M&Aコンサルティングとは?仲介・FAとの違いと費用・選び方

M&Aコンサルティングは、戦略づくりから相手探し、デューデリジェンス、条件交渉、PMIまでを支援する業務です。仲介やFAと何が違うのか、費用はいくらかかるのか、どの会社に任せれば後悔しないのか。会社売却を初めて検討するオーナー経営者が押さえておきたい判断材料を、中小企業M&Aの支援現場の感覚を交えて説明します。

「うちの会社でも売却できるだろうか…」、「何から始めればいいんだろう…」。そのようなオーナー経営者の不安に、中小企業向けM&A仲介会社みつきコンサルティングは、20年間・500件以上の支援実績に基づき、お応えします。本格検討前の情報収集として、まずはお話をお聞かせください。

M&Aコンサルティングとは何を指す業務か

会社売却を考え始めたオーナーから、最初に受ける質問がこれです。コンサルティング、アドバイザリー、仲介、FA。似た言葉が並ぶため、どこに相談すればよいのか分からないという声は珍しくありません。

M&Aコンサルティングとは、会社の譲渡や譲受にまつわる一連の流れを、専門的な立場から支援する業務全般を指します。中小企業のM&A仲介も、この業務のひとつの形態です。

支援範囲はM&Aプロセス全体に及ぶ

支援の対象は、初期の検討段階から成約後まで幅広く広がります。

譲渡オーナー側では、組織や財務を整えて企業価値を高める磨き上げから、条件交渉の進め方まで。譲受企業側では、目的設定やシナジーの見極めから、統合後の運営設計まで。立場は違っても、専門的な視点が要る場面は共通しています。

バリューアップやPMIまで踏み込むこともある

相手を探して終わり、という業務ではありません。

譲渡企業の価値を引き上げる施策や、成約後の経営統合プロセスまで実行支援するケースもあります。統合段階で起きがちな組織や人事の衝突を抑え、狙ったシナジーを取りにいく局面。ここで専門性の差が出ます。

M&Aアドバイザリーとの違いは実行支援の有無

両者はほぼ同義で使われており、明確な線引きがあるわけではありません。

M&Aコンサルティングとは?アドバイザリー・仲介・FAとの違い

あえて切り分けるなら、M&Aの助言業務は「助言」に軸足を置き、コンサルティングは実行支援まで踏み込む場面が多い、という程度の違い。会社によって呼称の使い方はまちまちで、名称よりも契約書に書かれた業務範囲を確認したほうが確実です。

M&A仲介

譲渡オーナーと譲受企業の双方に関与し、中立的な立場で条件をまとめる形態です。中小企業の第三者承継では、相手探しの実務力がものを言うため、この形が主流になっています。

FA(ファイナンシャル・アドバイザー)

譲渡側か譲受側、どちらか一方の代理人として動く形態です。片側の利益を最大化する交渉に強い反面、双方に代理人が付くため合意までの時間と費用は増えやすくなります。FAの役割と報酬体系を押さえたうえで、案件規模と照らして選ぶのが現実的です。

3つの立場を並べて比較する

言葉の違いは、下表のように整理すると輪郭がはっきりします。

比較項目M&AコンサルティングM&A仲介FA
立ち位置依頼側の課題解決を幅広く支援譲渡オーナーと譲受企業の双方に関与いずれか一方の代理人
主な業務戦略立案、実行支援、PMIまで相手探しと条件調整、成約までの進行管理依頼側に有利な条件の追求
報酬の出どころ依頼側両者または一方依頼側のみ
向く場面統合作業まで含めて任せたいとき中小企業の第三者承継で相手を探すとき条件交渉を強く押したい大型案件

