カジュアルレストランの会社売却は、大手ファミレスの規模拡大や同業の多店舗化を背景に増えています。小規模店舗なら100万〜250万円、複数店舗を持つ法人では数千万円規模になることも。本記事では、客席回転率やFL比率が譲渡価格に効く仕組み、株式譲渡と事業譲渡の使い分け、人手不足を抱えたオーナーが承継で得られるものを、譲渡オーナー目線で整理します。
「うちの会社でも売却できるだろうか…」、「何から始めればいいんだろう…」。そのようなオーナー経営者の不安に、中小企業向けM&A仲介会社みつきコンサルティングは、20年間・500件以上の支援実績に基づき、お応えします。本格検討前の情報収集として、まずはお話をお聞かせください。
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ファミリーレストランやパスタ、ステーキなど、日常使いのカジュアルレストランを営むオーナーの多くが、いま出口を意識し始めています。慢性的な人手不足、原材料高、そして数年ごとに迫る改装や業態転換の負担。黒字であっても、この先ひとりで背負い続けられるかという不安は珍しくありません。会社売却は、雇用と屋号を残しながら次の担い手へつなぐ現実的な選択肢になります。
カジュアルレストランを取り巻く市場環境と会社売却のいま
外食の中でも中価格帯を担うカジュアルレストランは、家族連れや若い世代の生活に根づいてきました。その市場でいま、M&Aによる再編が静かに進んでいます。
ファミリー層人口の縮小が業態に落とす影
かつてファミリーレストランの主役だった子ども連れの家族は、確実に減っています。厚生労働省の国民生活基礎調査によると、児童のいる世帯は1990年の1,500万世帯超から2024年には907万世帯まで縮みました。若年層を狙うパスタやステーキ業態も、10〜20代人口の減少をまともに受けます。富士経済の外食産業マーケティング便覧によれば、ファミリーレストラン市場は2025年に1兆円規模へ戻る見込みですが、2019年以前の水準には届いていません。右肩上がりだった時代の店舗数を前提にした運営は、見直しを迫られています。こうした構造変化が、承継や会社売却を考えるきっかけになっています。
コスト高で進む中小オーナーの二極化
原材料とエネルギー、人件費がそろって上がる局面で、価格転嫁の巧拙が経営を分けています。外食産業のFL比率はおよそ6割が目安とされ、カジュアルレストランでは原価が3〜4割、テーブルサービスゆえに人件費が2〜3割を占めることが多いものです。仕入れの共通化でコストを吸収できる大手が優位に立つ一方、値上げに慎重な中小店は利幅が細ります。体力のあるうちに譲渡を考えるオーナーが増えているのは、この二極化と無縁ではありません。
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オーナーが売却を決断する理由と人手不足という現実
売却の相談で最初に語られる悩みは、業種によって驚くほど違います。カジュアルレストランでは、この3つが繰り返し挙がります。
慢性的な人手不足と採用難
店を開けたくても人が足りない。カジュアルレストランの現場で、もっとも重い課題です。ホールの接客からセントラルキッチンとの連携まで、一定の人手を前提にした業態だけに、採用難は営業時間の短縮や店舗閉鎖に直結します。地方では若年層の都市流出が拍車をかけます。待遇改善や地元の学校との連携でしのいでも、根本解決に至らないという声は少なくありません。
支援現場では、パート・アルバイト比率の高い店ほど、譲受企業の採用網や研修制度が承継の決め手になります。雇用条件の維持を最終契約に明記し、従業員へ伝える順序まで一緒に設計することが多いです。
改装・業態転換にかかる投資負担
カジュアルレストランはマルチブランド展開が主流で、人気の落ちたブランドを別業態へ切り替える判断が定期的に必要になります。フランチャイズ店が比較的少ないため、改装や業態転換は自社負担になりがちです。1店舗あたり数千万円の投資が数年ごとに発生する構造は、体力を削ります。設備の老朽化と更新時期が重なると、この負担はいっそう重くのしかかります。次の投資を前に、資本のある相手へ委ねる選択が浮上します。
セントラルキッチンや賃貸借が生む固定費の重さ
多店舗化を支えるセントラルキッチンは、効率化の要である半面、一定の販売規模がなければ固定費として重くのしかかります。エリアごとに設置が必要になるケースもあり、稼働率が落ちれば採算は一気に悪化します。加えて、路面や商業施設の賃借物件が多く、賃料と原状回復の負担も無視できません。こうした固定費の重さが、単独での事業継続をためらわせる要因になっています。
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株式譲渡・事業譲渡・居抜き売却の使い分け
会社ごと譲るのか、店舗だけを切り出すのか。選ぶ手法しだいで、税負担も引き継がれる契約も変わってきます。
会社ごと引き継ぐ株式譲渡
