ファストフードの売却|フランチャイズ契約承継とM&A価格の要点

ファストフードの会社売却は、フランチャイズ契約の承継とロイヤリティ構造の引き継ぎが価格の分かれ目になります。低単価・高回転という業態の特性から、日商やFC店比率、立地契約の残存期間が譲受企業の評価軸に入りやすい分野です。本記事では、売却理由の実像、譲渡価格を見極めるKPI、本部同意やチェンジオブコントロール条項という承継実務まで、譲渡オーナー目線で整理します。

「うちの会社でも売却できるだろうか…」、「何から始めればいいんだろう…」。そのようなオーナー経営者の不安に、中小企業向けM&A仲介会社みつきコンサルティングは、20年間・500件以上の支援実績に基づき、お応えします。本格検討前の情報収集として、まずはお話をお聞かせください。

ハンバーガーや牛丼、フライドチキンなど、チェーンの看板を掲げて店を営むオーナーの多くが、出口を意識し始めています。本記事は、こうした店舗や運営会社の売却を検討するオーナー経営者に向けたものです。フランチャイズ本部との契約更新、値上げしにくい低単価モデルでの利幅圧迫、アルバイト確保の難しさ、数年ごとに迫る店舗改装の負担。黒字であっても、この先ひとりで背負えるかという迷いは珍しくありません。

低単価高回転モデルのファストフードで進む再編と売却の潮流

「身売り=苦しい会社」というイメージは、いまの現場感覚とずれています。むしろ好調な事業ほど高値がつく局面に入っています。

約3.8兆円市場で相次ぐ大型再編

富士経済によれば、ファストフードの市場規模は2023年時点で約3.8兆円、外食産業全体のおよそ1割を占めます。この成熟市場でいま、資本の組み替えが加速しています。2023年にはゼンショーがロッテリアを、2024年には三菱商事が保有する日本KFCの全株式を投資ファンドのカーライル・グループへ譲渡しました。2025年11月には、バーガーキングの日本事業が約785億円で米ゴールドマン・サックスへ売却されるM&Aも表面化しています。成長が見える業態に、買い手の資金が戻り始めた表れです。

本部と加盟企業という二層構造が生む売却主体

ファストフードはFC制を基本とする業態です。ブランドを持つ本部と、その看板で店舗を運営する加盟企業に分かれ、売却の主体もこの二層で異なります。日本マクドナルドは店舗の約7割がFC店で、FC収入が売上総利益の6割超を占めます。モスバーガーも国内店舗の9割超がFC店です。売却を考えるオーナーの多くは、複数店舗を束ねる加盟企業、いわゆるメガフランチャイジーであり、廃業ではなく会社売却で店と雇用を残す判断が広がっています。

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ロイヤリティ負担と後継者不在がファストフード店の売却を促す

売却相談で最初に語られる悩みは、業態ごとに驚くほど違います。ファストフードでは、次の三つが繰り返し挙がります。

ロイヤリティと本部リモデル要請という固定負担

加盟企業には、売上に連動するロイヤリティや広告分担金が固定的にのしかかります。加えて本部からは、数年ごとの店舗リモデルやモバイルオーダー端末の導入を求められることも多いものです。低単価・高回転で利幅の薄い業態だけに、この投資負担は資金繰りを直撃します。設備更新のタイミングを、事業を託す好機と捉えるオーナーは少なくありません。

FCオーナーの高齢化と後継者不在

1970年代前後に展開が広がったチェーンでは、初期から加盟したオーナーの世代交代期が重なっています。子は別の道を歩み、店を継ぐ人がいない。飲食の現場を知るからこそ、家族に同じ苦労をさせたくないと考えるオーナーも多く、後継者不在を理由とした譲渡は現実的な出口になっています。看板と常連客が残るうちに動く判断が、結果として好条件につながります。

採用難と最低賃金上昇による利幅の圧迫

アルバイトが集まらず、開けたい時間に店を開けられない。この採用難が、低単価モデルの利幅をさらに細らせています。最低賃金の連続引き上げで人件費は上がる一方、値上げは客離れと隣り合わせです。省人化投資に踏み切れない中小の運営会社ほど、規模を持つ企業の傘下で仕入れと採用を共通化する道を選び始めています。下表に、譲渡オーナーが得るものと向き合う負担を整理しました。

