CAとは秘密保持契約です。M&Aにおいては、譲渡側・譲受側それぞれの秘密情報を保持し、安心・安全なM&A取引を実施するために重要な役割を担いますので、M&AにおけるCA締結をご検討の経営者の方は、この記事を参考にしてみてください。
CAとは
CAとは、秘密保持契約を意味し、「シーエー」と読みます。M&Aにおいては、具体的な情報を開示する前に、お相手候補やM&A仲介会社と締結する守秘義務契約になります。
英語表記では?
CAの英語表記は、Confidentiality Agreement(又はConfidential Agreement)になります。Confidentialityは、「秘密にすること」「秘密性」を意味で、Agreementは、「契約」や「合意」を意味します。
NDAとは違う?
NDA(Non-disclosure Agreement)も秘密保持契約を意味します。したがって、CAとNDAはまったく同じ意味になります。実務上、両者が混在して使われていますが、どちらかと言うとNDAの方がポピュラーな印象です。
▷関連:M&AにおけるNDA(秘密保持契約)の役割とは?締結タイミングや記載項目について解説
CAの概要
以下、CAの概要を説明します。
M&A業界でCAが重要な理由
譲渡側は、自社のM&Aを譲受側に検討してもらうためにも、財務情報や人材情報、販売価額や取引先一覧など企業秘密となる情報を多く開示することになります。しかし、M&A交渉中も事業は通常運営されていることやM&A交渉を譲受側と始めたとしても必ずしも成約に至るとは限らず、交渉が終了した場合も事業運営を継続させる必要があることを考慮すると、自社の秘密情報が外部に洩れないよう細心の注意を払う必要があります。譲渡側の秘密情報が外部に洩れると取引先との関係性の悪化や競合他社との競争激化など事業運営を続ける上で、不利となる事象を招く可能性がありますので、注意が必要です。
一方、譲受側も譲渡側とのM&Aによるシナジー効果の検討や営業戦略におけるM&Aの位置づけなど、M&Aの実施は将来の事業拡大に大きな影響を及ぼす取引となるため、M&A交渉における自社の情報を守る必要があります。上場会社などではインサイダー取引のリスクとなる可能性もあるため、譲受側にとってもM&A交渉における、秘密情報の保護が非常に重要となります。譲渡側・譲受側共にM&Aが自社の将来に良い取引となるようCA締結による秘密情報の保護が重要と言えるでしょう。
▷関連:M&Aとは|2024年も増加!目的・メリット・流れ・方法を解説
M&Aで交わされるCAの主な内容
M&AにおけるCAで、規定する一般的な内容を以下に紹介します。CA締結検討の際の参考にしてください。
秘密情報の定義
何が秘密情報となるかなど、お互いに認識の齟齬が無いよう明確にする。
開示範囲
秘密情報受領者が受領した情報を開示できる範囲を定義することにより、情報漏洩のリスクを最小限に抑えます。
利用制限
開示された秘密情報の利用目的をM&A検討及び交渉に限定することにより、適切な取り扱いを保証します。
秘密保持期間
秘密情報を保持するのも労力とコストがかかることや秘密情報を保持し続けることは、裏を返せば漏洩のリスクが常にある状況とも言えます。お互いのリスク軽減も鑑みてCAの有効期間を定めることが一般的です。CAの有効期間経過後には保持している秘密情報は開示者に返還もしくは破棄することが一般的です。
損害賠償
秘密情報の取り扱いに違反した場合の損害賠償や法的責任を明確にします。これらの規定がCAに盛り込まれることで、お互いの秘密情報の取り扱い意識を向上させ、安全なM&A取引実現への一歩となります。
▷関連:M&Aの流れ|検討・NDAから成約・クロージングまで、簡単に解説
M&AでCAを締結する際のポイント
M&Aは、秘密保持に始まり、秘密保持で終わると言われる程、譲渡側・譲受側の情報管理が重要な要素です。M&Aの交渉により自社の秘密情報を外部に漏洩させないためにも、M&AにおけるCA締結は、相手先との交渉を始める前に行うことが重要です。また、譲渡側・譲受側の秘密保持について認識の齟齬がないよう明確なCAを作成することが重要です。M&Aの交渉は、立場の違う者同士の交渉となりますので、自社に有利な内容にしたいとの意向もあるかと思いますが、譲渡側と譲受側で紳士に交渉することでお互いが納得するCAとなるよう心掛けるようにしてください。お互いが納得したCAの締結は、相手先への信頼とつながりスムーズなM&A交渉を進めるためにも重要なポイントとなります。
▷関連:M&Aの相談先はどこが良い?税理士・銀行・仲介会社等の違いを解説
M&AにおけるCAの相談先
M&AにおけるCAは、法律に係る特別な知識や専門性が求められるため、弁護士などの法律の専門家に相談することをお勧めします。M&Aは相手方との交渉となるため、CAの内容もお互いを尊重した内容にする必要があるので、M&Aの経験がある弁護士を選定することをお勧めします。M&Aに係る経験値が高い弁護士がいない場合は、M&A仲介会社などのM&Aの専門家に相談することも有効です。CAの内容や適切な専門家の紹介など、M&AにおけるCA締結に重要なポイントを網羅したアドバイスをもらえますので、M&Aを進める際は、まずM&A仲介会社などのアドバイザリーに相談することを検討してみてください。
M&AにおけるCAのまとめ
M&A業界におけるCA締結は、自社のリスク管理や相手先との情報交換を円滑に行うため重要な役割を担っています。これらの秘密情報管理を適切かつ確実に実施することが、安心で安全なM&A交渉を行うための一歩目となります。法律やM&Aの専門家に相談し、スムーズなM&A交渉を実施できるよう準備しお互いが納得したCAを締結するようにしましょう。
弊社みつきコンサルティングは、税理士法人グループのM&A仲介会社として15年以上の業歴があり、中小企業M&Aに特化した経験実績が豊富なM&Aアドバイザーが多数在籍しております。 みつき税理士法人と連携し税務的観点からのアドバイスも可能です。また、士業のネットワークを活用し、提携の弁護士事務所との協業で、M&A・税務・法務などワンストップで対応可能ですので、M&Aをご検討の際は、みつきコンサルティングに是非一度、ご相談ください。
著者
-
人材支援会社にて、海外人材の採用・紹介事業のチームを率いて新規開拓・人材開発に従事。みつきコンサルティングでは、強みを生かし人材会社・日本語学校等の案件を中心に工事業・広告・IT業など多種に渡る案件支援を行う。
監修:みつき税理士法人
最近書いた記事
- 2024年11月13日事業承継での転廃業支援|SBI新生銀行グループが支援するM&A型廃業とは
- 2024年11月13日銀行系投資会社とは?事業承継の新たな選択肢!特徴や注意点を解説
- 2024年11月10日M&Aに利用できる減税措置「経営資源集約化税制」の内容・適用要件
- 2024年11月3日個人事業主の廃業届の提出時期|書き方・手続・注意点・休業とM&A