地盤・構造物解析のM&A事例 【関東】

構造物解析・土木設計会社株式の譲渡を助言|C社さま

譲渡企業 C社さま
業種 地盤・構造物解析
事業内容 地盤・構造物解析、建設コンサルティング
売上
地域 関東
設立 1990年代
経営者の年齢
譲渡理由 事業発展の為
譲受企業 I社さま
業種 建設コンサルティング
事業内容 環境・建設コンサルティング、システム開発
売上 約250億円
地域 関東
設立 1960年代
上場の有無 上場
譲受目的 技術力の強化

-本日は、みつきコンサルティングの仲介により、地盤解析を行うD社の全株式をI社に譲渡された売主様にお話を伺います。まずは、御社の設立から現在に至るまでの経緯について教えていただけますか?

私は約20年前にD社を設立しました。当時は建設業界でITを活用した解析技術の需要が高まりつつある時期でした。地盤や構造物の解析に特化したサービスを提供することで、徐々に業績を伸ばしてきました。設立当初は従業員3名でしたが、10年ほど前には10名体制となり、売上も1億円を超えるまでに成長しました。

-長年にわたり会社を経営されてきた中で、どのような課題に直面されましたか?

技術革新のスピードについていくことが常に課題でした。また、優秀な人材の確保も簡単ではありませんでした。さらに、建設業界の景気変動の影響を受けやすいため、安定した経営を維持することにも苦心しました。しかし、顧客との信頼関係を大切にし、技術力の向上に努めることで、何とか乗り越えてきました。

-そのような中で、M&Aを検討されたきっかけについてお聞かせください。

実は、M&Aについて全く知識がありませんでした。ある日、みつきコンサルティングの方から話を聞いてみないかと声をかけていただいたのがきっかけです。自分の力では今の規模が限界だと感じていましたし、会社の成長につながるのであれば、譲渡も選択肢の一つだと考えるようになりました。

M&Aについて初めて具体的に検討されたわけですね。その後、みつきコンサルティングとFA契約を締結されましたが、その経緯を教えていただけますか?

実は、M&Aに関するダイレクトメールは以前から来ており、複数のコンサルティング会社と面談をしました。その中で、みつきコンサルティングは会社の状況や業界特性をよく理解しており、そのうえでこんな会社と組むとこんな成長余地があるという風に、タイプの異なる会社ごとに提案をしていただきました。それでこのコンサルタントなら自社の成長に繋がる提案をしてくれると感じ、専任でFA契約を締結しました。

-御社の業界の動向や将来展望について、どのようにお考えでしたか?

売主様:建設業界全体としては、少子高齢化による国内市場の縮小や、海外展開の必要性など、さまざまな課題があります。一方で、IoTAIなどの新技術の導入により、業務効率化や新たな付加価値の創出が期待されています。私たちの解析技術も、こうした新技術と組み合わせることで、さらなる発展の可能性があると考えていました。ただ、そのためには相応の投資が必要で、資金面、人材面で当社単独では難しいと感じていました。

-なるほど。その後、買い手の開拓が始まったと思いますが、その過程はいかがでしたか?

初期的な関心を持っていただく企業は何社もあったのですが、具体的な検討段階に入ると求めている技術分野が少し違うなど、様々な理由で難航しそうな雰囲気でした。経営企画の方は関心を示してくれるのですが、現場レベルでの検討となると、また判断が異なることがあるようです。

-その時の心境はいかがでしたか?

正直、少し不安になりましたね。自分たちの技術や会社の価値が、思っていたほど評価されていないのではないかと。

-最終的にはどのくらいの企業に打診されたのでしょうか?

最終的には50社に打診していただき、7社に企業概要書の説明をしてもらいました。そのうち2社とトップ面談まで進みました。

2社というのは、I社ともう1社ということでしょうか?

はい、そうです。両社とも業界では知名度の高い企業で、正直なところ、どちらかのグループに入るだけでも、従業員は喜ぶだろうと思いました。

-両社の反応はいかがでしたか?

