事業承継のためにM&Aを検討する中小企業の経営者は増えています。しかし、M&A後に行われる会社名の変更を懸念している人も多いでしょう。この記事では、M&Aによる会社名の変更の事例やパターンについて解説します。会社名の変更を回避する方法についても解説するため、ぜひ参考にしてください。
M&Aをすると会社名はどうなる?
M&Aを実施した場合、会社名はどうなるのでしょうか。以下でくわしく解説します。
M&Aで会社名が変わることもある
M&Aを実施すれば、会社名が変わる場合もあります。ただし、広く認知されているブランド名ならM&A後も残る可能性が高いでしょう。M&A後の会社名の変更について明確なルールはなく、譲受側が判断することが多いですが、譲渡側とのM&Aの交渉のなかで決めていきます。
一般に、M&Aの方法として、株式譲渡であれば社名を変更しない(もしくは軽微な変更に留める)ことが多く、合併(実務的は殆どありません)であれば変更することが多いです。
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会社名変更の事例
合併によって会社名が変更された事例は多数あります。会社名変更の事例を具体的にあげると、以下のとおりです。
・東京三菱銀行+UFJ銀行→三菱東京UFJ銀行(現在の「三菱UFJ銀行」)
・マルハ株式会社+株式会社ニチロ→マルハニチロ株式会社
・オイシックス+大地を守る会→オイシックスドット大地(現在の「オイシックス・ラ・大地」)
・JXエネルギー+東燃ゼネラル石油→JXTGエネルギー(現在の「ENEOS」)
M&Aにおける合併とは組織再編の方法の1つ
M&Aにおける合併は、複数の会社をまとめて1つの会社にする組織再編の方法の1つです。M&Aにおける合併は組織再編行為にあたり、会社法で定義されています。組織の再編や統合が行われるため、1つの会社の法人格は存続しますが、それ以外の会社の法人格は消滅します。
M&Aにおける合併の種類
M&Aにおける合併には、吸収合併と新設合併があります。それぞれについて解説します。
吸収合併
吸収合併は、1つの会社が存続会社となり、他のすべての会社の法人格が消滅する合併です。法人格が消滅した会社の資産、権利、義務、債務、従業員などは、すべて存続会社へ承継されます。
新設合併
新設合併は、新しい会社を設立し、すべての会社の法人格が消滅する合併です。法人格が消滅した会社の資産、権利、義務、債務、従業員などは、すべて新しく設立した会社へ承継されます。
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M&Aで会社名が変更される理由・背景
M&A後の会社名の変更は成長戦略の1つでもあります。ここでは、M&Aで会社名が変更される理由や背景について解説します。
心機一転するため
M&Aで会社名が変更される背景には、新しい会社として心機一転を図る目的があります。特に、合併した会社にマイナスのイメージがある場合、その払拭を目指しているケースが多いようです。
ブランド名やサービス名を押し出すため
ブランド名やサービス名を会社名に取り入れ、アピールしたいという狙いがある場合もあります。既存のブランド名やサービス名の認知度が高ければ、会社名に取り入れると消費者から認識されやすくなるでしょう。
会社名変更は株主総会で承認後に行う
M&A後の会社名を変更するかどうかは、存続会社が決定します。具体的には、株主総会の決議を経て定款を変更する必要があります。そのため、M&Aにおける会社名の変更は、存続会社の事情による場合が多いでしょう。
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M&Aによる社名変更のパターン1【新社名】
M&Aに伴って会社名を変更する場合、新社名をつけるパターンがあります。合併するどの会社とも異なる新しい社名をつける方法です。メリットとデメリットの両方があるため、それぞれについて解説します。
新社名のメリット
M&Aに伴って新社名をつけると、合併する会社に対する従来のイメージを一新することが可能です。また、各社に対する従業員の帰属意識も払拭でき、新たなスタートを切りやすくなります。M&Aに伴い新しく設立する会社を尊重してビジネスを展開しやすくなるでしょう。
新社名のデメリット
それまでにない新しい社名をつければ、知名度や認知度を向上させるために労力を割く必要があります。知名度や認知度が高い会社が合併する場合、コストが余分にかかるでしょう。M&Aの手続きと会社のアピールを同時進行で進める必要があり、手間が大きくなります。
M&Aによる社名変更のパターン2【社名結合】
M&Aに伴って会社名を変更する場合、複数の社名を結合するパターンもよくあります。社名結合にもメリットとデメリットの両方があるため、それぞれについて解説します。
社名結合のメリット
社名結合なら、M&Aにより合併するすべての会社の社名を活かせます。もともとの知名度や認知度も維持しやすいでしょう。合併する会社同士が互いを尊重できるというメリットもあります。M&A前後の変化を社内外に感じさせたくない場合も効果的です。
社名結合のデメリット
社名結合を選択すると、もとの会社への従業員の帰属意識が残りやすくなります。その結果、合併後の仕事に対する意欲が低下する恐れもあります。また、複数の社名を組み合わせるため、社名が長くなりがちです。新鮮味もあまり感じられません。
M&Aに伴う社名の変更を回避する方法
