専門学校の売却|株式のない学校法人の理事交代と定員充足率、M&A事例

専門学校の売却は、運営する法人の形で手法が分かれます。株式のない学校法人は理事の交代で、株式会社立なら株式譲渡で経営を引き継ぎ、在校生と教職員の居場所を残せます。評価を支えるのは、学科ごとの定員充足率と国家試験・就職の実績。後継者や学生募集に悩む理事長・オーナーに向けて、手法と価格の考え方、学校法人の承継事例を解説します。

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目次
  1. 留学生の急増と創業理事長の高齢化、いまの専門学校に起きていること
    1. 学校は1年で18校減り、高卒者の専門学校進学率も低下
    2. 在学者のおよそ5人に1人は留学生、それ以外の学生は減少
    3. 専門学校の理事長・オーナーが売却を考え始めるきっかけ
    4. 専門学校を譲り受けたいのはどんな法人か
  2. 株式のない学校法人で経営権が移る仕組みと設置者変更
    1. 理事会の過半数を入れ替える理事交代
    2. 改正私立学校法で変わった理事の選び方
    3. 学校ごとに移す設置者変更と、学校法人どうしの合併
    4. 株式会社立の専門学校・各種学校は株式譲渡で引き継ぐ
  3. 学科ごとの定員充足率と国家試験の合格実績で動く専門学校の評価
    1. 株価のない学校法人にも使える年買法の考え方
    2. 評価を上げる数字、下げる数字
    3. 理事長個人の校舎と退職金、対価をどう線引きするか
  4. 養成施設の指定と留学生の在籍管理、専門学校の売却で見落としやすい論点
    1. 看護師等養成所などの指定は設置者に結びつく
    2. 日本語教育機関認定法と留学生の在籍管理
    3. 翌年度の学納金と、在校生を卒業まで送り出す約束
  5. 後継者不在と園児の減少から、新しい役員陣へ経営を引き継いだ学校法人の売却事例
    1. 承継先を探し始めた理由
    2. 理念とノウハウを次の世代へ渡すために
    3. 新しい役員陣のもとで進む変化
  6. 理事長・オーナーから見た専門学校売却のメリット・デメリット
    1. 募集停止から学校の廃止までにかかる時間と負担
    2. 譲渡オーナーの得失を一覧で比べる
  7. 専門学校の会社売却に関するFAQ
  8. 専門学校の理事交代と売却相談先選び
    1. 専門学校の会社売却の関連コラム
M&Aの基本や会社売却の進め方を電話相談|0120-169-256・24時間受付

株式を持たない学校法人を、どうやって次の担い手へ引き継ぐのか。本記事は、専門学校の会社売却を考える理事長・オーナー経営者に向けて、この問いを出発点にまとめました。理事会の入替えと所轄庁への手続、看護や美容の養成施設の指定、留学生の在籍管理、理事長個人が持つ校舎の扱いなど、売却の場面で実際に問われる論点を掘り下げます。

留学生の急増と創業理事長の高齢化、いまの専門学校に起きていること

在学者は増えているのに、学校の数は減り続けています。理事長や経営者がM&Aを考え始める背景には、この食い違いがあります。

学校は1年で18校減り、高卒者の専門学校進学率も低下

文部科学省「学校基本調査」によると、2025年度の専門学校は2,658校で、前年度から18校減りました。在学者は56万9,107人と1万852人増え、2026年度の速報値でも58万人と伸びが続いています。それでも、高校卒業者のうち専門学校へ進んだ割合は14.4%で、前年度から0.7ポイント低下。国内の若い世代の進学先として、専門学校が選ばれる力はむしろ弱まっているのが実情です。

在学者のおよそ5人に1人は留学生、それ以外の学生は減少

在学者の伸びを生んでいるのは、留学生。日本学生支援機構「外国人留学生在籍状況調査」では、2025年5月時点で専修学校の専門課程に在籍する留学生は10万6,829人と、1年で39.8%増えました。在学者のおよそ5人に1人にあたる規模です。2つの調査を単純に差し引くと、留学生を除く学生はおよそ2万人減った計算に。同じ専門学校でも、日本人の高校生を集める学科と留学生が中心の学科とでは、抱える課題がまるで違ってきます。

