CRO(医薬品開発支援)のM&A事例 【関東】

医薬品開発支援事業の譲渡を助言|C社さま

譲渡企業 C社さま
業種 CRO(医薬品開発支援)
事業内容 CRO(医薬品開発業務受託機関)
売上 約2億円
地域 関東
設立 2010年代
経営者の年齢
譲渡理由 企業成長加速
譲受企業 C社さま
業種 医療情報プラットフォーム
事業内容 医療コンテンツ
売上 約100億円(連結)
地域 関東
設立 1990年代
上場の有無 上場
譲受目的 サービスラインナップの拡充

-本日は、医薬品開発業務受託機関(CRO)のC様に、C社への会社譲渡についてお話を伺います。まず、御社の設立から現在に至るまでの経緯と、M&Aを検討されたきっかけについて教えていただけますでしょうか。

はい。当社は、私が創業者として約20年前に設立しました。CROとして順調に業績を伸ばし、特にスペシャリティ領域やグローバルスタディに強みを持つ企業として成長してきました。しかし、近年、業界全体で人材不足が深刻化し、特にCRA(治験モニター)の確保が困難になってきました。また、大手CROとの競争が激しくなる中で、営業力の強化も課題でした。これらの課題を一気に解決し、会社をさらに発展させるためには、M&Aが有効な選択肢だと考えたのです。

-なるほど。CRO業界の現状と課題について、もう少し詳しくお聞かせいただけますか?

CRO業界は、新薬開発の複雑化や国際化に伴い、ますます重要性を増しています。しかし、同時に課題も山積しています。まず、人材の確保と育成が最大の課題です。特にCRAは高度な専門性が要求される職種で、育成に時間がかかります。また、デジタル技術の進展により、治験のあり方も変わりつつあります。例えば、リモート治験やリアルワールドデータの活用など、新しい手法への対応が求められています。さらに、グローバル化の進展により、国際的な規制対応や多国間での治験管理能力も重要になってきています。これらの課題に対応するには、単独での成長には限界があると感じていました。

-そうした中で、C社を譲渡先として選ばれた理由はどのようなものでしょうか?

最初は正直、C社は医療コンテンツ事業を展開する異業種の企業という印象でした。しかし、彼らが医療業界の改革に注力していること、そして臨床開発分野への展開を図るなかでCRO機能を必要としていることを知りました。特に印象的だったのは、C社の社長のビジョンです。医療情報プラットフォームを活用して臨床開発を変革していくという構想に、大きな可能性を感じました。また、C社のセグメント戦略が当社の強みであるスペシャリティ領域やグローバルスタディと合致していたことも大きな理由です。さらに、私たちの企業文化や価値観が近いと感じたことも決め手になりました。

-具体的な交渉プロセスについて教えていただけますでしょうか。

最初の面談はWeb上で行われました。その時点では積極的な売却意向はなく、希望条件を満たす候補先があれば検討するという姿勢でした。その後、複数回の面談を重ね、C社の事業計画や当社の位置づけについて詳しく話し合いました。特に印象的だったのは、3回目の対面でのトップ面談です。C社の社長から直接、臨床開発分野への進出理由などを伺い、非常に安心感を得ました。社長の熱意とビジョンの明確さに、私自身も大きな共感を覚えました。

-他の候補先との比較はされましたか?

はい、内資系CROや外資系CROなど、3社ほどの候補先を検討しました。特に印象に残っているのは、X社とのトップ面談です。しかし、その面談では期待していたような前向きな印象を受けられず、むしろC社との違いを強く感じる結果となりました。X社の社長は、規模を拡大したいとの発言が中心で、事業連携に関する提案が少なかったのです。一方、C社の社長は、私たちの事業に対する理解と尊重を示してくれました。この対比が、最終的な決断を後押ししたと言えます。

-デューデリジェンス(DD)の過程はいかがでしたか?

DD1ヵ月ほど行われました。みつきコンサルティングの担当者が非常に効率的にプロセスを進めてくれたおかげで、スムーズに進行しました。当社は社内規定や契約書関係、勤怠システムなどすべてが整備されていたため、大きな問題点はありませんでした。ただ、DDの過程で、自社の強みと弱みをより客観的に認識することができました。

-最終的な譲渡条件はどのようなものだったのでしょうか?

私たちの希望とおりの条件で合意しました。C社の条件は、他の候補先と比較しても非常に魅力的なものでした。特に、ストックオプションが含まれていることは、C社が当社の将来性を高く評価してくれていることの表れだと感じ、大変嬉しく思いました。

M&Aのプロセス全体を通じて、特に印象に残っていることはありますか?

みつきコンサルティングの支援が非常に心強かったです。特に、株式価値算定や株式譲渡契約書(SPA)の作成など、専門的な部分で的確なアドバイスをいただきました。また、C社との交渉においても、両社の意向を適切に調整してくれたと感じています。例えば、当初の条件提示では譲渡価格に開きがありましたが、みつきコンサルティングの担当者が両社の立場を理解した上で、妥当な落としどころを提案してくれました。これにより、スムーズに合意に至ることができました。

-従業員の方々の反応はいかがでしたか?

