55歳・56歳・57歳でリタイア?早期退職の必要資金・貯蓄・実例

55歳、56歳、57歳と定年が近づく年齢で、早期退職や早期リタイアを検討する人は少なくありません。本記事では、早期リタイアに要する資金や貯蓄についてまとめ、それぞれの年齢における早期リタイアの資金や実例を紹介します。

早期退職(アーリーリタイア)とは?

早期退職とは、定年を迎える前に退職することを指します。この概念は「アーリーリタイア」や「早期リタイア」とも言われます。一般的に正規雇用の定年は60歳または65歳ですが、早期退職とは50歳や55歳など、規定の定年よりも早く退職し、その後自由な生活を送ること指すのが一般的です。

日本の労働状況は多様化し、さまざまな収入源が提供されるようになりました。それに伴い、定年前に必要な生活資金を稼ぎ、早期退職して自由な時間を楽しむ考え方が注目されています。特に生活資金を稼ぎやすい経営者や投資家に多い傾向があります。

早期退職後の過ごし方は多種多様で、趣味に没頭する、世界旅行に出かける、田舎で農業を始めるなど、仕事から離れて自分のやりたいことを叶えることができます。生活のほとんどを仕事に費やしてきた経営者こそ、リタイア後の生活を謳歌したいという意向も少なくありません。しかし、早期退職を実現するには、退職前に多額の資金を貯める必要があり、若いうちに実現可能な人材は限られています。

早期退職に必要な資金は?

早期退職(アーリーリタイア)に必要な資金の内訳は以下の通りです。

  • 早期退職後の生活費

日本人の平均寿命は女性が87.74歳、男性が81.64歳です(2020年)。退職時期を50歳、寿命を90歳と仮定すると、40年間の生活費が必要になります。

単身世帯での平均支出額は14万4687円、夫婦二人世帯は25万5550円です。これらの生活費として、55歳から年金がもらえる65歳までの10年間で必要な資金は以下の通りです。

  • 単身者:14万4687円×12ヶ月×10年=1,736万2,440円
  • 夫婦二人世帯:25万5550円×12ヶ月×10年=3,066万6,000円

65歳以上になれば年金がもらえますが、高齢単身無職世帯では月に平均で12万1000円、夫婦二人世帯では21万9,000円が支給されます。毎月の支出に対して、年金受給額だけでは充分とは言えず、預金を切り崩すことになります。

また、これらの家計収支の内訳は生活費に焦点を当てており、緊急に必要な費用には触れられていません。持ち家のメンテナンス費や賃貸更新料、高齢者住宅に住み替える費用などは別途まとまった資金が必要です。

総じて、早期リタイアを実現するには、退職前に十分な資金を貯めることが重要です。検討されている方は、自分の生活スタイルや必要な資金を計算し、計画的に資産形成に取り組むことが求められます。労働者ではそれらの資金を貯めることは現実的には困難であり、経営者や投資家など資本家でないと十分な資金を貯めることが出来ないといえます。

早期退職のメリットとデメリット

早期退職(アーリーリタイア、早期リタイア)を成功させるためには、十分な貯蓄と入念な準備が重要です。早期にリタイアすることは難しいですが、その分多彩なメリットが得られます。一方でデメリットも存在するため、注意が必要です。

以下では、早期退職のメリットとデメリットをそれぞれ4つずつ紹介します。

早期退職のメリット

  • 時間を自由に使える
  • 居住地を自由に選択できる
  • 仕事のストレスを感じずに済む
  • 趣味や人生の可能性が広がる

それぞれのメリットについて、以下で説明します。

時間を自由に使える

早期退職の大きな魅力は、時間を自由に活用できる点です。会社員であれば、1日の大部分は仕事に費やすことになります。しかし、早期にリタイアすれば、1日を自分の思うままに使えます。好きな時間に寝るだけでなく、趣味に専念することも可能です。経営者であっても取引先や従業員に時間を合わせる必要がある為、リタイア前は決して自由とはいえないでしょう。

