日本語学校のM&A事例 【中部地方】

日本語学校の運営会社株式の譲渡を助言|N社さま

譲渡企業 N社さま
業種 日本語学校
事業内容 日本語学校運営
売上 約2億円
地域 中部地方
設立 2000
経営者の年齢 50代
譲渡理由 事業の選択と集中
譲受企業 A社
業種 外国人材専門会社
事業内容 人材紹介・派遣(外国人)
売上 約20億円
地域 関東
設立 2000年代
上場の有無 非上場
譲受目的 既存事業の周辺業務強化

- まず、御社の事業内容と、M&Aを検討するに至った経緯についてお聞かせください。

当社は名古屋市で日本語学校を運営しており、海外からの留学生に日本語教育を提供しています。本業は福祉関係の施設を運営しており、日本語学校は別事業として運営しておりました。

M&Aを検討した理由としては、事業の選択と集中が一番の理由です。日本語学校事業は順調で、定員増の許可も下りて収益も最大化する見込みでした。しかし、本業である福祉事業も拡大傾向にあり、日本学校事業との両立に忙しさを感じ始め、事業の選択と集中を検討するようになりました。

- なるほど。日本語学校事業の売却を決断されたのは、どのような理由からでしょうか?

主に3つの理由があります。まず、後継者問題です。私は年齢的にも体力的にも事業承継まで時間がありましたが、子供たちもそれぞれの道を見つけ頑張っていることもあり親族内承継者はいませんでした。社内には事業運営上頼りになる人材はおりましたが、経営者となると難しい面もあり、事業承継問題は将来的に避けられない課題だと感じていました。

次に、私自身の時間の使い方を考えるようになったことです。福祉事業と日本語学校事業の両立は、私の時間を大きく奪っており、歳を重ねるごとにどちらかに集中したいという思いが強くなってきたのです。

最後に、日本語学校事業におけるM&A市場の状況です。国がインバウンドや海外人材の活用など外国人に対する門戸を開いていたこともあり、外国人向けサービスの買収ニーズが高まっていることを知りました。日本語学校事業もこのニーズの一つとして認識されており、良い条件で売却できる可能性があることをお聞きしたのも要因の一つです。

- 実際にM&Aを進めていく中で、どのような点に苦労されましたか?

最も苦労したのは、日本語学校特有の許認可の問題でした。当初は、本業で使用している不動産を日本語学校事業の運営会社で所有していたことから、M&Aの対象を日本学校事業に限定するため、事業譲渡での売却を考えていました。しかし、事業譲渡スキームを選択すると、譲受側(買主側)でM&A後に許認可の引継ぎに大きな制約(許認可の再取得に多大な時間がかかる)があることがわかり、これを避けるため、

株式譲渡のスキームに切り替えることにしました。ただ、そのためには本業で使用している不動産の切り離しをする必要があり、切り離しの時期や資金の工面など調整に時間がかかりました。

- 株式譲渡に切り替えたことで、どのような変化がありましたか?

株式譲渡に切り替えたことで、許認可の問題はクリアできましたが一方で、先ほどお話した通り、本業で使用している不動産を切り離す必要が出てきました。

結果的に、一部は株式譲渡前に自己資金で買取り、残りの不動産は譲渡代金受領後に買取ることになりました。買取価額や買取時期の設定など、少々時間はかかりましたが、みつきコンサルティングさんや弊社の顧問税理士とも相談しながら進めることで滞りなく進めることができました。

- 買主候補との交渉はスムーズに進みましたか?

買主候補との交渉は、予想以上に時間がかかった印象です。お相手先のA社は、外国人エンジニアの人材紹介や留学生の就職あっせん事業を行っている会社でした。

A社は当初から我々の日本語学校事業に強い興味を示してくれましたが、決裁者である社長の海外出張や担当窓口との地理的問題などもあり、ご検討からご意向を頂戴するまで、思ったより時間がかかった印象です。

M&A検討中も自社の事業は、通常通り運営しておりますのでA社と交渉の最中にも色々と事業運営上の課題や問題が出てくるものですが、一つ予期せぬ大きな問題が発生しました。当社のキーマンであった主任が他社に引き抜かれ、退職することになったことです。これにはA社も不安を示され一時、検討が停滞することもありました。

- その問題はどのように解決されたのでしょうか?

まず、退職した主任の役割について説明しました。主任は授業の質向上やカリキュラムの構築など入国後の留学生へのサービス提供の部分を担当していました。もちろん、当社としては重要な人材でしたが、この部門の人材は社内でも育てていたこと、日本語学校運営の売上に直結する要素が少なかったこともあり、私どもとしてはリカバーが効く分野という認識でおりました。

対策としては、事務部門のキーマンである事務長を教務と事務の両部門の責任者に昇格させることで、学校運営に問題がないことを説明しました。A社もこの提案を理解して頂き、M&A実行前に事務長との面談を実施することを、クロージング条件とする提案があり、私たちもそれに応じました。

結果的に、この面談は非常にうまくいきました。A社が運営する海外の日本語学校に事務長が過去に訪問したことがあり、印象が良かったこともプラスに働いたと思います。

- 契約書(SPA)の調整で特に苦労された点はありますか?

SPAの調整では、所有不動産の確定や労務管理に係るリスクなどが論点となり、調整に苦労しました。いずれも長く会社を運営していれば、起こりうる事項ばかりでしたがM&Aは第三者へ譲渡することから、厳密に精査しリスクになりそうな点については、契約書(SPA)に責任の所在がどちらかを明確に記載しました。売主と買主は条件面では相反する立場でもあるため、難しい交渉でありましたが、お互いに相手を尊重し良い落としどころを見つけることができたと思います。

M&Aを経験されて、どのような感想をお持ちですか?

M&Aは非常に複雑で時間のかかるプロセスだと実感しました。特に日本語学校の許認可の部分は、不定期で申請から承認までの期間や提出書類等の要件が変更されることがあるため、慎重に確認する必要があると思います。

また、M&Aはオーナーが認識している課題をきっかけに検討を始められるかと思いますが、M&A後に残る従業員の将来のことも踏まえ、お相手先を決定することも大切だと感じました。今回、日本国内における海外人材ビジネスを展開するA社をパートナーに選んだことにより、日本語学校事業の更なる発展をイメージできたことはM&Aを選択して良かったと思える要因の一つだと感じています。

- 最後に、M&Aを検討している他の経営者の方々へアドバイスをお願いします。

まずは、早い段階から専門家のアドバイスを受けることをお勧めします。M&Aはオーナーだけではなく、従業員やお相手先など関係者が多く配慮すべき点や検討すべき点が多くあります。これらの検討事項をオーナーのみで考えていても解決には至りません。私の場合、みつきコンサルティングさんに相談したことで、M&Aの実態を理解し多くの困難を乗り越えることができたと思います。愛着のある会社を手放すのは寂しいものです。しかし、会社と従業員の未来を考えたとき、M&Aが最善策と感じるのであれば、経営者として、決定すべき判断だと私は考えています。

           

この案件・類似案件の担当者

▷潟野和徳 名古屋法人部長/M&A担当ディレクター


海外人材支援専門会社にて、海外人材採用・人材紹介事業のチームを率い新規顧客開拓・人材開発に従事。当社参画後は、強みを生かし人材会社・日本語学校等の案件を中心に工事業・広告・IT業など多種に渡る案件支援を行う。

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