商法・会社法の違いと改正点まとめ!解説付き対照表

商法・会社法の違いと改正点を解説付き対照表で紹介。新旧対照表や主な規定と役割、用語解説、M&Aの法的手続きまで、理解を深める豊富な情報を提供いたします。

1.商法と会社法の違いとは?改正内容も含めて対照表で紹介

商法は、一般的な商取引に関する日本国内の基本的な法律です。一方、会社法は、会社の設立や組織、管理方法などに関連する規定を所管します。本章では、商法と会社法の違いを近年の改正内容も合わせて解説します。

商法とは

商法は、一般的な商取引に関する日本国内の基本的な法律です。商法は、一般法である民法の特別法に当たります。したがって、民法と商法が重複する部分については、商法が優先的に適用されます。

会社法との違い

会社法は、会社の設立や組織、管理方法などに関連する規定を所管します。商法は会社法との関係においては、一般法になります。会社も商人なので商法が適用されますが、商法と会社法が重複する部分については、特別法である会社法が優先的に適用されます。

商法・会社法の新旧対照表:改正点の一覧と解説

平成18年5月1日より新たな「会社法」が施行されました。この会社法の大きな特徴は「商法第2編会社」商法特例法と有限会社法が統合され、会社の機関設計が柔軟に行えるようになり、全体的に自由度が増したことです。また、会社設立に関する手続きも簡素化され、容易に起業ができるようになりました。ここでは新旧の比較を容易にするため、従来の会社法等を「旧商法」、平成18年5月1日施行された会社法を「新会社法」と呼びます。

平成18年 商法改正旧(施行前)新(施行後)
設立できる会社株式会社、有限会社、合名会社、合資会社株式会社、合名会社、合資会社
合同会社(日本版LLC)
最低資本金規制株式会社:1,000万円以上
有限会社:300万円以上
制限なし(1円以上)
発起設立の払込金
保管証明
必要銀行等の残高証明でよい
会社の機関設計株式会社:株主総会+取締役会+監査役
有限会社:社員総会+取締役会(+監査役)
株式譲渡制限会社では、取締役会の設置が任意になる。株主総会+取締役(最低1人)も可
取締役・監査役の人数・任期取締役株式会社:3人以上 任期2年
有限会社:1人以上 任期無し
3人以上、任期2年が原則
株式譲渡制限会社は一人以上で、任期は最長10年まで延長可
監査役株式会社:1人以上、任期4年
有限会社:設置は任意、設置時は任期無し
1人以上、任期4年が原則
株式譲渡制限会社:設置は任意、任期は最長10年まで延長可
会計参与 規定なし新設。すべての株式会社に設置可能
株主総会の招集招集通知の発送会日の2週間前取締役会非設置会社:会日の1週間前(定款で短縮可能)
召集通知の手段書面又は電磁的方法取締役会非設置会社:書面等以外の方法でも可能
招集通知の形式会議の目的事項を記載
定時株主総会については計算書類等を添付
取締役会非設置会社:会議の目的事項の記載不要、計算書類等の添付も不要
株主総会で決定できる事項株式会社:法令や定款で定められた事項
有限会社:すべての事項
取締役会非設置会社:すべての事項が決定できるように規制を緩和
商法・会社法の新旧対照表

2.商法・会社法の主な規定と役割

商法と会社法は、企業経営において重要な法規制を規定する法律であり、ビジネス活動を行うための基本的なルールを定めています。商法は、商取引における権利関係や契約形態を規定し、会社法は、会社の設立・運営・解散などに関わる法制度を規定しています。

商法は主に、商取引に関する契約の規定や商行為に関するルールを定めた法律であり、国内外の取引の安定や円滑化を図る目的があります。具体的に対象となる取引には、売買、交換、貸借、請負、預金などが含まれます。

一方、会社法は企業の組織形態を規定するほか、役員や株主、取締役会などの組織運営に関する法的ルール、上場企業や非上場企業の株主に対する情報開示や取締役の選任・解任、株式の譲渡・取得などに関する権利と義務が定められています。

商法・会社法は企業活動を円滑かつ適正に行うための規定であり、経営者や株主、取引相手などの権利保護を図る重要な役割を担っています。

商法の範囲と商法上の取引

商法は、商売を生業とするプロの間で適用される法律です。 民法が想定する個別的な取引とは異なり、反復・継続して日々大量に行われるような、定型的な取引を対象としています。 中でも商法は、会社や個人事業主などの形態にかかわらず、商売を行うもの全般に対して適用されますが、会社法は会社のみに適用されます。また、商法は、商取引に関する権利・義務や契約形態を規定し、商取引上の不公平な行為の防止や相互間の信頼を促進する法律です。