オーナーが持つ発行済株式を譲り、経営権ごと引き継いでもらう方法です。賃貸借契約や雇用契約、飲食店営業許可がそのまま残るため、営業を止めずに承継できるのが強みになります。複数店舗をまとめて譲るケースや、黒字で継続力のある会社に向いています。一方で、簿外債務まで引き継がれるため、譲受企業による調査は丁寧になります。手取りを左右する税務の設計も、早い段階で詰めておきたいところです。手法の詳細は株式譲渡の仕組みもあわせて確認しておくと安心です。
当社では、店舗の多くが賃借物件の場合、賃貸借契約のチェンジオブコントロール条項の有無を早めに確認します。オーナーが代わると貸主の同意が要る契約もあり、飲食店営業許可の名義や承継手続と合わせて、譲渡前に段取りを整えておくと交渉が滞りません。
店舗単位で譲る事業譲渡と居抜き
特定の店舗や業態だけを切り出したいなら、事業譲渡や居抜き売却が選択肢になります。会社は手元に残し、採算店だけを譲ることも、不振店を身軽に手放すこともできます。ただし、賃貸借や取引先との契約は結び直しになり、許可も取り直しになる場合があります。居抜きは設備や内装をそのまま活かせる分、閉店より費用を抑えられ、造作の価値しだいで数十万円から数百万円で動くのが一般的です。迷うときは、飲食に明るい仲介会社と一緒に整理すると判断が定まります。
下表で3つの手法の違いを整理します。
| 比較項目 | 株式譲渡 | 事業譲渡 | 居抜き売却 |
|---|---|---|---|
| 譲渡の対象 | 会社そのもの(発行済株式) | 特定の店舗・業態などの事業 | 店舗の造作・設備・内装 |
| 契約・許可の承継 | 賃貸借・雇用・飲食店営業許可を包括承継 | 契約は結び直し、許可も取り直しの場合あり | 物件契約を引き継ぎ、許可は取得し直し |
| 向いている譲渡オーナー | 複数店舗を持ち黒字で続く会社 | 採算店だけ譲る、不振店を手放したい | 閉店費用を抑えて店舗を手放したい |
| 価格の目安 | 数百万〜数千万円規模 | 店舗規模により数百万円〜 | 数十万〜数百万円 |
客席回転率とFL比率が動かす譲渡価格の目安
値づけの話になると、多くのオーナーが身構えます。価格は勘ではなく、いくつかの数字で説明がつきます。
年買法とのれんで見る価格の目安
中小のカジュアルレストランで最もよく使われるのが年買法(年倍法)です。時価純資産にのれんを加えて目安を出します。算式は時価純資産+のれんで、純資産が薄くても、安定した客数や立地の強さがあれば上乗せが見込めます。小規模な1店舗であれば100万〜250万円が一つの目安、複数店舗を持つ法人では数千万円規模になることもあります。純資産法やDCF法も使われますが、まずは年買法で相場感をつかむのが実務的です。
譲受企業が重視する客席回転率と店舗別損益
譲受企業が価格の裏づけとして見るのは、店舗ごとの稼ぐ力です。ランチとディナーでどれだけ席が回るかを示す客席回転率、客単価、そしてFL比率のバランスが評価の軸になります。定番商品に支えられた安定した客数や、再現しやすいオペレーションは、のれんの上積み材料になります。逆に、特定の人気店だけに収益が偏っていると、店舗別損益を細かく見られ、評価が慎重になります。数字で語れる状態に整えておくことが、価格を守る近道です。
みつきコンサルティングでは、店舗別損益と客席回転率を整理したうえで、ブランドや立地、従業員のスキルまで含めて評価します。よくある相談として、赤字店を閉めてから売るべきかと聞かれますが、閉店コストと譲渡後の伸びしろを見比べて判断したほうが手取りは残りやすいものです。
会社売却で譲渡オーナーが得るものと向き合う課題
売却で得られるものは、お金だけではありません。守れるものと、割り切りが要るものを、下表で並べてみます。
| 譲渡オーナーのメリット | 譲渡オーナーのデメリット |
|---|---|
| 雇用の継続 従業員が働く場を残せる | ノウハウの開示 レシピや仕入れルートまで問われる |
| 屋号・ブランドの存続 地域に親しまれた看板が残る | 従業員説明の難しさ 伝える時期と順番に神経を使う |
| 個人保証・借入の解除 経営者個人の重荷が下りる | 経営の自由度の低下 方針決定が譲受企業と共有になる |
| 改装・設備更新負担からの解放 次の大型投資を抱え込まずに済む | オペレーションの統一 仕入れや調理が相手の方式に寄る |
| 採用・集客力の取り込み 人手不足の解消につながる | 成約まで数か月 交渉から契約まで時間を要する |
| 譲渡益の獲得 第二の人生の原資になる | 立地による価格差 郊外店は希望額に届かないことも |
雇用と屋号を残せる安心
廃業なら職を失う従業員も、承継なら働き続けられます。地域で親しまれた屋号やブランドが残ることは、オーナーにとって何より大きい価値です。個人保証付きの借入も、株式譲渡に伴って解除に向かうのが通常で、経営者個人の重荷が下ります。資本のある相手のもとで、これまで手が回らなかった採用やデジタル集客に踏み出せる例も多くあります。相手を探す際は、飲食の実績がある仲介一覧から候補を比べると、業態への理解度を見極めやすくなります。
