資格学校を売却するときのM&Aの論点|教育訓練給付と講義映像の権利

資格学校の売却は、株式譲渡を選べば、教育訓練給付の指定講座や受講契約を会社に残したまま進められます。評価の軸は、講座ごとの受講者数と前受金の中身、改訂を続けられる教材と講義映像の権利。講師を兼ねる社長の高齢化や、オンライン化への投資に悩むオーナーに向けて、価格の見方と手法の選び方、講師と受講生の引継ぎを解説します。

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目次
  1. 資格学校のオーナーが売却を意識し始める理由と業界の変化
    1. 教育訓練給付の拡充とオンライン講座の価格競争
    2. TACが2025年にMBOで非公開化した背景
    3. 後継者問題の陰にある資格学校特有の悩み
  2. 資格学校を売却する利点と、売り手が受け入れる条件
    1. 講座と講師陣を残せる売却のメリット・デメリット
    2. 収録スタジオの借入と社長の個人保証
  3. 講座別の受講者数と前受金で読み解く資格学校の譲渡価格
    1. 時価純資産+のれん、資格学校に当てはめると
    2. 講座の型ごとに異なる買い手の見方
    3. 教材と講義映像は改訂を続けられる体制ごと評価される
  4. 教育訓練給付の指定講座から考える株式譲渡と事業譲渡の選び方
    1. 株式譲渡なら指定講座も受講契約も会社に残る
    2. 事業譲渡と会社分割は新規指定の扱い、年2回の受付に注意
    3. 指定講座以外にも広がる手法ごとの違い
    4. 指定を保つ合格率の基準と不適正とされる販売
  5. 講義映像の権利と看板講師の引留め、資格学校の売却で特に注意すべき論点
    1. テキストと講義映像の著作権は誰のものか
    2. 看板講師と教務責任者をどう引き留めるか
    3. 受講中の受講生への説明と学習アカウントの引継ぎ
  6. 就職支援や法人研修とつながる資格学校の買い手候補
    1. 講座の幅を広げたい同業の資格スクール
    2. 受講生の就職や企業研修につなげたい人材サービス会社
    3. 語学・EdTechの企業や出版社、投資ファンド
  7. 資格学校の売却を考えるオーナーから多い質問
  8. まとめ|資格学校の売却で押さえたい実務論点
    1. 資格学校の会社売却の関連コラム
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資格学校のオーナーが売却を意識し始める理由と業界の変化

教室から画面越しへと、資格の学び方が移りつつあります。大手の非公開化も、地域スクールの事業承継も、資格学校のM&Aはこの変化と無縁ではありません。

教育訓練給付の拡充とオンライン講座の価格競争

学び直しには追い風が吹いています。厚生労働省の教育訓練給付制度は2024年10月に拡充され、同月以降に受講を始めた人から、専門実践教育訓練は受講費用の最大80%、特定一般教育訓練は最大50%が給付されるようになりました。その陰で、学ぶ場は教室からライブ配信やオンデマンドの動画へ移り、人材サービスやコンサルティングの会社も一般向けのeラーニングを手がけるように。受講者を奪い合う競争は価格の面でも厳しさを増し、通学中心の学校ほど、校舎の数や広さの見直しを迫られています。

TACが2025年にMBOで非公開化した背景

象徴的なのが、大手のTACの動き。2025年8月6日、同社は常務取締役が全株式を持つJPECによるMBO(経営陣が自社の株式を買い取る取引)に賛同すると発表しました。JPECは公開買付けで株主から株式を買い集め、株式併合を経て同年12月19日に上場廃止に。開示資料は、受験者の減少やAIの普及に伴う資格の先行きへの懸念、対面中心の高価格の講座からオンライン・低価格・短期型への移行による価格競争を背景に挙げています。教材のデジタル化やオンラインと教室を組み合わせた講座づくりに、短期の業績に縛られず投資するための非公開化。同じ投資を自社の資金でどう賄うかは、中小の資格学校にも重なる課題です。

後継者問題の陰にある資格学校特有の悩み

会社を売りたいという相談の中身をたどると、資格学校では講師、試験制度、設備にまつわる悩みが根にあることが目立ちます。後継者がいないという事情は、その上に重なる最後のひと押しにすぎない場合も。「黒字でも、この先の投資と人の手当てを考えると単独では荷が重い」。そう打ち明けるオーナーは、当社の相談でも珍しくありません。重なりやすい悩みを、講師・試験・設備の順に見ていきます。