会社法の範囲と組織運営に関する規定

会社法は、企業組織の設立、運営、解散に関する法制度を規定しており、具体的には、以下のような規定が含まれています。

– 会社設立に関する手続き

– 役員の選任・解任に関する規定

– 株主総会や取締役会の開催・運営に関するルール

– 株式の譲渡や取得に関する権利と義務

– 会社解散や清算手続きに関する規定

これらの規定により、企業組織の運営が透明性を持ち、適正な手続きに則って運営されるようになっています。

3.商法に関する用語とその意味

商法においては、様々な用語や概念が用いられています。ここでは、商法に関する主要な用語とその意味について説明します。

– 法人:商業活動を行う法人。株式会社や有限会社など。

– 商業登記:商取引における信用のため、企業の事項を公示する制度。

– 商行為:商事法人が営業の目的で行う法律行為。

– 負債:商事法人が商行為によって生じる負債。

– 代理商:法人に代わって商行為を行う権限を持った者。

– 商標権:商品やサービスに関する特定の表示を独占的に使用する権利。

以上のような用語や概念が商法において使用され、商取引のルールや契約形態を理解する上で重要となります。

商法で用いられる主な概念と定義

商法で用いられる主な概念と定義には、以下のようなものがあります。

– 売買:財産権の移転を目的とした契約。

– 交換:財産権の互いの移転を目的とした契約。

– 貸借:物の使用や収益に関する権利の一時的な移転を目的とした契約。

– 請負:所定の業務を完成させることを約束する契約。

– 預り:物の保管を約束する契約。

– 委託:他人に代理権を与えて商行為を行わせる契約。

これらの概念や定義は、商法上の取引や契約を理解し、適切に実践するために重要であり、また法人が営業活動を適正に行う上で欠かせないものです。

会社法に関する用語とその意味

会社法には企業経営や法律上の権利・義務に関わる多くの専門用語があります。以下に、その一部を解説します。

– 株式会社: 企業の一形態であり、会社の資本を株式によって保有・取引することを特徴とする。

– 取締役: 会社の経営を行い、法的責任を負う役員。

– 役員報酬: 取締役や監査役に支払われる報酬。

– 株主総会: 株主が意思決定を行う最高意思決定機関。

– 社債: 企業が資金調達のため発行する借入証券。

– 資本提携: 企業同士が株式の取得や出資を通じて経営協力関係を築くこと。

– 財務諸表: 企業の経営成績や財務状況を示す報告書。

– 有限責任: 株主が保有する株式の額以上の責任を負わず、会社の負債に対して限定的な責任を負うこと。

これらの言葉や他にも多くの用語が会社法によって規定されており、それらの意味を理解することで、適切な経営判断が可能となります。

これらの概念や定義は、企業経営において必要不可欠であり、適切な意思決定や戦略立案の基盤となる。

4.M&Aにおける商法・会社法の意義と法的手続き

商法及び会社法は、企業の経営とM&A(合併・買収)において非常に重要な役割を果たしています。その理由の一つとして、企業が合併・買収を行う際に適切な手続きを行い、株主や取引先の利益を保護するために法令が定められているからです。具体的には、会社が合併する際には株主総会の承認が必要であり、買収においても株式譲渡に関する契約等が必要となります。

これらの法的手続きが適切に行われない場合、M&Aが無効となる恐れがあります。また、法令に違反した場合、経営者や役員に対する罰則が科せられることもあります。

会社法の改正に伴い、M&Aの手続きや一部制限が緩和されたこともありますが、根本的な法令の目的は変わっておらず、適切な法的手続きを行うことが企業の信頼性を高めるために重要となります。

5.商法・会社法の違いと改正内容まとめ:理解を深めるポイント

商法と会社法の違いは、商法が一般的な企業活動に関して規定しているのに対して、会社法は株式会社に特化した規定を行っている点です。また、会社法は、商法の改正を受けて、企業活動を円滑に進めるための制度や手続きが整備されています。

理解を深めるポイントとして、以下の事項を押さえておくことが重要です:

– 商法と会社法の対象となる企業形態

– M&Aにおける商法・会社法の法的手続き

– 最新の法律改正や専門家の意見

– 実際の事例や適切な手法の選択

最後に、商法・会社法の理解を深めることは事業の発展や成長に欠かせない知識ですので、経営者にとって特に重要であることを理解し、法律の専門家と相談しながら適切な対応を行っていくことが重要となります。

みつきコンサルティングは、税理士法人グループのM&A仲介会社として15年以上の業歴があり、中小企業M&Aに特化した経験実績が豊富なM&Aアドバイザーが多数在籍しております。 

みつき税理士法人と連携することにより、税務面や法律面のサポートもワンストップで対応可能ですので、M&Aをご検討の際は、成功するM&A仲介で実績のある、みつきコンサルティングに是非ご相談ください。 

著者

竹内忍
竹内忍執行役員 名古屋事業法人第一部長
国内商業銀行において、法人向けファイナンスのスペシャリストとして活躍。貸出先企業に対して多彩な経営支援を行うコンサルティング室のリーダーとして、幅広い業界での支援実績を残す。みつきコンサルティングでは、ITから製造業まで幅広い領域をカバーし、多様な支援実績を有する。
監修:みつき税理士法人