調剤薬局のM&A事例 【関東】

調剤薬局の譲渡を助言|Y社さま

譲渡企業 Y社さま
業種 調剤薬局
事業内容 調剤薬局
売上 約2億6,000万円
地域 関東
設立 2000年代
経営者の年齢
譲渡理由 後継者不在
譲受企業 T社さま
業種 調剤薬局
事業内容 調剤薬局・医薬品卸
売上 約68億円
地域 関東
設立 1980年代
上場の有無 非上場
譲受目的 エリアの強化

-本日はお忙しい中、インタビューにご協力いただき、ありがとうございます。まずは、今回M&Aを行ったY調剤薬局の創業から現在に至るまでの経緯について教えていただけますか?

当社は1985年に私が30歳のときに創業しました。最初は小さな薬局からスタートしましたが、地域の皆様のご支援もあり、徐々に事業を拡大していきました。M&Aを行う時には、神奈川県内に3店舗を展開するまでに成長しました。

40年近く経営されてきたわけですね。その間、業界にどのような変化がありましたか?

そうですね、いくつか大きな変化がありましたが、まず、医薬分業の進展により、調剤薬局の数が急増しましたね。また、2000年代に入ってからは薬価改定が頻繁に行われるようになり、経営環境が厳しくなってきました。さらに、近年では大手チェーンの参入や、オンライン診療の普及など、業界構造そのものが変わりつつあります。

-そのような変化の中で、M&Aを検討されたきっかけについて詳しくお聞かせください。

実は3年前にも一度M&Aを検討したことがありました。当時は後継者問題が主な理由でした。私も年齢を重ね、事業の継続について考えるようになったのですが、その時は娘が後継者として引き継ぐことになり、一旦検討を止めました。しかし、その後薬価改定などの影響で経営環境が厳しくなり、このまま娘だけでは事業を長期的に継続させることが難しいのではと考えるようになりました。

-娘さんが引き継ぐことになっていたのに、状況が変わったのですね。その時のお気持ちはいかがでしたか?

正直、複雑な心境でした。娘には申し訳ない気持ちもありましたが、従業員や患者さんのことを考えると、会社の存続を第一に考える必要がありました。そこで、再びM&Aの検討を始めることにしたのです。その点について、娘も理解をしてくれました。

-みつきコンサルティングに相談されたのはどのような経緯だったのでしょうか?

以前にも別の会社とFA契約を結んでいたことがあったで、正直なところ、他社に相談するのはその担当者に申し訳ない気持ちがありました。ただ、みつきコンサルティングの担当者から、調剤薬局を取り巻く外部環境の変化や、みつきコンサルティングが手掛けた事例、お相手企業の具体的な戦略などを説明されました。その説明を聞いて、一旦みつきコンサルティングに任せてみようと思い、FA契約を締結することにしました。また足しげく通っていただき、丁度相談したいタイミングだったことも大きいですね。

M&Aを進める上で、どのような希望や条件をお持ちでしたか?

そうですね、まず金額面では手取りで40百万円以上を希望していました。これには役員借入金20百万円の返済も含めての金額です。また、当社の従業員のことも考えていましたので、できるだけ従業員の雇用を継続してくれる買い手を希望していました。長年一緒に働いてきた仲間たちですから、彼らの将来を考えずにはいられませんでした。

-買い手の選定プロセスはどのように進められたのでしょうか?

みつきコンサルティングが最初に45社程度に打診してくれました。その中から絞り込んで、最終的に3社から意向表明をいただきました。それぞれの会社と面談を行い、提示された条件や今後の方針などを慎重に検討しました。

-各社の印象はいかがでしたか?

1社目のT薬局さんは、当社の周辺地域に連携できる薬局を4店舗も運営されていたんです。そのため、当社の事業をよく理解していただけると感じました。また、当社の処方箋単価が高い点を評価してくださり、薬価差益や薬剤師の教育にも関心を持っていただけました。2社目のK薬局さんは、周辺地域に1店舗しかありませんでしたが、当社から非常に近く、連携方法をイメージしやすくシナジーを感じました。3社目のN薬局さんは、他の2社と比較すると周辺に店舗がなく、少しシナジーのイメージが湧きにくい印象でしたが、エリアの拡大を積極的に行っているようで、関心を持ってくれたようです。

-最終的に1社目のT薬局さんを選ばれた理由は何だったのでしょうか?

T薬局さんは、当社の事業に対する理解が深かったことが大きな理由です。また、提示された金額も、私たちの希望を越えるものでした。さらに、トップ面談で会長さんと直接お話しする機会があったのですが、その際に感じた経営哲学や従業員に対する姿勢に共感しました。特に、「薬局は地域医療の要」という考え方が私たちの理念と合致していたんです。

-デューデリジェンス(DD)や株式譲渡契約(SPA)の作成はスムーズに進みましたか?

はい、非常にスムーズでした。DDは半日ほど薬局にいらしていただき、終了しました。私たちも事前に必要書類を整理していましたし、T薬局さんも効率的に進めてくださいました。SPAの作成も特に大きな問題もなく進み、買い手側からも全く修正がありませんでした。調剤薬局という業種の特性もあったかもしれませんが、比較的容易にまとまったと思います。

-クロージングまでの流れについて教えていただけますか?

クロージングの直前に、当社の事務所で調印式を行いました。T薬局さんの副社長、常務、経理部長が参加されました。その際、クロージング当日の流れなどの説明を受けました。実際のクロージングは週明けに行われ、みつきコンサルティングの方が当社の事務所に来てくださり、買い手からの入金を確認した後、関連書類の受け渡しが行われました。

-クロージング後に価格の再交渉があったとお聞きしましたが、どのような状況だったのでしょうか?

