ソフトウエア開発のM&A事例 【関東】

システム開発会社株式の譲渡を助言|N社さま

譲渡企業 N社さま
業種 ソフトウエア開発
事業内容 システム保守・受託開発
売上 約3億円
地域 関東
設立 1989年
経営者の年齢
譲渡理由 後継者不在
譲受企業 N社さま
業種 システム開発
事業内容 システム開発・保守・運用、インフラ設計
売上 約500億円
地域 関東
設立 1960年代
上場の有無 上場
譲受目的 技術力の強化

- 本日は、貴重なお時間をいただき、ありがとうございます。まずは、御社の創業から現在に至るまでの経緯について、簡単にお聞かせいただけますでしょうか。

ありがとうございます。当社は私が30代半ばだった平成元年に創業しました。当時はまだパソコンが一般に普及し始めた頃で、ソフトウェア開発の需要が急速に高まっていました。私自身、大手電機メーカーでシステムエンジニアとして働いていましたが、自分の理想とする開発環境や顧客サービスを実現したいという思いから起業を決意しました。

創業当初は苦労の連続でしたが、品質と納期を徹底的に守る姿勢が評価され、徐々に顧客基盤を拡大していきました。特に、センサー関連を強みとした開発で実績を積み重ね、業界内での評価を高めていきました。

- 長年にわたり会社を経営されてこられた中で、特に印象に残っているエピソードはありますか?

そうですね、創業から5年目に大型プロジェクトを受注したときのことが特に印象に残っています。当時はまだ社員も少なく、受注するかどうか非常に悩みました。しかし、「この機会を逃せば、会社の成長はない」と決断し、全社員の総力を挙げて取り組みました。徹夜の日々が続きましたが、無事にプロジェクトを成功させることができ、これが当社の転機となりました。この経験から、チャレンジすることの重要性と、社員を信頼することの大切さを学びました。

- 素晴らしい経験をされたのですね。では、今回のM&Aを検討されたきっかけについて、より詳しくお聞かせください。

はい、M&Aを検討し始めたのは、創業から約30年が経過し、自分の年齢が60歳を過ぎた頃でした。この間、IT業界は大きく変化し、クラウドコンピューティングやAIIoTなど、新しい技術が次々と登場してきました。当社も常に新技術の習得に努めてきましたが、正直なところ、大手企業との技術力の差は年々開いていると感じていました。

また、人材の確保も大きな課題でした。若手エンジニアの採用が難しくなり、社員の高齢化が進んでいました。さらに、顧客企業からは、より大規模で複雑なシステム開発を求められるようになり、当社の規模では対応が難しくなってきていました。

このような状況の中で、「このまま独立を維持していくべきか」という思いが常にありました。しかし、決定的だったのは、ある大口顧客から「より大規模な開発体制が必要だ」と指摘されたことです。このとき、会社の将来を真剣に考え直す必要性を強く感じ、M&Aという選択肢を本格的に検討し始めました。

- 業界の変化と顧客ニーズの変化が、M&A検討の大きなきっかけだったのですね。具体的にどのような企業を買い手として想定されていましたか?

はい、まず第一に考えていたのは、当社の技術力や人材を正当に評価し、さらに成長させてくれるような企業でした。単に規模が大きいだけでなく、私たちの強みであるセンサー系の実績を活かせる企業を探していました。

また、企業文化の面でも相性の良い会社を希望していました。当社は常に「顧客第一」「品質重視」を掲げてきましたので、同様の価値観を持つ企業との統合を望んでいました。

さらに、従業員の処遇についても非常に気にかけていました。長年一緒に働いてきた社員たちの将来を考えると、単に高い買収価格を提示する企業ではなく、社員一人一人の能力を活かし、新たな成長の機会を提供してくれるような企業を探していました。

- 従業員への配慮も含めて、慎重に検討されたのですね。みつきコンサルティングとの出会いについて、もう少し詳しくお聞かせいただけますか?