専門学校の理事長・オーナーが売却を考え始めるきっかけ

売却の相談で耳にする事情をたどると、多くは人・学生・建物・制度の悩みが重なり合っています。開校から30年、40年を迎えた学校ほど、そのすべてが同じ時期に押し寄せがち。どれか1つなら自力で乗り越えられても、いくつも重なれば話は変わります。経営に余力があるうちに、社外の第三者への事業承継を選択肢の1つに加える理事長も増えてきました。代表的なきっかけは、次のとおり。

創業理事長の高齢化と身内で固めた理事会

創業者が理事長と校長を兼ね、配偶者や子が理事に名を連ねる学校法人は珍しくありません。子が別の道に進んでいれば、教育への見識と学校経営の両方を担える後継者は、簡単には見つからないもの。理事会が身内中心のまま理事長が70代を迎え、評議員や監事の顔ぶれも長く同じ。そうした法人こそ、早めに準備を始めるほど選べる道が広がります。

学科の定員割れと修学支援新制度の確認

高等教育の修学支援新制度で授業料の減免や給付型奨学金を受けられるのは、対象校として確認を受けた学校の学生に限られます。2025年度からは、子を3人以上扶養する世帯の学生も所得を問わず減免の対象に。ところが専門学校では、在籍学生が収容定員の5割に届かない状態が直近3年度続くと、原則として確認を外れます。定員割れが募集の足を引っ張る悪循環に陥りかねません。

実習室や校舎の更新と設備投資の重さ

看護の実習室、調理や製菓の厨房、美容のサロン設備、ITの演習用機材。専門学校の教育は、実習のための設備に支えられています。開校当時の校舎で耐震改修や空調の入替えが重なり、カリキュラムの改定に合わせた機材の買替えも続けば、自己資金だけで賄うのは難しくなる一方。大規模な修繕を先送りしてきた学校ほど、資本力のある相手との統合が現実的な選択肢に映ります。

改正私立学校法と単位制への移行で増える事務

制度への対応も重みを増すばかり。2025年4月施行の改正私立学校法を受け、学校法人は理事の選び方や評議員会の構成を新しい決まりに合わせ、寄附行為を改めました。2026年4月からは改正学校教育法により、専門課程の単位制への移行や特定専門課程の新設も始まっています。学則や規程の手直しを数名の事務職員で担う小さな法人には、こうした改正の積み重ねが重くのしかかるところ。

専門学校を譲り受けたいのはどんな法人か

まず挙がるのは、学科を補い合い地域の拠点を増やしたい、同じ分野の専門学校や大学を持つ学校法人です。看護やリハビリ、介護の養成校には、人材を育てる場を自前で持ちたい医療法人や社会福祉法人の関心が集まりがち。美容や調理、IT、自動車整備では、業界の企業が将来の担い手を確保するために名乗りを上げます。株式会社立の学校なら、教育事業の会社や投資ファンドも候補に。学校法人の事情に明るいM&A仲介を通じて複数の相手を比べれば、理念の合う相手に出会いやすくなります。

▷関連:教育・福祉業界のM&A|少子化と介護報酬改定下の譲渡価格と事例

株式のない学校法人で経営権が移る仕組みと設置者変更

「学校法人は誰のものでもないから、売りようがない」。そう考えて承継を先送りする理事長は少なくありません。実際には、経営を次へ渡す道がいくつか用意されています。

理事会の過半数を入れ替える理事交代

学校法人には、株式も出資の持分もありません。経営の舵を握るのは理事会で、その過半数を譲受側が推す人に入れ替える「理事交代」が、最もよく使われる方法です。専修学校や各種学校だけを設置する準学校法人でも、考え方は同じ。学校の設置者である法人は変わらないため、専門学校の設置認可や養成施設の指定は原則としてそのまま続きます。所轄庁へ役員の変更を届け出て、理事長の交代は登記にも反映。退任する理事長や理事に支払う退職金が、実質的な対価の中心です。