従業員の反応は概ね前向きでした。特に、C社の経営方針や、当社の位置づけについて説明を受けた際、多くの従業員が将来の可能性に期待を寄せていました。医療従事者パネルやCSOを活用した人的サポートなど、C社のリソースを活用できる点に魅力を感じた従業員も多かったですね。ただ、一部の従業員からは、異業種企業との統合に対する不安の声も聞かれました。そのため、統合後も当社の強みを活かした事業展開を続けること、従業員の処遇に大きな変更がないことなどを丁寧に説明し、理解を得ることに努めました。

M&A後の統合プロセスについてはどのようなビジョンをお持ちでしたか?

統合後は、C社のグループ会社として、臨床開発分野でのリーダーシップを発揮することを目指しています。具体的には、C社の医師パネルを活用した医師主導研究・治験情報の開拓や、医療データベースを活用したオンコロジー・CNS領域等の専門領域サービスの拡充などを計画しています。また、治験領域のデジタル化推進も重要なテーマとして考えています。例えば、C社のITリソースを活用して、治験情報管理プラットフォームの構築を進めることで、業務効率の向上と新たな付加価値の創出を目指しています。さらに、C社の強みである医療従事者とのネットワークを活かして、CRA人材の確保や育成にも取り組んでいきたいと考えています。

M&A後の具体的なシナジー効果についてもう少し詳しくお聞かせください。

まず、C社の医療従事者ネットワークを活用することで、治験の被験者リクルーティングの効率化が期待できます。これは、治験のスピードアップと成功率の向上につながる重要な要素です。次に、C社の医療情報プラットフォームを活用することで、リアルワールドデータの収集と分析が可能になります。これにより、治験デザインの最適化や、市販後調査の質の向上が見込めます。さらに、C社のデジタル技術を活用して、遠隔モニタリングなどの新しい治験手法の導入を加速できると考えています。これらのシナジーにより、従来のCROの枠を超えた、より付加価値の高いサービスを提供できるようになると期待しています。

M&A後の新たな挑戦や、個人的な目標についてお聞かせください。

M&A後は、C社グループの一員として、より大きな視点で事業を展開していく機会を得ました。個人的には、長年培ってきたCRO業界の知見を活かしつつ、C社の持つデジタル技術やネットワークと融合させた新しいサービスの開発に挑戦したいと考えています。例えば、AI技術を活用した治験プロトコルの最適化や、ブロックチェーン技術を用いた治験データの信頼性向上など、革新的なアプローチを模索しています。また、若手社員の育成にも力を入れたいと思っています。次世代のリーダーを育てることで、会社の持続的な成長を支えていきたいですね。

M&A後の生活や心境の変化についてもお聞かせください。

M&A後、私個人としては大きな変化がありました。これまでは経営者として常に緊張感を持って仕事に臨んでいましたが、今はより俯瞰的な立場で事業全体を見ることができるようになりました。また、C社グループの一員となったことで、より広い視野で医療業界全体の動向を捉えられるようになったと感じています。一方で、創業者としての責任感は依然として強く持っています。従業員たちが新しい環境で活躍できるよう、サポートを続けていきたいと思っています。プライベートでは、以前よりも時間的余裕ができたことで、長年の趣味だった読書や旅行により時間を割けるようになりました。これらの経験を通じて得た新たな視点を、今後の事業にも活かしていきたいと考えています。

-最後に、M&Aを検討している他の経営者の方々へアドバイスがあればお願いします。

M&Aを成功させるためには、自社の強みと課題を明確に理解し、それを補完してくれるパートナーを見つけることが重要だと思います。また、単に条件面だけでなく、企業文化や経営理念の親和性も重要な要素です。私たちの場合、C社との価値観の一致が、最終的な決断を後押ししました。

そして、専門家のサポートを得ることも非常に重要です。みつきコンサルティングのような経験豊富なアドバイザーの存在は、複雑なM&Aプロセスを乗り越える上で大きな助けとなりました。また、従業員とのコミュニケーションも忘れてはいけません。M&Aは会社の大きな転換点であり、従業員の不安も大きいものです。私たちは、できる限り早い段階から従業員に情報を開示し、丁寧に説明を行いました。これにより、多くの従業員の理解と協力を得ることができました。最後に、M&Aはゴールではなく新たなスタートだということを忘れないでください。

-貴重なお話をありがとうございました。御社の今後ますますのご発展を祈念しております。

こちらこそ、ありがとうございました。医療業界の発展に貢献できるよう、C社グループの一員として、新たな挑戦を続けてまいります。

           

この案件・類似案件の担当者

▷伊丹 宏久 事業法人第二部長


ヘルスケア分野に関わる経営支援会社を経て、みつきコンサルティングでは事業計画の策定、モニタリング支援事業に従事。運営するファンドでは、投資先の経営戦略の策定、組織改革等をハンズオンにて担当。東南アジアなど海外での業務経験から、クロスボーダー案件に関しても知見を有する。

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