少人数で特定領域に特化したM&Aブティックの特徴や、片側専属で動くエージェント型の支援も、この3類型の派生と考えると迷いにくくなります。

M&Aコンサルティングの業務内容と進み方

実際に依頼すると、どんな順番で何が進むのか。準備段階から統合後までを、支援現場の時間軸に沿って追いかけます。

戦略策定とスキームの決定

入口は、会社の現状整理です。何を守りたいのか、いくら必要なのか。ここが曖昧なまま相手探しに入ると、途中で条件がぶれます。

自社分析で目的を言語化する

強みと弱み、競合の中での立ち位置、決算書に表れていない収益力。これらを棚卸しし、譲渡の目的を言葉にしていきます。「従業員の雇用維持が最優先」「引退資金として手取り何億円を確保したい」。この2つでは、選ぶ相手も交渉の順序も変わってきます。

スキーム選択で手取りが変わる

株式譲渡、事業譲渡、会社分割。どの形を選ぶかで、税負担も引き継がれる契約も違ってきます。中小企業の譲渡はおよそ9割が株式譲渡ですが、簿外債務や許認可の事情から事業譲渡が適するケースもあり、初期段階で税務の目線を入れておくと後戻りを避けられます。

ソーシングと候補企業の絞り込み

方針が固まったら、候補企業の探索に移ります。ロングリストとして数十社を挙げ、そこから数社から10社程度のショートリストへ。条件と相性が合いそうな先へ順に打診し、関心を示した企業と具体的な情報交換に入る流れです。

案件執行(エグゼキューション)

候補が絞られると、調査と交渉の段階に入ります。ここからは専門家の頭数と質が、そのまま進行スピードに跳ね返ってきます。

デューデリジェンスの主な種類

譲受企業が実施するM&Aの買収監査は、下表のように領域が分かれます。

調査の種類主な確認内容関わる専門家
財務DD決算書の実態、簿外債務の有無、正常収益力公認会計士
税務DD申告内容の適正性、繰越欠損金、過去の税務リスク税理士
法務DD株主構成と登記、契約条項、労務上の懸念弁護士、司法書士
ビジネスDD事業モデル、顧客基盤、シナジーの見込みコンサルタント
技術DD特許やノウハウなど無形資産の価値弁理士、技術系専門家

中小企業の案件でも、名義株や役員貸付金、社会保険の未加入といった論点は頻出です。社内に会計士や税理士を抱える会社と、都度外部へ委ねる会社とでは、指摘への反応速度がはっきり違います。

条件交渉で詰める論点

調査結果を踏まえ、価格と支払条件を詰めていきます。

最終的な譲渡価格は、当初の想定から動くことが普通です。将来業績に連動して追加対価を支払うアーンアウト条項、代金の一部を一時的に第三者へ預けるエスクロー条項なども、この段階で持ち出されます。企業価値の算定方法を理解しておくと、提示額の妥当性を自分の頭で判断できるようになります。

クロージング後のPMI

最終契約とクロージングでM&Aは形式上完了しますが、譲受企業にとってはここからが本番。譲渡オーナーが一定期間残るケースでは、この局面での振る舞いが従業員の安心感を左右します。

現場レベルのすり合わせ

人事制度、IT基盤、企業文化。どれも一朝一夕には揃いません。ここを詰めずに統合を急ぐと、新旧メンバーの意思疎通が滞り、期待したシナジーが目減りします。第三者が中立の立場で論点を出し、合意形成を促す価値があるのはこの場面です。

100日プラン

統合後の方針を早期に固めるため、最初の100日で何をやるかを計画化する手法があります。スケジュールと役割分担を共有しておくと、関係者が同じ方向を向きやすくなる。地味ですが、効きます。

M&Aコンサルティングの費用と手数料の内訳

費用の話は、面談の場で最も遠慮されがちな論点です。とはいえ、手取り額に直結する以上、初回から遠慮せず聞いてしまうほうが健全といえます。

発生タイミング別の費用

代表的な費用項目を、下表に発生時期とあわせてまとめました。

費用項目発生タイミング金額の目安
相談料初回面談時無料としている会社が多い
着手金アドバイザリー契約の締結時100万〜200万円程度
月額報酬契約期間中に毎月数十万円規模、無料の会社もある
デューデリジェンス費用譲受企業による調査時200万〜500万円程度、譲受企業の負担が原則
中間報酬基本合意書の締結時固定100万円程度、または成功報酬の10%
成功報酬最終契約とクロージング後レーマン方式で算定、5億円なら5%が目安