講師を兼ねる創業者の高齢化と後継者不在

税理士や社会保険労務士の資格を持つ創業者が、自ら教壇に立って受講生を集めてきた学校は数多くあります。受講生の信頼が社長個人に集まるほど、同じ指導力と知名度を備えた後継者は見つけにくいもの。親族に担い手がいなければ、第三者への事業承継が現実味を帯びてきます。

簿記のネット試験化に見る試験制度の変化と教材の改訂

日商簿記の2級・3級では2020年12月にネット試験が始まり、受験日を自分で選べるようになりました。試験日に合わせて一斉に開講してきた講座の組み方にも、見直しの余地が生まれています。出題範囲の改定や法改正があれば、テキストと問題集、講義映像の手直しは毎年のこと。改訂を担う講師や編集の人手が細れば、教材の鮮度の低下がそのまま受講者数に表れます。

配信システムへの投資と通学校舎の賃料

ライブ配信や動画の視聴、学習の進み具合の管理まで担うシステムは、作って終わりではありません。機能の追加や保守、AIを使った学習支援への対応と、投資は続きます。その一方で、駅前の校舎は受講者が減っても賃料の変わらない固定費。両方を抱えたまま価格競争に向き合うのは、中小の学校には重い負担です。

▷関連:教育・福祉業界のM&A|少子化と介護報酬改定下の譲渡価格と事例

資格学校を売却する利点と、売り手が受け入れる条件

「売れば講座の名前も教え方も変わってしまう」。そう心配する経営者は多いものの、何を残すかは交渉で決められる部分が大半です。

講座と講師陣を残せる売却のメリット・デメリット

売却で得られるのは、譲渡益だけではありません。講座と講師陣、受講中の受講生を、まとめて次の担い手へ引き継げる点に大きな意味があります。半面、看板講師の残留や教材の扱いをめぐり、譲受企業の求めに応じる場面も出てくるもの。下表では、資格学校を売却する譲渡オーナーの得失を、メリットとデメリットに分けて対比しています。負担として挙げた項目の多くは、契約の条件しだいで軽くできるはず。悲観しすぎる必要はありません。

譲渡オーナーのメリット譲渡オーナーのデメリット
受講中の受講生が学び続けられる
講座を途中で閉じずに済み、合格までの学習を次の運営者へつなげます。
講座や受講料が見直される
譲受企業の方針で、講座の統合や受講料の改定が行われる場合があります。
講師と職員の雇用が続く
実務家講師や教務スタッフを、待遇を保ったまま引き継げます。
社長自身の残留を求められる
講師や教材の監修者として、一定期間は関わり続ける条件が付くのが一般的です。
オンライン化の投資を任せられる
配信システムやAIを使った学習支援を、グループの資本と人材で進められます。
教材の権利を問われる
業務委託の講師が作った教材は、権利の帰属を洗い出す手間がかかります。
集客と講座の幅が広がる
グループの広告網や、人材紹介・法人研修の顧客へ講座を届けられます。
講師が離れるおそれ
告知の順番を誤ると、看板講師が独立や転職を考えることもあります。
個人保証や担保を外せる
校舎や配信設備の借入に付けた保証を、外す交渉ができます。
過去の販売方法が調べられる
教育訓練給付の指定講座で不適正な特典がなかったかなど、調査の対象になります。
創業者として報われる
長年育てた講座と教材の価値を、譲渡益として受け取れます。
校名やブランドが変わることも
譲受企業の校名へ統合されると、修了生や受講生の受け止めが割れる場合があります。

収録スタジオの借入と社長の個人保証

株式を譲れば、講義の収録スタジオや校舎の内装に充てた借入の保証も外れるのか。答えは、金融機関の同意がない限り外れません。事業承継の場面での保証の扱いは、経営者保証に関するガイドラインの特則に考え方がまとめられており、譲受企業の信用力や財務の内容を伝えて解除や差替えを求めるのが基本線。みつきコンサルティングでは、保証の解除を譲受企業が進める事項として最終契約に書き込み、成約日までに金融機関との協議を終える日程を組みます。校舎の賃貸借で社長が連帯保証人なら、貸主との協議も並行して進めます。

