後継者を募集する中小企業|親族外の事業承継での社長の探し方

後継者不足は、多くの中小企業が直面する問題です。本記事では、後継者不足の原因を説明し、後継者候補の探し方、M&Aによる解決方法、そのメリット・デメリットなどを紹介します。

会社の後継者不足の原因

東京商工リサーチによる「全国社長の年齢調査」によると、全国の社長の平均年齢は62.49歳です。中小企業の後継者不足の原因には、この経営者の高齢化が背景にあります。

団塊の世代の多くの経営者が高齢化しており、承継を考えるべき時期に差し掛かっています。その一方で、親族が後継者になることが難しい場合も多く、その結果として後継者が不在となり、経営者が勇退できないという状況が頻発しています。

社長の平均年齢の推移
社長の平均年齢推移

また、経営の変化のスピードが上がってきており、業界や市場の競争が激化していることから、経営に適任な人材が不足しているのが現状です。

後継者の探し方

親族内に後継者としての適任者がいない中小企業の場合、親族外から後継者を探すことになります。その場合の後継者を探す方法は、以下のいずれかの選択肢になります。

  • 社内で探す(従業員承継)
  • 社外から探す(第三者承継)

社内の従業員から登用

社内の役員・従業員から後継者を見つけることは、有効な選択肢の1つです。

社内承継の良い面

役員・従業員を後継者とする方法には、以下のようなメリットがあります:

  • 会社の事業や文化をよく理解している
  • 従業員のモチベーション向上につながる
  • 円滑な引き継ぎが期待できる

後継者候補となる従業員には、段階的に役職を付与し、経営者としての視点や意識を身につけさせると良いでしょう。

後継者育成の取り組み

社内から後継者候補が見つかった場合、以下のような方法で育成を行うことが考えられます。

  • 社内の部門ローテーション
  • 社内プロジェクトの担当
  • 他社での勤務経験
  • 社外の経営塾や研修への参加
  • 必要な資格の取得

社外からの後継者探し

経済的な問題等により社内承継はハードルは高いことが多いです。そのため、親族内に適当な後継者がいない場合には、現実的には社外から探すことが一般的です。

社外に後継者を求める場合、以下のように幾つかの方法があります。このうち最も一般的なのは、M&A仲介会社等への相談になります。

外部からの招へい・登用

業界内外から経験豊富な人材を招へいし、後継者として登用する方法もあります。候補者は経営者仲間や顧問会計事務所、取引銀行から紹介してもらうと良いでしょう。

ただ、実際には候補者が現れることは稀です。現れたとしても、社内承継における役員・従業員と同様の経済問題等により、自社株の引き継ぎが容易ではありません。

後継者募集のマッチングサイトの利用

インターネット上には、後継者を募集するためのマッチングサイトが存在します。これらのサイトを活用することで、広く後継者候補を探すことができます。

事業承継・引継ぎ支援センターの活用

全国47都道府県に設置されている事業承継・引継ぎ支援センターは、中小企業の事業承継の相談先として利用しやすい専門機関です。ここでは以下のようなサポートを受けられます。徐々に利用が拡がっています。

  • M&Aによる事業承継の支援
  • 第三者承継に向けた取り組みのサポート

M&A・事業承継の専門家への相談

M&Aや事業承継の専門家に相談することで、適切なアドバイスを受けられます。専門家は以下のような役割を果たします。

  • 事業承継の課題解決
  • 適切な後継者候補の紹介

早めに後継者候補になり得る第三者(一般に大手企業)を手当したい場合には、そのようなマッチングに長けたM&A仲介会社を利用すると良いでしょう。

なお、一般的かつ代表的ななM&Aのメリットとデメリットは以下のようなものです。

メリット
  • 事業承継先の選択肢が広がる
  • 相手先企業の人材や知識、技術を活用できる
  • 自社の経営資源の不足を補うことができる
デメリット
  • 企業文化の相違による摩擦
  • 経営陣や従業員の不安感
  • 仲介会社や専門家に対する費用面での負担

後継者探しのポイント

後継者候補を探す上では、以下の点に留意頂きたいと思います。

事業承継のプロセスを早期に開始する

早期に承継プランをたて、適切な後継者を見つける時間を確保することが重要です。事業承継は数年間の時間がかかることが一般的であり、遅くとも自身の引退希望時期から3~5年前からの検討をお勧めしています。

経営者自らが後継者育成に関与し、適切な人材を選定し育成する

後継者としての資質や能力を見極めることが求められます。経営者が現役のうちに後継者に伴走することで、新たな経営者を育成することが重要です。結果として、承継手続きがスムーズに行われることでしょう。

事業承継・M&Aに関する専門家の支援を活用する

専門家によるアドバイスやサポートを受けることで、適切な後継者選定や事業承継が円滑に進められます。承継には税金など専門性が高いテーマも紐づいており、専門家のアドバイスを受けることで適切な承継が可能となります。また、いわゆるM&Aと呼ばれる第三者承継を検討する際は、候補先企業の紹介など、プロに依頼する事で選択肢が大幅に拡がり、満足のいく承継ができる可能性が高まります。

後継者のマッチングサービスや人材紹介サービスの利用も検討する

これらのサービスを活用することで、適切な後継者候補と出会う機会を増やすことができ、後継者不足の問題を解決できる可能性が高まります。前項同様、専門サービスを利用することで選択肢の幅が拡がりますので、積極的に活用されることをお勧めします。

後継者募集中の探し方(まとめ)

最後に、事業承継成功のポイントとまとめをお伝えします。まずは、全国各地の支援機関を利用し、専門家のアドバイスやサポートを受けることが大切です。また、中小企業経営者向けの支援機関を適切に選択し、地域ごとの機関の特色やサービスを十分に理解することが不可欠です。今回ご紹介した記事をぜひ参考にして、事業承継の成功に向けて前進してください。

みつきコンサルティングは、税理士法人グループのM&A仲介会社として15年以上の業歴があり、中小企業M&Aに特化した経験実績が豊富なM&Aアドバイザーが多数在籍しております。  みつき税理士法人と連携することにより、税務面や法律面のサポートもワンストップで対応可能ですので、M&Aをご検討の際は、成功するM&A仲介で実績のある、みつきコンサルティングに是非ご相談ください。 

著者

野口慎矢
野口慎矢熊本支店長 兼 事業法人第四部長
国内証券会社(現SMBC日興証券)にてクライアントの資産運用を支援。みつきコンサルティングでは、消費財・小売業界の企業に対してアドバイザリーを提供。事業承継案件のみならず、Tech系スタートアップへの支援も行う。
監修:みつき税理士法人

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