はい、実はクロージングの3日後に予期せぬ事態が起きました。当社の主要な処方箋元である総合病院に、敷地内薬局が開設される予定だということが分かったのです。これを受けて、T薬局さんから強い懸念が示され、一時は契約破棄の話も出ました。正直なところ、私たちも全く知らなかった情報で、大変驚きました。

-その後、どのように解決されたのでしょうか?

みつきコンサルティングの仲介のもと、3社で話し合いの場を持ちました。T薬局さんは当初、契約破棄を主張されていましたが、話し合いを重ねる中で、譲渡対価の調整という形で落ち着きました。みつきコンサルティングさんには落ち度はないと思うのですが、一部報酬を減額していただき、結果的に全ての当事者が譲歩し、問題を解決できたと思います。

-その間のお気持ちはいかがでしたか?

正直、非常に不安な日々が続きました。せっかく決まったM&Aが白紙に戻るかもしれないという恐怖がありましたし、従業員たちにどう説明すればいいのかと頭を悩ませました。しかし、みつきコンサルティングの担当者が粘り強く交渉してくださり、最終的に良い形で解決できたことに安堵しました。この経験を通じて、M&Aにはさまざまな予期せぬ事態が起こり得ることを痛感しました。

-最終的に従業員への説明会はどのように行われましたか?

当初予定していた説明会は一旦中止になりましたが、価格再交渉の問題が解決した約1ヶ月後に無事開催することができました。当社の従業員12名中11名が参加し、T薬局さんの各事業部担当の方々から挨拶や今後の手続きに関する説明がありました。従業員たちも新しい体制に前向きな反応を示してくれて、安心しました。

M&A後の協業について、具体的にどのようなシナジーを期待されていますか?

まず、T薬局さんの持つ経営ノウハウや教育システムを活用することで、当社の薬剤師のスキルアップが図れると考えています。また、T薬局さんの持つ在宅医療のノウハウを取り入れることで、地域医療への貢献度を高められると期待しています。さらに、仕入れの一本化によるコスト削減や、ITシステムの統合による業務効率化なども見込んでいます。

M&Aを経験されて、どのような感想をお持ちですか?

正直なところ、想像以上に大変でした。特に最後の価格再交渉は予期せぬ事態で、心が折れそうになりました。しかし、みつきコンサルティングの方々が粘り強く交渉してくださり、最終的に良い形で解決できたことに感謝しています。また、この経験を通じて、事前の準備や情報収集の重要性を痛感しました。M&Aは単なる事業売却ではなく、自分の人生の一つの区切りでもあると感じました。

-譲渡後の心境や新たな生活について、お聞かせいただけますか?

譲渡後は、まず大きな安堵感がありました。40年近く続けてきた事業に一区切りをつけ、従業員たちの将来も確保できたという安心感です。一方で、寂しさも感じています。毎日薬局に通い、患者さんと接していた生活が急に変わるので、少し戸惑いもあります。

新たな生活については、まだ模索中です。長年の夢だった海外旅行を計画していますし、これまで時間がなくてできなかった趣味にも挑戦したいと思っています。また、地域のボランティア活動にも参加して、違った形で社会貢献ができればと考えています。

ただ、完全に薬剤師の仕事から離れるわけではありません。T薬局さんから、アドバイザーとして時々相談に乗ってほしいと言われていますので、そういった形で業界とのつながりは保っていくつもりです。

-最後に、これからM&Aを検討される方々へアドバイスがあればお聞かせください。

まず、信頼できるアドバイザーを見つけることが重要だと思います。今回、みつきコンサルティングの方々には本当に助けられました。M&Aの交渉過程で直面する様々な課題や感情の起伏を、一緒に乗り越えてくれる存在が必要です。

また、自社の状況を正確に把握し、できる限り情報を開示することも大切です。今回の敷地内薬局の件のように、予期せぬ問題が起きても、誠実に対応することで解決の道は開けると思います。

そして、従業員のことを最後まで考え抜くことも忘れないでほしいですね。M&Aは会社の大きな転換点ですが、従業員の協力があってこそ成功すると思います。彼らの不安を取り除き、新しい環境でも活躍できるよう配慮することが重要です。

最後に、M&Aを決断する際は、金銭的な面だけでなく、自分の人生設計も含めて考えることをお勧めします。私の場合、M&A後の生活についても具体的にイメージしていたことが、決断を後押ししてくれました。

-貴重なお話をありがとうございました。本日のインタビューが、これからM&Aを検討される方々の参考になれば幸いです。

こちらこそ、このような機会をいただき、ありがとうございました。私の経験が少しでも役立てば嬉しいです。M&Aは確かに大変な決断ですが、適切な相手一緒になることで、会社の未来を拓く素晴らしい選択肢になると思います。これからの調剤薬局業界は、さらなる変化が予想されます。そんな中で、M&Aは生き残りと成長のための重要な戦略の一つになるでしょう。私自身、この経験を通じて多くのことを学びました。これからの人生では、この経験を活かして、違った形で社会に貢献していきたいと考えています。

-本日は長時間にわたり、貴重なお話をお聞かせいただき、誠にありがとうございました。

           

この案件・類似案件の担当者

▷ 田原 聖治 事業法人第一部長/M&A担当ディレクター


メガバンクにて大手企業から中小企業まで様々なファイナンスを支援。当社参画後は、各種メーカーやアパレル企業等の事業計画立案・実行支援に従事。現在は、IT・テクノロジー・人材業界を中心に経営課題を解決。

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