区分譲渡オーナーのメリット譲渡オーナーのデメリット
事業の継続店舗と雇用の存続
後継者不在でも看板とスタッフの職場を残せる
運営方針の変化
本部方針や買い手の意向で運営ルールが変わることがある
資金・保証個人保証の解除
金融機関の連帯保証を外し、創業者利益を確保できる
拘束期間
一定期間の在籍や引き継ぎ協力を求められる場合がある
投資負担リモデル負担からの解放
本部要請の設備更新を買い手の資金力で進められる
条件交渉
ロイヤリティ体系の見直しが承継条件に影響しうる
本部との関係交渉力の向上
複数店を持つ買い手なら本部との契約条件を有利に運べる
本部同意
譲渡に本部の承諾が必要で、進め方に制約が出る

▷関連:飲食業のM&A|物価高と後継者不在が変える譲渡相場と成約事例

ファストフードの譲渡価格を見極めるFC店比率と日商

「うちの店は、いくらで売れるのか」。相談の入口で最も多い問いです。まず価格の考え方から押さえます。

年買法とのれんで見る中小の目安

中小の運営会社で最も使われるのが年買法です。時価純資産にのれんを加えて目安を出します。純資産が薄くても、安定した日商や好立地があれば上乗せが見込めます。上場企業の評価で用いるDCF法や類似会社比較法もありますが、店舗型のファストフードでは、まず年買法で当たりをつける進め方が実務に合います。

譲受企業が評価するファストフード固有の指標

価格の主役は業態ならではのKPIです。譲受企業は、店舗の稼ぐ力と契約の安定性を数字で確かめます。特にFC店比率やロイヤリティ負担率は、承継後の利益を左右するため丁寧に見られます。下表に、買い手が重点的に確認する指標をまとめました。

指標譲受企業が確認する視点
日商1店舗1日あたりの売上。立地力と回転の実力を映す
FL比率原価と人件費の合計が売上に占める割合。おおむね6割前後が目安
ロイヤリティ負担率本部への支払いが利益をどこまで圧迫しているか
FC店・直営店の構成本部売却か加盟企業売却かで評価軸が変わる
立地契約の残存期間定期借家の満了時期。出店継続の安定性に直結する
デジタル対応モバイルオーダーやドライブスルーの整備状況と省人化余地

支援現場では、決算書の利益だけでなく、店舗別の日商とロイヤリティ負担率を並べて譲渡価格の説明材料をつくります。赤字店を抱えていても、黒字店の収益力と立地契約の残存期間を可視化すれば、評価の上振れにつながることが多いものです。数字の見せ方ひとつで、譲渡オーナーが受け取る対価は変わってきます。

フランチャイズ契約承継とチェンジオブコントロール条項の壁

契約書を読まないまま話を進め、最後で本部の同意が取れずに白紙。ファストフードの売却で、これは避けたい落とし穴です。承継実務の要点を押さえます。

本部の承諾が要るチェンジオブコントロール条項

フランチャイズ契約の多くには、支配権の移動時に本部の事前承諾を求めるチェンジオブコントロール条項が入っています。株式譲渡で会社ごと引き継ぐ場合でも、この条項があれば本部の承認が前提です。買い手が本部の加盟基準を満たすか、既存の運営品質を保てるかが問われます。仲介一覧から相談先を選ぶ際も、本部折衝の経験があるかは確認したい点です。

株式譲渡と事業譲渡で変わる許可の引き継ぎ

スキーム選びも承継を左右します。株式譲渡なら会社が許可主体のまま残るため、食品衛生法に基づく飲食店営業許可は包括的に引き継がれます。一方、事業譲渡では譲受企業側で許可の取り直しや、店舗賃貸借の再契約、保証金や原状回復義務の扱いを個別に詰める必要があります。株式譲渡と事業譲渡のどちらが軽いかは、店舗数や契約構成で変わります。

ファストフードで重くなるデューデリジェンス論点

買い手によるデューデリジェンスでは、業態特有の項目が精査されます。アルバイト中心の労務管理で未払残業がないか、本部との債権債務やロイヤリティの精算状況、食材の衛生管理体制などが焦点です。多店舗を運営する場合、店舗ごとの契約書と許可の突合が抜けやすく、ここで時間を取られる案件は少なくありません。

みつきコンサルティングでは、フランチャイズ本部への承諾取得を売却スケジュールの前工程に組み込み、承諾書の取り付けと店舗別の営業許可・賃貸借契約の棚卸しを並行して進めます。本部の加盟基準に買い手が合致するかを早期に見立てておくと、契約承継の停滞を防げます。承継の順番設計が、成約可否を分ける実務の勘所です。