▷関連:サービス業のM&A|人手不足と許認可承継で変わる譲渡事例と相場

講座別の受講者数と前受金で読み解く資格学校の譲渡価格

利益の額が同じ2つの資格学校でも、提示される価格が大きく違うのはなぜか。差を生むのは、その利益が来年以降も続く確かさです。

時価純資産+のれん、資格学校に当てはめると

中小企業のM&Aの価格交渉は、年買法(年倍法)で出した目安から始まるのが通例です。資産と負債を時価で見直した時価純資産に、数年分の利益をのれんとして上乗せする考え方で、算式は時価純資産+のれん。資格学校では、まだ講義をしていない分の受講料が前受金として負債に入り、教材の在庫も売れる見込みで洗い直されます。純資産が薄くなりやすいぶん、のれんの元になる利益の安定度が価格の中心に。DCF法や類似会社比較法は、補助として使う程度です。

税理士法人グループのM&A仲介会社として決算書を読み解くとき、最初に確かめるのが長期講座の売上の計上時期です。1〜2年分の受講料を入金時に売上としている学校では、講義が進んだ分だけを売上とする形に直すと、利益の水準が変わることも。時価純資産の算定では、未経過分の前受金を負債として扱い、残る講義を最後まで提供できる体制と費用の見通しもあわせて説明します。ここを先に固めておけば、企業価値評価の場で数字がぶれにくくなります。

講座の型ごとに異なる買い手の見方

ひと口に資格学校といっても、収益の作り方は講座の型で大きく異なります。税理士や公認会計士のように、合格まで1〜2年以上かかる難関資格の講座。簿記やFPのように、数か月で学べる短期講座。企業研修や大学内講座、自治体の委託訓練といった受託講座。下表のとおり、型ごとに受講料の受け取り方も、譲受企業が重く見る数字も変わります。自校の売上がどの型に寄っているかを伝えることが、評価の出発点です。

見る視点難関資格の長期講座
(税理士・公認会計士・司法書士など)
短期講座
(簿記・FP・宅建など)
受託講座
(企業研修・大学内講座・委託訓練)
受講料の受け取り方1〜2年分を申込時に受け取ることが多く、前受金が厚くなる数か月単位で、申込から受講の終了までが短い研修の実施後に請求する形が中心で、前受金は小さい
受講者の集まり方合格まで続ける再受講者や、簿記などの下位資格から進む受講者が支える試験の日程と広告の効き方で、月ごとの申込が大きく動く取引先の企業や大学、自治体との年度ごとの契約が支える
重く見られる数字合格者数とその数え方、講師ごとの受講者数新規の申込数と1人あたりの獲得費用、オンライン受講の比率取引先の数と上位先への集中度、受託が続いた年数
評価を下げやすい点看板講師の引退や独立、教材改訂の遅れ低価格のオンライン講座との競合、試験制度の変更特定の取引先への依存、担当講師への属人化

教材と講義映像は改訂を続けられる体制ごと評価される

テキストや講義映像は、資格学校の価値の中核です。ただし評価されるのは、いま手元にある教材そのものより、法改正や出題範囲の改定に合わせて手直しを続けられる体制のほう。改訂を誰が担い、毎年どれだけの時間と費用をかけているのか。外部の書き手や講師に頼っている部分はどこか。自社で書店向けに出版している教材があれば、販売の実績も裏づけになります。こうした中身を説明できれば、企業価値の見積もりが売却相場の上側に寄りやすくなるはずです。

教育訓練給付の指定講座から考える株式譲渡と事業譲渡の選び方

講座の中身は何も変わらないのに、手続の時期の読み違いひとつで給付の対象から外れることも。事業譲渡で起こりうる、見落としやすい失敗です。

株式譲渡なら指定講座も受講契約も会社に残る

オーナーが持つ株式を譲る株式譲渡なら、講座の指定を受けた法人そのものは変わりません。教育訓練給付の指定講座は続き、代表者名などの変更は随時の届出で足ります。受講生との受講契約、講師との雇用や業務委託の契約、校舎の賃貸借も会社に残るため、受講中の人に手続を求める必要はないのが利点。気をつけたいのは、賃貸借や配信システムの利用契約に、株主の交代を通知や解約の理由とする条項がないかどうかです。成約前に、契約書をひと通り確かめておきます。

