M&Aの完全成功報酬は、成約して初めて費用が発生する料金体系です。不成立なら持ち出しゼロという安心感から、中小企業の事業承継で広く選ばれています。一般的な成功報酬との違い、レーマン方式での計算、最低報酬や税務の扱い、信頼できる仲介会社の見極め方まで、会社売却を考えるオーナー経営者の向けに解説します。
「うちの会社でも売却できるだろうか…」、「何から始めればいいんだろう…」。そのようなオーナー経営者の不安に、中小企業向けM&A仲介会社みつきコンサルティングは、20年間・500件以上の支援実績に基づき、お応えします。本格検討前の情報収集として、まずはお話をお聞かせください。
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M&Aの完全成功報酬とは
「もし途中で破談したら、それまでの費用はどうなるのか」。会社売却を考え始めた経営者から、まず出てくるのがこの心配です。M&A仲介会社に支払う完全成功報酬は、その不安に正面から答える料金体系といえます。M&Aが実際に成約するまでは、着手金も中間金も一切請求されません。費用が発生するのは、最終契約が結ばれた瞬間だけです。
完全成功報酬が中小企業で選ばれる理由
交渉が常にまとまるとは限りません。条件が折り合わず、途中で止まる案件も現実にあります。着手金や中間金を先に払っていれば、不成立でもそのお金は戻りません。完全成功報酬なら、ここでの持ち出しがゼロになる。手元資金に限りのある中小企業ほど、この安心感は大きく効いてきます。
一般的な成功報酬との違い
「成功報酬」という言葉に厳密な定義はなく、各社で中身が違います。着手金や月額はなくても、基本合意の段階で中間金(想定報酬の10%前後が目安)を取る会社もある。これも広い意味では成功報酬制と呼ばれます。完全成功報酬は、その途中費用を含めて成約まで一切かからない点が明確に異なります。M&A全体でかかる費用の相場感はM&A手数料の全体像で確認できます。
完全成功報酬のメリット
譲渡オーナーにとっての利点は、単なる「費用が安い」では片付きません。判断の自由度そのものが広がります。
不成立でも持ち出しがゼロ
最大のメリットは、ここに尽きます。売却するかどうかまだ迷っている段階でも、相談から検討まで費用の心配なく進められる。万一まとまらなくても出費が残らないため、精神的な負担も軽くなります。「最後まで判断を保留したい」という慎重な経営者ほど、相性のよい体系です。
費用の見通しが立てやすい
かかる費用が成功報酬に一本化されるため、予算が読みやすくなります。さらに、成約しなければ仲介会社も報酬を得られない構造のため、見込みの薄い案件には正直に「難しい」と伝えてくれることも。受託の可否そのものが、冷静な判断材料になります。
仲介会社のマッチング意欲が働く
報酬を得るには成約させるしかない。だからこそ、よい相手先を早期に見つけようというインセンティブが自然に働きます。スピード感を求める譲渡オーナーには後押しとなる一方、この構造は次に触れる注意点とも表裏一体です。
完全成功報酬の注意点とデメリット
安心感の裏側には、知っておくべき落とし穴もあります。よくある相談として、「途中費用がないから」と料金の中身を確認しないまま契約してしまうケースが目立ちます。
案件が後回しにされるリスク
仲介会社の人的リソースは有限です。複数案件を抱える中で、成約の望みが薄いと判断された案件は優先順位が下がることがあります。急ぎたい譲渡オーナーにとっては、進行の遅れが懸念材料になりかねません。
最低報酬で割高になるケース
多くの会社が「最低報酬」を設定しています。レーマン方式での計算額がこれを下回ると、最低報酬のほうが適用される仕組みです。相場は500万円から2,500万円程度、2,000万円前後とする会社が目立ちます。完全成功報酬制は途中費用がない分、この最低ラインが高めに置かれていることもあるため、契約前の確認は欠かせません。
成約を急がされる利益相反
譲渡オーナーと譲受企業の双方と契約する仲介型では、成立しなければ報酬が発生しない構造上、成約を優先するアドバイスに偏る余地が残ります。条件面で本当に最適か、立ち止まって見極めたいところです。この論点は仲介の利益相反で詳しく整理しています。
M&A仲介手数料の全体像と完全成功報酬の位置づけ