ファストフード事業を譲り受ける買い手の顔ぶれ

誰がどんな狙いで買うのかを知ると、自社がどう評価されるかが見えてきます。買い手には、いくつかの典型があります。

同業のメガフランチャイジーと大手チェーン

最も自然な買い手は、同じブランドや近い業態を運営する加盟企業です。複数店を束ねるメガフランチャイジーは、仕入れと採用の共通化でスケールメリットを取りやすく、本部との交渉力も持ちます。牛丼のゼンショーがロッテリアを取り込んだように、大手チェーンが品ぞろえの拡充や食材調達網の活用を狙って異業態を譲り受ける動きも続いています。

投資ファンドと異業種からの参入

バーガーキング日本事業の事例が示すように、投資ファンドが成長性を評価して大型の資本を投じる局面も増えています。多店舗の運営基盤を束ねて価値を高めるプラットフォーム型の譲受です。加えて、給食や中食を手がける食品企業が、店舗網や調理ノウハウを求めて参入する例もあります。買い手候補を広く当たれるかどうかで、条件は変わります。相談先の実力は、仲介会社選びの段階から見極めておきたいところです。

当社がこれまで支援してきた外食・フード分野の案件でも、譲渡オーナーが想定していなかった隣接業態の企業が最良の買い手になった例は珍しくありません。ファストフードの譲受では、ブランドの再現性と店舗網の面的な広がりが評価されます。同業だけに絞らず、隣接領域の譲受企業まで打診の網を広げることが、対価の最大化につながります。

M&Aが成立した場合のみ、譲渡対価に応じた手数料を頂戴します。
売主様は、ご成約まで費用負担なくスタートできます。



ファストフードの会社売却に関するFAQ

売却を検討するオーナーから、現場でよく寄せられる質問を整理しました。

Q:複数店のうち一部の店舗だけを譲渡できますか?

可能です。事業譲渡で特定店舗だけを切り出す方法があります。ただしフランチャイズ契約の店舗単位の扱いや、本部の承諾範囲を先に確認する必要があります。採算店だけを残したいのか、不採算店を含めて譲りたいのかで進め方が変わるため、現場では店舗別損益を見ながら組み立てます。

Q:本部の売却と加盟企業の売却で、評価はどう違いますか?

本部の譲渡ではブランドやロイヤリティ収入、FC網そのものが評価対象になります。加盟企業の譲渡では、運営する店舗の日商と立地契約、本部との関係が中心です。同じファストフードでも価格の見方は別物です。どちらの立場かで、譲受企業の顔ぶれも変わってきます。

Q:深夜営業やドライブスルーの許可・契約は引き継げますか?

株式譲渡なら会社が主体のまま残るため、原則そのまま承継されます。事業譲渡の場合は、施設ごとの営業許可や、ドライブスルーに関わる用地・通路の賃貸借条件を個別に確認します。定期借家の残存期間が短い店舗は、更新の見通しが評価に影響することもあります。

Q:自社のセントラルキッチンや製造機能があると価格に有利ですか?

買い手の狙い次第です。調理の内製化はコスト競争力や品質の均一化につながり、評価される場合があります。一方で設備が過大なら、稼働率や更新負担が減点要素になることも。設備年齢と生産能力を、店舗網の規模とセットで説明できるかが分かれ目になります。

まとめ|ファストフードの承継実務と売却相談先選び

ファストフードの売却は、フランチャイズ契約の承継とロイヤリティ構造、日商やFC店比率といった業態固有の指標が価格を形づくります。本部のチェンジオブコントロール条項や許可の引き継ぎなど、進め方を誤ると成約が遠のく論点も少なくありません。看板と雇用を残しながら次へつなぎたいという思いは、正しい段取りで十分に実現できます。

みつきコンサルティングは、財務・税務に強いM&A仲介会社です。中小企業のM&A仲介の実績経験が豊富で、本部折衝や許可の承継まで一貫して支援します。ファストフードの会社売却なら、相談先選びの段階からみつきコンサルティングへご相談ください。

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著者

西尾 崇
西尾 崇事業法人第三部長/M&A担当ディレクター
宅食事業を共同経営者として立ち上げ、CFOとして従事。みつきコンサルティングでは、会計・法務・労務の知見を活かし、業界を問わず、事業承継型・救済型・カーブアウト・MBO等、様々なニーズに即した多数の支援実績を誇る。M&Aの成約実績多数、M&A仲介・助言の経験年数は10年以上
監修者 神門 剛 代表取締役 / 公認会計士・税理士

みつきコンサルティングは、中小企業の会社売却・事業承継に特化した譲渡企業様に完全成功報酬制のM&A仲介会社です。売り手と買い手企業の最適なマッチングを、経験豊富なM&Aコンサルタントが初期相談から成約まで一貫してフルサポートします。

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