事業譲渡と会社分割は新規指定の扱い、年2回の受付に注意

講座の事業だけを切り出す事業譲渡や会社分割は、厚生労働省の講座指定のQ&Aで「法人の実質的な変更」とされ、新規の指定として手続を行う扱いです。申請の受付は年2回で、10月1日からの指定は4月上旬〜5月上旬、4月1日からの指定は前年10月上旬〜11月上旬が申請期間。給付の対象は指定の有効期間内に始まった講座に限られるため、新しい指定が間に合わなければ、その間に受講を始める人は給付を受けられません。成約日は、この受付期間から逆算して決めることになります。

指定講座以外にも広がる手法ごとの違い

手法の違いが響くのは、指定講座に限りません。受講生の就職を紹介する有料職業紹介の許可もそのひとつで、事業譲渡では引き継がれず、許可を持たない譲受企業は新たに許可を受ける必要があります。教材の著作権も、事業譲渡なら移す著作物を契約で特定する作業が要るもの。校舎の賃貸借も、貸主の承諾を得て契約を移すことに。資格学校で問題になりやすい項目を、下表で手法ごとに比べました。

項目株式譲渡事業譲渡
教育訓練給付の指定講座法人が変わらず、指定は続く。代表者名などの変更は随時の届出法人の実質的な変更として、譲受企業で新規指定の手続。受付は年2回
受講中の受講契約と前受金会社が当事者のまま続き、前受金も会社に残る契約上の地位を移すには受講生の承諾が必要。前受金の引継ぎは対価で調整
講師の雇用・業務委託契約そのまま続く講師ごとに同意を得て、雇用や契約を結び直す
テキスト・講義映像の著作権会社が持つ権利は会社に残る移す著作物を契約で特定し、権利の譲渡を定める
有料職業紹介の許可
(受講生の就職を紹介する場合)
会社に残る。役員の変更などは届け出る引き継がれず、許可のない譲受企業は新たに許可を受ける
校舎の賃貸借・配信システムの契約原則として続く。株主の交代を解約の理由とする条項に注意貸主や提供元の承諾を得て、契約を移すか結び直す

指定を保つ合格率の基準と不適正とされる販売

指定は、受ければ安泰とは限りません。一般教育訓練の講座指定では、修了者のうち目標の資格を受験した人の割合が原則50%以上、その合格率が試験全体の平均合格率の80%以上であることが求められます。実績は現況報告として定期的に提出し、虚偽があれば取消しの対象に。受講生への現金や物品の付与、割引などの還元で不正受給を誘う販売は不適正とされ、販売代理店の行為を含めて、実施者の全講座が取消しとなる場合もあります。譲受企業が合格実績の数え方や過去のキャンペーンを細かく調べるのは、このため。

支援現場では、資格学校の相談を受けると、指定講座の一覧と直近の現況報告の控え、講座ごとの指定期間の満了時期を最初にお預かりします。株式譲渡で進めるなら、代表者の交代を届け出る時期と、受講生への案内の文面をあわせて準備。事業譲渡や会社分割を選ぶなら、年2回の受付期間から成約日を逆算し、指定の空白が生じない日程を描きます。申請書類の準備は、行政書士などの専門家とも連携して進めるのが当社のやり方です。

講義映像の権利と看板講師の引留め、資格学校の売却で特に注意すべき論点

自社で撮った講義映像なのだから、当然自社のもの。その思い込みが、譲受企業のデューデリジェンス(譲り受ける前に行う詳しい調査)で揺らぐことがあります。

テキストと講義映像の著作権は誰のものか

社員が職務として作り、会社の名義で公表したテキストは、原則として会社が著作者となります。著作権法の職務著作という考え方です。これに対し、業務委託で契約した講師が作った教材や講義は、権利を会社へ移す取決めがなければ講師の手元に残る可能性も。講義映像には、講師の実演や肖像も含まれます。講師が独立したあと、同じ内容で別の講座を開かれても止めにくいのはこのため。講座ごとに作成者と契約の形、権利の帰属を一覧にし、足りない契約は売却の前に結び直しておきます。