成功報酬の計算根拠は会社ごとに異なります。レーマン方式の計算ルールでは、株式価値を基準にするか、負債を含めた移動総資産を基準にするかで請求額が数千万円単位で変わります。

着手金ゼロは本当に得か

初期費用を抑えられる点は魅力です。

その一方で、成功報酬の料率や最低報酬額が高めに設定されていることもあります。完全成功報酬制の中身を確認し、総額でいくら残るかを試算してから判断したいところ。着手金の有無だけで優劣は決まりません。

費用対効果を見極める視点

費用の絶対額より、支払った額に対して何が返ってくるかを見ます。

候補企業の質、交渉での踏ん張り、税務スキームの提案力。売り手が負担する手数料の相場を複数社で比べつつ、サービス範囲と支払能力のバランスで決めるのが現実的な進め方です。

M&Aコンサルティング会社の選び方

相談先を1社に絞る前に、確認しておきたい観点があります。会社の系統、実績、担当者、料金の4つ。順に見ていきます。

会社の系統を見分ける

意外と知られていませんが、M&A仲介会社は成り立ちによって性格が分かれます。

大きくは、上場会社系、非上場会社系、そして税理士法人や会計事務所を母体とする会計事務所系(士業系)の3つ。みつきコンサルティングは、みつき税理士法人を母体とする会計事務所系・士業系の代表的なM&A仲介会社です。税務と財務の専門家が社内にいるため、譲渡スキームの設計段階から手取り額を意識した提案ができる点が、他系統との違いになります。

成約実績と業種知見があるか

業界が違えば、論点も変わります。

IT関連ならソフトウェアの著作権やライセンス契約、製造業なら設備投資と特許技術。得意領域が自社と噛み合っているかを確かめてください。仲介会社の成約件数の比較は参考になりますが、規模の大きさと自社案件への適合は別の話です。

ニッチな強みを理解してもらえるか

特殊な技術や、限られた市場でのシェア。こうした強みは、譲渡価格の交渉材料になります。ところが、その価値を言語化できないコンサルタントに当たると、単なる中小企業として値付けされてしまう。初回面談で事業の話をどこまで掘ってくるかは、見極めの材料になります。

担当者との相性と体制

M&Aは、着手から成約まで半年から1年、その後の引き継ぎまで含めれば長い付き合いになります。

途中で意見が噛み合わなくなると、進行そのものが止まります。信頼できるアドバイザーの見極め方を押さえたうえで、担当者個人の力量と、その人を支える社内体制の両方を確認しておきたいところです。コンサルタントの役割と保有資格も、質問してよい項目です。

料金体系が明示されているか

どの時点で、いくら発生するのか。書面で示せる会社は信頼できます。

面談前に確認したいチェックリスト

支援現場でオーナーにお渡ししている確認項目を、そのまま並べます。

  • 成功報酬の算定基礎は株式価値か、負債を含む移動総資産か
  • 最低報酬額はいくらで、どの時点から発生するか
  • 着手金や中間報酬は、成約しなかった場合に返還されるか
  • 専任契約の期間と、途中解約時の取り扱いはどうなっているか
  • 契約終了後に一定期間の制約が残るテール条項の年数は何年か
  • 担当者の経験年数と、直近で手がけた同規模案件の件数はどれくらいか
  • 公認会計士や税理士が社内にいるか、それとも外部連携か

この7項目を持参して面談に臨むと、その場での回答の歯切れで会社の姿勢が透けて見えます。答えを濁す先は、後の交渉でも同じ態度になりやすいものです。

公的なガイドラインを守っているか

選定の客観的な物差しとして、国が示す基準があります。

中小企業庁は2024年8月に中小M&Aガイドラインを改訂し、第3版として公表しました。仲介者やFAに対して、手数料の詳細説明、工程ごとの業務内容の説明、担当者の保有資格や経験年数の開示などを求めています。ガイドライン第3版の要点を知っておくと、説明を省く会社にその場で気づけます。

