有限会社の株式譲渡でM&A|株式会社との違いと売却手続の流れ

「うちは有限会社のままでも会社を売れるのか」。そう迷うオーナー経営者は珍しくありません。特例有限会社も第三者へのM&A・会社売却は可能です。承認決議や名義書換の進め方、そのまま売るか株式会社へ移行するかの判断軸、企業価値評価まで、税理士法人グループのM&A仲介会社が実務目線で整理します。

「うちの会社でも売却できるだろうか…」、「何から始めればいいんだろう…」。そのようなオーナー経営者の不安に、中小企業向けM&A仲介会社みつきコンサルティングは、20年間・500件以上の支援実績に基づき、お応えします。本格検討前の情報収集として、まずはお話をお聞かせください。

有限会社の株式譲渡でM&Aは実現できる

「有限会社だと買い手がつかないのでは」。相談の入り口でよく出る不安です。結論として、特例有限会社も株式譲渡によるM&A・会社売却ができます。手続の骨格は株式譲渡を行う株式会社とほぼ同じで、会社売却の全体像を押さえれば道筋は見えてきます。

有限会社はM&Aで譲渡できる-手続・注意点・組織変更

譲渡の中心は株式譲渡、事業だけ売る選択もある

オーナーが保有する株式を譲受企業へ渡し、会社ごと引き継いでもらうのが株式譲渡です。会社の一部だけを切り出すなら事業譲渡という方法もあります。中小規模の案件では、許認可や契約をそのまま残せる株式譲渡が選ばれる場面が目立ちます。

そもそも特例有限会社とは何か

2006年5月の会社法施行で、有限会社は新設できなくなりました。施行時に存在していた有限会社は、整備法により株式会社の一種「特例有限会社」として存続しています(会社法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律)。いま残る有限会社は、すべてこの特例有限会社にあたります。

合同会社・個人事業との進め方の違い

同じ小規模でも、会社の形によって手続は変わります。今後新設するなら合同会社の売却は持分譲渡で進み、合名会社・合資会社も持分譲渡が軸です。会社化していない個人事業のM&Aは、法人成りせず事業譲渡で売る形が中心で、有限会社の株式譲渡とは段取りが異なります。

有限会社と株式会社の違いと売却への影響

見た目は似ていても、特例有限会社と株式会社では運営ルールに差があります。M&Aの場面で関わってくる主な違いを下表にまとめました。

比較項目特例有限会社株式会社
取締役の任期制限なし(変更登記の手間が少ない)原則2年・最長10年(定期的に変更登記が必要)
決算公告の義務なし(整備法28条)あり(会社法440条)
みなし解散対象外(整備法32条)12年放置で適用あり
取締役会の設置できない任意で設置できる
株式の上場できない(移行が前提)できる
新規設立できない(2006年以降)資本金1円から可能

登記や公告の手間が軽い

特例有限会社は取締役の任期に制限がなく、役員の変更登記を定期的に行う必要がありません。決算公告の義務もなく、長期間登記が動かない会社を強制的に解散させるみなし解散の対象からも外れます。運営コストを抑えやすい形態です。

上場や機関設計には制約がある

その一方で、特例有限会社は取締役会や会計監査人を置けず、株式の上場もできません。譲受企業が上場や本格的な機関設計を前提にするなら、株式会社への移行が条件になります。この差が、後で触れる売却前の判断に響いてきます。

有限会社の株式譲渡における承認手続

旧来の有限会社の「持分」は、整備法によって株式とみなされています。進め方は株式会社と重なるものの、承認のしかたに独特の決まりがある点に注意が要ります。

株主以外へ譲るときは会社の承認がいる

特例有限会社は、定款に書かれていなくても整備法により2つの規定があるものとみなされます。株主以外の第三者へ譲る場合は会社の承認が必要で、株主間の譲渡は承認済みとみなす、というものです。オーナーが外部の譲受企業へ売るM&Aでは、この承認が論点になります。

承認は株主総会の決議で行う

特例有限会社は取締役会を置けないため、譲渡の承認は株主総会で決議します(会社法第139条第1項)。決議の内容は議事録に残し、後の名義書換やデューデリジェンスで確認できる状態にしておきます。譲渡制限のある会社の承認と基本構造は同じです。