楽曲制作と版権管理を営む会社の売却をみつきコンサルティングが仲介した際も、著作権管理にかかわる契約書類やアーティストとの契約の整理に時間を要し、主要な作曲家への説明には約2週間をかけました。版権の収益は安定収益として評価された一方、調査では権利を管理する仕組みの遅れも課題に。資格学校でも、講師との契約に権利の譲渡と著作者人格権を行使しない旨が入っているかを確かめ、表明保証(契約の時点で事実関係に誤りがないことを保証する条項)で約束できる範囲を前もって見極めます。

看板講師と教務責任者をどう引き留めるか

受講生が講師の名前で講座を選ぶのは、資格学校ではよくあること。看板講師が売却を機に辞めれば、担当講座の受講者がまとめて離れ、のれんの前提が崩れます。譲受企業が一定期間の残留や、近い分野で競合する講座を開かない約束を求めるのも、そうした事情から。ただ、退任後の競業を禁じる取決めは、期間や地域、分野が広すぎると効力を否定されるおそれがあります。役割と報酬を明確にし、講師自身が残る理由を持てる条件を、教育事業に明るい仲介会社と早めに描いておくのが得策です。

教務の要となる人材が、交渉の途中で抜けてしまう例も。当社が仲介した日本語学校の案件では、教務を担う主任が他社に引き抜かれました。そこで事務長を教務と事務の両部門の責任者に昇格させて譲受企業に説明し、事務長と譲受企業の面談を成約の条件に組み込んで乗り切っています。資格学校でも、看板講師と教務責任者には、告知の順番と残留の条件を講師ごとに用意しておくと安心。

受講中の受講生への説明と学習アカウントの引継ぎ

受講生の関心は、講座が最後まで続くかどうかに尽きます。株式譲渡なら受講契約は会社に残りますが、事業譲渡では契約上の地位を移すのに受講生ごとの承諾が必要。同意を得られない人に返金できるよう、資金の手当ても前もって考えておきます。教育訓練給付を使って受講している人には、指定が続くことをはっきり伝えたいところ。受講生のIDや学習履歴を管理するシステムを切り替えるなら、移行の時期を本試験の直前に重ねない配慮も求められます。

就職支援や法人研修とつながる資格学校の買い手候補

譲り受けたいと名乗り出るのは、同業のスクールだけではありません。受講生の合格の先に事業を持つ会社ほど、資格学校を熱心に検討します。

講座の幅を広げたい同業の資格スクール

中心となるのは、講座の品ぞろえや拠点を広げたい同業の資格スクールです。簿記と税理士の講座を持つ学校が社会保険労務士やFPの講座を加えれば、受講生が次の資格へ進む流れを自社の中で作れます。講座を自前で増やすと、講師の確保を含めて費用と時間がかさむのが難点。教材と講師陣、合格のノウハウがそろった学校を迎えるほうが早いと考える企業は少なくありません。分野を絞って強みを磨いてきた中小の学校ほど、補い合う相手として関心を集めやすい傾向です。

受講生の就職や企業研修につなげたい人材サービス会社

人材紹介や派遣を営む会社にとって、資格学校は求職者と出会う入口です。資格を取った受講生に転職先を紹介し、企業の顧客には研修として講座を届けるという組み立て。教育と人材の事業を一体で営む大手には、学習の記録と就職の相談をひとつの仕組みでつなぐ例も。先に触れた日本語学校の案件でも、譲受企業は外国人材の紹介・派遣を営む会社で、既存事業の周辺を強めるねらいがありました。打診先には、同業だけでなくこうした会社も加えておくのが当社の進め方です。

語学・EdTechの企業や出版社、投資ファンド

オンライン英会話や学習アプリを営む企業にとって、資格講座は新しい学びの柱の候補。2021年10月15日、オンライン英会話のレアジョブは、サイトビジットが法律系資格のオンライン講座「資格スクエア」の事業を新設分割で切り出す新会社について、株式の70%を5億2,500万円で取得すると発表しました。英語の領域から資格取得へ事業を広げ、オンライン学習のノウハウを生かした新サービスや、自社の顧客への提案につなげるねらいです。教材の出版社や、複数の学校を束ねる投資ファンドも候補の一角。業界に通じたM&A仲介を通じて探せば、条件を並べて比べやすくなります。

M&Aが成立した場合のみ、譲渡対価に応じた手数料を頂戴します。
売主様は、ご成約まで費用負担なくスタートできます。


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資格学校の売却を考えるオーナーから多い質問

講座や教材、受講生にかかわる、資格学校ならではの質問に実務の目線で答えます。

Q:合格お祝い金や受講料の返金保証を付けた講座があります。評価で不利になりますか?