居住地を自由に選択できる

早期退職を実現すれば、仕事の都合を考慮せずに居住地を選ぶことができます。たとえば、生活費を節約するために物価の安い地域に移住したり、農業に挑戦するために田舎へ引っ越したり、海外で暮らすことも夢ではありません。リモートワークが普及しつつありますが、業務を行う上で一定数対面でのコミュニケーションが発生することも多く、リタイアせずに居住地を自由に選択する事は中々難しいのが実情です。

仕事のストレスを感じずに済む

早期退職によって仕事から解放されれば、仕事に関するストレスもなくなります。特に会社勤めでは、人間関係や仕事のプレッシャーがストレスの原因となることが多いですが、早期退職でそれらのストレスから解放されます。仕事上の業務や付き合う人を自身の意思で取捨選択できる為、ストレスを感じる環境に身を置く必要がありません。

趣味へのチャレンジなど人生の可能性が広がる

早期退職を実現することで、自分の興味を追求したり新しいことに挑戦する時間が確保できます。仕事に追われる毎日から解放されることによって、自分の時間や精神的余裕が大きく増えるため、新たな趣味や資格取得等、人生の可能性が広がります。

早期退職のデメリット

  • 孤独感や時間を持て余すことがある
  • 年金額が減少し、資金不足に陥る恐れがある
  • 福利厚生を受けられなくなる
  • 社会的信用度が低下し、再就職が困難になる

これらのデメリットについて、詳しく解説します。

孤独感と時間の持て余しに悩むことがある

早期退職直後は、自由な1日を過ごす喜びや充実感があります。一方で、人間関係が希薄になり、次第に社会から疎外されたような感覚に陥ることがあります。働いている元同僚や友人を見ると、孤独感が募り、忙しかった日常が恋しくなることもあり得ます。また、することがなくなり暇を感じると、虚無感に陥ることもあり得るため、働いていた頃のやりがいや達成感が得られず、承認欲求が満たされず辛さを感じることもあるでしょう。

早期退職後の生活を充実させるためには、リタイア後にどんな生活を送りたいかを明確にし、目標を設定することが重要です。そのためにリタイアの時期と照らし合わせて事前に準備をすることが望ましいです。

年金が減り、資金不足に陥る可能性がある

定年前の早期退職では、将来の厚生年金の受給額が減少してしまいます。会社員時代に支払うのは国民年金と厚生年金ですが、退職後は国民年金のみの支払となり、早期退職をしなかった場合に比べて受給額は減額されてしまします。早期退職で基本的な収入がなくなるため、退職金や貯金、年金で生活費を工面しなければなりません。しかし、事故や病気、予測できないトラブルが発生し、予期せぬ支出があると資金が底をつくリスクがあります。

資金不足に陥らないために、しっかりとした資金計画を立て、収入源を確保する方法も検討しましょう。リタイア前に不動産投資を行うなどリタイア後のキャッシュフローを意識した事前準備が必要です。

会社員の福利厚生が享受できなくなる

早期退職で会社を辞めると、従来利用していた福利厚生や保障がなくなります。福利厚生は、社員の健康で充実した生活をサポートする機能です。福利厚生や保障としては以下のようなものがあります。

  • 健康保険・介護保険
  • 家賃補助・住宅手当
  • 健康診断費用の補助
  • 病気やけがの際の手当
  • 旅行やレジャー施設の優待

特に、住宅費や医療費については、自己負担が増える点に注意が必要です。福利厚生が受けられなくなることを考慮し、資金計画を立てることが大切です。

社会的信用度が低下し、再就職が難しくなる可能性がある

早期に退職をすると、無職になることから社会的信用が低下することがあります。その結果、クレジットカードやローンの審査、賃貸契約時の審査が厳しくなることがあります。さらに、資金不足や元の生活を求めて再就職を希望した場合、職歴や経歴のブランクがネックとなり、就職が困難になる場合があります。特に年齢が高いほど、再就職が難しくなる傾向があります。