改正私立学校法で変わった理事の選び方

2025年4月施行の改正私立学校法は、理事交代の段取りにも影響します。理事は、寄附行為で定めた理事選任機関が評議員会の意見を聴いて選ぶ仕組みとなり、理事長は理事会が選定。理事と評議員の兼職は禁じられ、評議員に占める職員などの割合にも上限が設けられました。監事の選任も評議員会の決議事項。理事長どうしの合意だけでは手続が完結しないため、各機関の開催日から逆算した日程と、評議員へ説明する順番を前もって組み立てておきます。

学校ごとに移す設置者変更と、学校法人どうしの合併

複数の学校を持つ法人が一部の専門学校だけを手放すときや、株式会社が営む学校を事業譲渡で他の法人へ移すときは、学校の設置者を替える「設置者変更」となります。学校教育法にもとづき都道府県知事の認可が必要で、多くは私立学校審議会に諮られるため、審議会の開催時期に日程が縛られがち。学校法人どうしなら合併も選べますが、こちらも所轄庁の認可が条件です。設置者変更では校地・校舎や教職員の雇用、学生との在学契約をひとつずつ移し、合併なら権利と義務がまとめて存続法人へ移ります。

株式会社立の専門学校・各種学校は株式譲渡で引き継ぐ

株式会社が設置する専門学校や各種学校で、オーナーが会社を売りたいと考えたときは、持ち株を売る株式譲渡で経営を引き継げます。設置者は会社のままなので、認可も指定も会社に残るのが強み。ただし学校教育法は、法人が専修学校を設置する場合、経営を担う役員に専修学校を経営するための知識や経験を求めています。役員の顔ぶれが替わるなら、所轄の都道府県へ届出や事前の相談が要るかを確かめておきたいところ。下表に、4つの手法の違いをまとめました。

手法使える運営主体学校の設置者所轄庁の主な手続譲渡オーナーが受け取るもの
理事交代学校法人・準学校法人変わらない役員の変更の届出
理事長の交代の登記
退任する理事長・理事の退職金
理事長個人が持つ校地・校舎の売買代金など
設置者変更学校法人・株式会社など新しい設置者に替わる都道府県知事の認可
養成施設の指定の取り直しなど
資産の対価は設置者の法人に入る
学校法人では個人の手取りにならない
合併学校法人どうし存続する法人に一本化所轄庁の認可合併そのものの対価はない
退任する役員の退職金で報いる形が中心
株式譲渡株式会社立の専門学校・各種学校変わらない経営を担う役員の変更に伴う届出や相談株式の譲渡代金

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学科ごとの定員充足率と国家試験の合格実績で動く専門学校の評価

法人全体の決算書だけを手に面談へ臨み、学科ごとの入学者数を問われて言葉に詰まる場面は、専門学校の売却でよく見かけます。

株価のない学校法人にも使える年買法の考え方

中小企業のM&Aで最もよく使われるのが年買法(年倍法)です。時価純資産(資産と負債を時価で見直した差額)にのれん(数年分の利益)を加えて目安を出す方法で、式にすると時価純資産+のれん。株式会社立の学校なら、これがそのまま株価の目安になります。株式のない学校法人でも、学校の事業にどれほどの価値があるかを測る物差しとして使え、その額を退職金や不動産の対価へどう振り分けるかを話し合う出発点に。DCF法などは補助的に用いる程度です。

評価を上げる数字、下げる数字

譲受側が最初に求めるのは、学科ごとに分けた数字です。法人全体で黒字でも、ある学科の定員割れが続いていれば、その学科の先行きが価格から差し引かれます。下表は、専門学校の評価でよく見られる視点と、評価が上がる状態・下がる状態を並べたもの。修学支援新制度の確認や職業実践専門課程の認定のように、取り直すと年単位の時間がかかるものは、学生を集める力の裏づけとして重く見られます。3〜5年分の推移をそろえておくと、企業価値評価の場でも説明がぶれません。