M&A後も会社名を変更しないためには、どうすればよいのでしょうか。回避の方法について解説します。
築いてきた信頼力やブランド力をアピールする
譲受側は取引先の混乱を避けたいという思いがあり、事業承継ならもとの会社名が残るケースがほとんどです。ただし、あくまでも譲受側の判断によるため、築いてきた信頼力やブランド力をアピールするとよいでしょう。会社名の変更の有無については、M&Aの契約前に確認してください。
譲受側のM&A戦略を把握する
M&Aは成長戦略の1つであり、譲受側によってイメージしている内容は大きく異なります。そのため、なかには既存のブランド名や会社名の存続を望む譲受先もあります。会社名の変更を回避したい場合は、そのような譲受先を探しましょう。
会社名維持をM&Aの条件にする
会社名の維持を最優先したい場合は、M&Aの契約書の条件として盛り込む方法もあります。入札前から主張すれば、条件をクリアできる譲受先のみと交渉が可能です。
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M&A後も社名を維持するメリット・デメリット
M&A後に会社名を維持する場合、メリットとデメリットの両方があります。それぞれについて解説します。
会社名を維持するメリット
M&A後も会社名を維持すれば、従業員や取引先が混乱せずに済みます。また、既存の信頼力やブランド力もそのまま活かせます。さらに、会社名が変わるとさまざまな手続きのために費用がかかりますが、会社名を維持すれば変更に伴う手続き費用がかかりません。
会社名を維持するデメリット
会社名を維持すると、もとの会社に対する従業員の帰属意識も存続しがちです。新しい組織への抵抗感が強くなる恐れもあります。また、会社の体制や方針が変わっても、会社名が変わっていなければ新鮮味を出しにくいでしょう。
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会社譲渡の相談先
M&Aの譲渡側の相談先としては、さまざまな専門家があげられます。以下で具体的な相談先について解説します。
仲介会社
仲介会社は、M&Aの仲介業務を専門的に扱っている会社です。譲渡側と譲受側の中立的な立場からサポートします。主に中小企業のM&Aについて実績が豊富な会社が多くなっています。
FA(ファイナンシャル・アドバイザー)
銀行や証券会社などの金融機関がFA(ファイナンシャル・アドバイザー)としてM&Aの相談に乗るケースもあります。主に、金額の大きい大規模なM&Aについて対応しています。
士業事務所
士業事務所とは、会計士、税理士、弁護士などのことです。M&Aにおいて重要な財務や法務などの専門家であり、さまざまなアドバイスが可能です。M&Aの譲受側から相談を受けるケースが多いようです。
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M&A仲介会社を利用するメリット
M&Aにおいて仲介会社を利用すると、さまざまなメリットを期待できます。どのようなメリットがあるのか解説します。
成約までにかかる時間や労力を削減できる
M&A仲介会社はM&Aを専門に扱っており、円滑なコミュニケーションが可能です。譲渡側と譲受側の間に立って対応するため、双方のバランスを取る役割を果たせます。その結果、成約にかかる時間や労力の削減につながるでしょう。
譲渡先の選定をサポートしてもらえる
M&A仲介会社は、条件に合う譲渡先候補を紹介してくれます。M&Aについて多くの情報やネットワークをもっており、サポートを受ければ譲渡先の選定がスムーズに進みます。
トラブルが回避できる
M&A仲介会社に依頼すれば、M&Aに関して漏れのない取り決めができます。必要な情報をすべて盛り込んだ契約書や覚書を作成できるため、契約前後に発生しがちなトラブルの回避を期待できるでしょう。
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M&A仲介会社なら「みつきコンサルティング」
M&A仲介会社としては「みつきコンサルティング」がおすすめです。状況にもよりますが、数社から数百社の候補を紹介できるネットワークを保有しています。専任コンサルタントがつき、プロジェクトの完了まで徹底的にサポート可能です。
M&Aによる社名変更のまとめ
M&Aにおいては会社名が変更されるケースも少なくありません。会社名の変更は基本的に譲受側の判断によって決まるため、会社名を維持したいなら事前の交渉や契約が重要となります。
みつきコンサルティングは、税理士法人グループのM&A仲介会社です。事業所内承継や親族内承継といった他の方法とも比較しながら、M&Aの必要性を判断できます。また、M&Aとともに問題になりやすい相続対策にもワンストップで対応可能です。 M&A後に会社名を変更したくない場合も、条件に合う候補先を紹介できます。M&Aを検討している場合は、ぜひご相談ください。
著者
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宅食事業を共同経営者として立ち上げ、CFOとして従事。みつきコンサルティングでは、会計・法務・労務の知見を活かし、業界を問わず、事業承継型・救済型・カーブアウト・MBO等、様々なニーズに即した多数の支援実績を誇る。
監修:みつき税理士法人
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