M&Aコンサルティングを活用した譲渡の実例

抽象論だけでは掴みにくいので、実際に近い形で1件だけ紹介します。

関東圏の金属加工業、年商14億円、従業員45名。70歳の社長に後継者がおらず、取引銀行から紹介された先で「まずは企業価値評価を」と言われたものの、費用感の説明が曖昧なまま話が進みそうになり、相談に来られました。

整理してみると、役員退職金の支給設計と、社長個人が保有していた工場用地の取り扱いに手を付けていない状態。この2点を譲渡前に組み替えたことで、同じ譲渡価格でも手取りベースで数千万円の差が生まれました。技術力を評価する同業の譲受企業とマッチングし、従業員の雇用条件も維持されています。

価格の交渉だけがコンサルティングの仕事ではありません。税務と資本政策を含めて設計できるかどうかで、最終的にオーナーの手元に残る金額は変わってきます。

M&Aコンサルティングに関するFAQ

初回面談でよく受ける質問を、実務での答え方でまとめます。

Q:コンサルティング会社と仲介会社、どちらに相談すべきですか?

中小企業の第三者承継であれば、相手探しの実務力がある仲介会社が現実的な選択です。呼称の違いより、契約書に書かれた業務範囲と報酬の取り方を確認してください。戦略設計や統合支援まで求めるなら、その工程を自社で担えるかを直接聞いてしまうのが早道です。

 Q:費用はいつ発生しますか?

会社によって異なります。相談段階は無料が大半で、アドバイザリー契約の締結時に着手金、基本合意時に中間報酬、クロージング後に成功報酬という組み立てが一般的。着手金と中間報酬をゼロにしている会社もあるため、総額での比較をおすすめします。

 Q:途中でコンサルティング会社を変えられますか?  

契約条項と解約時期次第です。専任契約では中途解約に制約があり、テール条項によって契約終了後も一定期間は報酬義務が残る場合があります。まず手元の契約書を確認し、進行中の交渉相手との関係を整理してから動くのが安全です。

Q:顧問税理士に相談するだけでは足りませんか

会社の数字を最も理解しているという点で、顧問税理士への相談は有効な出発点です。ただし譲受企業の探索や条件交渉は別の専門性が要ります。現場では、顧問税理士と連携しながらM&A実務を担う体制を組むケースが多くなっています。

M&Aコンサルティングの活用と会社選びのまとめ

M&Aコンサルティングは、戦略づくりから相手探し、調査対応、条件交渉、統合支援までを一貫して支える業務です。会社の系統、業種知見、担当者の力量、料金の透明性。この4点を押さえれば、初めての譲渡でも相談先を絞り込めます。何から手を付ければよいか分からない段階でも、その迷い自体を持ち込んでいただいて構いません。

みつきコンサルティングは、みつき税理士法人を母体とする会計事務所系・士業系の代表的なM&A仲介会社です。中小企業の会社売却支援を500件超積み重ね、公認会計士と税理士が手取り額の最大化まで見据えて伴走します。譲渡をお考えでしたら、情報収集の段階からお声がけください。

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著者

田原 聖治
田原 聖治事業法人第一部長/M&A担当ディレクター
みずほ銀行にて大手企業から中小企業まで様々なファイナンスを支援。みつきコンサルティングでは、各種メーカーやアパレル企業等の事業計画立案・実行支援に従事。現在は、IT・テクノロジー・人材業界を中心に経営課題を解決。M&Aの成約実績多数、M&A仲介・助言の経験年数は10年以上
監修者 神門 剛 代表取締役 / 公認会計士・税理士

みつきコンサルティングは、中小企業の会社売却・事業承継に特化した譲渡企業様に完全成功報酬制のM&A仲介会社です。売り手と買い手企業の最適なマッチングを、経験豊富なM&Aコンサルタントが初期相談から成約まで一貫してフルサポートします。

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