評価の視点評価が上がる状態評価が下がる状態
学科ごとの入学定員充足率主力の学科が高い充足率を保ち、推移も安定している一部の学科で5割前後の充足が続いている
中途退学率1年次の退学が少なく、補習や面談の仕組みがある退学者が多く、理由の記録が残っていない
国家試験の合格率と就職率全国平均を上回り、地元の就職先とのつながりが太い年によるぶれが大きく、実績の集計方法があいまい
留学生の比率と在籍管理出席や資格外活動の記録が整い、出身国も分散している特定の国や学科に偏り、管理の記録が欠けている
修学支援新制度の確認と職業実践専門課程の認定確認と認定を毎年度続けて受けている経営要件を満たせず、確認を外れた
校地・校舎法人の所有か長期の賃貸借で、耐震化も済んでいる理事長個人の所有で賃料の根拠が不透明、大規模修繕も先送り

理事長個人の校舎と退職金、対価をどう線引きするか

専門学校では、校舎の土地や建物を理事長個人や同族の会社が持ち、法人に貸している例が少なくありません。譲受側はこの不動産を買い取るか、賃貸借を結び直すかを選び、その代金が退職金と並ぶ対価の柱に。ただし私立学校法は、学校法人が役員などの関係者に特別の利益を与えることを禁じています。退職金は支給の基準に沿った額、不動産は時価を根拠にした価格であることが前提。理事長の手取りを優先して金額を寄せると、承継後に所轄庁から問題視されかねません。

みつきコンサルティングでは、専門学校の事業価値を年買法で示したうえで、退職金、校舎の売買、賃料の見直しをどう組み合わせるかを、税金を差し引いた手取りまで並べて比べます。退職金は退職所得として扱われれば課税が軽くなり、不動産を売れば譲渡所得として課税される仕組み。組合せしだいで、同じ総額でも理事長の手元に残る額は変わってきます。支給の基準や時価との整合もあわせて点検し、所轄庁へ説明できる形に整えるのが、税理士法人グループのM&A仲介会社としての役割です。

養成施設の指定と留学生の在籍管理、専門学校の売却で見落としやすい論点

在校生は、売却のあとも同じ学校で卒業できるのでしょうか。答えは手法と準備しだい。指定や在籍管理の扱いを誤れば、しわ寄せは学生に及びます。

看護師等養成所などの指定は設置者に結びつく

看護師や理学療法士、美容師、調理師など、国家資格の取得につながる学科の多くは、養成施設として行政庁の指定を受けています。この指定は設置者に結びつくため、設置者が替わる手法では受け直す手間が生じます。大阪府の看護師等養成所の手続では、設置者だけを変える場合も、指定の取消しを申請したうえで指定を申請し直す扱い。書類は開設の前年7月末までに出すため、1年以上前からの準備が欠かせません。専任教員の人数にも基準があり、退職者が出れば要件を割り込むおそれも。

支援現場では、看護や理学療法の養成施設を抱える専門学校ほど、設置者を変えない理事交代を軸に組み立てるよう勧めています。指定や実習施設との取り決め、職業実践専門課程の認定を、学生募集を止めずに次の体制へ移せるため。設置者変更を選ばざるを得ないときは、所轄の都道府県と養成施設の指定権者の双方へ並行して事前相談を入れ、認可と指定の日付がずれない日程を引きます。行政書士とも連携し、申請書類の準備まで伴走するのが当社のやり方です。

日本語教育機関認定法と留学生の在籍管理

留学生の多い学校では、デューデリジェンス(譲受前の調査)で在籍管理の記録が調べられます。出席の状況や資格外活動の把握、除籍者の出入国在留管理庁への報告。東京都の管理指針は、専門学校の留学生の入学許可者数を原則として全学科の入学定員の合計の2分の1以内とし、超える受入れに条件を付けています。日本語教育機関認定法により、専ら日本語教育を行う課程で留学生を受け入れるには認定が要件となり、経過措置は2024年度から5年間。日本語学科を持つ学校は、移行の見通しを問われます。

翌年度の学納金と、在校生を卒業まで送り出す約束

見落としやすいのが、3月までに受け取る翌年度の授業料などの学納金です。授業をしていない分は前受金として負債に計上され、譲受後にその教育を行う義務がついて回ります。入学を辞退した学生への返還の規程と、過去の返還の実績も確かめられる項目。設置者変更や合併で学校の担い手が替わるときは、在校生が修業年限を終えるまで学べる体制を示すことが、所轄庁の審査でも、学生や保護者の信頼を保つうえでも土台になります。

