えると、店舗ごと失うおそれも。残存期間が短い時期に交渉を始めると譲受企業は慎重になるため、更新の直後こそ動きやすいタイミングです。

▷関連:小売業のM&A|EC化と店舗網再編が変える譲渡価格と成約事例

メガネ店を手放して得るものと、引き換えになるもの

良い面だけを並べても判断材料になりません。譲渡オーナーの立場から、損得を同じ画面に置いてみます。

譲渡オーナーから見た損得の全体像

売却で解ける課題は、資金と人の2つに集約されます。逆に手放すからこそ自由が利かなくなる部分もあり、そこを知らずに進めると、後から不満が残りがち。下表は、眼鏡・コンタクトレンズ販売の案件で実際に話題になりやすい項目を、譲渡オーナーの視点で並べたものです。売却の可否そのものより、どの条件を優先して交渉するかを決めるための材料として見てください。順番は会社ごとに入れ替わります。

譲渡オーナーのメリット譲渡オーナーのデメリット
個人保証と季節資金の重圧が外れる
コンタクトの仕入で膨らむ短期借入と、自宅を担保に入れた状態から離れられます。
屋号や店舗の見せ方が変わる場合がある
グループの統一方針で看板やレイアウトの変更を求められることがあります。
技能士の採用と育成を仕組みに乗せられる
グループ全体の研修制度や受検支援に、自社の若手を組み込めます。
不採算店が統廃合の検討対象になる
店舗別の損益が見えるようになり、赤字店の扱いが議題に上がります。
検眼機器とレンズ加工機の更新原資が手当てできる
単独では踏み切れなかった設備投資を、譲受企業の資金力で進められます。
メーカーとの取引条件が見直される
長年の付き合いで積み上げた仕入条件やリベートが再交渉になり得ます。
レンズメーカーとの交渉力が上がる
グループの購買量に乗ることで、仕入単価と納期の条件が改善しやすくなります。
引継ぎ期間は代表として残る前提になる
取引先や社員への説明のため、半年から1年ほど関与を求められます。
顧客カルテと保証対応の受け皿が残る
長く通ってきた客の度数データとアフターサービスを、途切れさせずに渡せます。
許可と届出の名義整理に日数がかかる
スキーム次第で、店舗ごとの許可や届出をやり直す時間が必要になります。
創業家の資産を株式のまま現金化できる
清算による在庫の投げ売りを避け、事業価値を含めた形で手取りを確保できます。
従業員へ伝える時期を自由に選べない
情報管理の都合で、開示の順番と時期を譲受企業と合わせる必要があります。

廃業を選んだ場合との違い

店をたたむ場合、フレームとレンズの在庫は二束三文になり、検査機器も中古市場では値が付きにくいところ。テナントの原状回復費に、社員の退職金まで加わります。売却なら在庫も設備も続く事業の一部として評価される点が、根本的に違います。顧客カルテを引き継ぐ相手がいれば、長く通ってくれた客の行き場もなくなりません。手取りの差だけでなく、地域に残るものの差として考えてみてください。

高度管理医療機器等販売業の許可とコンタクト在庫の引継ぎ

ここは譲渡スキームの選び方で結論が変わる部分です。先に押さえておくと、その後の交渉がずいぶん滑らかになります。

株式譲渡なら許可は残り、事業譲渡なら取り直しになる

コンタクトレンズは薬機法上の高度管理医療機器にあたり、販売するには営業所ごとに高度管理医療機器等販売業・貸与業の許可が要ります。有効期間は6年。許可は法人と営業所に紐づくため、株式譲渡であれば会社がそのまま許可主体として残り、営業を止めずに承継できます。反対に事業譲渡を選ぶと、譲受企業が店舗ごとに新規で許可を取り直す流れ。実地検査から交付までの日数を読み違えると、引渡し日に販売できない事態も起こります。

みつきコンサルティングでは、初期の資料づくりの段階で、店舗別に許可証の写しと有効期間、管理者名を並べた一覧から着手。保健所への事前相談が要る案件では、行政手続に明るい専門家と組んで段取りを引きます。下表に、眼鏡・コンタクトレンズ販売でよく論点になる許認可と資格が、スキームによってどう変わるかをまとめました。

