神社・寺院授与品製造のM&A事例 【関東】

神社・寺院授与品の製造会社株式の譲渡を助言|S社さま

譲渡企業 S社さま
業種 神社・寺院授与品製造
事業内容 神社・寺院授与品の奉製・奉仕
売上 約150億円
地域 関東
設立 1970年代
経営者の年齢
譲渡理由 事業成長の為
譲受企業 N社さま
業種 印刷業
事業内容 商業印刷、印刷店運営
売上 約800億円
地域 関東
設立 2010年代
上場の有無 上場
譲受目的 事業領域の拡大

- 本日は、みつきコンサルティングの仲介によりM&Aを成功させたS社の売主様にお話を伺います。まずは、M&Aを検討されるきっかけについてお聞かせください。

当初は、M&Aを強く希望していたわけではありませんでした。以前より別の会社からも提案を受けていましたが、前向きには進めていませんでした。ただ、M&A自体は経営戦略のひとつの選択肢として関心はありました。私自身、この会社をオーナーとして運営していくことが最善だとは考えておらず、会社の安定や事業の成長を考えると、事業シナジーのある具体的な候補先がいるのであれば、M&Aは検討の価値があると思っていました。

- 経営者としてのこれまでの経験について、少しお聞かせいただけますか?

父より引継ぎ、20年ほどこの会社を経営してきました。当初は、まだ小さな工芸品製造会社でしたが、徐々に事業を拡大し、今では全国的な知名度を持つまでに成長しました。その過程で、景気の波や業界の変化など、様々な課題に直面してきました。特に、職人の高齢化や後継者不足は大きな問題でした。これらの経験を通じて、会社の持続的な成長のためには、時には大きな決断が必要だということを学びました。

- みつきコンサルティングとの出会いはどのようなものだったのでしょうか?

みつきコンサルティングの担当者が会社まで何度も直接訪問してくれたのが印象的でした。最初は半信半疑でしたが、東京から何度も足を運んでくれたことで、少しずつ打ち解けていきました。また、担当者もM&Aは経営戦略上のひとつの選択肢という私の考えを尊重してくれていました。本格的にM&Aを進めようと決心したのは、具体的な候補先からの詳細な提案があったからです。

- 業界の動向や将来展望について、どのようにお考えでしたか?

工芸品業界は、伝統と革新のバランスが求められる難しい分野です。一方で、海外での日本文化への関心の高まりや、若い世代の「本物志向」など、新たな可能性も感じていました。ただ、中小企業ではそういった機会を十分に活かしきれないのではないかという懸念もありました。そのため、大手グループの一員となることで、より大きな市場にアプローチできるのではないかと考えるようになりました。

- 買い手企業との出会いについて教えてください。

N社が工芸品製造に非常に関心があるとのことで、トップ面談の機会を設けていただきました。初めての面談で、東京にある本社や関連会社を案内していただき、関連会社で製造している商品を実際に手に取りながら説明を受けました。その際、統合を見据えた具体的な話もあり、とても良い印象を受けました。

- トップ面談後の心境はいかがでしたか?

非常に印象が良く、このまま進めたいと思いました。N社の代表の熱意や、グループ全体のビジョンに共感しましたし、我が社の事業との相乗効果も期待できると感じました。特に、N社の代表が「伝統と革新の融合」を重視されていることに強く共感しました。私たちの職人技術と、N社グループのマーケティング力や販路を組み合わせることで、新たな価値を生み出せると確信しました。

- 条件交渉はスムーズに進みましたか?

はい、驚くほどスムーズでした。詳細なスキームや譲渡金額、グループ入り後の方針などについて、みつきコンサルティングの担当者とN社で調整していただきました。緊張しながら待っておりましたが、私にとって、非常に納得のいく条件が提示されました。正直なところ、「あまりにも良い条件なのですが、こういうものですか?」とみつきコンサルティングの担当者に聞いたほどです。

- 交渉の過程で印象に残っているエピソードはありますか?

はい、とても印象的な出来事がありました。提携後の連携について話し合っていたとき、N社の代表から「場所を移して話しましょうか」と言われ、私を連れて行ったのが、N社グループの役員が「アジト」と呼んでいる雑居ビルの一室だったんです。豪華という雰囲気ではありませんが、落ち着いて話し合いができる空間でした。そこで1時間以上、膝を突き合わせて詳細な議論をしました。その場所の雰囲気や、N社の代表の真摯な態度に、この会社の本気度を感じました。また、そこでの議論を通じて、私たちの会社の将来像がより具体的に見えてきたのも大きかったですね。

- デューデリジェンス(DD)の過程はいかがでしたか?

DDは非常にスムーズでした。事前にバーチャルデータルーム(VDR)で必要資料を提出していたので、実際の現場では資料の確認はほとんどなく、業務システムの確認や質疑応答が中心でした。在庫管理や労務管理も適切に行っていたため、特に大きな問題点は指摘されませんでした。むしろ、今後の連携方法についての話が多く、和やかな雰囲気で進みました。

DD中に、特に印象に残っているやり取りはありますか?