後継者不在と園児の減少から、新しい役員陣へ経営を引き継いだ学校法人の売却事例

類似業種の譲渡事例として、関東で幼稚園を運営する学校法人の承継を紹介します。専門学校と同じく、株式のない学校法人のケースです。

学校法人による幼稚園運営のM&A・事業承継事例をイメージした園舎の模型

承継先を探し始めた理由

1970年代に設立された学校法人Sは、地域に根ざした幼稚園を長く運営してきました。売上は約3,000万円。70代の経営者は、後継者の不在と園児の減少を理由に、園を引き継ぐ方法を探っていました。

理念とノウハウを次の世代へ渡すために

重視したのは、教育理念と運営のノウハウを次の世代へ渡すこと、そして入園児を増やすことでした。役員の役割が円滑に引き継がれるよう配慮し、みつきコンサルティングの支援のもと、2024年10月に成約。相手は、事業の領域を広げたい関東の保育園運営法人Kです。

新しい役員陣のもとで進む変化

職員の雇用と地域との関係は保たれ、特色ある教育活動も続いています。新しい役員陣は、認定こども園への移行に向けた環境整備や行政との調整、カリキュラムの作成に取り組んでいます。

【インタビュー全文】後継者不在と園児の減少に向き合った学校法人が、幼稚園の承継に踏み切った経緯を読む

理事長・オーナーから見た専門学校売却のメリット・デメリット

学生の募集を止めても、学校はすぐには閉じられません。最後の学年が卒業するまで、2年、3年と授業を続ける責任が残ります。

募集停止から学校の廃止までにかかる時間と負担

募集を止めた翌年度から、入学金と新入生の授業料は入ってこなくなります。それでも在校生が修業年限を終えるまでは、養成施設の基準を満たす教員と実習の場を保たなければなりません。学年が減るたびに収入は細り、固定費の重さが増していくのが実情。学校の廃止には都道府県知事の認可が必要で、法人を解散すれば、残った財産は寄附行為で定めた他の学校法人などに帰属し、理事長の手元には戻りません。体力が残るうちの売却なら、学校も財産も次の担い手のもとで生かせます。

譲渡オーナーの得失を一覧で比べる

売却で得られるのは、学校の存続だけではありません。一方で、学校法人ならではの制約も残ります。専門学校を売却する譲渡オーナーのメリットとデメリットは、下表のとおり。デメリットの多くは、交渉と準備で和らげられます。たとえば理事長や校長に求められる残留の期間は、役割と報酬を契約で明確にすれば、引継ぎの不安を減らす時間にもなるはず。評議員や監事を引き受けてくれた地域の方々への説明も含め、学校法人の承継に慣れた仲介会社と早めに段取りを描いておくのが得策です。

譲渡オーナーのメリット譲渡オーナーのデメリット
在校生が卒業まで学べる
転学や退学を生まず、学校の名前と教育を次の世代へ残せます。
対価の形に制約がある
学校法人には株式の代金がなく、退職金や不動産の対価が中心になります。
教職員の雇用が続く
専任教員や実習の指導者が、待遇を保ったまま働き続けられます。
認可や審議会の日程に縛られる
設置者変更では、私立学校審議会の時期に合わせて成約が先に延びることも。
創業者として報われる
支給の基準に沿った退職金や、校舎の売買代金を受け取れます。
学費やカリキュラムが変わる
グループの方針で学費や科目が変わり、在校生や卒業生の受け止めが割れる場合があります。
保証や担保の負担を下ろせる
法人の借入れに付けた個人の保証や担保を、外す交渉ができます。
理事長・校長の残留を求められる
引継ぎのため、一定期間は役職にとどまる条件が付くのが一般的です。
学生募集の力が増す
グループの高校訪問や広報、留学生の募集網を使えます。
過去の課題が表に出る
留学生の在籍管理や教員数の不足が調査で見つかると、条件の再交渉につながります。
設備と制度対応を任せられる
校舎の改修や実習機材の更新、規程の改正対応を、グループの資本と人材で進められます。
評議員・監事の入替え
地域の協力者に退任をお願いする場面があり、丁寧な説明が要ります。