名義書換と株券の有無を確かめる

承認のあとは譲渡契約を結び、株主名簿の名義書換を請求します。株券を発行している会社なら、株券の引き渡しも生じます。古い会社ほど株券の所在や名簿の更新が曖昧なことがあり、支援現場では早い段階で実物を確認するようにしています。

特例有限会社のまま売るか株式会社へ移行してから売るか

有限会社のM&Aで最初に迷うのが、この入口の選択です。どちらが正解という話ではなく、譲受企業の意向と移行コストの兼ね合いで決まります。

そのまま株式譲渡するケース

譲受企業が形態にこだわらず、運営の継続を重視するなら、特例有限会社のまま株式を譲るのが身軽です。移行の登記費用がかからず、社歴という信用もそのまま引き継げます。小規模な案件、いわゆるスモールM&Aほど、この形が選ばれやすい印象です。

株式会社へ移行してから譲渡するケース

譲受企業が上場企業グループで、傘下入り後の機関設計を見据える場合は、株式会社への移行を求められることがあります。移行は商号変更による解散登記と株式会社の設立登記を同時に申請する流れで、登記費用と手間が発生します。

移行コストと社員変更のタイミング

移行にあわせて、役員の任期計算や発行可能株式総数といった定款変更も生じます。株主や役員の異動、いわゆる社員変更を売却と同時に整理するのか、移行後に整えるのか。順番を誤ると登記が二度手間になるため、税務と登記の専門家を交えて段取りを組みます。

有限会社をM&Aで売却する流れ

形態の選択が固まったら、いよいよ実際のプロセスです。M&Aの基本的な流れに沿いつつ、有限会社ならではの確認点を重ねていきます。

相談からノンネーム・秘密保持契約まで

仲介会社へ相談し、会社名を伏せた概要(ノンネーム)で譲受企業の関心を探ります。関心を持つ相手が現れたら秘密保持契約を結び、決算書など詳しい情報を開示します。この段階で、株主構成や定款の特殊な定めもあわせて共有しておきます。

企業価値評価と価格の考え方

非上場の特例有限会社は市場株価が存在しないため、企業価値評価で価格の土台を作ります。純資産に営業権を加える方法が中小企業では実務的です。税務上の時価とM&A株価の違いを押さえないと、贈与税などの思わぬ課税を招きかねません。

デューデリジェンスから最終契約・クロージング

譲受企業はデューデリジェンスで財務や法務を精査します。会社ごと引き継ぐ株式譲渡では、過去の税金滞納や簿外債務といった隠れた負債の確認が欠かせません。合意に至れば最終契約を結び、決済と取締役の変更登記を経て引き継ぎが完了します。

有限会社のM&Aで気をつけたい注意点

有限会社の売却でつまずきやすいのは、手続そのものより「会社の素性」の整理です。現場で繰り返し見る論点を挙げます。

株式の所在と株主名簿の整理

長年動きのない会社ほど、誰が何株を持っているのかが曖昧になりがちです。相続で株主が代替わりしたのに名簿が古いまま、という例も珍しくありません。売却の前に株主構成を確定させておくと、承認決議も名義書換もすんなり進みます。

借入金と個人保証の引き継ぎ

中小企業の多くは、金融機関からの借入と経営者の個人保証を抱えています。株式譲渡では借入は会社に残りますが、個人保証の扱いは金融機関と譲受企業の交渉次第です。保証を外せる条件かどうか、早めに金融機関へ打診しておきます。

従業員・取引先への説明の順番

譲渡の事実を誰にいつ伝えるか。これが成約後の定着を大きく左右します。社員や主要な取引先には、経営者が変わっても雇用や取引が続く見通しを丁寧に示します。説明が早すぎても遅すぎても不信につながるため、タイミングの設計が要ります。

売却前に確認したいチェックリスト

下表は、有限会社の売却準備で当社が確認している項目の例です。

確認項目見ておくポイント
株主構成名簿と実態が一致しているか、相続による異動の登記漏れはないか
株券・定款株券発行の有無、譲渡承認の機関を独自に変更していないか
借入・個人保証残債と保証の状況、保証解除の見込みがあるか
決算書役員貸付や名義資産など、引き継ぎ前に整理すべき項目がないか
許認可・契約主要な契約に支配権の変更を制限する条項がないか