はい、DDを担当された方々が、単に財務や法務の確認だけでなく、私たちの製品や技術に対して非常に興味を示してくださったことが印象的でした。特に、ある職人の技術に関して、「これは素晴らしい。他のグループ企業の製品にも応用できるのではないか」という具体的な提案をいただいたときは、本当にうれしかったですね。そのとき、この統合が単なる経営の効率化だけでなく、私たちの技術や伝統を新たな形で活かせる機会になるかもしれないと強く感じました。

- 契約書の調整や締結の過程で何か印象に残っていることはありますか?

契約書の調整はスムーズでしたが、締結直前に一部内容の変更があり、みつきコンサルティングの担当者が急遽対応してくれたことが印象に残っています。また、新型コロナウイルスの影響でN社の株価が一時的に下がっていた時期でもあり、株式交換の条件について調整がありましたが、状況を考慮して納得しました。

- コロナの影響で条件変更の相談があったとのことですが、その際のお気持ちはいかがでしたか?

正直、最初は少し動揺しました。ただ、N社の代表が直接説明に来てくださり、グループ全体の長期的なビジョンや、この困難な状況下でも私たちの会社を大切にしたいという強い意志を示してくださったんです。そのとき、「この人たちなら、どんな状況でも一緒に乗り越えていける」と確信しました。結果的に、この経験がN社グループとの信頼関係をより強固にしたと感じています。なにより多少の譲渡条件の調整があったものの、それでも私にとっては非常に魅力的な内容でした。

- 株式譲渡実行日の様子を教えてください。

当日の朝には既に代金が振り込まれており、事前に押印も完了していたので、非常にスムーズでした。当日、N社の代表、役員の方々が会社にいらっしゃり、私とともに従業員にこれからの体制についての説明をおこないました。

- 従業員の方々への説明は、具体的にどのように行われましたか?

全従業員を集めて、私とN社の代表から直接説明しました。最初は皆、驚きと不安の表情を浮かべていましたが、グループ入り後も現在の雇用条件は維持されること、むしろ新たな成長の機会が増えることを強調しました。特に印象的だったのは、ある若手職人が「新しい技術や市場に触れられるチャンスですね」と前向きな発言をしてくれたことです。その言葉をきっかけに、他の従業員たちも徐々に期待感を示すようになりました。

M&A後の統合プロセスはどのように進んでいますか?

統合後すぐに、N社と連携して、新たな市場で新商品を販売し始めました。まだ僅かではありますが、既にシナジー効果が出始めていると感じています。

- 具体的にどのようなシナジー効果が出始めているのでしょうか?

特に、デジタルマーケティングの面で大きな支援を受けています。また、グループ内の他社とのコラボレーション商品の開発も始まっています。例えば、私たちの伝統的な技法を活かしつつ、現代的なデザインを取り入れた新しいインテリア製品の企画が進行中です。さらに、海外展開についても具体的な計画が立ち上がっており、N社グループのグローバルネットワークを活用して、欧米やアジア向けの販路開拓を進めています。

M&Aを決断してよかったと思われる点は何でしょうか?

会社の安定と成長の両面で良い選択だったと感じています。N社グループの一員となることで、新たな販路や技術、そしてグループの信用力を得ることができました。また、私自身も株式の一部を保有し続けることで、今後の成長にも関わっていけるという点も魅力的でした。

- 具体的に、どのような新しい可能性が開けたと感じていますか?

まず、資金面での余裕ができたことで、長年温めていた新製品開発のプロジェクトを本格的に始動させることができました。また、グループ内の他社との技術交流により、私たちの伝統技術と最新のデジタル技術を融合させた新しい工芸品の開発にも着手しています。さらに、グループのグローバルネットワークを活用して、海外の高級ホテルチェーンとの取引も始まりました。これは単独では実現が難しかった夢だったので、非常に嬉しく思っています。

M&Aを検討している経営者へのアドバイスがあればお聞かせください。

売主様:まず、M&Aを急ぐ必要はないと思います。ただし、良い相手が現れたら、スピード感を持って進めることも大切です。私の場合、最初は慎重でしたが、N社と出会ってからは約2ヶ月半という短期間で譲渡を決めました。また、信頼できるアドバイザーの存在も重要です。

- みつきコンサルティングの対応はいかがでしたか?

非常に満足しています。特に印象的だったのは、何度も会社まで足を運んでくれたことです。電話やメールだけでなく、直接会って話すことで距離が縮まりました。また、私の不安や疑問に対して丁寧に答えてくれ、常に寄り添ってくれたことが心強かったです。

M&Aプロセスを通じて、最も印象に残っている出来事は何ですか?