完全成功報酬を正しく評価するには、M&Aで生じうる費用を一通り知っておく必要があります。2024年8月に公表され2025年1月から適用された中小M&Aガイドラインの第3版では、契約締結前に手数料の算定基準や最低手数料などを書面で説明する17項目の開示が求められるようになりました(中小企業庁)。
相談料・着手金・月額報酬の扱い
相談料は正式契約前の費用で、無料の会社が大半です。着手金は契約時に支払う費用で、近年は無料化が進んでいますが、発生すれば不成立でも戻りません。月額報酬は成約まで毎月かかる顧問料的な費用で、設定する会社はいまやごくわずか。完全成功報酬制なら、いずれも発生しません。
中間金とデューデリジェンス費用
中間金は基本合意の段階で請求される費用で、相場は50万円から200万円程度、または成功報酬の10〜20%相当。基本合意に法的拘束力はなく、この後に破談する確率は20〜30%ともいわれます。支払い済みの中間金は戻らないため、ここを避けられる点が完全成功報酬の強みです。デューデリジェンス費用は原則として譲受企業の負担で、200万円から400万円程度が目安となります。
成功報酬とレーマン方式
成功報酬は成約時に支払う中核の費用で、多くがレーマン方式で算出されます。取引金額を帯ごとに区切り、金額が上がるほど料率が下がる仕組みです。下表のように段階的に積み上げて合計します。計算の細部はレーマン方式の計算方法で確認してください。
| 取引金額の階層 | 手数料率 |
|---|---|
| 5億円以下の部分 | 5% |
| 5億円超〜10億円以下の部分 | 4% |
| 10億円超〜50億円以下の部分 | 3% |
| 50億円超〜100億円以下の部分 | 2% |
| 100億円超の部分 | 1% |
見落としがちな起算基準の違い
同じレーマン方式でも、「どの金額を基準にするか」で総額は数百万円から数千万円も変わります。譲渡オーナーが手にする純粋な売却額を基準にする株式譲渡対価ベースは、報酬が最も低くなりやすい。一方、売却額に会社の負債を加える移動総資産ベースは、報酬が膨らみます。完全成功報酬かどうか以前に、この起算基準を契約前に必ず確かめてください。
一般的な手数料体系と完全成功報酬制の比較
各費用が「かかるか・かからないか」を並べると、完全成功報酬制の輪郭がはっきりします。下表で発生の有無とタイミングを整理しました。
| 費用項目 | 一般的な手数料体系(相場) | 完全成功報酬制 | 発生のタイミング |
|---|---|---|---|
| 相談料 | 0〜10万円程度/1回 | なし | 正式委託の前 |
| 着手金 | 0〜300万円程度 | なし | アドバイザリー契約の締結時 |
| 月額報酬 | 0〜100万円程度/月 | なし | 正式委託後、毎月 |
| 中間金 | 0〜300万円程度、または成功報酬の5〜20%程度 | なし | 基本合意の締結時 |
| 成功報酬 | 取引金額の3〜5%程度(レーマン方式) 最低報酬は500万〜2,500万円程度 | レーマン方式のみ | クロージング時 |
手数料を負担するのは誰か
相談料・着手金・月額報酬・中間金・成功報酬は、それぞれ契約を結んだ譲渡オーナーまたは譲受企業が支払います。デューデリジェンス費用だけは原則として譲受企業の負担です。完全成功報酬制では最終的に成功報酬のみが残るため、資金繰りに不安がある会社ほど検討する価値があります。
完全成功報酬でも見落とせない税務の扱い
料金体系を完全成功報酬に絞っても、支払った手数料が税務上どう扱われるかは別問題です。ここを取りこぼすと、手取りが想定より目減りします。当社の支援現場では、仲介手数料を譲渡経費に正しく反映できておらず、申告でやり直しになった相談が少なくありません。
譲渡オーナー(個人)の税務処理
個人が支払う仲介手数料は、成功報酬を含めて譲渡経費として扱えます。株式の譲渡収入から取得費と譲渡経費を差し引いた譲渡所得に、20.315%の税率がかかる仕組みです(国税庁)。経費に算入できる分だけ税負担は軽くなります。申告の手順は譲渡益の確定申告で確認してください。
譲受企業(法人)の税務処理
法人側の扱いはスキームで変わります。株式譲受では、中間金と成功報酬は損金にならず株式の取得原価に算入されるのが原則。事業譲受や吸収合併なら、成功報酬を含む手数料が損金算入できます。判断に迷う論点は、M&Aに強い税理士へ早めに相談するのが安全です。
完全成功報酬を採用する仲介会社の見極め方