再就職の可能性を考慮するなら、早期退職よりもセミリタイアがおすすめです。何らかの仕事を続けて職歴や経歴に空白を作らないことが重要です。

セミリタイアと完全リタイアの違い

アーリーリタイアと似ているが、異なるのが「セミリタイア」です。違いは、セミリタイアでは早期退職後も一定の収入があることです。アルバイトやフリーランスなどで働くことで収入を確保し、生活を送ります。経営者の場合は経営顧問や業務委託による専門性の高い業務をリタイア前により負荷を軽くし行うケースも多いです。

このため、資産形成の準備がアーリーリタイアよりも少し楽になります。

早期引退を目指す人の特徴

早期引退(アーリーリタイア)に適した人は以下のような特徴を持っています。

  • M&Aや投資で資産を築いた人
  • 早い段階からライフプランを明確に描いている人

アーリーリタイアに成功するためには、十分な貯蓄や資産が重要です。その上で、早い段階でライフプランを立て、実行に移せる行動力や問題解決能力も欠かせません。

早期引退を実現する手順

早期引退(アーリーリタイア)を実現するためには、以下の手順が必要です。

  1. 資産形成計画を立てる
  2. 資産運用方法を選択する
  3. 引退後の生活費を計算し、そのための資産を確保する

資産運用方法や生活費の計算を行い、それぞれの段階で計画を調整していくことで、アーリーリタイアを実現することが可能となります。

90歳までの必要資金を詳細にシミュレーションする

年金受給前と受給後では、必要な資金が大幅に違います。まずは90歳までの生活費を緻密にシミュレーションし、実際にどれくらいの資金が必要か把握しましょう。ファイナンシャルプランナー等のプロの手を借りることもお勧めです。

資金調達方法を検討・実行する

資産が必要資金のシミュレーション結果に満たない場合、資金調達方法を検討しましょう。NISAやiDeCoなどの節税投資制度、リバースモーゲージやリースバックなどの不動産活用方法があります。

  • NISAで節税しつつ資産を増やす
  • iDeCoで老後資金を確保
  • リバースモーゲージで住み慣れた家に住み続ける
  • リースバックでまとまった資金を得る

55歳での早期退任を考える

この記事では、実際の事例に基づき、55歳でアーリーリタイアする場合のメリットや課題を解説します。

実例紹介

55歳で早期リタイアを決断した男性Aさんのケースです。理由は、持病の治療と家族との時間を大切にするためでした。Aさんは早期リタイア後も旅行を楽しみたいと考え、セミリタイアの選択肢も視野に入れました。早期退職割増金と投資信託による収入を活用し、55歳で実現しました。

生活費の見直し

Aさんは、リタイア前に55歳から60歳までの月々の生活費を27万円と見積もっていました。しかし、実際の生活費は予想以上でした。これは、行動範囲が広がったことと、お酒代を考慮していなかったためです。

時間を持て余すリタイア生活で余計な出費が増えるため、引き続き生活費の抑制が必要と語っています。

リタイア後の満足度

Aさんは金銭面で予想通りには進まなかったものの、家族との関係が深まり、生活満足度は非常に充実していると感じています。

資金面でのポイント

早期リタイアする際の資金面で注意すべきポイントとして、まだ若い年齢であるため、余暇活動にかかる費用などを検討することが重要です。また、お酒を楽しむ場合、リタイア後は飲酒の機会が増えることに注意が必要です。資金面でもゆとりを持つことが大切です。

必要な資金額

日本人の平均寿命(女性87.32歳・男性81.25歳)を基に、55歳で早期リタイアが必要とする資金額を算出します。

  • 最低限の生活: 月々の生活費が22万円。必要な金額は約7,700万円。
  • ゆとりのある生活: 月々の生活費が30万円。必要な金額は約1億500万円。
  • 余裕を持つ生活: 月々の生活費が35万円。必要な金額は約1億2,200万円。