N社との初めての面談が最も印象に残っています。単なる会社紹介ではなく、実際の商品を見ながら具体的な統合後のビジョンを語り合えたことで、M&Aへの不安が期待に変わりました。

M&A後、経営者としての役割や心境に変化はありましたか?

以前は会社の全てを一人で背負っているような感覚がありましたが、今はグループの一員として、より広い視野で経営に携わることができるようになりました。また、N社グループの他の企業との連携を通じて、新たな事業アイデアや改善点が見えてくるようになり、経営者としての視野が広がったと感じています。特に、グループ内の他社との定期的な経営会議に参加することで、異なる業界の知見や経営手法を学ぶ機会が増えました。これは、単独経営では得られなかった貴重な経験です。

- 従業員の反応はいかがでしたか?また、従業員への対応で心がけたことはありますか?

最初は皆、驚きと不安を隠せない様子でした。そのため、M&A後も会社の基本的な方針は変わらないこと、むしろグループの一員となることでより多くの機会が生まれることを丁寧に説明しました。また、従業員一人一人と面談の機会を設け、個々の不安や期待を直接聞くようにしました。時間はかかりましたが、徐々に従業員たちも前向きな姿勢に変わっていきました。特に若手社員の中には、グループ内の他社との交流や新しいプロジェクトへの参加に強い興味を示すものもいて、彼らの意欲的な姿勢が他の従業員にも良い影響を与えたと感じています。

M&Aを通じて、ご自身の経営観や価値観に変化はありましたか?

はい、大きな変化がありました。以前は「自社完結」の考え方が強かったのですが、M&Aを通じて「協業」や「シナジー」の重要性を実感しました。一社では限界があることも、グループの力を借りることで可能になることがたくさんあると気づきました。また、長期的な視点で会社の成長を考えることの重要性も再認識しました。特に、N社の代表との対話を通じて、「伝統と革新の融合」という考え方に強く共感し、自社の伝統技術を守りつつも、新しい市場やテクノロジーに積極的に挑戦する姿勢が大切だと学びました。

M&A後、予想外だった点や驚いたことはありますか?

予想以上に早くシナジー効果が現れたことに驚きました。グループ内の他社との情報交換や協力体制が素早く構築され、新たなビジネスチャンスが次々と生まれていることに驚いています。例えば、グループ内の IT 企業と協力して、我々の伝統工芸品のオンライン受注システムを構築したり、海外展開を見据えた多言語対応のウェブサイトを立ち上げたりと、自社だけでは実現が難しかったプロジェクトが次々と進んでいます。

- 譲渡後の生活や心境について、もう少し詳しくお聞かせください。

譲渡後は、正直なところ、最初は少し喪失感がありました。長年、自分の判断ですべてを決めてきた立場から、グループの一員として意思決定を行う立場に変わったことへの戸惑いもありました。しかし、日が経つにつれて、その変化が新たな可能性を生み出していることに気づきました。例えば、以前は経営の細部まで気を配る必要があり、なかなか休暇が取れませんでしたが、今はグループのサポートもあり、より戦略的な判断に集中できるようになりました。また、個人的には、長年温めていた趣味の陶芸に少し時間を割けるようになり、仕事とプライベートのバランスが取れるようになったことも大きな変化です。さらに、グループ内の他の経営者との交流が増え、新しい視点や考え方に触れる機会が増えたことで、自身の成長にもつながっていると感じています。

- 最後に、M&Aを成功させるためのポイントを教えてください。

まず、相手先との相性やビジョンの共有が重要だと思います。単に条件が良いだけでなく、お互いの強みを活かし合える関係性があるかどうかが鍵です。次に、オープンで誠実なコミュニケーションが大切です。DDの過程でも、できるだけ正直に情報を開示することで、信頼関係が築けました。そして、従業員への配慮も忘れてはいけません。彼らの不安を取り除き、新しい環境に適応できるようサポートすることが、M&A後のスムーズな統合につながります。最後に、信頼できるアドバイザーを選ぶことも成功の重要な要素だと感じました。

みつきコンサルティングの的確なアドバイスと献身的なサポートがなければ、ここまでスムーズにM&Aを進めることはできなかったと思います。また、自身の感情と向き合い、時には決断を躊躇することもあると思いますが、長期的な視点で会社や従業員のことを考え、勇気を持って前に進むことも大切だと感じました。

- 貴重なお話をありがとうございました。S社の今後ますますのご発展を祈念しております。

 

           

この案件・類似案件の担当者

▷伊丹 宏久 事業法人第二部長


ヘルスケア分野に関わる経営支援会社を経て、みつきコンサルティングでは事業計画の策定、モニタリング支援事業に従事。運営するファンドでは、投資先の経営戦略の策定、組織改革等をハンズオンにて担当。東南アジアなど海外での業務経験から、クロスボーダー案件に関しても知見を有する。

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