事業内容・特徴
貴社の創業の経緯や、強み・特徴を教えてください
当社は父が1970年代に創業しました。元々は小規模農業を行っていたのですが、工業化の時代に伴い昭和45年ごろ、プラスチック工場に勤めその後、独立しました。
私が入社した1991年にはある程度の規模で事業を行っていました。父から社長を引き継いだ2003年ごろから規模を拡大していき、紆余曲折あったものの、現在の事業規模になりました。
プラスチック製品は、多種多様な分野の部品で使われています。当社はどちらかというと、超大量生産製品よりも医療器具や半導体製品関連などの精度が求められる製造に強みがあります。まあ小規模ながらコンサートグッズ、試薬のディスポーザブル、産業マシンの電磁弁、窓ドア部品、大学の研究開発用部品や文房具など、いわば何でも屋ですねえ(笑)
M&Aについて
初めて当社にご相談されたときは、社長はまだ60才でした。事業承継をお考えになる時期ではあるものの、会社としても順調ですし、ご年齢的にもまだまだご活躍できるお年かと思います。そんな中、M&Aをお考えになるきっかけは何だったのでしょうか?
会社経営に対して、自分の限界を感じたことです。
また、一人息子が学業を生かし先端の業界で励んでいまして、昨年所帯を持ったことも影響しています。
M&Aに対してどんなイメージをもっていらっしゃいましたか
正直あまりいいイメージはなかったです。というのも、近隣の会社でM&Aをしたところがあって、その後の経過として微妙ならまだしも、はたから見たらマイナスの結果なんじゃないかなと感じていました。
なので、なんとか従業員にとって良い方向になってくれれば、程度に思っていました。
当社とのかかわり
M&Aをサポートする会社はあまたある中で、弊社とのお付き合いを決めたきっかけを教えてください
インスピレーションですね(笑)
元々、いつかはM&A行わなければならないと考えていたため、大手仲介会社さんの資料を取り寄せたことは多々あります。
その時は、グイグイ営業されてかなり引いてしまいました(笑)
インターネットで様々なM&A仲介会社の評判を調べていく中で、みつきさんを見つけました。会計事務所系ということもあり、そこまでグイグイくることはないのではと考え、まずは一度面談をと思い、みつきさんを訪問したことがきっかけです。
そんな背景があったのですね。初めてお会いした時にグイグイいかなくてよかったです(笑)
確かに西尾さんはグイグイくるタイプではなかったですね。初めてお会いした時に、西尾さんに様々な質問をしたのですが、全て的確にかつ論理的に答えてくれました。また、M&Aに直接関係ないことでもしっかり対応してくれたので、この人であれば、私の望む後継ぎを探すかなと、そのままみつきさんにお願いすることにしました。
今では、その時の直感が間違ってなかったと安心しています(笑)
セラテックジャパンさんを選ばれた決め手について
最終的に、お相手としてセラテックジャパン様をお選びになったわけですが、譲渡先を選ばれる際には、どのようなことを条件とされていましたか
特にこれといった条件を事前に考えてはいませんでした。やっぱり最終的にはインスピレーションかな、と(笑)
ただ、少なくとも、従業員には安心を与えてあげたかったので、そんなお相手であればいいな、と漠然と考える程度でした。
セラテックジャパン様の皆様のご印象は
とにかく平林社長が若くビジョアルが良い(笑)
同じ北信の会社で、大きな括りでは同じ製造業ではあるものの、扱っているものが全く違うために、最初はなんでうちに興味を持ったのか、ということが今一つ分かりませんでした。
何度かお会いするうちに、正直、そういった疑問はどこかにいってしまいました。
確かに、プラスチック製品の製造については専門ではないですが、セラテックさんの企業理念に対する想いが平林社長をはじめとした皆さんから伝わってきました。
やはりここでもインスピレーションかもしれませんが、中盤からは、「当社をお任せするのは、この会社しかない」と確信していました。
交渉やM&Aの段取りの中で大変だったこと
お相手選びはすんなりといったかと思うのですが、それ以外の部分で大変だった場面はありましたでしょうか
正直、私はあまり思い浮かばないですね(笑)
確かに、買収監査の準備や従業員に秘密にしなければならないことでストレスを感じることはありましたが、全体的にはあまりに順調に進みすぎて怖いくらいでした。
ただ、総務・経理業務は妻が行っていたため、買収監査の対応などで慣れない負担をかけさせてしまいましたので、苦言はいわれましたけどね(笑)
西尾さんから事務的・精神的なフォローをいただけたので、大変でしたが、今では妻も私も良い体験だったなと言えるようになりました。
従業員さん・取引先様の反応について
従業員さんは、一部の方を除いて、最後まで開示はしませんでした。M&A後の従業員さんの反応はいかがですか
セラテックさんとは距離的にはそこまで離れていないため、平林社長をはじめとした皆さんがしょっちゅう当社に来てくれています。
従業員も最初は少し構えたところがあったかもしれませんが、なんといっても平林社長が若くイケメンなので(笑)、すぐに馴染んでいきましたね。
やはり、次世代を担う経営者の器は違うなと思っています。
お取引先様のご反応はどうですか
令和の時代はM&Aは当たりまえって感じですよ。身売りや、会社売った・買ったなんていうのはほぼ死語になっていて、株式譲渡したのですね、とすんなり皆さん言われました。逆に取引の継続を顧客が心配するくらいです。
PMIの経過
現在、セラテックジャパン様と一緒になって、M&A後の統合作業を行っているかと思います。経過はいかがですか
一つずつ丁寧に進んでいます。まずは妻が担当する総務・経理業務にて行っています。次は、私と従業員が担当している営業、最後に私が主に担当している技術部門の統合作業が続きます。最後の私の関連がまだまだ先のようです。同時に社員教育も一流企業に向けて丁寧に進んでいます。
M&Aをお考えの経営者の皆様へのアドバイス
浦野様にとって、初めてのご経験だったかと思います。実際に経験されてみて分かったことや、こうすればよかったなど、これからM&Aに取り組まれる経営者の方々にアドバイスがあればお願いします
21世紀も四半世紀が過ぎ、前世紀の営業手法が通じなくなり、同時にコンプライアンスも大きくかわり、何をどうして良いのか?そんな苦悩を抱えている中小企業の経営者は数えきれないほどいらっしゃると思います。
そんな思いをお持ちであれば、M&Aも有力な選択肢の一つとなり得ると思います。
また、今ではM&Aのプロもたくさんいらっしゃるのでそこまで大きな心配をする必要はないのではないかな、と思っています。ただ、最後に頼ることができるのは、自分の直感ですかね。
一言アドバイスできるとすれば、とにかく企業価値算定をしっかりやってもらうことですね。
これがひたすら大変です。特に、当社のように「定款」なんて見たことも聞いたこともないという会社さんであれば、資料を探すのにも一苦労されると思います。
第三者的な専門会社は、ある程度費用がかかりますので、もう少し気軽にお願いできるシステムがあればよりスムーズにM&Aに取り組めるのではないかと思います。