介護・福祉サービスのM&A事例 【関東】

介護事業を営む企業の譲渡を助言|Y社さま

譲渡企業 Y社さま
業種 介護・福祉サービス
事業内容 介護施設の運営
売上 約3億円
地域 関東
設立 2010年代
経営者の年齢
譲渡理由
譲受企業 G社さま
業種 介護・福祉サービス
事業内容 介護施設の運営
売上 約100億円
地域 北海道
設立 2000年代
上場の有無 非上場
譲受目的

成約年月:2025年1月
取材先:代表取締役 K様

-御社がM&Aを決断されるに至った経緯を教えてください 

K様:創業30年にわたり高齢者福祉事業を展開してきましたが、2010年代後半から業界再編が加速。医療法人のグループ化が進む中で、当社単独での持続可能性に疑問を感じ始めました。特に2022年に太陽光発電設備を導入した際、環境対応とBCP対策の必要性を痛感しながらも、単独での技術革新に限界を感じたことが転機でした。

-具体的な経営課題はどのようなものだったのでしょうか 

K様:3つの壁がありました。第一に後継者問題。第二に新型コロナで露呈した経営基盤の脆弱性、第三に介護報酬の改定です。

-みつきコンサルティングを選んだ決め手は? 

K様:他社が財務数値ばかりを重視する中、担当者が当社の「入居者様の笑顔を増やす」という経営理念に共感してくれたことが大きいです。特に、新型コロナで空室が増加した際の経営改善策として、デマンドコントロールシステム導入を提案してくれた実務能力が評価されました。

-譲受企業選定の基準は何でしたか 

K様:3つの条件を設定しました。1.介護理念の共有 2.再生可能エネルギー事業とのシナジー 3.従業員の雇用継続保証。特に電力会社系の譲受候補S社とは、停電時の蓄電池活用で意見が合致。BCP対策強化という共通ビジョンが決め手となりました。

-デューデリジェンスで意外な指摘はありましたか 

K様:想定外だったのは「入居者様との日常会話データの資産価値」を評価されたことです。認知症ケアのノウハウがAI開発に活用できると指摘され、無形資産の再評価につながりました。一方で、過去の残業代未払い問題が表面化し、最終価格交渉で10%減額される苦い経験も。

-交渉で最も神経を使った点は? 

K様:従業員の処遇保証です。特に看護師長のKさん(在籍25年)については、役職手当の継続を個別条項に明記するよう要求しました。譲受側のT取締役が「人材こそ最大の資産」と即座に理解してくれた時は、涙が出るほど安堵したのを覚えています。

-譲渡価格の決め手となった要素は? 

K様:通常のDCF法に加え、太陽光発電による年間113万円の節電効果、AI連携による業務効率化見込額が特別加算されました。ただし、簿外債務として判明した研修施設の耐震改修費用2000万円が逆に減額要因となるなど、複合的な要素が絡み合いました。

-契約締結時のエピソードがあれば 

K様:調印式で譲受企業の社長が「このM&Aは単なる買収ではなく、未来への共同出資だ」と述べた言葉が胸に刺さりました。閉会後、担当者と神奈川県庁近くの老舗料亭で地酒を酌み交わし、30年間の経営者人生が走馬灯のように駆け巡りました。

-業界の今後についてどうお考えですか 

K様:今後5年で介護業界は「環境格付」と「テクノロジー統合」がキーワードになると見ています。譲受企業のクラウド技術と組み合わせることで、新たな価値創造が可能と期待しています。

-M&A後に実現したシナジー事例は? 

K様:具体的には3つの相乗効果が生まれています。第一に、譲受企業の遠隔診療システムと当社の巡回介護を組み合わせた「スマート見守りパック」。第二に、蓄電データを活用した電力卸売り。第三に、人材交流プログラムによるサービス革新です。

-反対に想定外の課題はありましたか 

K様:文化の違いによる意思決定スピードの遅延です。当社が「現場主義」だったのに対し、譲受企業は「データ重視」。例えばベッド更新の際、職員の意見を重視する当社とコスト分析を優先する親会社の板挟みになり、調整に2ヶ月かかった事例がありました。

-経営者としての誇りは何ですか 

K様:2019年の台風19号被害時、自家発電設備で3日間電力供給を維持し、入居者様ゼロの避難を実現できたこと。この経験が後の太陽光発電導入決断につながり、結果としてM&A時の企業価値向上に寄与しました。危機管理の重要性を骨身に沁みて学びました。

-M&A後も関与されているのでしょうか 

K様:現在は非常勤顧問として月1回の経営会議に参加。特に人材育成面では、新入職員向けの「理念継承プログラム」を担当しています。先日、新人介護士から「先代社長の想いを初めて知った」と感想をもらい、継承の重要性を再認識しました。

-譲受企業の社長像についてどう感じていますか 

K様:T社長(45歳)の「テクノロジーはあくまで手段」という哲学に共感しています。ある時、AI導入反対派の職員に対し「君たちの経験値を数値化することで、後世に継承できる」と説得する姿を見て、技術と人情のバランス感覚を学びました。

-アドバイザー選びのポイントは? 

K様:3つの能力を見極めました。1.業界知識(介護報酬改定の読解力) 2.技術理解(再生エネルギーとIoTの組み合わせ) 3.人的ネットワーク。特にみつきの担当者は、電力会社との折衝実績が豊富で、BCP強化の面で大きく貢献してくれました。

-若手経営者へのメッセージをお願いします 

K様:M&Aは「経営の総決算」だと思ってください。日々の業務改善の積み重ねが企業価値を形成します。当社の場合、たまたま実施した太陽光発電設備が大きな評価要因になりましたが、これは10年前から続けてきた省エネ活動の延長線上にあったのです。

-人生で最も影響を受けた人物は? 

K様:ある入居者様(元小学校長)の「経営とは人を育てる庭造りである」という言葉。MA実施時、この言葉を胸に、従業員のキャリアパスを個別に設計するよう譲受企業に要請しました。結果、全従業員が継続雇用され、5名が管理職に昇進しています。

-最後に、今の心境を一言で表すと? 

K様:「新たな始まりの緊張感」。毎朝、施設前の桜並木を見ながら、経営者としての責任から解放された安堵と、地域貢献者としての新たな使命にワクワクする気持ちが交錯しています。まさに第二の人生の幕開けといった心境です。

 

           

この案件・類似案件の担当者

▷藤田 瑚南 事業法人第四部 M&A担当マネージャー


地方銀行にてクライアントの資産運用の支援から、中小・大手企業の融資担当まで幅広い業務に従事。 当社入社後は、主に食品・物流業界を得意領域とし、1次産業の案件を始め、多くの成約に導く。

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