M&Aを検討し始めた頃、私は様々な情報を集めていましたが、正直なところ、どこから手をつければいいのか分からず、不安を感じていました。

そんな時、以前からお付き合いのある税理士の方から、みつきコンサルティングさんのM&Aセミナーを紹介されたのです。最初は半信半疑でしたが、参加してみると、M&Aの基本的な流れから、よくある失敗例、成功のポイントまで、非常に分かりやすく説明していただきました。特に印象的だったのは、単に財務的な観点だけでなく、経営者の想いや従業員への配慮など、人間的な側面も重視されていたことです。

セミナー後の個別相談では、私の状況や悩みを丁寧に聞いていただき、様々なアドバイスを受けるなかで、「この方々なら信頼してM&Aを任せられる」と直感的に感じました。その後、正式にアドバイザーとしてお願いすることになったのです。

- みつきコンサルティングとの信頼関係が、M&Aプロセスの基盤となったのですね。では、実際の買い手企業の選定はどのように進められましたか?

まず、私たちの希望条件をもとに、みつきコンサルティングさんに複数の候補企業をリストアップしていただきました。その中から、企業理念や事業内容などを詳しくお聞きし、最終的にN社さんを含む3社に絞り込みました。

各社との面談を重ねる中で、N社さんの印象が特に良かったのを覚えています。彼らは単に当社の財務状況だけでなく、私たちの技術力や社員の能力、さらには企業文化にまで深い関心を示してくれました。特に印象的だったのは、初回の面談で、上場会社の代表取締役が「御社の技術と人材は、私たちのグループにとって大きな強みになる」と言ってくださったことです。この言葉に、私たちの価値を本当に理解してくれていると感じ、大きな信頼感を抱きました。

また、将来のビジョンについても熱心に語ってくださり、当社の事業をどのように発展させていきたいか、具体的な構想を示してくれました。例えば、私たちの技術がN社の課題をどのように補完できるのか、またこれまでの開発実績を活かして、より大規模なプロジェクトに挑戦する可能性や、彼らが持つIoT関連事業の技術と当社のノウハウを組み合わせた新サービスの開発など、魅力的な将来像を社長自ら描いてくれたのです。

このような過程を経て、「N社さんなら、当社の価値を最大限に活かしてくれる」という確信を持つに至りました。

N社様との相性の良さが、選定の決め手になったのですね。では、デューデリジェンス(DD)の過程ではどのような課題がありましたか?

最も衝撃的だったのは、当社及びグループ会社の価値評価が、事前の想定よりも大幅に低くなったことです。特に子会社については、マイナス評価となってしまいました。

これは正直なところ、大きなショックでした。長年努力して築き上げてきた会社の価値が、客観的に見るとそれほど高くないという現実を突きつけられ、一時は落胆しました。特に、子会社の評価が低かったのは、経営者として責任を感じる部分でした。

また、もう一つ大きな課題となったのが、当社の株主構成の複雑さです。当社には35名もの株主がおり、さらに従業員持株会も存在していました。これらの全ての株主から同意を得ることが条件でしたので、本当に同意を得られるのかが不安でした。

- 価値評価の問題と株主構成の複雑さ、二つの大きな課題に直面されたのですね。それらにどのように対応されましたか?

はい、これらの課題に対しては、みつきコンサルティングさんのアドバイスを受けながら、慎重に対応することを心がけました。

まず、価値評価の問題については、評価が低くなった原因を詳細に説明してもらいました。主には、一部の非効率な業務プロセスや、収益性の低い案件などです。これらについては、業務プロセスの見直しや、不採算案件の整理による収益力改善のプランを作成し、十分に対応が可能である旨を説明しました。

子会社については、再編を決断しました。一部の事業を当社に統合し、それ以外の不採算部門は思い切って整理しました。これは非常に苦しい決断でしたが、今回指摘を受け、M&Aに関係なく、長期的な企業価値向上のためには必要な措置であると考えました。