もう1社のE社は、我々の事業内容や収益力に魅力を感じてくれたようですが、従業員の離脱リスクを強く懸念していました。そのため、1年間の事業提携を条件とした株式譲受の意向表明を出してきました。これは、事業提携の結果によってはM&Aが成立しないという可能性もあり、少し物足りなさも感じました。

一方、I社は、外注していた解析業務を内製化できる点に魅力を感じてくれ、すぐにグループで一緒にやっていきましょうというスタンスでした。また、技術分野も補完関係にあり、我々の収益力の高さも評価してくれました。I社の副社長との面談では、我々の技術に対する理解の深さと、将来のビジョンの明確さに感銘を受けました。

-最終的にI社に決定したわけですが、決め手は何だったのでしょうか?

I社の事業との相性が良かったことが大きいですね。技術分野の補完関係があり、我々の強みをしっかり評価してくれました。

特に印象的だったのは、I社の社長との面談です。社長は「D社の技術は我々の未来の柱になる」とおっしゃってくださいました。この言葉に、私たちの技術を本当に理解し、評価してくれているんだと実感しました。

-デューデリジェンス(DD)はスムーズに進みましたか?

はい、1日半程度で終了しました。我々のオフィスで行われましたが、特に大きな問題もなくスムーズに進みました。ただ、緊張感はありましたね。20年間の会社経営の全てを見られているような気がして。でも、I社の方々が丁寧に対応してくださったので、安心して進めることができました。

-株式譲渡契約(SPA)の作成段階で、何か課題はありましたか?

いくつかありました。まず、I社から、後任の社長を我々の会社内から出してほしいという要望があり、当時の部長に社長就任を要請することになりました。また、我々からの条件として、当時の経理総務担当をサポート役として役員に引き上げてほしいと申し出ました。これらの点について、みつきコンサルティングの担当者がI社と交渉し、了解を得てくれました。

特に後任社長の件は、私にとって大きな決断でした。その部長は10年以上一緒に働いてきた信頼できる人物でしたが、経営者としての経験はありません。でも、彼なら会社の文化や価値観を守りつつ、新しい親会社との関係も上手く構築できると確信していました。彼も、I社と連携しながらであれば事業を拡大できると自信を持ち、応諾してくれました。

-従業員の方々への対応はいかがでしたか?

I社が社員の離脱リスクを懸念していたため、クロージングの条件として全従業員10名との面談を要望してきました。幸い、我々は事前にある程度従業員に状況を通知していたので、問題なく了承しました。

ただ、それでも従業員への説明は本当に気を使いましたね。また20年近く一緒に働いてきた仲間たちに、会社を手放すことを伝えるのは辛いものがありました。でも、I社との統合が会社の成長につながること、そして従業員の皆さんにとっても新たなチャンスになることを丁寧に説明しました。最終的には全員が理解を示してくれて、本当に感謝しています。

-最終的なクロージングまでの流れを教えていただけますか?

まず、I社の副社長と、我々の後任社長、そして私でトップ面談を行いました。これは後任社長の素養と意思を確認するためでした。後任社長は緊張していましたが、しっかりと自分の考えを伝えていて、私も安心しました。

その後、I社の会長と社長が契約前に面談を希望し、それも実施しました。この面談では、両社の企業文化や価値観について深い議論ができました。I社の経営陣が、単なる買収ではなく、真のパートナーシップを求めていることがよく分かりました。

その後、I社の副社長が我々の全従業員と個別面談を行い、各従業員から残留意思の確認書に署名と押印をもらいました。従業員たちの前向きな姿勢に、私は胸が熱くなりました。

最後に、我々の事務所で契約書の調印とクロージング関連手続きを行い、全従業員に集まってもらって、私と後任社長、そしてI社の社長から挨拶をしました。最後に全員で記念撮影を行い、完了しました。その瞬間、20年間の会社経営の締めくくりと、新たな出発点を同時に感じました。

M&A後の協業について、具体的にどのようなシナジーを期待されていますか?