年金や貯蓄、退職金、不労所得などでどれくらいまかなえるかが、リタイア後の生活の鍵となります。

早期退任を56歳で決断する例

今回は56歳でセミリタイアを決断するケースについて、実際の例をもとに解説します。IT企業で働いていた男性Bさんが56歳で早期退職をした後、タクシードライバーとして新たな人生を歩み始めるケースに注目してみましょう。

実例紹介

IT企業を早期退職したBさんは、完全リタイアには向かわず、介護タクシー分野でタクシードライバーとして再出発しました。そのため、56歳で早期退職後、第二種運転免許および介護ヘルパー資格を取得しました。しかし、介護タクシーの需要が予想以上に高く、Bさんには思いもよらぬ重労働になってしまいました。忙しい毎日を送っており、時間に余裕を持つ生活にはなりませんでした。それでも、Bさんは仕事で「ありがとう」という言葉にやりがいを感じることができました。IT企業で働いていた頃とは違い、人との触れ合いから満足感を得られています。生活費に関しては、介護タクシードライバーとしての収入が想定以上に多かったことから、困ることはありませんでした。一方で、石油高騰など経費が予想以上にかさみ、早期リタイアのリスクとして考慮する必要があると感じています。

56歳の早期リタイアに必要な資金を以下のようにまとめました。これらは、厚生労働省が発表した「平成30年簡易生命表の概況」に基づき、2018年の日本人の平均寿命(女性87.32歳・男性81.25歳)の平均値(84.285歳)を考慮しています。

  • 最低限の生活費:56歳で早期リタイアし、毎月22万円の生活費が必要とされる場合、約7,400万円が要るとされています。
  • 少しゆとりがある生活:56歳で早期リタイアし、毎月30万円の生活費が必要とされる場合、約1億100万円が必要とされています。
  • 余裕を持つ生活:56歳で早期リタイアし、毎月35万円の生活費が必要とされる場合、約1億1,800万円が必要とされています。

これらの全体額のうち、どれだけの額を年金や貯蓄、退職金、不労所得で賄えるかがポイントになります。

以上の内容から、56歳でセミリタイアを検討する際には、今後の生活費や予想外の経費、再就職後の仕事内容など、さまざまな点を考慮することが大切だと言えます。

早期退任を57歳で実現するアーリーリタイアの事例

今回紹介するケースは、57歳でアーリーリタイアを果たした男性Cさんについてです。

実例紹介

Cさんは商社を57歳で退職し、タイへ移住しました。47歳の頃から貯金を始め、57歳になった時点で1,700万円を貯めていたそうです。退職金として2,800万円を受け取りましたが、それでもアーリーリタイアに必要な資金としては少ないと言えます。現在タイで無職のCさんは、貯金を切り崩しても十分に暮らせています。物価の安い東南アジア地域に住むことで月10万円の生活費で足りており、自由な時間を持て余すほどの余裕がある生活を送っています。早期リタイアの成功要因として独身であることが挙げられます。家族がいる場合、その選択肢は変わってくるでしょう。

資金に関するポイント

早期退職制度の利用により多額の退職金を受け取ることができました。計画性を持って早期リタイアに向けて行動することが成功への鍵となります。

生活費における必要額

60歳を定年とし、57歳で早期リタイアする場合の必要資金を算出します。厚生労働省が発表した平均寿命をもとに、57歳から84歳までの生活費を計算しました。Cさんはタイで暮らしていますが、日本での生活費を想定して計算します。

  • 最低限の生活費:毎月22万円を必要とする場合、57歳から84歳までに必要な資金は約7,100万円となります。
  • 少しゆとりがある生活:毎月30万円を必要とする場合、57歳から84歳までに必要な資金は約9,700万円です。
  • 余裕を持つ生活:毎月35万円を必要とする場合、57歳から84歳までに必要な資金は約1億1,130万円となります。