同時に、買い手企業との交渉を通じて、当社の潜在的な価値や将来性をしっかりとアピールしました。特に、当社が持つセンサー関連の開発ノウハウや、優秀な技術者たちの存在価値を強調しました。また、最近取り組み始めていた新規事業の将来性についても詳細に説明し、理解を求めました。

株主構成の問題については、まず、主要株主から順に個別に説明を行い、M&Aの必要性と意義について理解を求めました。中には、創業期からの株主で、感情的な抵抗を示す方もいましたが、会社の将来を考えた上での決断であることを粘り強く説明しました。

従業員持株会に対しては、説明会を開催し、質疑応答の時間と検討の期間を十分に設けました。従業員の中には、会社の売却に不安を感じる者もいましたが、新しい親会社のもとでより大きな成長の機会が得られることや、雇用が守られることなどを説明し、理解を求めました。

- 非常に丁寧かつ戦略的な対応をされたのですね。その結果、最終的にはどのような成果が得られましたか?

まず、企業価値評価については、当初の評価から大幅な改善を実現することができました。特に、グループ会社の再編と不採算事業の整理により、全体としてプラスの評価に転じることができたのは大きな成果でした。また、新規事業の将来性をアピールしたことで、買い手企業からも高い評価を得ることができました。

株主の同意取得については、最終的に大きな混乱もなく、全ての株主から同意を得ることができました。これは非常に大変な作業でしたが、会社の将来のために最善の選択であることを一人一人に丁寧に説明をしたことで、無事に理解していただきました。特に、従業員株主たちが前向きに受け止めてくれたことは、私にとって大きな励みとなりました。

この経験を通じて、オープンなコミュニケーションと誠実な対応の重要性を改めて実感しました。

- 素晴らしい成果を上げられたのですね。M&Aのプロセス全体を通して、特に印象に残っている出来事や、苦労された点はありますか?

そうですね、最も印象に残っているのは、買い手企業であるN社さんとの信頼関係の構築過程です。初めは緊張感もありましたが、回を重ねるごとに相互理解が深まり、最終的には非常に良好な関係を築くことができました。彼らが当社の価値を真摯に評価し、将来のビジョンを共有してくれたことが、このM&Aの成功に大きく寄与したと感じています。

また、苦労した点としては、持株会を含む各株主から了解を得ることですね。特に、長年株主として支えてくれた方々に対して、会社の売却を説明することは精神的にも大変でした。しかし、一人一人と丁寧に対話を重ね、会社の将来のために最善の選択であることを理解していただきました。また、DDによって金額が下がった際には、各株主が了解してくれるか心配でしたが、最終的には各株主にも同意してもらえる条件でN社と合意することができ、ホッとしています。

- みつきコンサルティングのサポートについて、具体的にどのような点が役立ちましたか?

みつきコンサルティングさんのサポートで特に印象的だったのは、買い手・売り手双方にやるべき事項を工程ごとに細分化して提示し、スケジュールと進捗を密に共有してくださったことです。これにより、常に次のステップが明確で、全体の見通しを持ちながら進められました。私自身が心配性で、少しでも不明な点があればすぐにメールや電話をしていましたが、すぐに対応していただき、安心して交渉を進めることができました。

また、交渉が難航した際には、両者の立場を理解した上で、客観的な視点からアドバイスをいただき、円滑に交渉を進めることができました。例えば、価格交渉の際には、当社の潜在的な価値を数値化して提示するサポートをしてくれ、これが買い手企業の理解を得るのに非常に効果的でした。

さらに、各株主に対する説明についても、説明資料をみつきコンサルティングさんに作成してもらい、また手続きについても法務や税務の面からもサポートしていただきました。

M&A成立後、実際に事業の引き継ぎや統合のプロセスはどのように進みましたか?