情報開示と従業員対応という壁
一方で、負担もあります。譲受企業の調査では、主力商品のレシピや仕入れルートまで踏み込んだ質問が続き、ノウハウの開示にためらいを覚えるオーナーは少なくありません。従業員へいつ、どう伝えるかも神経を使う場面です。譲渡後はオペレーションや仕入れが相手の方式に寄り、これまでの自由さが薄れることもあります。こうした割り切りを、事前に想定しておくことが大切です。
人手不足と後継者問題を協業で越えた和食レストランの売却事例
中四国で海鮮料理を中心とした和食レストランを複数展開していたK社の事例です。人手不足と後継者の問題を、同業との協業で解いたケースを紹介します。

譲渡を決めた背景
創業から事業を広げ、瀬戸内の食材を活かした店づくりで地域に根づいてきたK社。慢性的な人手不足に加え、調理一筋のご子息に経営を任せるのは難しいという判断から、会社をさらに伸ばせる相手を探す道を選びました。
相手選びの決め手
譲受先は、関西で居酒屋を展開する売上約100億円のFC企業。仕入れや物流での連携が見込め、グループ一括採用で人手不足を補えること、地域に根ざす理念が近いことが決め手になりました。みつきコンサルティングは条件の厳しい相手探しを担い、遠方でも定期的に足を運んで交渉を支えました。
譲渡後の姿
デューデリジェンスではレシピや仕入れルートまで質問が及びましたが、開示範囲を助言しながら信頼を築きました。譲渡後は顧問として会社を見守りつつ、屋号と雇用は継続。仕入れやマーケティングでの相乗効果が動き始めています。
瀬戸内の和食レストランが同業FC企業との協業で人手不足を越えた全プロセスを読む
完全成功報酬
M&Aが成立した場合のみ、譲渡対価に応じた手数料を頂戴します。
売主様は、ご成約まで費用負担なくスタートできます。
着手金・中間金
0円
月額報酬
0円
成功報酬
成約時のみ
※レーマン方式
ファミリーレストランの売却に関するFAQ
譲渡を具体的に考え始めたオーナーから、現場でよく出る質問をまとめます。
できます。株式譲渡なら会社が契約主体のまま残るため、賃貸借は原則そのまま引き継がれます。ただし、賃貸借契約にチェンジオブコントロール条項があると、経営者の交代に貸主の同意が要ることがあります。現場では、主要店舗の契約書を早めに確認し、必要な同意取得の段取りを譲渡前に組みます。
必ずしも下がるとは限りません。店舗別損益を示し、不振店を業態転換や閉店で整理する前提を描ければ、評価が持ち直すこともあります。買い手が欲しいのが特定の人気業態か、運営基盤全体かでも見方は変わります。閉めてから売るか、抱えたまま売るかは、閉店費用と交渉のタイミング次第です。
問題ありません。一定の規模がなければ自前のセントラルキッチンはかえって固定費になるため、加工を委託する体制は珍しくありません。買い手はむしろ、委託先との関係や原価の安定性を評価します。委託契約が承継できるか、値上げリスクがないかを確認しておくと、交渉がスムーズです。
株式譲渡であれば、雇用契約はそのまま引き継がれるのが原則です。買い手も、席の回転を支える現場の戦力として継続を望むことがほとんどです。処遇や勤務条件の維持は、最終契約に条項として盛り込めます。伝える時期と順番は慎重に。動揺を避けるため、成約後に段階を追って説明するのが実務です。
まとめ|ファミレスの会社売却で重視すべき実務論点
カジュアルレストランの会社売却は、ファミリー層の減少や人件費の上昇、数年ごとの改装負担を背景に広がっています。価格は客席回転率やFL比率、店舗別損益で語られ、株式譲渡か事業譲渡かで承継される契約も変わります。雇用と屋号を残したいという思いに、確かな評価で応えることが何より大切です。
みつきコンサルティングは、財務・税務に強いM&A仲介会社として、中小企業のM&A仲介の実績経験が豊富です。飲食業態の相場観をふまえ、納得のいく相談先選びから伴走します。カジュアルレストランの会社売却なら、みつきコンサルティングへご相談ください。
完全成功報酬のM&A仲介会社なら、みつきコンサルティングへ >
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著者

- 事業法人第三部長/M&A担当ディレクター
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宅食事業を共同経営者として立ち上げ、CFOとして従事。みつきコンサルティングでは、会計・法務・労務の知見を活かし、業界を問わず、事業承継型・救済型・カーブアウト・MBO等、様々なニーズに即した多数の支援実績を誇る。M&Aの成約実績多数、M&A仲介・助言の経験年数は10年以上
監修者 神門 剛 代表取締役 / 公認会計士・税理士
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