承継の対象株式譲渡の場合事業譲渡の場合
高度管理医療機器等販売業・貸与業の許可法人が許可主体のまま残るため継続。役員変更などは変更届で対応譲受企業が営業所ごとに新規取得。構造設備の検査を経て交付
補聴器に関する管理医療機器販売業・貸与業の届出そのまま継続。営業所管理者の要件充足を維持営業所ごとに届出をやり直し、管理者も改めて配置
認定補聴器専門店の認定店舗の設備と技能者の常勤が続く限り維持自動では移らず、認定要件を満たしたうえで申請が必要
眼鏡作製技能士・認定補聴器技能者個人に帰属するため、在籍が続くかどうかで決まる同じく個人に帰属。転籍に応じてもらえるかが前提
店舗の賃貸借と眼科併設の取決め契約は会社に残るが、支配権の変更に関する条項の確認が要る貸主との再契約が原則。条件の見直しが入りやすい

営業所管理者と毎年度の継続的研修

許可を保つには、営業所ごとに高度管理医療機器等営業所管理者を置く必要があります。薬機法施行規則168条により、販売業者は管理者へ毎年度の継続的研修を受講させる義務を負い、コンタクトレンズを扱う営業所では6年の許可期間中に少なくとも1回、コンタクト専門の内容を含む研修を受けさせることが求められます。この受講記録が飛んでいる店舗は珍しくありません。デューデリジェンスで指摘されてから慌てるより、店舗別に管理者名と修了証を並べておくほうが早く済みます。

使用期限のある在庫をどう見るか

コンタクトレンズには滅菌期限があり、度数別・ベースカーブ別に細かく分かれた在庫は、売れ残ると値引きも効きません。フレームもモデルチェンジで動かなくなります。棚卸の数字を仕入年度別、期限別に並べ替えると、本当に売れる在庫がどれだけあるかが見えてきます。譲受企業が真っ先に見るのも、まさにその部分。当社が関与した小売の案件でも、簿価と実勢の差が譲渡価格の調整項目になった例は少なくありません。決算書の棚卸資産をそのまま持ち込むより、自社で先に色分けしておいたほうが、結果として手取りは守れます。

眼鏡作製技能士と認定補聴器技能者が価格に効く場面

資格は会社ではなく人に付きます。名簿の厚みが、そのまま譲受企業の安心につながる領域です。

技能士の在籍数が店舗網の価値を裏打ちする

眼鏡作製技能士は個人に与えられる国家検定で、会社が保有できるものではありません。株式譲渡で会社ごと引き継いでも、有資格者が辞めればその店の測定品質は落ちます。譲受企業が従業員の定着を条件として気にするのは、そのためです。パリミキホールディングスが中期経営計画で技能士を軸にした技術訴求を掲げているように、大手ほど資格者の配置を成長戦略に組み込んでいます。1級と2級の内訳、年齢構成、勤続年数。この3つを店舗別に出せる会社は、交渉の初期から見られ方が違ってきます。

補聴器を併売しているなら届出と認定を確かめる

眼鏡店が補聴器を扱う例は増えました。補聴器は特定管理医療機器にあたり、販売には営業所ごとの管理医療機器販売業・貸与業の届出と、1年以上の従事経験と基礎講習を満たした営業所管理者が要ります。さらに公益財団法人テクノエイド協会の認定補聴器専門店は、認定補聴器技能者の常勤や防音の測定設備を条件とし、5年ごとに更新審査を受ける仕組み。事業譲渡で店舗を切り出すと、この認定は自動では移りません。補聴器の粗利は眼鏡より厚く、高齢化で伸びる分野だけに、落とすと痛い資産です。

引継ぎの設計次第で残る人数は変わる

技能を持つ社員ほど、噂で動きます。開示の順番を誤ると、成約前に辞意を切り出されることも。支援の現場では、店長と技能士への説明を誰がどの順で行うかを、基本合意の前から譲受企業と詰めておきます。譲渡後の処遇、受検支援の継続、店舗の統廃合予定。この3つに答えを用意できるかどうかで、残る人数は大きく違ってきます。譲渡オーナーの声を伺っても、社員への説明が最大の山場だったという振り返りが繰り返し出てきます。

譲渡価格の目安と譲受企業が確かめる数字

いくらになるのか。会社売却の相場が気になるのは当然なので、順を追って答えます。

年買法で目安を置く

中小の眼鏡・コンタクトレンズ販売で最もよく使われるのが年買法(年倍法)です。時価純資産にのれんを加えて目安を出します。内装や中古の検査機器は簿価ほどの価値が残らない一方、定期便の会員基盤や技能士の陣容はのれんとして見てもらえる部分。DCF法や類似会社比較法が使われる場面もありますが、非上場の小売業では将来予測の前提が崩れやすく、参考値にとどまることが多いところです。