事業の引き継ぎと統合は、予想以上にスムーズに進みました。N社さんは、当社の企業文化や業務プロセスを尊重しながら、段階的に統合を進めてくれました。特に印象的だったのは、彼らが当社の従業員一人一人と面談を行い、個々の能力や希望を丁寧に聞き取ってくれたことです。これにより、従業員の不安も大幅に軽減され、モチベーションを保ったまま新体制に移行することができました。

統合後は、予想していた以上のシナジー効果が生まれています。例えば、N社さんの持つAI技術と、当社のセンサー技術のノウハウを組み合わせた新サービスの開発が始まっています。また、彼らの営業力を活用することで、これまでアプローチできなかった大手顧客からの案件も増えてきました。

- これまでの経験を踏まえて、今後M&Aを検討している経営者の方々へのアドバイスがあればお聞かせください。

はい、まず何より重要なのは、自社の現状と将来のビジョンを明確にすることです。なぜM&Aが必要なのか、どのような相手企業が理想的なのか、これらを十分に検討することが成功の第一歩だと思います。

次に、信頼できるアドバイザーを選ぶことも非常に重要です。M&Aのプロセスは複雑で、分からないことだらけです。また時に感情的になることもあります。そのような時に現状を整理して、他社さんの事例等を交えて客観的な視点からのアドバイスをしてもらえたのが、非常に有益でした。

また、買い手企業との信頼関係構築にも十分な時間と労力をかけることをお勧めします。単なる取引ではなく、お互いの企業文化や価値観を理解し合うことが、M&A後の円滑な統合につながります。

- 非常に貴重なアドバイスをありがとうございます。最後に、M&Aを経験されて、ご自身や会社にどのような変化がありましたか?

M&Aを経験したことで、私自身も会社も大きく成長できたと感じています。まず、より大きな企業グループの一員となったことで、新たな技術や知見を得る機会が増えました。特に、AI技術やビッグデータ分析など、最先端の分野に触れる機会が増えたことは、技術者たちにとって大きな刺激となっています。

また、経営資源の面でも大きなサポートを受けられるようになり、以前は手が届かなかったような大型プロジェクトにも挑戦できるようになりました。実際、M&A後に受注した大手企業向けの大規模システム開発プロジェクトは、当社単独では到底実現できなかったものです。

従業員にとっても、キャリアの選択肢が広がり、より大きな舞台で活躍できるようになったことは大きな変化です。実際、M&A後に新しい分野にチャレンジし、成果を上げている社員も多くいます。例えば、AI開発チームに異動して新しいスキルを身につけた社員や、海外プロジェクトに参加して国際的な経験を積んだ社員などがいます。

私個人としては、このM&Aのプロセスを通じて、経営者としての視野が大きく広がりました。特に、長期的な視点で会社の将来を考えることの重要性を、身をもって学びました。

今振り返ると、M&Aという選択は、当社にとって新たな成長のステージに進むための重要な転機だったと確信しています。もちろん課題もありましたが、それ以上に得られたものは大きかったと感じています。これからも、N社グループの一員として、さらなる成長を目指していきたいと思います。

- 本日は貴重なお話をお聞かせいただき、誠にありがとうございました。皆様の今後ますますのご発展を心よりお祈り申し上げます。

こちらこそ、このような機会をいただき、ありがとうございました。私たちの経験が、今後M&Aを検討される方々の参考になれば幸いです。最後に、みつきコンサルティングの皆様には本当に感謝しています。皆様のプロフェッショナルなサポートがなければ、このM&Aの成功はなかったと思います。今後も多くの企業の皆様のお力添えをいただけることを願っています。

 

 

           

この案件・類似案件の担当者

▷ 田原 聖治 事業法人第一部長/M&A担当ディレクター


メガバンクにて大手企業から中小企業まで様々なファイナンスを支援。当社参画後は、各種メーカーやアパレル企業等の事業計画立案・実行支援に従事。現在は、IT・テクノロジー・人材業界を中心に経営課題を解決。

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