完全成功報酬は魅力的ですが、それだけで選ぶのは早計です。前提として、M&A仲介会社は上場会社系・非上場会社系・会計事務所系(士業系)の3類型に大別できます。みつきコンサルティングは、みつき税理士法人グループを母体とする会計事務所系・士業系の代表的なM&A仲介会社です。税負担を抑える譲渡スキームの設計まで踏み込める点が、会計系ならではの強みになります。

契約タイプの確認
双方と契約する「仲介型」は短期にまとまりやすい反面、条件面で譲歩を求められることがあります。一方の当事者だけと契約する「アドバイザリー型(FA)」は依頼者の利益を最優先できる代わりに、交渉が長引くことも。完全成功報酬制でもどちらに対応するかは会社次第です。違いはアドバイザリー契約の種類で整理できます。
料率と起算基準、最低報酬の確認
確認すべきは「完全成功報酬かどうか」だけではありません。レーマン方式の起算基準、料率、最低報酬の金額。この3点をセットで聞くだけで、総額のイメージが一気に明確になります。初期費用がかからない会社ほど、最低報酬が高めに設定されていないかを見ておきたいところです。よくある手数料トラブルの傾向は仲介会社の注意点にまとめています。
実績と担当者の見極め
自社と近い規模・業種・地域での実績があるか。担当者の経験年数は十分か。料金以上に、ここが成否を分けます。比較の切り口は仲介会社の比較ポイント、規模感は成約件数のランキングが参考になります。資格と実績から絞り込む手順は失敗しない選び方で解説しています。
どこに相談するか迷ったら
銀行、税理士、仲介会社では、得意分野も費用構造も異なります。まずは複数の窓口を知り、無料相談で温度感を確かめるのが現実的です。相談先ごとの違いはM&Aの相談先、会計系を含む各社の一覧は会計系を含む一覧で見比べられます。
完全成功報酬に関するFAQ
売り手側からよく寄せられる疑問を、実務の答え方でまとめました。
仲介会社へ支払う着手金や中間金はかかりません。ただし成約すれば成功報酬は発生します。加えて、デューデリジェンスを依頼する専門家費用や、譲渡所得にかかる税金は別途生じます。「仲介手数料がゼロ」と「総コストがゼロ」は別物だと考えてください。
その可能性はゼロではありません。現場ではまず、担当者の稼働状況と過去の成約ペースを確認します。専任で動いてくれるのか、進捗の報告頻度はどうか。契約前にここを聞いておくと、後回しのリスクを下げられます。
会社の規模で幅があり、小規模特化なら300万〜600万円程度、中堅・大手では1,500万〜2,500万円程度が一つの目安です。譲渡価額が小さい場合ほど、この最低報酬が総額を左右します。値下げ交渉に応じるかも含め、契約前に確認しておくと安心です。
契約形態次第です。双方から受け取る仲介型もあれば、片側のみのFA型もあります。両者負担となる場合もあるため、自社がいくら負担するのかを書面で確かめてください。
完全成功報酬を理解して納得できる仲介選びへ
完全成功報酬は、成約まで持ち出しがない安心感が魅力です。一方で、最低報酬の高さや起算基準、案件が後回しになるリスクといった注意点もある。料金体系だけでなく、実績や担当者の力量まで含めて見極めることが、後悔しない選択につながります。会社をどう引き継ぐかは一生に一度の判断であり、迷って当然です。判断材料として会社売却の相場も押さえておくとよいでしょう。
みつきコンサルティングは、みつき税理士法人グループを母体とする会計事務所系・士業系の代表的なM&A仲介会社です。完全成功報酬制で、中小企業の会社売却・事業承継を500件超支援してきました。公認会計士・税理士が税負担まで見据えて伴走しますので、まずは当社の無料相談にお声がけください。
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著者

- 事業法人第四部長/M&A担当ディレクター
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国内証券会社(現SMBC日興証券)にてクライアントの資産運用を支援。みつきコンサルティングでは、消費財・小売業界の企業に対してアドバイザリーを提供。事業承継案件のみならず、Tech系スタートアップへの支援も行う。M&Aの成約実績多数、M&A仲介・助言の経験年数は10年以上
監修者 神門 剛 代表取締役 / 公認会計士・税理士
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