システムの検証のM&A事例 【東京】

IT関連製品の第三者技術検証業務およびシステム開発事業の譲渡を助言|ブール・ジャパンさま

譲渡企業 ブール・ジャパンさま
業種 システムの検証
事業内容 システムの第三者検証
売上 約15億円
地域 東京
設立 1992年
経営者の年齢 61歳
譲渡理由 後継者不在
譲受企業 トーテックアメニティさま
業種 システム開発
事業内容 システム受託開発・システムの第三者検証
売上 約250億円
地域 愛知
設立 1971年
上場の有無 非上場
譲受目的 サービス力の強化

-本日は、M&Aによる事業譲渡を成功させた売主様にお話を伺います。まず、御社の創業から現在に至るまでの経緯についてお聞かせください。

私は1985年に大学を卒業後、大手電機メーカーに就職しました。そこで10年ほど勤務し、システム開発の経験を積みました。その後、1995年に独立して当社を設立しました。当時、システムの第三者検証の重要性が認識され始めた時期で、ビジネスチャンスだと考えたのです。

-創業当時の苦労話などはありますか?

創業当初は、顧客獲得に苦労しました。第三者検証の重要性を理解してもらうのに時間がかかりましたね。しかし、粘り強く営業活動を続け、徐々に顧客基盤を築いていきました。特に通信系のシステム開発会社との取引が増え、安定した収益を上げられるようになりました。

M&Aを検討されたきっかけについて、もう少し詳しくお聞かせください。

私が61歳になり、後継者不在の問題に直面したことが大きなきっかけでした。子供たちは別の道を歩んでおり、社内にも適任者がいませんでした。また、新たな事業にチャレンジしたいという思いもあり、そのための時間と資金を確保したいと考えていました。特に、AIIoTの分野に興味があり、これらの技術を活用した新規事業を立ち上げたいと考えていたのです。

M&Aの検討を始められたのはいつ頃でしょうか?

具体的に検討を始めたのは4年程前からです。その時点で、他のM&A仲介会社とも面談していましたが、みつきコンサルティングの担当者の方が具体的な買い手候補を複数提示してくれたこと、またこちらの条件を伝え、それを満たせる環境になるまで継続的にフォローしてくれたことが印象的でした。聞くと、10年近くフォローしているお客さんもいるみたいで、根気強さに驚きました。

-最初はIPOも検討されていたそうですね。

はい、当初はIPOも選択肢の1つとして考えていました。会社の価値を最大化できる可能性があると思ったからです。しかし、みつきコンサルティングの担当者と話をする中で、私の年齢や時間軸を考えると、M&Aの方が適しているのではないかと考えるようになりました。IPOまでには更に数年かかり、その間も経営に専念しなければならない。面談を通して私のやりたいこと、それを実現するための時間や資金等を整理し、一定のところでM&Aで会社を譲渡し、新たなチャレンジに時間を使った方が現実的であると思うようになったのです。

M&Aの検討から成立までに4年ほどかかったそうですが、その間の心境の変化はありましたか?

最初は慎重でしたね。買い手候補の紹介を受けた時も、「今すぐではない」と一旦中断しました。会社への愛着もあり、簡単には手放せないという気持ちがありました。しかし、再度検討を始めた時には、次の事業への意欲が強くなっており、M&Aの方が良いと確信するようになりました。特に、AIIoTの分野での新規事業のアイデアが具体化してきたことが大きかったですね。

-その間、業界の動向についてはどのように見ていましたか?

システムの第三者検証業界は、ますます重要性が高まっていると感じていました。特に、金融系や医療系のシステムでは、エラーが許されない状況になっています。また、AIIoTの普及に伴い、これらの技術を活用したシステムの検証需要も増えていくと予想していました。ただ、人材の確保が課題になると考えていましたね。高度な技術を持つ人材の育成には時間がかかりますから。

-価格についてはどのようにお考えでしたか?

当初は知人から「1,000Mの価値はある」と言われたこともあり、私もそうなのかなと思うようになっていました。しかし、みつきコンサルティングから提示された金額はこれよりはるかに低い金額でした。みつきコンサルティングから、ビジネスモデル上1,000Mは難しいという説明を受け、現実的な価格帯を理解するようになりました。特に、当社のビジネスもですが人材依存型であることなどを踏まえ、きちんと根拠を示していただき、納得しました。

-買い手が決まるまでの過程はいかがでしたか?

3社まで絞って交渉をしていたのですが、途中で世の中がコロナに見舞われ、その影響で1社が撤退し、2社と面談をしました。正直、選択肢が減ってしまったことに不安を感じましたが、先方の真摯な姿勢に好感を持ちました。

-相手企業との面談はどのような印象でしたか?