みつきコンサルティングが有限会社の売却をM&A仲介した事例

みつきコンサルティングは、これまで500件を超えるごM&Aを支援してまいりました。公認会計士・税理士ら専門家チームが、完全成功報酬制で支援した成約事例から、有限会社をM&Aで譲渡した事例をご紹介します。

後継者不在を全国展開グループと近隣連携で解決

譲渡企業:介護施設運営(売上約2億円)
譲受企業:介護施設運営(売上約40億円)
スキーム:株式譲渡

大阪で介護付有料老人ホームを運営する企業が、後継者問題と会社の将来性への懸念から、全国展開する介護福祉企業への譲渡で、近隣施設との強固な連携を実現。

職人雇用継続で塗装技術を承継し東海圏強化

譲渡企業:金属焼付塗装(売上約3千万円)
譲受企業:金属焼付塗装(売上約2億円)
スキーム:株式譲渡

長年培った塗装技術を持つ企業が、同業への全株式譲渡で名古屋工場として再出発。従業員雇用継続に加えオーナーも職人として残り、東海圏での短納期対応力を強化。

上記は当社のM&A仲介実績のほんの一部です。様々な業界・規模の成約事例を下記のページでご紹介しておりますので、ぜひご覧ください。

有限会社の売却に関するFAQ

相談の現場で実際によく寄せられる質問をまとめました。

Q:有限会社のままでも買い手は見つかりますか

買い手は、会社の形態よりも事業の中身を見ます。現場では、有限会社だからという理由で敬遠されるより、収益や取引先の質で判断されます。

Q:株式会社に変えてから売った方が高く売れますか

価格は事業価値で決まるため、移行そのものが株価を押し上げるわけではありません。少なくとも会社売却前に株式会社に移行する必要は、通常はありません。

Q:有限会社の持分の売却にかかる税金はどうなりますか

有限会社であっても、個人オーナーが株式を譲渡すると、譲渡益に対して所得税と住民税が申告分離課税で課されます。会社の負債や役員退職金の使い方しだいで手取りは変わります。税務上の時価との乖離が大きいと別の課税が生じるため、事前の試算をおすすめします。

有限会社の株式譲渡とM&A・会社売却のまとめ

特例有限会社も、株主総会の承認を経た株式譲渡でM&A・会社売却ができます。株式会社との違いは登記や機関設計の手間にとどまり、そのまま売るか移行してから売るかは、譲受企業の意向と費用で決める論点です。長く守ってきた会社の引き継ぎに、不安はつきものでしょう。

みつきコンサルティングは、税理士法人グループに属するM&A仲介会社です。中小企業の会社売却と事業承継を数多く支援してきた経験から、有限会社特有の論点も初期相談から成約まで一貫して伴走します。社内承継や親族内承継を含め、最適な選択肢を一緒に整理します。

ご譲渡を検討される方
今すぐ無料相談する
M&Aの重要ポイント資料
無料でダウンロードする

著者

西尾 崇
西尾 崇事業法人第三部長/M&A担当ディレクター
宅食事業を共同経営者として立ち上げ、CFOとして従事。みつきコンサルティングでは、会計・法務・労務の知見を活かし、業界を問わず、事業承継型・救済型・カーブアウト・MBO等、様々なニーズに即した多数の支援実績を誇る。M&Aの成約実績多数、M&A仲介・助言の経験年数は10年以上
監修者 神門 剛 代表取締役 / 公認会計士・税理士

みつきコンサルティングは、中小企業の会社売却・事業承継に特化した譲渡企業様に完全成功報酬制のM&A仲介会社です。売り手と買い手企業の最適なマッチングを、経験豊富なM&Aコンサルタントが初期相談から成約まで一貫してフルサポートします。

【無料】資料をダウンロードする

M&Aを成功させるための重要ポイント

M&Aを成功させるための
重要ポイント

M&Aの事例20選

M&Aの事例20選

事業承継の方法とは

事業承継の方法とは

【無料】会社売却のご相談 
簡単30秒!即日対応も可能です

貴社名*
お名前*
電話番号*
メールアドレス*
所在地*
ご相談内容(任意)

個人情報の取扱規程に同意のうえ送信ください。営業目的はご遠慮ください。

買収ニーズのご登録はこちら >

その他のお問い合わせはこちら >