それぞれの生活パターンにおいて、どの程度の年金や貯蓄、退職金、不労所得が必要かを検討することが重要です。

アーリーリタイアを目指す人には事例として参考になるでしょう。しかし、実際には個々の資産運用やライフスタイルによって計画が異なるため、自分に合った計画を立てることが大切です。

早期の引退が失敗する理由とその対策

早期退任(アーリーリタイア)の失敗に関連する主な要因は以下の3点です。

  • 資金不足
  • 人生の目標の喪失
  • 人間関係の悩み

これらの問題を適切に理解し、効果的な対策を立てましょう。

資金不足のリスク

十分な資金を確保したとしても、インフレや為替の影響などにより資金不足に見舞われる可能性があります。株価の急落で資産が目減りし、再就職せざるを得ないケースもあります。収入の確保は、精神的安定にもつながります。アーリーリタイア後も最低限の生活費が賄える収入源を確保しておくことが重要です。

目標の喪失とその対処法

アーリーリタイア後、目標を持たずダラダラとした生活に陥る人もいます。逆に、明確な目標を持つ人は具体的なライフプランを設計し、毎日を充実させています。リタイア後の目標を明確にすることで、より活力のある人生を送ることができます。

人間関係の悩みと対策

アーリーリタイア後に地方や海外へ移住する場合は、現地で新しい人間関係を築く際に注意が必要です。現地のコミュニティに馴染めず、都市部へ戻るケースもあります。事前に友人や知り合いを作り、スムーズな移住ができるよう計画を立てましょう。

アーリーリタイア成功のポイント

早期での引退を成功させるための要点は以下の4つです。

  • 十分な貯蓄を行う
  • M&Aを利用する
  • リタイア後の生活水準を検討する
  • 生きがいを見つける

これらのポイントを参考にして、アーリーリタイアを成功させるための計画を進めてください。

資金の準備を万全にする

リタイア後も安定した生活を送るためには、十分な貯蓄が欠かせません。特にアーリーリタイアを目指す場合、必要な貯蓄額は増加します。資金は多ければ多いほど安心です。セミリタイアやミニリタイアを取り入れ、収入の一部を維持することも一つの方法です。資金源を確保しておくことで、貯蓄額の減少スピードを抑えることが可能です。完全リタイアを目指す場合、十分以上の資金があった方が無難でしょう。

事業承継を利用する

事業主であれば、M&Aを活用し事業承継を検討することが生活資金の確保につながります。M&Aによって事業全体や一部を売却し、創業者利益として多額のキャッシュを得られることから、悠々自適な生活が実現できます。事業承継によって、廃業コストなどで資産が減るリスクも回避できます。ただし、M&Aの際は信頼できるパートナー選びが重要です。

リタイア後の生活水準を見極める

収入が減った状況で仕事をしていた頃の生活水準を維持するのは難しいため、リタイア後の生活水準を見極めることが大切です。逆に余裕があるからと言って、お金を使いすぎることも避けましょう。リタイア後は資産が目減りする一方なので、生活水準維持を希望する場合はアーリーリタイアの検討を慎重に行いましょう。

生きがいを見つけることの重要性

リタイア後の充実した生活には、仕事以外での生きがいが必要です。趣味や習慣など、自分にとって価値のあるものを見つけることが大切です。

  • 仕事が生きがいの場合、アーリーリタイア後に孤独や孤立を感じる可能性が高い
  • 趣味やレジャーに打ち込む生活スタイルが一般的
  • リタイア後の日々に生きがいがないと、精神的な余裕がなくなり、毎日がつらくなってしまう