1社目のC社とは担当の役員と1度面談し、2社目のT社は事業担当の役員、社長と面談しました。T社とは2度面談し、2度も社長が出席してくれました。社長の真摯な姿勢と、面談時の社長の雰囲気、当社の事業への理解が深いことが印象的で、当社の社員との相性も良さそうだと感じ、T社との独占交渉を決めました。

-最終的な譲渡価格の交渉はどのように進みましたか?

みつきコンサルティングの担当者には、ギリギリまで価格の交渉をお願いしていました。こちらとしては後悔をしたくないので、わがままを言わせてもらいました。最終的には現実的な状況説明を受け、決断することに同意しました。コロナ禍という状況や、従業員の将来を考えると、この判断が最善だと考えました。

-デューデリジェンス(DD)の過程で苦労されたことはありますか?

いくつか課題がありました。当社の顧問税理士が忙しいとのことで直接のヒアリングが難しかったこと、総務・経理担当者が人前で話すのが苦手で面談を拒否したこと、DDの追加質問への対応に時間がかかったことなどです。特に税務リスクについては、私自身が表明保証で対応することになりました。これは大きな決断でしたが、取引を成立させるためには必要だと判断しました。

-クロージング直前にSPAの修正依頼をされたそうですが、どのような理由からでしょうか?

表明保証について、違反があった場合の補償義務の履行について協議の余地を持たせたいと思ったからです。経営者として、予期せぬリスクに対する不安があったのです。結果的には買い手側と協議し、不躾に請求するのではなく、一言声をかけることで合意しました。T社の柔軟な対応には感謝しております。

-クロージング後に発生した問題についてお聞かせください。

新規のリース契約を締結してしまったこと、グループ会社への貸付金額に相違があったこと、決算賞与を役員にも支払ってしまったことなどがありました。これらについては、買い手側と協議して対応しました。特に、リース契約の件は完全に私の判断ミスでした。買収後の事務所統合計画を知っていながら、習慣的に契約更新してしまったのです。この経験から、M&A成立後も細心の注意が必要だと痛感しました。

M&Aを成功させるために重要だと感じたことは何でしょうか?

信頼できるアドバイザーの存在が非常に重要だと感じました。みつきコンサルティングの担当者は、常に現実的なアドバイスをしてくれ、両社の調整可能な範囲を把握した上で交渉を進めてくれました。また、早い段階でDD資料の準備を促してくれたことも、スムーズな進行につながったと思います。みつきコンサルティングは同じ担当が一気通貫で対応してくれるので、今後の流れや想定される論点などを熟知しており、前もって段取りをしてくれたおかげで、事業を行いながら、DDの対応等も行うことができました。そして、買い手との相性も重要です。T社とは価値観が合致し、従業員の処遇や事業の将来性について、前向きな議論ができました。

-M&Aとのシナジー効果についてはどのようにお考えですか?

大きなシナジー効果が期待できると考えています。まず、T社の顧客基盤を活用することで、我々の検証サービスの提供先が大幅に拡大すると思います。また、T社のシステム開発力と我々の検証ノウハウを組み合わせることで、より高品質なサービスを提供できるでしょう。さらに、AIIoT分野での協業も期待しています。T社の技術力と我々の検証経験を活かせば、新たな市場開拓も可能だと考えています。

M&A後の新たな生活についてお聞かせください。

M&A後は、約1年間、顧問として会社に関わりました。その間、従業員の不安を取り除き、スムーズな事業統合をサポートしました。現在は完全に経営から離れ、新たな事業の準備を進めています。具体的には、AI技術を活用した教育支援システムの開発を計画しています。これまでのIT業界での経験を活かしつつ、社会貢献度の高い事業にチャレンジしたいと考えています。また、趣味の旅行にも時間を使えるようになり、心にゆとりができました。

-最後に、M&Aを検討している経営者へのアドバイスをお願いします。

M&Aは長期的な視点で考えることが大切です。私の場合、検討開始から成立まで約4年かかりました。焦らず、信頼できるアドバイザーと共に、慎重に進めることをお勧めします。また、自社の価値を客観的に評価し、現実的な価格設定をすることも重要です。そして、買い手との相性も大切な要素です。単に高値をつけた買い手を選ぶのではなく、自社の事業や従業員のことを真剣に考えてくれる買い手を選ぶことが、長期的には良い結果につながると思います。

最後に、M&Aは終わりではなく新たな始まりだということを強調したいです。私自身、この経験を通じて多くのことを学び、新たな挑戦への意欲が湧きました。経営者の皆さんには、M&Aを通じて自身の人生の新章を開く機会として捉えていただきたいと思います。

-貴重なお話をありがとうございました。本日のインタビューが、M&Aを検討している経営者の方々にとって参考になれば幸いです。

 

           

この案件・類似案件の担当者

▷ 田原 聖治 事業法人第一部長/M&A担当ディレクター


メガバンクにて大手企業から中小企業まで様々なファイナンスを支援。当社参画後は、各種メーカーやアパレル企業等の事業計画立案・実行支援に従事。現在は、IT・テクノロジー・人材業界を中心に経営課題を解決。

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