近年、国内におけるM&Aの件数は増加しており、2025年は年間5,115件と過去最多となりました。本記事では、M&Aが増加している理由を中心に、今後の予測についても解説します。参考にしてください。
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日本企業のM&Aは継続して増加
2026年1月のレコフデータの発表によると、2025年は5,115件と過去最多となりました。この動きの中心にあるのは、中小企業における経営者の高齢化と後継者難、企業の成長戦略としてのDX推進や事業再編、そして深刻化する人材不足への対応です。かつては大企業を中心とした経営手法だったM&Aが、今では中小企業を含む幅広い企業にとって、存続と成長のための現実的な選択肢として定着しつつあります。
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以下では、国内企業のM&Aが増加している3つの要因を解説します。
売り手側(中小企業)の背景
会社を譲渡する側、つまり中小企業のオーナー経営者がM&Aを検討する背景には、2つの大きな要因があります。
後継者不在による事業承継問題
経営者の高齢化が進む一方で、子どもや親族、社内に適切な後継者が見つからないケースが急増しています。後継者不在率は約62%に達しており、かつては廃業を選ぶしかなかった企業が、M&Aによって事業を存続させ、従業員の雇用と取引先との関係を維持する道を選ぶようになりました。この「事業承継型M&A」は、日本全体のM&A件数を押し上げる最大の要因となっています。
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経営者の高齢化
事業承継型M&Aの増加には、経営者の高齢化の問題も絡んでいます。東京商工リサーチが実施した調査結果「全国社長の年齢」によれば、2022年の社長の平均年齢は63.02歳でした。また、60代以上の社長の構成比が初めて6割を超えています。
経営者が高齢になると後継者への事業の引き継ぎを意識するようになりますが、前述のとおり中小企業の後継者は不足している状況です。そのため、事業承継型のM&Aにより後継者をみつけるパターンが増加しています。
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経営環境の変化と事業の安定化
市場の縮小や競争の激化といった厳しい経営環境の中で、単独での成長に限界を感じる経営者が増えています。大手グループの傘下に入ることで、経営基盤を安定させ、取引先や従業員を守りたいという動機も強まっています。特に中小企業にとって、資金力や販売網を持つパートナーとの統合は、将来不安を解消する有効な手段です。
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人口減少による人手不足
将来への不安には、人口減少による人手不足も挙げられます。総務省「情報通信に関する現状報告」によれば、生産年齢人口(15〜64歳)は1995年から減少し続けている状況です。2050年には、さらに5,275万人の生産年齢人口が減少するという予想が立てられています。
生産年齢人口が減少すれば、企業同士の人材獲得の競争は激しくなります。人材確保がより一層難しくなった結果、事業の運営が難しくなるケースも珍しくありません。M&Aは人材確保の手段としても考えられています。
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買い手側(大手企業・ファンド)の背景
一方、会社を譲り受ける側にも、M&Aを積極的に活用する明確な理由があります。
成長加速と時間の獲得
新規事業の立ち上げや新市場への参入、顧客基盤の拡大を自社のみで行うには、膨大な時間とコストがかかります。M&Aを活用することで、これらを短期間で効率的に実現できます。既存の工場や店舗、販売網、顧客リストをそのまま取得できるため、「時間を買う」戦略として、多くの企業がM&Aを選択しています。
人材不足への対応
日本全体で労働人口が減少する中、人材確保は企業にとって死活問題となっています。特に建設業、運送業、介護業などでは深刻な人手不足が続いており、他社を譲り受けることで、熟練した従業員や専門技術者を一括して獲得する動きが活発化しています。人材採用の困難さを背景に、M&Aは即効性のある解決策として機能しています。
DX推進と技術獲得
デジタル化の波が押し寄せる中、IT技術やソフトウェア開発力を持つ企業を譲り受けることで、自社のDX(デジタルトランスフォーメーション)を一気に推進する動きが広がっています。自社で技術開発を行うよりも、既に実績のある企業を迎え入れることで、競争力を短期間で強化できるためです。
