調剤薬局のM&A事例 【関東】

地場調剤薬局の譲渡を助言|M社さま

譲渡企業 M社さま
業種 調剤薬局
事業内容 調剤薬局
売上 不明
地域 関東
設立 2000年代
経営者の年齢
譲渡理由 後継者不在
譲受企業 S社さま
業種 調剤薬局
事業内容 調剤薬局運営
売上 約300億円
地域 関東
設立 1990年代
上場の有無 非上場
譲受目的 エリアの強化

- 本日は、T薬局の事業譲渡についてお話を伺いたいと思います。まず、薬局経営者としてのこれまでの経験について教えていただけますか?

私は約30年間、薬局を経営してきました。祖父が1950年代に創業し、父から引き継いで3代目になります。当初は1店舗からスタートし、地域の方々との信頼関係を築きながら、最終的には3店舗まで拡大することができました。経営者として最も大切にしてきたのは、「患者様第一」の理念です。薬剤師として、また経営者として、常に患者様の健康と安全を最優先に考えてきました。

- 長年の経営を通じて、特に印象に残っているエピソードはありますか?

そうですね、約15年前に近隣の大型病院が閉鎖になった時のことが忘れられません。多くの患者様が突然かかりつけ医を失い、不安をお持ちだったと思います。その時、私たちの薬局が地域の医療情報センターのような役割を果たし、新たな医療機関を紹介したり、お薬の相談に乗ったりしました。その経験を通じて、薬局の社会的責任の重さを実感しました。

- 事業譲渡を検討されるきっかけについて教えていただけますか?

はい、主に3つの要因がありました。まず、医療制度改革の影響です。調剤報酬の改定や薬価の引き下げにより、経営環境が年々厳しくなっていました。次に、大手チェーンの進出です。彼らの豊富な経営資源と効率的な運営に対抗するのが難しくなってきていました。そして最後に、私自身の年齢と後継者問題です。子供たちは別の道を選んでおり、従業員への承継も検討しましたが、経営面を任せるのは難しいという課題がありました。

- 業界の動向について、どのように見ていらっしゃいましたか?

調剤薬局業界は大きな転換期にあると感じています。政府の方針として、「かかりつけ薬剤師・薬局」の推進や、対人業務の充実が求められています。また、オンライン服薬指導の解禁など、デジタル化の波も押し寄せています。これらの変化に対応するには、それなりの投資と組織力が必要です。個人経営の薬局にとっては、厳しい時代になっていくと感じています。

- そのような中で、みつきコンサルティングとの出会いはどのようなものでしたか?

実は、みつきコンサルティング以外にも複数の仲介会社と接点がありました。ただ、みつきコンサルティングの担当者の方は、定期的に連絡を取ってくださり、私どもの状況をよく理解してくださっていました。特に、M&Aか従業員への承継かを真剣に考えていると伝えたところ、親身になってアドバイスをいただけたのが印象的でした。担当者の方は、単に事業を売却するだけでなく、私たちの築いてきた価値をどう継承していくかという点でアドバイスをしてくださいました。

- みつきコンサルティングを選んだ決め手は何だったのでしょうか?

やはり、担当者の方の熱心さと専門性でしょうか。他の仲介会社と比べて、私どもの業界や事業に対する理解が深く、薬局の強みや弱み、また成長余地についてもしっかり理解しており、そのうえで具体的な提案をしていただけました。M&Aとは直接は関係なく、調剤薬局業界の課題について、色々なお話をすることができました。また現場を見て従業員の雰囲気等も感じ取っていただき、そのうえで相手先の検討をしてくれました。

- 事業譲渡に至る過程で、特に印象に残っていることはありますか?

無理に話を進めるのではなく、こちらのペースを見ながら交渉を進めていただけたことですかね。M&Aというのは非常に大きな決断ですので、簡単に決断できないこともあります。その際は、優先順位を整理していただき、また背中を押してもらいながらも、無理なスケジュールを強いられるようなことはありませんでした。仲介会社に依頼する時に心配していた部分ですが、その点に関するストレスは殆どありませんでした。

- 買い手企業との面談はどのような雰囲気でしたか?