メガネ店で実際に見られている数字

売上と営業利益だけを磨いても、条件はそこまで伸びません。譲受企業が知りたいのは、その利益が来期以降も同じ形で出るのかどうか。眼鏡は数年に一度の買い替え、コンタクトは毎月の消耗という性質の違いがあるため、同じ店舗でも見るべき数字が分かれます。下表は、当社が眼鏡・コンタクトレンズ販売の案件で譲受企業から繰り返し質問を受ける指標をまとめたものです。企業価値評価の入口として、自社で用意できているか眺めてみてください。

譲受企業が見る指標その数字で確かめている内容
定期便・定額プランの会員数と継続率月次で積み上がる収益がどこまで先読みできるか
眼鏡作製技能士の1級・2級別の在籍数測定と加工の品質を誰が担保しているか
累進レンズなど高付加価値レンズの構成比客単価が価格競争に耐えられる水準にあるか
フレームの仕入年度別の在庫残高型落ち分を除いた実質的な資産額
検眼機器とレンズ加工機の設備年齢引渡し後に必要となる追加投資の規模
店舗別の営業利益と賃料負担率統廃合の検討対象になる店舗があるか
補聴器やサングラスなど併売の売上構成比季節の波を何で埋め、粗利をどこで稼いでいるか
顧客カルテの登録件数と再来店の周期広告費をかけずに戻ってくる客層の厚み

個人保証と借入の段取りを先に決める

値段の話と同じくらい、経営者保証の扱いで悩む方が多いところ。株式譲渡が成立しても、金融機関の同意がなければ保証は自動で外れません。当社は譲渡の意向が固まった段階でメイン行への打診順を相談し、季節資金の借換えと保証解除を同じ時期に乗せられるよう組み立てます。コンタクトレンズの仕入で膨らむ短期資金は、承継後の資金繰りにも直結する部分。譲受企業の与信力で条件がどう動くかまで含め、早めに見通しを立てておきます。

眼鏡・コンタクトレンズ販売を譲り受ける側の顔ぶれ

相手は同業チェーンだけではありません。近年はメーカー側からの打診も目立ってきました。

同業の眼鏡チェーン

最も多いのは、出店余地のある地域に店舗網を持ちたい同業です。眼鏡チェーンにとって既存店の獲得は新規出店より確実で、居抜きの内装と検査機器、そして育った技能士がそのまま手に入ります。商圏が重ならなければ、閉店に伴う目減りも小さく済みます。先ほどのインターメスティックとビジョナリーホールディングスの一件でも、地域的な重複が少ないことが前提として説明されていました。地場で長く営業してきた会社ほど、この文脈で評価されやすい面があります。

コンタクトレンズメーカーと系列の販売会社

メーカー側が販売網を直接持とうとする動きも続いています。2026年6月30日、メニコンは傘下のダブリュ・アイ・システムを通じ、仙台市でコンタクトレンズ販売店3店舗を運営するインターオプチカルの全株式を取得しました。取得価額は非公表で、狙いは東日本エリアの販売基盤の強化。3店舗規模の会社が上場企業グループに入った例として、地方の販売店オーナーには参考になるはずです。いきなり全株式ではなく、資本業務提携から段階を踏む形もあります。

異業種と投資ファンド

調剤薬局やドラッグストア、リユース事業者など、同じ商圏で来店客を共有できる業態からの関心もあります。眼科との導線を持つ会社なら、健康関連のサービスに束ねる発想も出てきます。投資ファンドの場合は、複数の地域チェーンをまとめて規模を作る構想を描くことが多く、単独では届かない条件が示される場面も。どの類型へ打診するかはM&A仲介の設計で変わるため、雇用継続や屋号の存続をどこまで望むかを先に伝えておくと話が早くなります。中小企業のM&Aでは、条件の優先順位を決めた側が主導権を握ります。

メガネ店のM&Aで特に注意しておきたい実務論点

調査で引っかかる箇所は業種ごとに偏ります。仲介一覧を見比べる前に、この4点を押さえておきましょう。

顧客カルテと度数データの扱い

眼鏡店の資産価値は、フレームの在庫より顧客カルテにあると言っていいほどです。ただ、視力や処方の記録は健康に関わる情報で、紙の台帳やレジ端末に残ったままという会社も見かけます。株式譲渡であれば保有主体が変わらないため取得自体は問題になりにくい一方、事業譲渡では第三者提供の扱いを詰める必要が出てきます。取得時の利用目的がどう書かれているか、店舗ごとにばらついていないか。譲渡を決める前に見ておくと、後工程がずいぶん軽くなります。

保証とアフターサービスに残る約束

レンズの度数交換保証、フレームの破損補償、購入後の調整。眼鏡店は売った後の約束を長く背負う商売です。これらは決算書に負債として立っていない場合が多く、それでも譲受企業は引き継いだ客からの申し出に応じることになります。保証期間の設計と過去の利用率がわかれば見積れる数字ですが、記録がなければ想定を厚く置かれるだけ。財務デューデリジェンスでは、コンタクトの定額プランの前受けと解約条件も同じように追われます。