よくある相談のひとつが、校舎を建てた際の借入れに、理事長が個人で連帯保証をしているケースです。理事交代で経営から退いても、保証が自動で外れることはありません。現場では、基本合意の段階で譲受側の信用力を示す資料を整え、取引のある金融機関へ保証の解除か差替えを打診。理事長個人の土地が担保に入っていれば、売買や賃貸借の結び直しとあわせて扱いを決めます。調整を後回しにすると、成約の日に保証だけが残る事態を招きかねません。

M&Aが成立した場合のみ、譲渡対価に応じた手数料を頂戴します。
売主様は、ご成約まで費用負担なくスタートできます。


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専門学校の会社売却に関するFAQ

理事長やオーナーとの面談で、専門学校ならではの話題として持ち上がりやすい質問を集めました。

Q:理事長を退いたあとも、校長として学校に残れますか?

残る形はよくあります。設置する学校の校長は理事に加わる仕組みのため、理事長を退いても理事会に席が残ることも。ただ、退職金を受け取りながら役員として実質的に経営を続けると、税務上は退職と扱われないおそれがあります。現場では、校長としての職務と報酬、理事長の権限から外れる範囲を、契約の前に書面で決めておきます。

Q:看護学科の臨地実習を受け入れてくれる病院との関係は、売却後も続きますか?

理事交代なら設置者は変わらず、実習の受入れの取り決めも基本的には続きます。気をつけたいのは、譲受側が別の医療法人グループの場合。受入れ先の病院が、自院の採用への影響を気にして条件の見直しを求めることがあります。実習施設を変えるには養成所の指定権者の承認が要るため、主な受入れ先には基本合意のあとに方針を伝え、協力の継続を確かめます。

Q:卒業生の卒業証明書や成績証明書は、売却後も発行できますか?

経営の担い手が替わっても、学校が続く限り学籍の記録は学校に残り、証明書の発行も続けられます。注意したいのは、統合で校名が変わったり学科を閉じたりする場合です。旧校名での証明の出し方や問い合わせ先を、卒業生へ告知しておくと安心。学校そのものを閉じるなら、記録の保存と発行の引受け先を所轄庁と詰める必要があります。

Q:学校法人の決算書にある基本金は、評価でどう見られますか?

基本金は純資産の大きな部分を占めますが、多くは校地・校舎などに姿を変えた額で、自由に使える資金を示すものではありません。財務デューデリジェンスで注目されるのは、経常収支差額の推移と、手元の資金から借入金などを差し引いた余力、校舎の建替えに備えた積立ての有無。専門学校の売却を支援するみつきコンサルティングでは、学校法人会計の数字を、譲受側が比べやすい形に置き換えて示します。

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専門学校の理事交代と売却相談先選び

学校法人なら理事交代、株式会社立なら株式譲渡。専門学校の売却はこの2つが基本で、設置者を替えるなら認可と指定の取り直しが伴います。価格の決め手は、学科ごとの定員充足率と合格・就職の実績、留学生の在籍管理。在校生の卒業を見届けたい思いと先行きへの不安、その両方を抱えたままでも、相談は始められるもの。

みつきコンサルティングは、税理士法人グループに属する財務・税務に強いM&A仲介会社で、中小企業のM&A仲介の実績経験が豊富です。M&Aに特化した専門スタッフが、学校法人会計や退職金の税務まで踏まえ、仲介会社選びに迷う段階からお話を伺います。専門学校の会社売却なら、みつきコンサルティングへ。

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著者

田原 聖治
田原 聖治事業法人第一部長/M&A担当ディレクター
みずほ銀行にて大手企業から中小企業まで様々なファイナンスを支援。みつきコンサルティングでは、各種メーカーやアパレル企業等の事業計画立案・実行支援に従事。現在は、IT・テクノロジー・人材業界を中心に経営課題を解決。M&Aの成約実績多数、M&A仲介・助言の経験年数は10年以上
監修者 神門 剛 代表取締役 / 公認会計士・税理士

みつきコンサルティングは、中小企業の会社売却・事業承継に特化した譲渡企業様に完全成功報酬制のM&A仲介会社です。売り手と買い手企業の最適なマッチングを、経験豊富なM&Aコンサルタントが初期相談から成約まで一貫してフルサポートします。

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