S社との面談は、予想以上に和やかな雰囲気で進みました。実は、S社の近隣店舗を私も存じ上げていたこともあり、話がスムーズに進んだように思います。会長と社長が直接お越しくださり、私どもの薬局に対する理解と将来のビジョンを語ってくださったことで、安心感することができました。また、彼らが単に事業拡大だけでなく、地域医療への貢献という点でも熱い思いを持っていらっしゃったことも印象的です。私たちの理念と重なる部分が多く、「この方々なら安心して託せる」と確信しました。

- 譲渡価格の交渉については、どのような経緯がありましたか?

実は交渉の最中に、薬を提供している施設のうち、1施設との取引が継続できなくなるという問題が発生し、年間1,000万円ほどの利益が減少する可能性が高いという事態になってしまいました。当然、S社からは譲渡価格の減額申し出がありましたが、その際にはS社と熱心に交渉してくれ、最終的にはS社の主張する半分程度の減額での調整となり、納得のできる水準で合意することができました。

- 従業員の方々への説明はどのように行われましたか?

従業員への説明は非常に重要だと考えていました。みつきコンサルティングのアドバイスもあり、契約締結後すぐに従業員説明会を実施しました。S社の方々も同席してくださり、今後の方針や従業員の処遇について丁寧に説明していただきました。従業員の不安も和らぎ、スムーズな引き継ぎにつながったと思います。S社が従業員一人一人と個別面談を行い、キャリアプランについて話し合ってくださったことで、従業員たちも前向きな気持ちで新しい体制に臨むことができたようです。

- 事業譲渡後、どのような変化がありましたか?

まず、大きな変化としては経営の負担から解放されたことですね。長年の重荷から解放された感覚です。また、S社の経営資源を活用することで、患者様へのサービスがより充実したと感じています。例えば、最新の調剤システムの導入や、在宅医療サービスの拡充など、私たちだけでは実現が難しかった取り組みが次々と実現しています。従業員の方々も、大手企業の一員となったことで、キャリアアップの機会が増えたようです。研修制度の充実や、他店舗との人事交流など、新しい刺激を受けているようです。

S社との協業によるシナジー効果はどのようなものがありましたか?

まず、スケールメリットを活かした仕入れコストの削減が挙げられます。これにより、より幅広い医薬品を取り扱えるようになりました。また、S社の持つIT技術を活用し、在庫管理や患者情報の管理が効率化されました。さらに、グループ内の他の薬局との連携により、稀少な薬剤の取り寄せがスムーズになるなど、患者様へのサービス向上にもつながっています。加えて、S社の教育システムにより、薬剤師のスキルアップが図られ、より高度な服薬指導が可能になりました。

- 事業譲渡を振り返って、良かったと思う点は何でしょうか?

何と言っても、長年築き上げてきた事業を適切な形で引き継ぐことができたことです。患者様や地域医療への貢献を継続できる企業に譲渡できたことは、私にとって大きな安心感となりました。また、従業員の雇用も守られ、むしろ彼らのキャリアにとってはプラスになったと思います。さらに、S社の経営資源を活用することで、私たちの薬局がより進化し、地域医療により大きく貢献できるようになったことも嬉しく思います。

- 逆に、苦労した点や課題はありましたか?

やはり、長年経営してきた愛着のある薬局を手放すという精神的な葛藤は大きかったですね。特に、患者様との長年の信頼関係をどう引き継ぐかという点は悩みました。また、今回は株式の譲渡ではなく、店舗の譲渡という形を取ったため、各種契約の引き継ぎなど、想像以上に細かい作業が多かったです。ただ、これらの点でもみつきコンサルティングの方々にサポートしてもらいました。

- みつきコンサルティングのサポートで特に良かった点はどこでしょうか?