このようにアーリーリタイアを実現するためには、資金面や生活水準、生きがいなど多くの要素を見直し、計画的に進めることが大切です。

早期引退に必要な資金は、年齢が僅かに違うだけでも大きく変化する

年齢によって早期リタイアに必要な資金額は大きく異なります。以下の要素によって資金額に違いが出るため、まずはそれらを整理してみましょう。

  • リタイアする年齢と年金の受給金額が連動すること
  • 退職金額の違い
  • 年金受給までの年数の違い

それぞれの点について詳細に説明します。

一つ目のポイントは、リタイアする年齢と年金の受給金額が連動することです。リタイアする年齢が違えば、年金の受給金額も変わるため、早期リタイアに要する資金額も変動します。日本経済新聞の試算によると、2歳年下の妻を持つ男性で標準報酬月額平均が44万円の場合、55歳で早期退職した場合、夫婦とも平均寿命まで生きると、年金の減収総額は約640万円になるとされています。早期退職する年齢が若いほど、より大きな差が生じることに注意が必要です。

二つ目のポイントは、退職金額の違いです。基本的に、一つの会社に勤めた年数が長いほど退職金は増えることが一般的です。退職金額は会社の規定によって異なりますが、年齢が若ければ退職金は少なくなる傾向にあります。

三つ目のポイントは、年金受給までの年数の違いです。早期リタイアする年齢が異なると、年金の受給額だけでなく、年金受給開始までの期間も変わります。そのため、年齢が若いほど、年金受給までの期間が長くなり、その分必要な資金も増えることになります。

年代別で見る早期退任に必要な資金と資産

セミリタイアに必要な貯金額は、年代別に異なります。セミリタイアの場合、退職後も年金以外の安定した収入源があることが重要です。そのため、早期退職(アーリーリタイア)よりも必要な貯金額は少なくなります。

以下では、セミリタイア後の生活費と必要な貯金額の目安を年代別に紹介します。なお、生活費の計算に関する条件は、65歳までが年間360万円、65~90歳までが年間300万円と仮定し、総務省統計局の「家計調査年報(家計収支編)2020年(令和2年)」を参照しています。また、生活費の計算は90歳までとしています。

年金受給額の計算条件は以下のとおりです。

  • 35歳で退職:基礎年金80万円×2+厚生年金20万円(平均標準報酬額30万円10年間勤務)
  • 45歳で退職:基礎年金80万円×2+厚生年金40万円(平均標準報酬額30万円20年間勤務)
  • 55歳で退職:基礎年金80万円×2+厚生年金60万円(平均標準報酬額30万円30年間勤務)

また、退職後は年金受給までに月間10万円、年間120万円の収入が得られると想定しています。

早期退職(アーリーリタイア)に必要な資金のまとめ

本記事では、早期退職について幅広く解説しました。最後に、早期退職を検討する際の重要なポイントをまとめて紹介します。早期リタイアでは、その後の生活環境によって必要な資金が変動します。地域や生活スタイルなど、自分の生活にどの程度の余裕が持てるかを考えて、必要な資金を把握することが大切です。早期退職する年齢が1歳違うだけでも必要な資金額に大きな差が出ます。適切な年齢でリタイアするためには、自分に必要な資金を確保する計画を立てることが重要です。セミリタイアも視野に入れながら、リタイア後の生活を具体的にイメージしましょう。

みつきコンサルティングは、税理士法人グループのM&A仲介会社として15年以上の業歴があり、中小企業M&Aに特化した経験実績が豊富なM&Aアドバイザーが多数在籍しております。  みつき税理士法人と連携することにより、税務面や法律面のサポートもワンストップで対応可能ですので、M&Aをご検討の際は、成功するM&A仲介で実績のある、みつきコンサルティングに是非ご相談ください。

著者

西尾崇
西尾崇事業法人第三部長
宅食事業を共同経営者として立ち上げ、CFOとして従事。みつきコンサルティングでは、会計・法務・労務の知見を活かし、業界を問わず、事業承継型・救済型・カーブアウト・MBO等、様々なニーズに即した多数の支援実績を誇る。
監修:みつき税理士法人

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