まず、技術面でのシナジーが大きいと考えています。我々の地盤・構造物解析技術と、I社の幅広い建設コンサルティング業務を組み合わせることで、より総合的なソリューションを提供できるようになります。

例えば、大規模インフラ整備プロジェクトにおいて、I社の環境アセスメントや設計業務と、我々の高度な構造解析を組み合わせることで、より安全で環境に配慮した設計が可能になります。

また、I社の全国的なネットワークを活用することで、我々の技術をより多くの顧客に提供できるようになります。さらに、I社の研究開発部門と連携することで、AIIoTなどの最新技術を取り入れた新しいサービスの開発も期待できます。

人材面でも、若手エンジニアの交流や、専門知識の共有などを通じて、両社の技術力向上が図れると考えています。

-長期間にわたるプロセスお疲れ様でした。振り返って、M&Aを成功させるためのポイントは何だとお考えですか?

やはり信頼できるアドバイザーの存在が大きいですね。みつきコンサルティングの担当者が、早い段階から多くの買い手候補にアプローチしてくれたことで、良い流れができました。また、我々の価格目線を適切に把握し、買い手側の目線も理解した上で交渉を進めてくれたことで、双方にとって納得のいく結果になったと思います。

また、自社の強みと弱みを正確に把握し、それを率直に伝えることも重要だと感じました。我々の場合、技術力は高いけれど規模の拡大に限界があるという状況を正直に伝えたことで、I社との相互補完的な関係を構築できたと思います。

そして、従業員のことを最後まで考え抜くことも大切です。M&Aは会社だけでなく、そこで働く人々の人生にも大きな影響を与えます。従業員との丁寧なコミュニケーションを心がけたことで、スムーズな移行ができたと感じています。

-譲渡後の心境や新たな生活について、お聞かせいただけますか?

正直なところ、我が子を送り出すような寂しさがあります。でも同時に、会社がより大きな舞台で成長していくのは、大きな喜びでもあります。

I社への譲渡後、私は顧問として関わっていますが、日々新しい発見があります。大手企業の一員となったことで、より大規模なプロジェクトに携わる機会が増え、我々の技術がより広く活用されているのを見るのは非常に嬉しいですね。

また、個人的には、長年の緊張から解放された感覚があります。経営者としての重責から離れ、技術者としての視点で仕事に関わることができるようになりました。これは新鮮で、ある意味では若返ったような気分です。

ただ、完全に手を離すわけではありません。後任の社長や従業員たちが新しい環境に適応できるよう、できる限りサポートしています。彼らの成長を見守ることが、今の私の大きな喜びの一つです。

-最後に、これからM&Aを検討される経営者の方々へアドバイスをお願いします。

M&Aは初めての経験で不安も多いと思います。私も最初はそうでした。ですが、信頼できるアドバイザーと出会えれば、その不安も解消されていきます。また、自社の強みや課題をしっかりと把握し、それを買い手に正確に伝えることが大切だと感じました。そして、従業員のことを最後まで考え抜くことも重要です。

M&Aは単なる会社の売却ではなく、新たな成長のチャンスだと捉えることが大切です。自社の技術や人材が、より大きな舞台で活躍できる可能性を秘めています。ただし、相手先の選定は慎重に行うべきです。単に条件の良い相手を選ぶのではなく、企業文化や価値観の相性も重要な要素です。

また、M&Aの交渉から完了までは予想以上に時間がかかります。我々の場合、最初の相談から完了まで約1年かかりました。その間、通常の業務をこなしながらM&Aの対応をするのは大変でしたが、多くの方々の協力があって乗り越えられました。

M&Aは会社の新たな成長のチャンスです。慎重に、でも前向きに検討されることをお勧めします。

-本日は貴重なお話をありがとうございました。長年の経営者としてのご経験と、M&Aを通じての新たな気づきなど、大変参考になるお話をいただきました。クレアテック社の今後のさらなる発展を期待しております。

 

 

           

この案件・類似案件の担当者

▷ 田原 聖治 事業法人第一部長


メガバンクにて大手企業から中小企業まで様々なファイナンスを支援。当社参画後は、各種メーカーやアパレル企業等の事業計画立案・実行支援に従事。現在は、IT・テクノロジー・人材業界を中心に経営課題を解決。

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