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市場環境と支援体制による要因
企業の意思決定だけでなく、外部環境の整備もM&A増加を後押ししています。
業界再編の加速
成熟した国内市場では、建設業、運送業、介護・薬局などを中心に、規模拡大を目指した業界再編が進んでいます。単独では生き残りが困難な企業が、統合によって経営効率を高め、スケールメリットを追求する流れが強まっています。特に地方の中小企業では、この動きが顕著です。
政府による支援制度の充実
中小企業庁が運営する「事業承継・引継ぎ支援センター」や「M&A支援機関登録制度」など、公的な支援体制が整備されたことで、M&Aのハードルが大幅に下がりました。税制優遇措置や補助金制度も充実し、以前は敷居が高かったM&Aが、中小企業にとっても現実的な選択肢となっています。
スタートアップとクロスボーダーM&A
ベンチャー企業にとっても、IPO(株式公開)だけでなく、大手企業による買収が出口戦略として定着しつつあります。また、国内市場の縮小を見据え、アジアを中心とした海外企業への投資(クロスボーダーM&A)も増加傾向にあります。これらの動きは、M&A市場全体の多様性と厚みを増す要因となっています。
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中小企業のM&Aは今後も増える
上記の要因が重なり合うことで、日本のM&A市場は今後も高水準で推移すると見込まれます。存続と成長をかけた経営戦略として、M&Aはもはや特別なものではなく、標準的な選択肢として定着しています。ここでは、今後の展開について具体的に予測します。
後継者不足によるM&Aが高水準で推移
後継者不足の問題を解決する手段として、すでに多くの企業がM&Aを行っています。この状況は、今後ますます増えると予測されています。経営者の高齢化や生産年齢人口の減少などはさらに深刻化する可能性が高く、後継者不足に悩む企業もより多くなると考えられるからです。
後継者不足の問題解決の手段としてM&Aを実施する企業が増えれば、M&A市場もさらに拡大するでしょう。
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小規模M&Aの増加
日本国内のM&A市場においても、今後は小規模M&Aが増える可能性があります。海外では、M&Aでの譲渡を前提に事業を開始するケースも珍しくありません。そのような小規模M&Aは日本ではまだ少数派であるものの、今後は増加していくと考えられています。現在でも、ハイテクノロジー業や金融業などでは少しずつ小規模M&Aが増えています。
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海外(クロスボーダー)M&Aの増加
今後は国内企業同士のM&Aだけでなく、クロスボーダーM&Aも増えると考えられます。クロスボーダーM&Aとは、譲渡側または譲受側のどちらかが外国企業であるM&Aです。
今後も日本の人口減少は続き、市場も縮小していくと予想されています。新たな市場を獲得するための手段として、すでに海外に目を向けている企業も少なくありません。今後は、企業規模にかかわらずクロスボーダーM&Aを実施する企業が増える可能性があります。
M&Aが増加している理由・背景のまとめ
国内企業のM&Aは2025年に5,115件と過去最多を記録し、増加傾向が続いています。後継者不在率が5~6割に達する中、事業承継型M&Aが注目されています。経営者の高齢化や人口減少による人手不足も増加の理由です。今後は海外M&Aや小規模M&Aも増える見込みです。
みつきコンサルティングは経営コンサルティング経験者が多く在籍する税理士法人グループのM&A仲介会社です。M&A以外の方法も含めた幅広いサポートが可能です。事業内容を詳しく分析し、シナジー(相乗効果)を期待できる候補先を選定します。M&Aを成功させるために、ご相談ください。
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著者

- 事業法人第三部長/M&A担当ディレクター
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宅食事業を共同経営者として立ち上げ、CFOとして従事。みつきコンサルティングでは、会計・法務・労務の知見を活かし、業界を問わず、事業承継型・救済型・カーブアウト・MBO等、様々なニーズに即した多数の支援実績を誇る。M&Aの成約実績多数、M&A仲介・助言の経験年数は10年以上
監修:みつき税理士法人
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