M&Aの経験が豊富なだけでなく、調剤薬局業界に精通していたため、早い段階で問題となりそうな点を指摘してもらい、対応できたことだと思います。私どもの状況を的確に理解し、提案をしていただけました。また、譲渡価格の再交渉の際も、私どもの利益を最大限に確保しようと尽力してくださいました。細かいスケジュール管理のもと、クロージングまでの各手続きをスムーズに進めてくださったことも大変助かりました。

- 事業譲渡を検討している他の経営者の方々へ、アドバイスをいただけますか?

まず、早めの準備が大切だと思います。後継者問題や業界の変化は突然やってくるものではありません。日頃から自社の将来について考え、必要に応じて専門家に相談することも大切です。経験豊富な専門家のサポートがあれば、複雑なM&Aの交渉、手続きも乗り越えられると思います。

そして、単に高値で売却することだけでなく、従業員や顧客、地域社会への影響も考慮に入れることも大切です。最後に、感情的にならず、冷静に判断することも重要です。長年経営してきた会社を手放すのは辛いことですが、それが会社や従業員、顧客にとって最善の選択だと判断できれば、前に進む勇気を持つことが大切だと思います。

- 事業譲渡後の生活はいかがですか?

正直なところ、最初は毎日出勤する習慣がなくなり、少し戸惑いもありました。しかし、今は長年できなかった趣味や旅行を楽しんでいます。特に、妻と一緒に日本各地の温泉巡りをしているのが楽しみの一つになっています。また、地域のボランティア活動にも参加するようになり、新たな形で社会貢献ができていることにやりがいを感じています。例えば、地域の健康イベントで薬の相談コーナーを担当したり、高齢者施設での健康講座を行ったりしています。これらの活動を通じて、薬剤師としての知識や経験を活かしながら、地域の方々とのつながりを持ち続けられることに喜びを感じています。何より、長年の経営の重圧から解放され、心にゆとりができたことが大きな変化ですね。

S社への事業譲渡後、薬局の様子は把握されていますか?

はい、時々様子を見に行くことがあります。S社の経営のもと、設備が近代化され、サービスの幅も広がっているのを見ると嬉しく思います。例えば、最新の調剤システムが導入され、待ち時間の短縮や薬歴管理の効率化が図られています。また、在宅医療サービスも拡充され、より多くの患者様のニーズに応えられるようになりました。特に、従業員たちが生き生きと働いている姿を見ると、譲渡を決断して良かったと実感します。彼らが大手企業の一員として、より多くの研修機会やキャリアアップの道が開かれたことを喜んでいます。患者様からも、サービスが向上したという声を聞くことがあり、安心しています。時には昔からの常連の患者様に声をかけられることもあり、そんな時は懐かしさと共に、地域医療に貢献できたという充実感を感じます。

- 本日は貴重なお話をありがとうございました。最後に、今後の展望や夢についてお聞かせください。

ありがとうございました。今後は、これまでの経験を活かして、地域の医療や福祉の分野でボランティア活動を続けていきたいと考えています。特に、高齢者の方々の健康サポートや、若い世代への健康教育に力を入れていきたいですね。また、若い薬剤師の方々へのメンターとしての役割も果たせればと思っています。彼らに、単に薬の知識だけでなく、患者様との信頼関係の築き方や、地域医療における薬剤師の役割の重要性を伝えていきたいです。事業譲渡という大きな決断を経て、人生の新しいチャプターを歩み始めた今、健康に気をつけながら、社会への恩返しと自分自身の成長を両立させていきたいですね。また、家族との時間も大切にしたいと思います。長年、仕事に追われて十分に時間を取れなかった分、これからは妻や子供たち、孫たちとの時間を楽しみたいと思います。これからの人生を、より豊かに、より意義深いものにしていきたいと思います。そして、いつか若い経営者の方々に、私の経験を語る機会があれば、事業承継やM&Aの重要性、そして人生の第二幕の素晴らしさを伝えていきたいと思っています。

 

           

この案件・類似案件の担当者

▷ 田原 聖治 事業法人第一部長


メガバンクにて大手企業から中小企業まで様々なファイナンスを支援。当社参画後は、各種メーカーやアパレル企業等の事業計画立案・実行支援に従事。現在は、IT・テクノロジー・人材業界を中心に経営課題を解決。

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