レンズメーカーとの取引条件

仕入価格や報奨金の条件は、長年の付き合いで積み上がった属人的なものが少なくありません。取引基本契約に支配権の変更に関する条項が入っていれば、株主が替わる前に通知や承諾が要る場合も。特約店としての地位、年間数量に応じた割戻し、店頭什器の貸与。ここを譲渡後に見直されると、粗利率が想定から下振れします。契約書を集めて条項を当たる作業は地味ながら、価格交渉の材料としても効いてきます。

眼科や医療機関との距離感

コンタクトレンズの販売に処方箋の提示を義務づける法律上の定めはないものの、日本コンタクトレンズ協会や日本眼科医会はガイドラインで受診を前提とした運用を求めています。近隣の眼科と長く協力関係を築いてきた会社では、その関係が売上の前提になっていることも。医師個人との信頼で成り立っている部分は契約書に書けません。だからこそ承継後も同じ導線を保てるかを、譲受企業は早い段階で確かめにきます。

M&Aが成立した場合のみ、譲渡対価に応じた手数料を頂戴します。
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眼鏡・コンタクトレンズ販売の売却でよくある質問

面談で実際に出た問いのうち、ここまで触れていないものを4つ取り上げます。

Q:メーカーから預かっている在庫はどう扱われますか?

所有権がメーカー側に残る預託品は、棚卸資産に計上しないのが原則です。現場では、預託と買取の区分が台帳で追えるか、返品条件が契約書に明記されているかを見ます。区分が曖昧なまま譲渡すると、引渡し後の精算でもめる火種に。契約書と在庫台帳を突き合わせておくと安心です。

Q:自社サイトでのコンタクトレンズ販売は評価されますか?

継続購入の会員基盤として前向きに見られます。ただしネット販売でも高度管理医療機器等販売業の許可は要り、広告表示が薬機法の範囲に収まっているかは必ず確認されます。定期便の解約率、装用者の年齢構成、店舗顧客との重複率。この3つを示せると、数字の読み方をめぐる議論が短く済みます。

Q:学校検診や企業向けの保護メガネの取引は有利になりますか?

安定した法人ルートは加点材料になります。入札や年度契約であれば、契約名義が会社か個人かで承継の扱いが変わるため、事業譲渡を選ぶなら再契約の可否を先に当たります。担当者との関係で続いている取引は、引継ぎ期間に同行訪問を組み込むのが現実的な対応です。

Q:店名や自社ブランドの商標が個人名義のままです。

よくある状態です。屋号や自社フレームブランドが代表者個人の名義だと、株式譲渡でも権利は会社へ移りません。譲渡契約の前に会社名義へ移しておくのが基本になります。間に合わない場合は使用許諾で当面をつなぐ形もありますが、条件面では不利に働きやすい点に留意してください。

税理士法人を母体とするM&A仲介会社|みつきコンサルティングが選ばれる理由

まとめ|眼鏡・コンタクトレンズ販売の売却はみつきコンサルティングへ

眼鏡業界の会社売却では、コンタクトを扱う許可が営業所ごとに付くこと、眼鏡作製技能士が個人に紐づくこと、在庫と設備の実勢価値が簿価と離れやすいこと。この3つが条件を動かします。長く守ってきた店と社員を手放す決断に迷いが伴うのは当然のこと。材料を早めに揃えれば、選べる相手は増えます。

みつきコンサルティングは、財務・税務に強いM&A仲介会社として中小企業のM&A仲介の実績経験が豊富です。相談先選びに迷う段階からで構いません。眼鏡業界の会社売却なら、みつきコンサルティングへお声がけください。

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メガネ業界の会社売却の関連コラム

著者

潟野 和徳
潟野 和徳名古屋法人部長/M&A担当ディレクター
人材支援会社にて、海外人材の採用・紹介事業のチームを率いて新規開拓・人材開発に従事。みつきコンサルティングでは、強みを生かし人材会社・日本語学校等の案件を中心に工事業・広告・IT業など多種に渡る案件支援を行う。M&Aの成約実績多数、M&A仲介・助言の経験年数は10年以上
監修者 神門 剛 代表取締役 / 公認会計士・税理士

みつきコンサルティングは、中小企業の会社売却・事業承継に特化した譲渡企業様に完全成功報酬制のM&A仲介会社です。売り手と買い手企業の最適なマッチングを、経験豊富なM&Aコンサルタントが初期相談から成約まで一貫してフルサポートします。

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