不利になるとは限りません。ただ、合格時のお祝い金や不合格時の返金は、将来の支払い義務として見られます。現場では、財務デューデリジェンスで過去3年分の対象者数と支払額から見込額を出し、価格から差し引くか、表明保証と補償で手当てするかを決める流れ。教育訓練給付の指定講座に同じ特典を付けている場合は、厚生労働省が不適正とする還元に当たらないかもあわせて確認します。

Q:受講生の名簿や学習履歴のデータを、交渉中の相手に見せても問題ありませんか?

事業の承継に伴う個人データの提供は第三者提供に当たらず、本人の同意なく行えます。交渉段階の調査で開示する場合も、利用目的や漏えい時の対応、交渉が不調に終わったときの扱いを契約で定め、相手に安全管理を守らせることが前提。実務では、まず氏名を伏せた集計値で示し、名簿そのものの開示は基本合意の後に絞ります。合格体験記の氏名や写真は、利用許諾の範囲も見直します。

Q:自治体の委託訓練や大学内講座の契約は、売却後も続けられますか?

株式譲渡なら契約の当事者は変わらず、実施中の訓練や講座は続けるのが通常です。気をつけたいのは自治体の委託訓練で、年度やコースごとに委託先を選ぶ仕組みが多く、次の年度も受託できる保証はありません。大学や生協との提携は、代表者や株主が替わる際の通知や解約の条項を確認。資格学校の売却を支援するみつきコンサルティングでは、受託の実績年数と担当講師を一覧にし、継続の見込みを判断しやすい形で示します。

Q:自社で出版している教材の在庫や、講師が著者の書籍はどう扱われますか?

在庫は、改訂で売れなくなる版を差し引き、売れる部数を見積もって評価し直されます。法改正の多い分野ほど、旧版の在庫は時価純資産を押し下げる要因に。講師が個人で出版社と契約している書籍なら、印税は講師に入るため、会社の資産には含まれません。買い手がその書籍を講座で使い続けたいなら、改訂版の執筆を続けてもらう約束を講師と交わしておくと安心です。

税理士法人を母体とするM&A仲介会社|みつきコンサルティングが選ばれる理由

まとめ|資格学校の売却で押さえたい実務論点

株式譲渡なら、教育訓練給付の指定講座も受講契約も会社に残せます。価格を支えるのは、講座の型ごとの受講者数と前受金の中身、改訂を続けられる教材の権利、そして看板講師の残留。育ててきた講座と受講生の行き先を思えば、決断に迷うのも無理はありません。

みつきコンサルティングは、税理士法人グループに属する財務・税務に強いM&A仲介会社で、中小企業のM&A仲介の実績経験が豊富です。教育事業の制度にも通じたM&Aに特化した専門スタッフが、依頼先の比較の段階からご相談に応じます。資格学校の会社売却なら、みつきコンサルティングへ。

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著者

田原 聖治
田原 聖治事業法人第一部長/M&A担当ディレクター
みずほ銀行にて大手企業から中小企業まで様々なファイナンスを支援。みつきコンサルティングでは、各種メーカーやアパレル企業等の事業計画立案・実行支援に従事。現在は、IT・テクノロジー・人材業界を中心に経営課題を解決。M&Aの成約実績多数、M&A仲介・助言の経験年数は10年以上
監修者 神門 剛 代表取締役 / 公認会計士・税理士

みつきコンサルティングは、中小企業の会社売却・事業承継に特化した譲渡企業様に完全成功報酬制のM&A仲介会社です。売り手と買い手企業の最適なマッチングを、経験豊富なM&Aコンサルタントが初期相談から成約まで一貫してフルサポートします。

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